脱炭素業界の今後を予想|再エネだけではない、本当に伸びるGX関連株

目次

脱炭素業界の今後はどうなる?

脱炭素関連について、私は今後5~10年を「強気」と見ています。

ただし、ここでいう脱炭素は太陽光発電や風力発電だけではありません。

今後本当に大きくなるのは、再生可能エネルギー、送配電網、蓄電池、パワー半導体、省エネルギー、水素・アンモニア、CCUS、原子力などを含めた「GX全体」だと考えています。

日本政府は2035年度に温室効果ガスを2013年度比60%削減、2040年度には73%削減する目標を掲げています。さらに第7次エネルギー基本計画では、2040年度の電源構成について再生可能エネルギーを4~5割程度まで引き上げる方針です。

これを実現するには、発電設備を増やすだけでは足りません。

電力を送る設備、変電設備、蓄電設備、電力を効率的に制御する機器、工場の省エネ設備などへ長期間にわたって巨額の投資が必要になります。

そのため私は、脱炭素を「環境テーマ」というより、今後数十年続く「設備投資テーマ」として見ています。

脱炭素で最も有望なのは送配電・電力インフラ

脱炭素関連株というと太陽光発電会社を思い浮かべやすいのですが、私は今後むしろ送配電・変電・電力制御関連を高く評価しています。

再生可能エネルギーは天候によって発電量が変動します。太陽光発電が大量に発電する昼間と、発電できない夜間の電力需給を調整しなければなりません。

さらにデータセンターやAIの普及によって、電力需要そのものも増える可能性があります。

つまり、

「発電量を増やす」
「電気を送る」
「電圧を変える」
「電気を貯める」
「必要な場所へ効率よく配る」

という電力網全体への投資が必要になります。

第7次エネルギー基本計画でも再生可能エネルギーの主力電源化とともに、省エネ・非化石転換を進める方針が示されています。

このため私は、脱炭素関連株の中心を「再エネ発電会社」ではなく「電力インフラ企業」と考えています。

パワー半導体も脱炭素の重要分野

電力を効率的に使うために欠かせないのがパワー半導体です。

工場設備、インバーター、EV、鉄道、データセンター、再生可能エネルギーなど、さまざまな場所で電力変換を効率化します。

富士電機も、パワー半導体について「高い変換効率・電力制御で省エネを担う」と位置付け、脱炭素化や製造業の自動化を背景に世界的な需要増加を見込んでいます。

半導体というとAI向けGPUばかりが注目されますが、脱炭素社会では「電力を無駄なく使うための半導体」も重要になると考えています。

水素・アンモニア・CCUSは長期テーマ

水素やアンモニア、CCUSも将来性があります。

特に鉄鋼、化学、セメント、航空、海運など、電化だけではCO2削減が難しい産業では必要性が高くなります。

三菱重工は大型ガスタービンで水素30%混焼の実機検証を行い、水素100%専焼やアンモニア燃焼についても開発を進めています。またCO2回収、水素製造、合成燃料など幅広い技術を持っています。

ただし水素・アンモニア関連は、技術的に有望だからすぐ利益になるとは限りません。

私は2030年代に向けた長期テーマとして評価していますが、2026年時点では送配電や省エネ設備の方が業績への反映が早いと考えています。

再エネ発電専業には少し慎重

脱炭素業界全体を強気としていますが、太陽光や風力などの発電所を開発・保有する企業については、一律に強気ではありません。

再エネ発電事業には、

建設費上昇
資材価格上昇
金利上昇
系統接続問題
工期遅延
発電量変動

などのリスクがあります。

大型案件では完成まで何年も必要になるため、計画段階では採算が良くても、建設費や金利が上昇すると採算が急激に悪化することがあります。

そのため脱炭素テーマへの純度だけで企業を選ぶのではなく、「実際に利益が出ているか」を重視したいと思います。

私なら現在は、再エネ専業企業よりも、送配電設備、変電設備、パワー半導体、省エネ、蓄電システムなどを販売する企業を優先します。

脱炭素関連株を見るための投資判断軸

脱炭素関連では「成長性」「脱炭素恩恵」「収益力」「株価水準」「財務・株主還元」の5項目で評価します。

特に重要なのは脱炭素テーマへの関連度だけではありません。

テーマ性が★★★★★でも、利益が出ず、借入金が増え続け、株価が割高なら投資対象としては評価を下げます。

逆に脱炭素専業ではなくても、GX投資によって実際の受注と利益が増えている企業は高く評価します。

有望銘柄① 富士電機(6504)

脱炭素関連の第一候補は富士電機です。

理由は、脱炭素投資で必要になるものを非常に幅広く持っているからです。

発電設備、変電機器、電源設備、エネルギーマネジメント、蓄電システム、インバーター、パワー半導体などを手掛けています。

つまり「再エネが増える」「電力需要が増える」「工場が省エネ化する」「データセンターが増える」といった複数の流れから恩恵を受けられます。

2027年3月期第1四半期は売上高2,733億円で前年同期比約10%増、営業利益250億円で前年同期の181億円から大幅に増加しました。エネルギー部門では売上高825億円、営業利益121億円となり、蓄電システムや変電機器、電源機器などの需要増が寄与しています。会社は通期営業利益予想も1,565億円へ引き上げました。

まさに「脱炭素設備投資が実際の利益になっている企業」です。

投資判断軸

成長性:★★★★★
脱炭素恩恵:★★★★★
収益力:★★★★★
株価水準:★★★★☆
財務・株主還元:★★★★☆

総合投資判断:強気

2026年9月2日の終値は13,005円、予想PER17.11倍、PBR2.40倍です。5月には17,800円まで上昇していましたが、かなり調整しています。

PER17倍程度で今期も増益予想という点を考えると、脱炭素関連の大型株としては極端な割高感はありません。

私は現在の脱炭素関連株では、企業内容と株価水準のバランスが最も良い銘柄の一つだと見ています。

有望銘柄② 明電舎(6508)

2番手は明電舎です。

変圧器、変電設備、電力制御設備などを手掛ける重電メーカーで、脱炭素社会で必要になる電力インフラ投資の恩恵を直接受けます。

2027年3月期第1四半期は、電力インフラの旺盛な需要を背景に売上高734億円で前年同期比25.7%増、営業利益は前年同期の3億円から46億円へ急増しました。通期予想も売上高3,650億円、営業利益330億円へ上方修正されています。

AIやデータセンターによる電力需要増加も含め、「電力を作る会社」以上に「電力網を強くする会社」が必要になっていることが追い風です。

投資判断軸

成長性:★★★★★
脱炭素恩恵:★★★★★
収益力:★★★★☆
株価水準:★★★☆☆
財務・株主還元:★★★★☆

総合投資判断:やや強気

2026年9月2日の終値は10,680円、予想PER19.38倍、PBR2.73倍です。年初来安値5,660円から一時12,760円まで上昇しており、株価はすでに大きく評価されています。

企業そのものについては非常に強気ですが、株価については富士電機より慎重に見ます。

大きく上昇した後なので、高値追いより調整したところを狙いたい銘柄です。

有望銘柄③ 電源開発(9513)

3番手は電源開発(J-POWER)です。

一見すると脱炭素銘柄に見えにくい会社です。現在も石炭火力発電を多く保有しているからです。

しかし逆に、この巨大な発電資産を脱炭素化していくこと自体が大きな投資テーマになります。

電源開発は国内再生可能エネルギー、CO2フリー火力、大間原子力、送変電などを将来の事業ポートフォリオに位置付け、非効率石炭火力を縮小しながら水素・アンモニア・CCSなどを利用した火力発電の低炭素化を進めています。

2027年3月期第1四半期は売上高2,803億円で前年同期比12.0%増。本業の営業利益は11.7%増となりました。一方、前年の特殊要因の反動で経常利益、純利益は大幅減益となっています。

投資判断軸

成長性:★★★☆☆
脱炭素恩恵:★★★★☆
収益力:★★★☆☆
株価水準:★★★★★
財務・株主還元:★★★★☆

総合投資判断:やや強気

2026年9月2日の終値は4,157円、予想PER9.03倍、PBR0.51倍、予想配当利回り2.53%です。

最大の魅力は株価水準です。

富士電機や明電舎とは違い、脱炭素企業として高い評価を受けているわけではありません。

そのため、再エネ拡大、送変電投資、大間原発、火力脱炭素化などが進みROEが改善すれば、「電力株+脱炭素株」としてPBRの見直しが起きる可能性があります。

一方、石炭火力資産や大型投資負担というリスクも大きいため、成長株というより「割安な脱炭素転換株」として考えています。

有望銘柄④ 三菱重工業(7011)

脱炭素技術そのものでは三菱重工を高く評価しています。

水素・アンモニア発電、CO2回収、CCUS、原子力、ガスタービン、合成燃料など、脱炭素で必要になりそうな技術を非常に幅広く持っています。

2027年3月期第1四半期は受注高2兆224億円、売上収益1兆1,942億円、事業利益1,596億円となり、事業利益は前年同期から629億円増加しました。通期でも売上収益5兆4,000億円、事業利益5,400億円を見込んでいます。

さらに2026年8月には、中小型CO2回収装置のラインアップを拡大し、年間45万トンクラスまで対応するモデルを発表するなど、CCUS関連も実用化フェーズに進みつつあります。

企業としては脱炭素関連の本命級です。

問題は株価です。

投資判断軸

成長性:★★★★★
脱炭素恩恵:★★★★★
収益力:★★★★★
株価水準:★★☆☆☆
財務・株主還元:★★★☆☆

総合投資判断:中立~やや強気

2026年9月2日の終値は3,724円、予想PER32.93倍、PBR3.95倍です。

富士電機のPER17倍、明電舎の19倍台と比べると、かなり高い評価を受けています。

しかも現在の三菱重工の成長は脱炭素だけではなく、防衛、航空・宇宙、ガスタービンなど複数テーマによるものです。

したがって「脱炭素関連企業として素晴らしい」という評価と、「現在の株価で積極的に買う」という判断は分けたいと思います。

株価が大きく調整したときには有力候補ですが、現水準では富士電機やJ-POWERの方に投資妙味を感じます。

脱炭素関連の有望銘柄ランキング

現時点で私が投資対象として注目する順番は、1位 富士電機(6504)、2位 明電舎(6508)、3位 電源開発(9513)、4位 三菱重工業(7011)です。

富士電機は「電力インフラ+省エネ+パワー半導体」、明電舎は「送配電・変電設備」、電源開発は「割安+電源の脱炭素転換」、三菱重工は「水素・CCUS・原子力・エネルギー技術」という違いがあります。

企業の脱炭素技術だけでランキングするなら三菱重工はもっと上位になります。

しかし今回は実際の投資判断として株価水準まで考慮しているため、この順位としました。

特に注目しているのは富士電機です。

脱炭素だけでなく、AI・データセンターによる電力需要増加、省エネ、蓄電、パワー半導体という複数の成長テーマが重なっています。

「脱炭素関連株を1銘柄だけ選ぶ」という条件なら、現時点では富士電機を第一候補にします。

まとめ

脱炭素は今後低迷する業界ではないと考えています。

日本が2035年度60%削減、2040年度73%削減という目標を掲げている以上、電力・製造業・交通・建築など幅広い分野で設備投資を続ける必要があります。

ただし「脱炭素」という言葉だけで株を買う時代ではありません。

私が今後特に重視したいのは、「送配電設備を持つ」「蓄電・電力制御に強い」「省エネ需要を取れる」「パワー半導体を持つ」「水素・CCUSなど次世代技術を実用化できる」「脱炭素投資がすでに売上と利益に表れている」という企業です。

脱炭素関連の将来性を5段階で評価するなら「5」

ただし、最も利益を狙いやすいのは必ずしも太陽光や風力発電会社ではないと考えています。

ゴールドラッシュで金を掘る会社より道具を売った会社が儲かったように、脱炭素でも私は「再エネを作る企業」より「脱炭素社会に必要な設備を売る企業」を優先したいと思います。

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