INPEX(1605)が2026年8月7日に発表した2026年12月期中間決算を分析します。
売上収益は1兆4億9500万円で前年同期比4.6%減、営業利益6187億1300万円で0.3%増、税引前利益6443億4600万円で0.1%減、親会社の所有者に帰属する中間利益は2631億4700万円で17.7%増となりました。
純利益は大きく増えましたが、売上減少の主因は原油販売数量の減少です。一方で原油価格上昇と円安、イクシスの好調、税負担の減少が利益を支えています。
私は今回を、イクシスと株主還元はかなり強い一方、本業全体では販売数量減少と特殊要因も確認しておきたい決算と評価します。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上収益 | ★★★☆☆ | 1兆4億円、4.6%減 |
| 営業利益 | ★★★★☆ | 6187億円、0.3%増 |
| 純利益 | ★★★★★ | 2631億円、17.7%増 |
| 利益率 | ★★★★☆ | 営業利益率58.8%→61.8%だが特殊要因あり |
| イクシス | ★★★★★ | 売上17.5%増、利益24.5%増 |
| その他海外O&G | ★★★☆☆ | 12.0%減収、利益は7.8%増 |
| 国内O&G | ★★☆☆☆ | 利益54.4%減 |
| 原油販売数量 | ★★☆☆☆ | 22.8%減 |
| 通期予想 | ★★★★☆ | 純利益5100億円へ修正 |
| 進捗率 | ★★★★☆ | 通期純利益の51.6% |
| 特殊要因 | ★★★☆☆ | その他営業収益増、税負担低下が利益を押し上げ |
| CF | ★★★★★ | 営業CF5539億円、単純FCF約1292億円 |
| 財務 | ★★★★★ | 親会社持分比率60.8% |
| 株主還元 | ★★★★★ | 年間100円→112円へ増配 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★☆ | 原油価格・為替次第だがイクシスと増配は強い |
売買判断
保有 ★★★★★
追加買い ★★★☆☆
売却 ★☆☆☆☆
私はINPEXを保有継続します。
年間配当が100円から112円へ増配され、イクシスも好調です。通期純利益5100億円に対する進捗も51.6%ですので、今回の決算で売却する理由はありません。
ただし原油販売数量が大きく減少し、営業利益を支えた要因の一部にはその他営業収益の増加もあります。追加買いは強気一辺倒ではなく、株価の押し目で考えます。
売上減少の最大要因は販売数量
原油販売数量は前年7150万バレルから5517万バレルへ22.8%減少しました。
売上収益への影響を見ると、販売数量減少によって1695億円のマイナスとなっています。
一方で平均単価上昇が492億円、円安が556億円、その他が162億円のプラスとなり、最終的な売上減少を483億円に抑えました。
海外原油の平均販売価格は1バレル79.51ドルで8.2%上昇、為替も1ドル158.37円と前年より10円の円安でした。
つまり今回のINPEXは、数量減を価格上昇と円安でかなり補った決算です。
イクシスはかなり強い
最も評価したいのはイクシスです。
売上収益は2158億円で17.5%増、親会社帰属利益は1731億円で24.5%増となりました。
イクシスの生産量も原油換算4447万BOEで、前年4519万BOEから小幅減にとどまっています。
他の海外プロジェクトで生産・販売数量が落ちる中、イクシスが利益の柱として安定していることは大きな強みです。
純利益17.7%増は少し割り引いて見る
営業利益は0.3%増、税引前利益は0.1%減なのに、純利益は17.7%増えています。
大きな理由は法人所得税費用が前年4027億円から3598億円へ減少したことです。
税引前利益に対する税負担率を単純計算すると、約62.4%から55.8%へ低下しています。
さらに「その他の営業収益」が前年51億円から456億円へ約404億円増加しています。
今回の資料では、この456億円の詳細な内訳までは示されていませんので、一時利益と断定はしません。ただし、この増加分が営業利益をかなり支えていることは確認しておく必要があります。
その他営業収益を単純に除いて比較すると、利益水準は前年を下回るため、純利益17.7%増をそのまま本業成長率とは見ません。
通期純利益5100億円、進捗51.6%
修正後の通期予想は、
売上収益 1兆9730億円
営業利益 1兆2230億円
税引前利益 1兆2780億円
純利益 5100億円
です。
中間期の進捗率は、
売上収益 約50.7%
営業利益 約50.6%
税引前利益 約50.4%
純利益 約51.6%
となっています。
ほぼきれいに50%を超えており、現時点では順調です。
会社は下期のブレント原油価格を75ドル、為替を1ドル160円と想定しています。上期実績の原油87.6ドルより低い前提ですので、下期は原油価格低下をある程度織り込んだ計画になっています。
CFはかなり良い
営業CFは前年4279億円から5539億円へ約29%増えました。
投資CFは4247億円のマイナスですが、単純な営業CF+投資CFでは約1292億円のプラスです。前年の約636億円から約2倍になっています。
開発・生産資産への投資は増えていますが、それを上回る営業キャッシュを生み出している点は高く評価できます。
財務も問題なし
総資産は8兆3869億円、親会社所有者帰属持分は5兆1026億円です。
親会社所有者帰属持分比率は61.4%から60.8%へわずかに低下しましたが、依然として非常に高い水準です。
社債・借入金は増加していますが、利益とCF、自己資本の厚さを考えると、現時点で財務面を心配する内容ではありません。
年間配当は112円へ増配
年間配当予想は中間56円、期末56円の112円です。
前期100円から12円増配となります。
中間期には約100億円の自己株式取得も実施しています。
エネルギー価格によって業績が変動しやすい会社ですが、利益成長を株主還元へつなげている点は保有を続ける大きな理由になります。
私ならどう売買するか
私はINPEXをそのまま保有します。
イクシスの利益24.5%増、営業CF5539億円、年間112円への増配は強いです。
一方、原油販売数量22.8%減と国内O&Gの大幅減益、その他営業収益の増加という点は少し割り引きます。
そのため現在の保有分は維持しますが、追加買いは原油価格や株価が大きく調整した場面で段階的に行います。
次の決算で見るポイント
最優先は原油販売数量です。数量減少が止まるかを確認します。
次にイクシスの生産・利益、その他営業収益の内容、営業CF、通期純利益5100億円への進捗を見ます。
また会社前提のブレント75ドル、1ドル160円と実際の市況との差も重要です。
売却を考える条件
私が売却を考えるのは、原油価格下落と生産数量減少が同時に進み、イクシスまで減益へ転じる場合です。
また、営業CFが大幅に悪化する、通期5100億円を下方修正する、現在の増配姿勢が後退する場合も評価を見直します。
今回の私の結論
今回のINPEXの中間決算は、表面的な純利益17.7%増より中身を分けて見る必要があります。
売上収益は4.6%減、営業利益は0.3%増ですが、イクシスは24.5%増益と非常に強いです。
一方、原油販売数量は22.8%減少し、その他営業収益の大幅増加と税負担低下も最終利益を押し上げています。
それでも営業CFは5539億円へ増加し、通期純利益5100億円への進捗は51.6%。年間配当も100円から112円へ増配されました。
そのため今回の総合評価は★★★★☆です。
私は保有を継続します。追加買いは押し目で慎重に行います。
キャピタルゲインという視点では、次に重要なのは原油価格だけではありません。
イクシスの安定生産を維持しながら、減少している販売数量を回復させ、特殊要因に頼らず利益を伸ばせるか。
ここが次の焦点です。
コメント