三菱重工業(7011)が2026年8月4日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。
売上収益は1兆1942億300万円で前年同期比15.5%増、事業利益1596億4500万円で65.1%増、税引前利益1764億2600万円で99.0%増、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1346億8000万円で97.4%増となりました。EPSも20.32円から40.08円へほぼ倍増しています。
今回はかなり強い決算です。
特に評価したいのは、最終利益だけでなく事業利益が65%増えていることです。エナジーを中心に全4主要セグメントが増益となり、通期事業利益5400億円に対する進捗率も約29.6%です。
一方、金融収益増加やその他収益、三菱ロジスネクスト売却など特殊要因もありますので、97%増益という最終利益だけで評価せず、本業部分を分けて見ていきます。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上収益 | ★★★★★ | 1兆1942億円、15.5%増 |
| 事業利益 | ★★★★★ | 1596億円、65.1%増 |
| 利益率 | ★★★★★ | 事業利益率約9.4%→13.4% |
| エナジー | ★★★★★ | 事業利益1014億円、約79.8%増 |
| プラント・インフラ | ★★★★☆ | 事業利益217億円、約17%増 |
| インダストリアル | ★★★★★ | 事業利益99.5億円、約2.5倍 |
| 航空・防衛・宇宙 | ★★★★☆ | 事業利益324億円、約12.5%増 |
| 通期予想 | ★★★★★ | 事業利益5400億円、24.9%増予想 |
| 進捗率 | ★★★★★ | 事業利益29.6%、純利益35.4% |
| 特殊要因 | ★★★★☆ | 金融収益増や非継続事業の影響あり |
| CF | ★★★★★ | 営業CF2846億円へ大幅改善 |
| 財務 | ★★★★★ | 自己資本比率38.9%へ改善、現金1.68兆円 |
| 株主還元 | ★★★★★ | 年間25円→29円へ増配予想 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★★ | 高進捗・高利益成長で上振れ期待あり |
売買判断
保有 ★★★★★
追加買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私は三菱重工業の保有を継続します。
今回の事業利益65.1%増はかなり強く、しかもエナジーだけでなく主要4セグメントすべてが増益です。通期予想をまだ据え置いている点も、今後の上振れ期待につながります。
追加買いも前向きですが、第1四半期がかなり強かったため、決算後の急騰を無理に追わず押し目で増やしたいです。
事業利益率は13.4%へ大幅改善
売上収益は1兆341億円から1兆1942億円へ15.5%増加しました。
売上総利益は2271億円から2797億円へ増加し、販管費は1445億円から1528億円への増加にとどまっています。
事業利益率を計算すると、
前年同期 約9.4%
今期 約13.4%
となり、約4ポイント改善しました。
さらに売上総利益から販管費を単純に差し引いた利益でも、前年約827億円から今期約1269億円へ約53%増えています。
つまり、持分法利益やその他収益を除いて見ても本業の収益力は大きく改善しています。
エナジーが利益成長を牽引
今回最大の増益源はエナジーです。
売上収益は4232億円から5364億円へ約26.7%増、事業利益は564億円から1014億円へ約79.8%増となりました。
全社事業利益1596億円に対し、エナジーだけで1014億円を稼いでいます。
三菱重工全体の利益成長を現在最も強く支えている事業です。
今回の短信だけではGTCC、原子力、航空エンジンなど個別製品別の利益増減までは開示されていないため、何が何億円寄与したかは推測しません。
他の3事業もすべて増益
プラント・インフラは事業利益185億5000万円から217億1900万円へ約17%増。
インダストリアル・ソリューションは40億4000万円から99億5100万円へ約2.5倍。
航空・防衛・宇宙も288億1200万円から324億2800万円へ約12.5%増となりました。
特にインダストリアルの利益改善は目立ちます。
一方、現在注目度の高い航空・防衛・宇宙も増益ではありますが、今回の第1四半期で最大の利益成長ドライバーはエナジーです。
最終利益97%増には営業外の押し上げもある
事業利益は1596億円ですが、税引前利益は1764億円まで増えています。
金融収益が前年38億円から205億円へ増加し、金融費用は119億円から37億円へ大幅に減少しています。持分法投資利益も34億円から91億円へ増えました。
したがって税引前利益99%増には、本業以外の改善もかなり寄与しています。
ただ、それを除いても事業利益65%増です。
私は今回、最終利益97%増より事業利益65%増を重視します。
三菱ロジスネクスト売却は特殊要因
今回から三菱ロジスネクスト関連事業は非継続事業として扱われています。
非継続事業では株式譲渡損失329億700万円が発生する一方、為替換算差額の実現益245億3500万円や法人税効果もあり、最終的な非継続事業利益は65億8000万円となりました。
したがって親会社帰属利益1347億円にはこの影響も含まれます。
ただし金額は全社利益に対して限定的で、本業評価を大きく変えるものではありません。
通期事業利益の進捗は29.6%
通期予想は変更されていません。
売上収益 5兆4000億円
事業利益 5400億円
税引前利益 5300億円
親会社帰属利益 3800億円
を見込んでいます。
第1四半期の進捗率は、
売上収益 約22.1%
事業利益 約29.6%
税引前利益 約33.3%
親会社帰属利益 約35.4%
です。
利益進捗はかなり高いです。
特に通期事業利益は24.9%増予想なのに対し、第1四半期では65.1%増となっています。
第2四半期でも現在の利益水準が続けば、上方修正への期待はさらに高まると考えます。
CFは大幅改善、ただし売却収入も大きい
営業CFは前年896億6100万円から2845億9800万円へ大幅に増加しました。
契約負債が3072億円増えたことや営業債権の減少がCFを押し上げています。一方、棚卸資産・前渡金は1786億円増えています。
投資CFも1069億円のプラスですが、ここには事業売却による1462億円の収入が含まれています。
したがって単純に「FCFが非常に強い」とだけ見るより、三菱ロジスネクスト売却の影響を分けて考える必要があります。
それでも営業CF自体が約3倍になっていることは高く評価できます。
財務も改善
総資産は8兆1513億円、親会社所有者帰属持分は3兆1712億円です。
自己資本比率は前期末37.3%から38.9%へ改善しました。
現金及び現金同等物は前期末1兆3349億円から1兆6841億円へ増加しています。
社債・借入金等は流動・非流動合計で約8538億円です。
成長投資を続けるだけの財務余力は十分あると考えます。
配当は25円から29円へ増配
今期の年間配当予想は中間14円、期末15円の29円です。
前期25円から4円増配となります。
増配率は16%です。
利益成長に加えて配当も伸びており、株価上昇だけに依存せず保有できる点もプラスです。
私ならどう売買するか
私は三菱重工業の保有を継続します。
今回最も評価するのは親会社利益97%増ではなく、事業利益65%増と事業利益率13.4%への改善です。
エナジーが非常に強く、インダストリアル、航空・防衛・宇宙、プラント・インフラもすべて増益です。
現在の保有分は維持し、株価が大きく押す場面では追加買いを検討します。
次の決算で見るポイント
最優先はエナジーです。事業利益1014億円という高水準が継続するかを見ます。
次に航空・防衛・宇宙の利益成長、事業利益率13%台、通期事業利益5400億円への進捗を確認します。
また、三菱ロジスネクスト売却という特殊要因がなくなった後でも、営業CFと利益成長を維持できるかも重要です。
売却を考える条件
私が売却を考えるのは、エナジーの利益が大幅減少し、航空・防衛・宇宙など他事業でも補えなくなった場合です。
また、受注拡大に対して棚卸資産や契約資産だけが増え、CFが継続的に悪化する場合も警戒します。
通期事業利益5400億円が下方修正されるようなら、保有比率を改めて考えます。
今回の私の結論
今回の三菱重工業の第1四半期決算は、非常に強い好決算です。
売上収益15.5%増、事業利益65.1%増、親会社帰属利益97.4%増。
特に事業利益率が約9.4%から13.4%まで上昇していることを高く評価します。
金融収益や三菱ロジスネクスト売却など特殊要因はありますが、それを除いても本業利益は大幅に成長しています。
通期事業利益5400億円への進捗も約29.6%、親会社利益は35.4%まで進みました。
そのため今回の総合評価は★★★★★です。
私は保有を継続し、押し目では追加買いを検討します。
キャピタルゲインという視点で次に見るべきなのは、防衛関連というテーマ性だけではありません。
エナジーを中心とした本業の利益率改善を維持し、5400億円の事業利益計画をどこまで上回れるか。
ここが次の焦点です。
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