サービス業の今後を予想|人手不足が追い風になる企業と苦しくなる企業

目次

サービス業の今後はどうなる?

サービス業について、私は今後3~5年を「やや強気」と見ています。ただし、サービス業は非常に範囲が広いため、業界全体が同じ方向へ進むとは考えていません。

今後の最大のテーマは「人手不足」です。日本銀行の2026年6月短観では、雇用人員判断DIが全規模合計でマイナス37となっています。この数字は「人手が過剰」と答えた企業より「不足」と答えた企業が大幅に多いことを意味しています。さらに9月までの予測はマイナス40となっており、人手不足は一時的な問題ではありません。

サービス業は製造業と違い、人そのものが商品になるビジネスが多くあります。そのため人件費上昇は大きな負担です。一方で、人材紹介、コンサルティング、業務効率化、設備保守など、「人手不足を解決するサービス」にはむしろ需要が増えます。

つまり今後のサービス業では、「人手不足に苦しむ企業」と「人手不足によって儲かる企業」の二極化が進むと考えています。

人手不足はサービス業最大のテーマ

飲食、宿泊、介護、物流、警備など、多くのサービス業では人材確保が難しくなっています。賃金を上げなければ人を採用できず、人件費を価格へ転嫁できなければ利益率が低下します。

そのため私は、単純に従業員数を増やして売上を伸ばす会社については以前より慎重に見ています。

逆に有望なのは、人手不足を解決する側です。

人材紹介
スポットワーク
コンサルティング
業務アウトソーシング
設備保守・省人化
DX支援

こうしたサービスは企業が人材を確保できなくなるほど必要性が高まります。

今後は「人を大量に使うサービス」よりも、「人を効率よく使うためのサービス」に投資資金が向かいやすくなると考えています。

AIによってサービス業も大きく変わる

もう一つ重要なのがAIです。

AIは情報・通信業だけのテーマではありません。コンサルティング、人材紹介、広告、コールセンター、士業、教育など、ホワイトカラー型サービスの仕事にも影響します。

これまで10人必要だった仕事をAIによって7人、5人でできるようになれば、企業にとっては大幅な生産性向上です。

しかし投資先として考えた場合、「AIによって仕事を奪われる企業」と「AIを利用して利益率を上げる企業」を分けて考える必要があります。

例えばコンサルティング会社がAIを使って資料作成やデータ分析を効率化できれば、コンサルタント1人当たりの売上や利益を増やせます。人材紹介会社もAIによって求職者と求人企業のマッチング精度を高められれば、成約率を改善できます。

サービス業にとってAIは必ずしも脅威ではありません。むしろ優れた企業にとっては、人件費依存から抜け出すための武器になると考えています。

今後厳しくなりそうなサービス分野

サービス業全体を低迷予想とはしませんが、私は次のようなビジネスには慎重です。

・人件費上昇を価格転嫁できないサービス
・単純作業を大量の人員で処理している会社
・AIで代替されやすい業務が中心の会社
・アルバイト依存度が極端に高い会社
・差別化できず価格競争になっている会社
・国内人口の減少がそのまま市場縮小につながる会社

特に危険なのは「売上を10%増やすために従業員も10%増やさなければならない会社」です。

今後は売上高だけを見るのではなく、従業員1人当たり売上高や営業利益率が上昇しているかも重要になると思います。

有望銘柄① リクルートホールディングス(6098)

サービス業で第一候補にしたいのはリクルートホールディングスです。

リクルートというと求人情報会社という印象がありますが、現在はIndeedやGlassdoorを中心とした世界的なHRテクノロジー企業という側面が強くなっています。

2027年3月期第1四半期は売上収益1兆453億円で前年同期比18.9%増、EBITDA+Sは2,928億円で56.5%増となり、売上収益、EBITDA+S、基本的EPSはいずれも第1四半期として過去最高を更新しました。

さらに会社は2027年3月期の通期予想を上方修正しています。特にHRテクノロジー事業ではマネタイゼーションの進化と効率化が想定以上に進んでいるとしています。

リクルートの魅力は、人手不足そのものがビジネスチャンスになることです。企業が人材を採用しにくくなるほど、「より効率よく人材を探したい」という需要は強くなります。

さらにAIによって求人と求職者のマッチング精度が上がれば、単なる求人広告から「採用そのものを効率化するプラットフォーム」へ進化する可能性があります。

サービス業の中では、国内人口減少の影響を海外事業で補える点も大きな強みです。

有望銘柄② ベイカレント(6532)

成長性を重視するなら、ベイカレントも有力候補です。

企業のDX、AI導入、経営改革などを支援するコンサルティング会社で、現在はAI、ERP、クラウド、セキュリティ、M&A、GXなど非常に幅広い企業課題を扱っています。

2027年2月期第1四半期は売上収益445億76百万円で前年同期比29.9%増、営業利益144億81百万円で18.6%増、純利益107億33百万円で19.0%増となりました。

現在の日本企業では、AIを導入したいと思っていても「何から始めればいいのか分からない」という企業が少なくありません。

AIそのものを作る企業だけでなく、「企業にAIを導入する企業」にも大きな市場が生まれると考えています。

一方で、コンサルティング業界自身も人材ビジネスなので、人件費上昇や採用競争には注意が必要です。実際、第1四半期の営業利益率は前年同期より低下しています。

それでも売上成長率約30%という勢いは強く、サービス業の中ではキャピタルゲインを狙いやすい成長銘柄の一つだと考えています。

有望銘柄③ JACリクルートメント(2124)

人材関連ではJACリクルートメントにも注目しています。

JACの特徴は、一般的な求人紹介ではなく、管理職、専門職、外資系企業など比較的年収の高い人材に強いことです。

日本企業では単純な人手不足だけでなく、DX、AI、海外展開、新規事業などを担当できる高度人材の不足が深刻です。

そのため「誰でもいいから人が欲しい」という採用以上に、「特定の能力を持つ人材を探したい」という需要が増える可能性があります。

2026年12月期上半期は売上高258億12百万円で前年同期比11.0%増、営業利益71億6百万円で13.9%増、純利益48億85百万円で14.4%増となりました。

会社も高額年収帯の求人需要が旺盛であることを説明しており、2026年12月期は売上高532億円、営業利益126億円を計画しています。

人材紹介業は景気悪化時には採用数が減少しやすいという弱点がありますが、中長期的な高度人材不足を考えると有望な分野だと思います。

リクルートを世界的な人材プラットフォームへの投資と考えるなら、JACリクルートメントは「高付加価値人材への投資」と考えることができます。

有望銘柄④ ジャパンエレベーターサービスHD(6544)

少し違うタイプのサービス業として注目したいのが、ジャパンエレベーターサービスホールディングスです。

エレベーターやエスカレーターの保守・保全、リニューアルを行っています。

一見すると地味な事業ですが、私はこうしたストック型サービスを高く評価しています。

エレベーターは建物が存在する限り定期的な点検や保守が必要です。また国内では既存設備の老朽化が進むため、リニューアル需要も発生します。

2027年3月期第1四半期は売上高157億78百万円で前年同期比17.5%増となりました。営業利益も前年同期比21.5%増加しています。国内の保守契約台数は13万1,150台まで拡大しました。

特に注目したいのがリニューアル事業で、第1四半期の売上高は前年同期比30.4%増となっています。

2027年3月期通期では売上高650億円、営業利益130億円を見込み、いずれも過去最高を更新する計画です。

人材紹介やコンサルほど派手なテーマ株ではありませんが、「契約台数が積み上がるほど翌年の売上基盤が大きくなる」というストック型の強みがあります。

サービス業の中では長期成長を狙いやすい銘柄として注目しています。

サービス業の有望銘柄ランキング

現時点で私が注目する順番は、1位 リクルートホールディングス(6098)、2位 ベイカレント(6532)、3位 JACリクルートメント(2124)、4位 ジャパンエレベーターサービスHD(6544)です。

リクルートは「人材+AI+世界展開」、ベイカレントは「DX+AI+コンサル」、JACリクルートメントは「人手不足+高年収人材」、ジャパンエレベーターサービスは「ストック収益+設備老朽化」という違いがあります。

値幅を狙うならベイカレント、企業としての総合力ではリクルート、高度人材不足を狙うならJACリクルートメント、安定した長期成長ならジャパンエレベーターサービスという見方をしています。

まとめ

サービス業については、今後低迷する業界とは考えていません。ただし、サービス業全体を買えばよいという業界でもありません。

人件費上昇によって苦しくなる企業がある一方、人手不足を解決する企業には大きなビジネスチャンスが生まれます。

今後特に重視したいのは、「人手不足を解決するサービスを提供している」「価格を上げても顧客が離れにくい」「AIやDXによって生産性を高められる」「継続契約によるストック収益がある」「従業員数以上のスピードで利益を伸ばせる」という企業です。

サービス業の将来性を5段階で評価するなら「4」

情報・通信業のように業界全体が大きな成長テーマに乗るというより、人口減少と人手不足という日本の構造変化を味方にできる企業を選ぶ業界だと考えています。

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