コジマ(7513)が2026年10月8日に発表した2026年8月期決算を分析します。
売上高は2976億3200万円で前期比5.2%増、営業利益86億2200万円で17.7%増、経常利益89億1100万円で15.3%増、純利益55億2900万円で17.4%増となりました。
売上成長率をすべての利益項目の成長率が大きく上回っています。
特にエアコン、スマートフォン、パソコン、ゲーム機が好調でした。
比較的粗利益率の低いスマートフォンやゲーム機の構成比が高まったにもかかわらず、高付加価値商品の販売を強化したことで売上総利益率は前年を上回りました。
さらに営業キャッシュ・フローは39億8100万円から118億5100万円へ約3倍となり、年間配当も22円から29円へ大幅に増えています。
一方、2027年8月期の会社予想は売上高0.8%増、営業利益4.4%増とかなり慎重です。
私は今回を、売上拡大だけでなく利益率・キャッシュ創出力・株主還元まで改善した非常に良い決算。ただし次期の成長率は一気に鈍化する計画のため、キャピタルゲインでは新しい成長事業の拡大が重要になる決算と評価します。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★★★☆ | 2976.32億円、5.2%増 |
| 営業利益 | ★★★★★ | 86.22億円、17.7%増 |
| 営業利益率 | ★★★★★ | 約2.59%→2.90%へ改善 |
| 売上総利益率 | ★★★★★ | 約27.17%→27.42%へ改善 |
| 経常利益 | ★★★★★ | 89.11億円、15.3%増 |
| 純利益 | ★★★★★ | 55.29億円、17.4%増 |
| 家庭電化商品 | ★★★★☆ | 1253.77億円、4.0%増 |
| 情報通信機器 | ★★★★☆ | 918.62億円、5.5%増 |
| その他商品 | ★★★★★ | 405.67億円、16.5%増 |
| エアコン・季節家電 | ★★★★★ | 季節家電19.0%増 |
| スマートフォン | ★★★★★ | 携帯電話10.7%増 |
| パソコン | ★★★★☆ | PC本体7.7%増 |
| ゲーム | ★★★★★ | 16.5%増 |
| 住設 | ★★★★★ | 工事・住設23.2%増 |
| 営業CF | ★★★★★ | 118.51億円、前年の約3倍 |
| 財務 | ★★★★★ | 現預金354.91億円、自己資本比率57.1% |
| 株主還元 | ★★★★★ | 29円配当+優待拡充+自己株取得 |
| 2027年8月期予想 | ★★★☆☆ | 売上0.8%増、営業利益4.4%増 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★☆ | 利益率改善は強いが次期成長率が課題 |
売買判断
保有 ★★★★★
追加買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私は今回の決算なら保有を継続します。
5.2%増収に対して営業利益17.7%増という利益成長はかなり良いです。
しかも単なる一時的な特別利益ではなく、本業の売上総利益率と営業利益率が改善しています。
営業CFも大幅に増え、配当・株主優待・自己株取得と株主還元も強化しました。
一方、2027年8月期の営業利益予想は4.4%増です。
そのため今後さらに大きなキャピタルゲインを狙うには、家電販売だけでなく、
EC
法人
住設
の3つの成長事業が利益成長を引き上げられるかが重要です。
売上高は5.2%増
売上高は、
前年 2827億9000万円
今回 2976億3200万円
となりました。
5.2%増、約148億円の増収です。
物価上昇によって消費者の節約志向が強まる中でも増収を確保しました。
会社は主な増収要因として、
エアコン
スマートフォン
パソコン
ゲーム機
を挙げています。
家電量販店市場全体が急成長しているわけではない中で、約5%の増収は十分評価できます。
営業利益は17.7%増
営業利益は、
73億2500万円 → 86億2200万円
となりました。
約12億9700万円の増益です。
営業利益率は、
前年 約2.59%
今回 約2.90%
まで改善しています。
改善幅は約0.31ポイントです。
小売業では0.3ポイントの利益率改善でも利益額への影響はかなり大きくなります。
今回は、
売上を増やした
だけでなく、
1円の売上から得られる利益も増やした
決算です。
売上総利益率は27.42%へ改善
売上総利益は、
768億3000万円 → 816億1800万円
となりました。
約47億8800万円増えています。
売上総利益率は、
前年 約27.17%
今回 約27.42%
へ約0.25ポイント改善しました。
今回かなり重要な数字です。
スマートフォンやゲーム機などは、比較的粗利益率が低い商品です。
これらの売上構成比が上昇したにもかかわらず、全体の粗利益率は改善しました。
会社は高付加価値商品の販売強化が寄与したと説明しています。
つまり単純に数量を売っただけではなく、商品ミックス改善によって利益を確保できたと見ます。
販管費率もわずかに改善
販管費は、
695億500万円 → 729億9500万円
となり増加しました。
人的資本への投資で人件費が増え、創業70周年記念セールによって広告宣伝費や販売促進費も増えています。
それでも売上高に対する販管費率は、
前年 約24.58%
今回 約24.53%
へわずかに低下しました。
水道光熱費削減などの効果もあり、増収によってコスト増を吸収できています。
粗利益率改善と販管費率低下が同時に起きたことが、17.7%営業増益につながりました。
エアコンが今回の大きな牽引役
家庭電化商品全体は1253億7700万円で4.0%増となりました。
その中でも季節家電は377億7300万円で19.0%増です。
会社はエアコンについて、東京都の助成制度拡充による需要に加え、東京都以外でも「2027年問題」に伴う需要が高まったと説明しています。
一方、
冷蔵庫 6.3%減
洗濯機 0.1%減
でした。
白物家電全体が強かったわけではありません。
エアコンの強さが家庭電化商品の売上を大きく押し上げた
と見るべきです。
そのため2027年8月期については、エアコン需要の反動が出ないかも確認したいです。
スマートフォンは10.7%増
情報通信機器商品は918億6200万円で5.5%増となりました。
その中でも携帯電話は480億6500万円で10.7%増です。
全社売上の16.2%を占めています。
パソコン本体も179億5800万円で7.7%増となりました。
一方、
PC周辺機器 3.3%減
PCソフト 11.0%減
です。
情報通信分野でもすべてが強いわけではありません。
ただし主力となるスマートフォンとPC本体が成長しているため、全体では5.5%増収を確保しました。
ゲームは16.5%増
ゲームの売上高は112億2300万円で16.5%増となりました。
今回の好調商品です。
一方、ゲーム機などは比較的粗利益率が低い商品でもあります。
通常ならゲーム売上比率が上がると粗利益率低下要因になります。
しかし今回は全社の粗利益率が改善しました。
そのため私は、
ゲームやスマホで客数・売上を増やしながら、高付加価値家電や住設などで利益を確保する
という商品構成が機能した可能性を感じます。
住設関連は23.2%増
今回、キャピタルゲインという視点で特に注目したいのが住設です。
工事・住設を含む売上高は142億4200万円となり、23.2%増でした。
今回の主要商品群の中でもかなり高い成長率です。
コジマは家電販売だけでなく、
リフォーム
再生可能エネルギー
住宅設備
などへ事業を広げています。
家電は買い替えサイクルが長く、価格競争も激しい市場です。
一方、住設は顧客単価が大きく、家電購入後も継続的に顧客との関係を持てます。
私は今後、住設事業が第二の利益成長源になるかを注目します。
その他商品は16.5%増
その他商品全体は405億6700万円で16.5%増です。
内訳では、
ゲーム 16.5%増
医薬品・日用雑貨 19.0%増
工事・住設 23.2%増
などが伸びています。
家電以外の商品・サービスが成長している点は重要です。
家電量販店は人口減少やネット通販との競争があります。
そのため、
家電だけを販売する店舗から、暮らし全体を支える店舗へ変われるか
が中長期成長の鍵になります。
音響映像商品は1.0%減
一方、音響映像商品は385億4700万円で1.0%減です。
内訳では、
テレビ 4.7%減
レコーダー・ビデオカメラ 9.1%減
オーディオ 7.9%減
となりました。
カメラだけは18.9%増です。
テレビなどの成熟家電は大きな成長を期待しにくい状態です。
今後はこうした成熟商品を、
高付加価値化
関連サービス
住設
EC
などで補えるかが重要になります。
電子棚札を全店舗へ導入
2026年8月末までに電子棚札の全店導入を完了しました。
これは単なる店舗設備投資ではありません。
価格変更作業などを効率化し、販売員が接客へ集中できる環境を作る狙いがあります。
コジマは「人時生産性向上」を中期経営計画の重要テーマとしています。
家電量販店では商品説明や提案力が高付加価値商品の販売につながります。
そのため、
単純作業をDX化する
↓
販売員を接客へ振り向ける
↓
粗利益率の高い商品を販売する
という流れを作れるかが重要です。
今回の営業利益率改善を見る限り、この方向性は悪くありません。
EC・法人・住設を成長事業に位置付け
コジマは、
EC事業
法人事業
住設事業
の3つを成長事業と位置付けています。
ECでは当日配送対象商品の拡充を進めています。
法人事業では2026年7月に水戸法人事業所を開設し、当期だけで3事業所を新設しました。
住設では再生可能エネルギーやリフォームに対応する人材育成を進めています。
国内家電市場だけに頼らず、新しい売上源を作ろうとしていることは評価できます。
2027年8月期はAI経由の購買にも対応
会社は2027年8月期のEC戦略として、AI経由の購買行動拡大を見据えた「エージェンティックコマース」への対応を進める方針です。
現時点では売上・利益への具体的な寄与額は示されていません。
したがって私はまだ大きな業績材料として評価しません。
ただし検索サイトやECサイトだけでなく、AIが商品の検索・比較・購買を仲介する時代を想定して動いている点は興味深いです。
今後、EC成長率として数字に表れるかを確認します。
店舗数は138店舗
2026年8月末時点の店舗数は138店舗です。
当期は2店舗を開店し、3店舗を閉店しました。
店舗数を大きく増やして売上を伸ばしたわけではありません。
むしろ店舗数は純減です。
それにもかかわらず売上高は5.2%増えています。
つまり今回の増収は、単純な出店効果よりも既存店舗や商品販売力の改善による部分が大きいと考えられます。
2026年9月17日には新たに「コジマ×ビックカメラ minanoba川口店」をオープンしています。
営業CFは約3倍
今回かなり高く評価したいのがキャッシュ・フローです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、
前年 39億8100万円
今回 118億5100万円
となりました。
約3倍です。
利益成長以上にキャッシュ創出力が改善しています。
売上債権の減少やその他流動負債の増加なども寄与していますが、本業から100億円を超えるキャッシュを生み出したことは大きいです。
フリーCFは約104億円
投資活動によるCFは▲14億3300万円です。
営業CF118億5100万円から単純に差し引くと、
約104億1800万円のプラス
となります。
前年は、
営業CF39億8100万円
投資CF▲30億1600万円
でしたので、単純なフリーCFは約9億6500万円でした。
約10億円から100億円超へ大幅に改善しています。
キャッシュ面では非常に強い決算です。
現預金は約86億円増加
現金及び預金は、
268億5400万円 → 354億9100万円
へ約86億3700万円増えました。
約32%増です。
現金及び現金同等物も353億6100万円あります。
財務余力はかなり大きくなっています。
一方、1年以内返済予定の長期借入金と長期借入金を合わせると約103億円です。
単純比較では現預金が借入金を大きく上回っています。
財務はかなり安定しています。
在庫は売上ほど増えていない
商品在庫は、
370億8300万円 → 378億7400万円
となりました。
約2.1%増です。
一方、売上高は5.2%増えています。
つまり売上の伸びより在庫の伸びが小さいです。
家電量販店では在庫が膨らむと、型落ち・値下げリスクにつながります。
今回は売上を伸ばしながら在庫増加を抑えているため、在庫管理も良好と評価します。
会社は2027年8月期に新たに「在庫管理室」を設け、在庫の量と質をさらに管理する方針です。
自己資本比率57.1%
自己資本比率は、
58.0% → 57.1%
へ0.9ポイント低下しました。
ただし純資産は、
702億4700万円 → 735億9300万円
へ増えています。
自己資本比率低下は総資産が大きく増加した影響もあります。
現預金が86億円増えており、営業CFも強いため、私は財務悪化とは見ません。
ROEは7.7%へ改善
自己資本当期純利益率は、
6.9% → 7.7%
へ改善しました。
総資産経常利益率も、
6.6% → 7.1%
へ改善しています。
コジマは中期経営計画で資本効率向上を掲げています。
利益を増やすだけでなく、資本を効率よく使える会社へ変わっているかを見るうえで重要な数字です。
まだ非常に高いROEとは言えませんが、改善方向です。
自己株式を約6.9億円取得
財務CFでは、自己株式取得に6億8800万円を使用しました。
配当金支払いも16億9900万円です。
つまり利益・キャッシュが増えた分を、
配当
と
自己株買い
の両方で株主へ還元しています。
財務余力を持ちながら資本効率改善も進めている点は評価できます。
配当は22円から29円へ
2026年8月期の年間配当は29円です。
前期は22円でした。
ただし前期22円には創業70周年記念配当2円が含まれていました。
普通配当だけなら、
20円 → 29円
です。
45%増配となります。
さらに会社は2026年7月に配当方針を変更し、今後は配当性向40%を目指す方針を示しました。
2027年8月期は年間30円を予想しています。
利益成長に合わせて還元を増やす姿勢が明確になっています。
株主優待も拡充
2026年には株主優待制度も拡充しました。
1月には2月末基準、7月には8月末基準の所有株式数に応じた優待制度の拡充を発表しています。
配当だけでなく株主優待も強化しています。
個人投資家にとっては、
増配
自己株買い
優待拡充
の3つが同時に進んでいることになります。
株主還元については今回かなり高く評価できます。
2027年8月期は売上3000億円
2027年8月期の会社予想は、
売上高 3000億円
営業利益 90億円
経常利益 91億円
純利益 58億円
です。
前年比では、
売上高 0.8%増
営業利益 4.4%増
経常利益 2.1%増
純利益 4.9%増
です。
2026年8月期の、
売上5.2%増
営業利益17.7%増
と比較すると、かなり成長率が鈍化します。
ここは注意点です。
営業利益率3%台を目指す
2027年8月期の営業利益予想90億円を売上3000億円で割ると、営業利益率はちょうど**3.0%**です。
今回の2.90%からさらにわずかに改善する計画です。
売上を大きく伸ばすより、
高付加価値商品の販売
接客品質向上
人時生産性向上
DX・AI活用
販管費コントロール
によって利益率を高める方針です。
私は次期について売上成長率よりも、営業利益率3%を超えられるかを重視します。
次期予想はかなり慎重
今回の決算は営業利益17.7%増です。
それに対して次期予想は4.4%増です。
会社が急激な成長を前提にしていないことが分かります。
エアコンなど今期好調だった商品の反動、家電市場の競争激化、人件費やシステム投資などを慎重に織り込んでいる可能性があります。
今回の資料だけでは予想が保守的なのか、実際に成長鈍化を見込んでいるのかまでは判断できません。
そのため第1四半期で、
売上高3000億円
営業利益90億円
に対してどの程度進捗するかを確認したいです。
私ならどう売買するか
私は今回の決算なら保有を継続します。
評価しているのは、
売上高5.2%増
営業利益17.7%増
営業利益率2.59%→2.90%
売上総利益率27.17%→27.42%
エアコン・季節家電19.0%増
スマートフォン10.7%増
ゲーム16.5%増
住設23.2%増
営業CF約3倍
フリーCF約104億円
現預金約86億円増
普通配当20円→29円
自己株取得
株主優待拡充
です。
一方で、
2027年8月期売上予想は0.8%増
営業利益予想も4.4%増
冷蔵庫6.3%減
音響映像商品1.0%減
低粗利のスマホ・ゲーム比率上昇
には注意します。
今回の決算自体には大きな弱点はありません。
課題は、次の成長率をどう高めるかです。
今回の私の結論
今回のコジマの2026年8月期決算は、売上・利益・キャッシュ・株主還元のすべてが改善した非常に良い決算です。
売上高は5.2%増でした。
それに対して営業利益は17.7%増、経常利益15.3%増、純利益17.4%増となりました。
営業利益率は約2.59%から2.90%へ改善しています。
スマートフォンやゲームなど比較的低粗利の商品が伸びたにもかかわらず、高付加価値商品の販売強化によって売上総利益率まで改善しました。
さらに営業CFは約3倍の118億円。
単純計算のフリーCFは約104億円まで増加しています。
配当についても普通配当ベースでは20円から29円へ大幅増配し、配当性向40%を目標とする新しい還元方針を打ち出しました。
自己株取得、株主優待拡充も行っています。
その一方、2027年8月期は売上0.8%増、営業利益4.4%増と成長率が大きく鈍化する予想です。
そのため今回の決算実績だけなら★★★★★ですが、次期の成長見通しまで含めた総合評価は★★★★☆とします。
私は保有を継続し、株価調整局面では追加買いを検討します。
キャピタルゲインという視点では、
エアコンなどの好調商品に頼るだけでなく、EC・法人・住設を新しい利益成長源へ育て、営業利益率を3%台へ定着させられるか。
ここが次の焦点です。
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