宇宙開発業界の今後を予想|国策で拡大する巨大市場、本当に有望な宇宙関連株は?

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宇宙開発業界の今後はどうなる?

宇宙開発について、私は今後5~10年を「強気」と見ています。

理由は単純にロケットの打上げ回数が増えるからではありません。宇宙が「研究開発の場所」から「経済活動や安全保障に必要なインフラ」へ変わり始めているからです。

日本政府は、2020年に約4兆円だった宇宙機器・宇宙ソリューション市場を2030年代早期に約8兆円へ拡大する目標を掲げています。内閣府の調査では、宇宙経済の規模は2030年に約8兆円、2040年には約15兆円まで拡大する可能性も示されています。

さらにJAXAには総額1兆円規模の「宇宙戦略基金」が設けられ、輸送、衛星、宇宙探査などの分野で民間企業やスタートアップへの長期的な支援が始まっています。最大10年間にわたる技術開発支援が可能な制度であり、日本の宇宙産業にとって非常に大きな政策支援です。

私は宇宙開発を、AIや脱炭素と同じく「国が途中で簡単にやめにくい長期投資テーマ」だと考えています。

宇宙開発は安全保障産業にもなっていく

今後特に大きくなるのが安全保障分野です。

人工衛星は通信、測位、気象観測だけではなく、地上監視、艦船監視、災害把握、ミサイル探知などにも利用されます。

特に注目したいのが「衛星コンステレーション」です。多数の小型衛星を低軌道に配置することで、同じ地域を短時間で繰り返し観測できます。

これは災害対策にも利用できますが、安全保障上の価値も非常に高くなります。

実際、QPSホールディングスやSynspectiveなど、日本の小型SAR衛星企業には防衛関連需要が入り始めています。

宇宙開発と防衛は今後さらに一体化すると考えています。

ロケットより「宇宙から得られるデータ」に注目

宇宙開発というとロケットが最も目立ちます。

しかし長期的に大きな市場になるのは、ロケットそのものより「宇宙を利用したサービス」かもしれません。

ロケットは衛星を宇宙へ運ぶ輸送手段です。一度衛星が軌道に乗れば、そこから画像、通信、位置情報などを何年間も販売できます。

経済産業省が掲げる2030年代早期の宇宙市場約8兆円という目標でも、宇宙機器だけではなく衛星通信・データ提供などの宇宙ソリューションが大きな部分を占めています。

私は今後の宇宙株を見るとき、

「ロケットを作る企業」

だけでなく、

「衛星を作る企業」
「衛星を大量に運用する企業」
「衛星データを販売する企業」
「宇宙空間を維持管理する企業」

まで見る必要があると考えています。

日本のロケット産業にも転換点

日本の基幹ロケットはH3です。

H3はJAXAと三菱重工が共同開発し、三菱重工が打上げ輸送サービスを担っています。2025年12月のH3ロケット8号機は打上げに失敗しましたが、その後2026年6月の6号機、8月11日の9号機は成功し、9号機では準天頂衛星「みちびき7号機」を予定軌道へ投入しました。

さらに2026年7月には、ispaceの月着陸船「ULTRA」を2028年にH3で打ち上げる契約も締結されました。政府衛星中心だったH3が民間宇宙輸送へ広がっていけば、三菱重工にとっても新しい市場になります。

ただしロケットは、一度の失敗がスケジュールや採算、信頼性に大きく影響します。

そのため私は「宇宙市場が伸びる=ロケット会社の利益が一直線に増える」とは考えていません。

宇宙ベンチャーは大化けの可能性と資金調達リスクが共存

宇宙関連株で最も難しいのがスタートアップです。

衛星や月面輸送などは莫大な先行投資が必要です。売上が本格化する前に衛星製造費、打上げ費用、人件費、研究開発費などが発生します。

そのため技術的には成功していても、株主にとって良い投資になるとは限りません。

赤字が続けば増資が必要になり、既存株主の持分が希薄化する可能性があります。

したがって宇宙ベンチャーではPERだけを見るのではなく、

受注残高
政府案件
衛星数
売上成長
営業黒字化時期
現預金
増資可能性

を見る必要があります。

私は特に「技術実証段階」から「売上を継続的に作る段階」へ移れる企業を重視しています。

宇宙開発関連株を見るための投資判断軸

宇宙関連株では「成長性」「国策・受注恩恵」「事業化・収益性」「株価水準」「財務・資金調達」の5項目で評価します。

宇宙への関与度が高いだけでは高評価にしません。

特にスタートアップについては、技術力が★★★★★でも赤字が長期間続き、増資を繰り返す可能性が高ければ総合投資判断を下げます。

逆に宇宙専業ではなくても、すでに宇宙・防衛事業から利益を出しながら成長できる企業は高く評価します。

有望銘柄① IHI(7013)

宇宙開発関連で第一候補にするのはIHIです。

IHIグループのIHIエアロスペースは、イプシロンロケットをはじめ、H3ロケットの固体ロケットブースターなどを手掛けています。また衛星用姿勢制御スラスタなど宇宙機器にも事業を広げています。

IHIの魅力は、宇宙専業ではないことです。

航空エンジンや防衛事業という大きな収益基盤を持ちながら、宇宙開発拡大の恩恵も受けることができます。

2027年3月期第1四半期は売上収益3,745億円で前年同期比10.9%増、営業利益732億円となりました。営業利益には不動産売却益という特殊要因が含まれますが、航空・宇宙・防衛部門の増収と収益性改善も寄与しています。

IHIは2026年度の宇宙事業について売上収益550億円を見込んでおり、2025年度の352億円から大幅な拡大を計画しています。

投資判断軸

成長性:★★★★★
国策・受注恩恵:★★★★★
事業化・収益性:★★★★★
株価水準:★★★★☆
財務・資金調達:★★★★☆

総合投資判断:強気

2026年9月2日の終値は2,600円、予想PERは約16倍、PBRは約4倍でした。

PBRは高いものの、利益成長を考えるとPERには極端な割高感がありません。

また宇宙開発が予定どおり進まなくても航空エンジンや防衛など別の成長源があります。

宇宙関連株を一銘柄だけ選ぶなら、現時点ではIHIを第一候補にします。

有望銘柄② QPSホールディングス(464A)

値幅を狙う宇宙専業銘柄なら、最も注目しているのがQPSホールディングスです。

旧QPS研究所は2025年12月に持株会社体制へ移行し、現在の上場会社はQPSホールディングス、証券コードは464Aです。

小型SAR衛星を多数打ち上げ、夜間や悪天候でも地上を観測できる衛星コンステレーションを構築しています。

この会社で特に注目したいのが、2027年5月期です。

会社は2027年5月期に7機を打ち上げ、期末までに16機体制とする計画です。売上高は前期の38億円から100億円へ急拡大し、営業利益3億円と営業黒字化を計画しています。

その100億円のうち約80億円を画像データ提供が占め、防衛省の衛星コンステレーション事業が大きく寄与する見込みです。

ここが非常に重要です。

宇宙ベンチャーが「衛星を作っている会社」から「衛星データで継続的に売上を作る会社」へ変わる可能性があるからです。

投資判断軸

成長性:★★★★★
国策・受注恩恵:★★★★★
事業化・収益性:★★★★☆
株価水準:★★★☆☆
財務・資金調達:★★★☆☆

総合投資判断:やや強気

2026年9月2日の終値は1,750円、時価総額は約979億円、予想PER約51倍、PBR約3.1倍です。年初来高値4,485円からは大きく下落しています。

PERだけなら安くありません。

しかし2027年5月期の売上高は前期比約2.6倍となる計画で、営業黒字転換まで実現すれば現在とは企業の見え方がかなり変わります。

一方、衛星の打上げ失敗や運用トラブル、増資などのリスクがあります。

IHIを「確度の高い宇宙投資」とするなら、QPSホールディングスは「大きな値幅を狙う宇宙投資」です。

有望銘柄③ 三菱重工業(7011)

三菱重工業は日本の宇宙開発を考えるうえで外せない企業です。

H3ロケットのプライムコントラクターであり、日本の基幹ロケットによる打上げ輸送サービスを担っています。

H3ロケット9号機は2026年8月11日に「みちびき7号機」の打上げに成功しました。またispaceの月面着陸船ULTRAについても2028年のH3による打上げ契約を締結しています。

企業全体も好調です。

2027年3月期第1四半期は受注高2兆224億円、売上収益1兆1,942億円、事業利益1,596億円となり、事業利益は前年同期から629億円増加しました。通期では売上収益5兆4,000億円、事業利益5,400億円を計画しています。

ただし注意したいのは、現在の三菱重工の株価上昇を支えているのは宇宙だけではないことです。

防衛、ガスタービン、原子力など複数の大型テーマがすでに評価されています。

投資判断軸

成長性:★★★★★
国策・受注恩恵:★★★★★
事業化・収益性:★★★★★
株価水準:★★☆☆☆
財務・資金調達:★★★★★

総合投資判断:やや強気

2026年9月2日の終値は3,724円、予想PER約37.7倍、PBR約4.1倍でした。

企業としては★★★★★ですが、株価もかなり高い評価を受けています。

そのため「宇宙開発が有望だから今すぐ三菱重工を買う」という判断ではなく、大きな調整が入った場面で狙いたい銘柄です。

有望銘柄④ Synspective(290A)

宇宙専業のもう一つの候補がSynspectiveです。

QPSホールディングスと同様、小型SAR衛星を使って地球を観測し、取得したデータを政府・企業などへ提供しています。

2026年12月期上期の総収入は39.1億円で、このうち売上高が16.9億円、補助金収入が22.2億円でした。売上には防衛省向けデータ納入や、衛星コンステレーション関連の画像取得業務が寄与しています。

衛星数を増やすほど観測頻度を高められるため、コンステレーションが完成に近づけばデータ販売能力は急激に上がる可能性があります。

一方、現状では売上高以上に補助金収入が大きく、完全に自立した収益モデルが完成したとはまだ言えません。

投資判断軸

成長性:★★★★★
国策・受注恩恵:★★★★★
事業化・収益性:★★★☆☆
株価水準:★★☆☆☆
財務・資金調達:★★★☆☆

総合投資判断:中立~やや強気

2026年9月2日の終値は1,433円、予想PER約72倍、PBR約5.2倍でした。

将来性はかなり高く評価していますが、その成長期待は株価にも相当織り込まれています。

QPSホールディングスと比較した場合、私は現時点では「売上急拡大と営業黒字転換」という具体的な変化が見え始めたQPSを上位にします。

技術は有望でも現時点では投資判断を慎重にする銘柄

宇宙関連では、アストロスケールホールディングス(186A)とispace(9348)にも注目しています。

アストロスケールはスペースデブリ除去や衛星寿命延長など「軌道上サービス」を開拓しており、将来的には非常に面白い企業です。2026年4月期のプロジェクト収益は115億円まで増加し、売上総利益も通期で黒字化しました。しかし営業損失は約100億円残っています。2026年9月2日時点のPBRも約20倍と非常に高い水準です。

そのため現時点では「事業は有望、株価投資としては慎重」とします。

ispaceも月面輸送市場という巨大な可能性があります。2028年にはH3を利用した月面着陸ミッションを計画しています。

しかし2027年3月期第1四半期の売上高は1億68百万円にとどまり、米国ランダー開発方針変更などに関連した減損の影響もあり、売上総損失は46億円を超えました。

成功すれば株価が大きく動く可能性がありますが、ミッション成功・失敗による影響があまりにも大きいため、現段階では有望銘柄ランキングには入れません。

宇宙開発関連の有望銘柄ランキング

現時点で私が投資対象として注目する順番は、1位 IHI(7013)、2位 QPSホールディングス(464A)、3位 三菱重工業(7011)、4位 Synspective(290A)です。

IHIは「宇宙+航空+防衛+現在の株価水準」、QPSホールディングスは「SAR衛星+防衛+売上急拡大」、三菱重工は「H3+宇宙輸送+防衛」、Synspectiveは「SAR衛星+衛星データ」という違いがあります。

安定性と株価水準を含めるならIHI。

キャピタルゲインの大きさを狙うならQPSホールディングス。

宇宙開発だけでなく防衛・エネルギーまでまとめて狙うなら三菱重工。

宇宙ベンチャーの長期成長に賭けるならSynspectiveという位置付けです。

特にQPSホールディングスについては、2027年5月期に売上高100億円、営業黒字化という会社計画を本当に達成できるかが大きな分岐点になると考えています。

まとめ

宇宙開発は今後低迷する業界ではないと考えています。

日本政府は宇宙市場を2030年代早期までに約8兆円へ拡大する目標を掲げ、JAXAの宇宙戦略基金も1兆円規模です。宇宙開発は科学研究から、通信、地球観測、防災、安全保障、月面開発などへ用途を広げています。

宇宙開発の将来性を5段階で評価するなら「5」

ただし投資先としては、AIや銀行などより難易度が高い業界です。

今後私が特に重視したいのは、「国から継続的な受注がある」「衛星数や打上げ回数の増加が売上につながる」「単発の開発収入ではなく継続的なサービス収入を作れる」「営業黒字化が見えている」「大型増資に依存しすぎない」という企業です。

宇宙関連株で最も重要なのは、宇宙へ行ける会社を探すことではなく、宇宙から継続的にお金を稼げる会社を探すことだと考えています。

現時点では本命をIHI、値幅を狙う成長枠をQPSホールディングスとします。

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