スカパーJSAT(9412)が2026年8月5日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。
営業収益は333億9400万円で前年同期比12.0%増、営業利益108億8900万円で36.0%増、経常利益113億7400万円で38.3%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は82億2600万円で49.6%増となりました。
営業利益率も前年同期の約26.9%から約32.6%へ大きく改善しています。
宇宙事業の成長に加え、メディア事業でも大幅な利益改善が進んでおり、全体としてかなり良い決算です。ただしメディア事業の増益には一過性の費用減少も含まれるため、営業利益36%増をそのまま恒常的な成長率とは見ません。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 営業収益 | ★★★★★ | 333.94億円、12.0%増 |
| 営業利益 | ★★★★★ | 108.89億円、36.0%増 |
| 利益率 | ★★★★★ | 営業利益率約32.6%へ改善 |
| 宇宙事業 | ★★★★★ | 外部売上23.3%増、営業利益21.8%増 |
| メディア事業 | ★★★★☆ | 売上2.4%増、営業利益59.3%増 |
| 安全保障関連 | ★★★★★ | 衛星コンステレーション関連取引が拡大 |
| 放送・配信 | ★★★☆☆ | 視聴料等は6億円減少 |
| 通期予想 | ★★★★☆ | 営業利益390億円、10.6%増予想を据え置き |
| 進捗率 | ★★★★★ | 営業利益27.9%、純利益30.5% |
| 特殊要因 | ★★★☆☆ | メディア増益に一過性の費用減少あり |
| CF | ★★★★☆ | 営業CF166.7億円、FCFは約19.5億円のマイナス |
| 財務 | ★★★★★ | 自己資本比率76.3%、有利子負債も減少 |
| 株主還元 | ★★★★★ | 年間42円から48円へ増配予想 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★★ | 宇宙・安全保障成長と高利益率を評価 |
売買判断
保有 ★★★★★
追加買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私はスカパーJSATの保有を継続します。
今回の営業利益36%増は強く、宇宙事業の成長に加えてメディア事業の収益性まで改善しました。特に安全保障関連の取引拡大は、中長期の成長材料として評価しています。
追加買いも前向きですが、メディア事業には一過性の費用減少が入っているため、次の決算でも高い利益率を維持できるか確認しながら増やしたいです。
営業利益率32.6%へ大幅改善
営業収益は298億2500万円から333億9400万円へ12.0%増加しました。
営業総利益は144億1700万円から170億5400万円へ増加し、販管費は64億800万円から61億6400万円へ逆に減少しています。
その結果、営業利益は80億900万円から108億8900万円へ36.0%増えました。
営業利益率も約26.9%から32.6%へ上昇しています。
売上増加だけでなく、販管費を抑えながら利益を大きく伸ばしているため、今回の収益性改善はかなり強いです。
宇宙事業は売上23%増、利益22%増
宇宙事業の外部顧客向け営業収益は166億3700万円で23.3%増、営業利益は64億2600万円で21.8%増となりました。
特に安全保障領域の取引拡大によってスペースインテリジェンス事業が22億円増収し、グローバル・モバイル分野も9億円増収しています。
また、Amazonの低軌道衛星通信サービス「Amazon Leo」の認定再販事業者となったほか、アストロスケールとの資本業務提携も進めています。
私は今後のスカパーJSATを見るうえで、従来の衛星通信会社というより、安全保障・衛星データ・低軌道衛星を含む宇宙インフラ企業へ変化していけるかを重視します。
メディア事業は59%増益だが少し割り引いて見る
メディア事業は営業収益173億1900万円で2.4%増、営業利益46億8600万円で59.3%増となりました。
売上の伸び以上に利益が増えています。
光再送信サービス関連収入が11億円増えたほか、スカパー東京メディアセンターの運用最適化、カスタマーセンター費用削減などが利益改善につながりました。
ただし、「ドイツ ブンデスリーガ」の放送・配信終了やコネクテッドTV事業化検証終了による一過性の費用減少も含まれています。
そのため59%増益すべてを継続的な実力とは見ません。
それでも費用効率化そのものは進んでおり、以前より収益性の高い事業になっている点は評価します。
スカパー加入者減少は引き続き課題
「スカパー!」サービスの累計加入件数は241万4000件となりました。
第1四半期は新規11万7000件に対して解約15万7000件で、4万件の純減です。前年同期と比べても累計加入件数は16万9000件減少しています。
放送・配信事業の視聴料・業務手数料・基本料収入も6億円減少しました。
つまり従来型の有料放送市場は引き続き縮小しています。
その一方で、光再送信、映像制作支援、宇宙・衛星関連などへ利益源を移しているため、私は加入者数減少だけを理由に売却する必要はないと考えます。
通期予想に対する利益進捗は良好
通期予想は、
営業収益 1350億円
営業利益 390億円
経常利益 390億円
純利益 270億円
で、今回変更されていません。
第1四半期の進捗率は、
営業収益 約24.7%
営業利益 約27.9%
経常利益 約29.2%
純利益 約30.5%
です。
売上はほぼ25%ですが、利益はすでに30%前後まで進んでいます。
会社計画自体も営業利益10.6%増、純利益15.8%増を見込んでいますが、第1四半期はそれを大きく上回る増益率です。
現時点では通期計画に対して良いスタートです。
CFは先行投資の影響を見る
営業CFは166億7200万円で、前年152億3900万円から増加しました。
一方、投資CFは186億2600万円のマイナスです。
単純な営業CF+投資CFでは約19億5400万円のマイナスとなります。
投資CFが大きいのは、有形固定資産取得に173億4500万円を使っているためです。
貸借対照表でも建設仮勘定が789億円から931億円へ増えており、宇宙事業などへの設備投資を進めていることが分かります。
今は成長投資期間ですので、FCF赤字そのものを強く問題視しません。重要なのは、この投資が数年後の宇宙事業の利益拡大につながるかです。
財務はかなり強い
総資産4016億円、純資産3095億円、自己資本比率は74.4%から76.3%へ改善しました。
有利子負債も前期末から61億円減少しています。
現金及び現金同等物は430億円まで減少していますが、設備投資や借入金返済、配当を行いながら自己資本比率76%を維持しています。
財務面の安心感はかなり高いです。
配当は42円から48円へ増配
2027年3月期の年間配当予想は、中間24円、期末24円の48円です。
前期42円から6円増配となります。
純利益15.8%増を計画しながら配当も約14%増やしており、利益成長を株主へ還元する姿勢は評価できます。
宇宙関連の成長株としてだけでなく、配当を受け取りながら保有できる点も魅力です。
私ならどう売買するか
私はスカパーJSATを保有継続します。
従来のスカパー加入者数だけを見ると縮小が続いていますが、現在の利益成長の中心は宇宙事業、安全保障、光アライアンスなどへ移っています。
特に宇宙事業の23%増収、全社営業利益36%増、自己資本比率76%、増配という組み合わせは強いです。
私は現在の保有分を維持し、株価が調整する場面では追加買いを検討します。
次の決算で見るポイント
最も重要なのは宇宙事業です。
安全保障関連の取引拡大が続き、現在166億円の四半期外部売上をさらに伸ばせるかを見ます。
次にメディア事業です。一過性の費用減少がなくなった後でも高利益率を維持できるかを確認します。
また、営業利益390億円への進捗、設備投資、FCF、スカパー加入者減少のペースも確認します。
売却を考える条件
私が売却を考えるのは、宇宙事業の成長が鈍化し、安全保障や衛星データ関連の売上が伸びなくなった場合です。
また、メディア事業で加入者減少による収入減をコスト削減で補えなくなる場合、先行投資だけが増えてCF悪化が長期化する場合も評価を見直します。
逆に宇宙事業が二桁成長を続け、通期業績の上方修正まで出てくるなら追加買いを考えます。
今回の私の結論
今回のスカパーJSATの第1四半期決算は、かなり良い決算です。
営業収益12.0%増、営業利益36.0%増、純利益49.6%増。営業利益率も約26.9%から32.6%へ改善しました。
宇宙事業は外部売上23.3%増、営業利益21.8%増。安全保障関連の拡大が成長を牽引しています。
メディア事業も59.3%増益ですが、こちらには一過性の費用減少が含まれるため少し割り引いて評価します。
それでも通期営業利益390億円への進捗は約27.9%、純利益は30.5%。財務も強く、年間配当は42円から48円へ増配予定です。
そのため今回の総合評価は★★★★★です。
私は保有を継続し、押し目では追加買いを検討します。
キャピタルゲインという視点で今後最も重要なのは、縮小する放送事業を守ることではありません。
安全保障・衛星データ・低軌道衛星など宇宙事業の成長によって、スカパーJSAT全体の利益成長率をさらに引き上げられるか。
ここが次の焦点です。
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