Sun Asterisk(4053)が2026年9月14日に2026年12月期第2四半期(中間期)決算を発表しました。
売上高は88億8100万円で前年同期比25.8%増、営業利益10億400万円で141.8%増、経常利益11億8900万円で163.1%増、純利益7億9200万円で128.0%増となりました。
主力のクリエイティブ&エンジニアリングが28.5%増収となり、既存顧客からの受注が堅調に推移しています。
さらに売上総利益率は約45.4%から49.8%、営業利益率は約5.9%から11.3%へ大幅に改善しました。
数字だけなら文句なく★★★★★級の好決算です。
ただし今回は、連結子会社Sun Asterisk Vietnamで会計帳簿に計上されていない現金と不適切な会計処理が確認されたことを軽く見ることはできません。
影響額自体は小さく、過年度決算の訂正も行われていませんが、成長企業として今後さらに大型案件やM&Aを進めるのであれば、内部管理体制の信頼性は重要です。
私は今回を、本業の業績は非常に強い一方、ガバナンス面の問題を理由に総合評価を一段下げる決算と評価します。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★★★★ | 88.81億円、25.8%増 |
| 営業利益 | ★★★★★ | 10.04億円、141.8%増 |
| 営業利益率 | ★★★★★ | 約5.9%→11.3%へ大幅改善 |
| 売上総利益率 | ★★★★★ | 約45.4%→49.8%へ改善 |
| 経常利益 | ★★★★★ | 11.89億円、163.1%増 |
| 純利益 | ★★★★★ | 7.92億円、128.0%増 |
| クリエイティブ&エンジニアリング | ★★★★★ | 70.33億円、28.5%増 |
| 顧客基盤 | ★★★★☆ | ユニーク顧客227社 |
| 顧客単価 | ★★★★★ | 月額平均顧客売上613.3万円 |
| タレントプラットフォーム | ★★☆☆☆ | 9.67億円、2.8%減 |
| インキュベーションその他 | ★★★★★ | 8.81億円、49.0%増 |
| キャッシュフロー | ★★★★☆ | 営業CF5.74億円、前年から改善 |
| 財務 | ★★★★☆ | 自己資本比率61.3%、借入増には注意 |
| M&A | ★★★★☆ | MIXENSEを完全子会社化 |
| 通期進捗 | ★★★★★ | 営業利益は参考値で約58.6% |
| 株主還元 | ★★★★★ | 前期0円→年間10円配当予想 |
| 不適切会計処理 | ★☆☆☆☆ | ベトナム子会社で発覚 |
| IR・ガバナンス | ★★☆☆☆ | 決算発表日変更の原因となった調査対応 |
| IFRS移行 | ★★★☆☆ | 適用開始を延期し通期決算から予定 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★☆ | 業績は非常に強いが信頼回復が必要 |
売買判断
保有 ★★★★☆
追加買い ★★★☆☆
売却 ★★☆☆☆
私ならSun Asteriskは保有継続です。
業績だけを見るなら追加買い★★★★☆以上でもよい内容です。
営業利益は前年の2.4倍となり、粗利益率・営業利益率も大幅に改善しました。
主力事業の成長も強く、会社計画に対する利益進捗も高いです。
しかし今回は、子会社で不適切な会計処理が発覚しています。
影響額が小さいから問題なし、とは考えません。
私は次の決算までに、
内部管理体制をどのように改善するのか
同様の問題が他の海外拠点にないことを確認できるのか
を見たいです。
そのため、保有は継続しますが、追加買いは一段慎重にします。
売上高25.8%増
売上高は、
前年 70億5800万円
今回 88億8100万円
となり25.8%増加しました。
約18億2300万円の増収です。
かなり高い成長率です。
特に主力のクリエイティブ&エンジニアリングが伸びています。
ただし今回の売上成長にはM&A効果も含まれています。
2025年7月にグローバルギアを子会社化し、2026年1月にはMIXENSEも完全子会社化しました。
したがって、25.8%増収すべてを既存事業のオーガニック成長と見るのは避けます。
それでも主力事業そのものが28.5%増収しているため、決算の質は高いです。
営業利益は141.8%増
営業利益は、
前年 4億1500万円
今回 10億400万円
となりました。
141.8%増、約2.4倍です。
売上高が25.8%増なのに対して、営業利益は2倍以上になっています。
営業利益率は、
約5.9% → 約11.3%
へほぼ倍になりました。
Sun Asteriskを見るうえで、今回最も評価したい数字です。
売上拡大だけではなく、会社の収益構造そのものが改善しています。
売上総利益率は49.8%へ
売上総利益は、
32億400万円 → 44億2400万円
となり38.1%増加しました。
売上総利益率は、
約45.4% → 約49.8%
へ4.4ポイント改善しています。
売上原価の伸びを売上成長より低く抑えたことで、粗利益が大幅に伸びました。
販管費は、
27億8900万円 → 34億1900万円
と22.6%程度増えています。
それでも粗利益38%増が販管費増加を大きく上回ったため、営業利益が急増しました。
売上拡大→粗利益率改善→営業利益率上昇
という非常に良い利益成長になっています。
クリエイティブ&エンジニアリングが28.5%増
主力のクリエイティブ&エンジニアリングは売上高70億3300万円となりました。
前年同期比28.5%増です。
会社は既存顧客からの受注が堅調に推移したと説明しています。
Sun Asteriskの成長を見るうえでは、新規顧客を増やすだけではなく、
既存顧客との取引を大型化・長期化できるか
が重要です。
今回の数字を見る限り、その戦略は順調です。
ユニーク顧客数227社
会社がKPIとして重視しているユニーク顧客数は227社です。
さらに月額平均顧客売上は613万3000円となりました。
Sun Asteriskのビジネスは、単純なエンジニア派遣会社ではありません。
顧客企業の新規サービス・DX・デジタルプロダクトの企画段階から入り、
設計
開発
運用
改善
まで継続的に関わることを狙っています。
そのため顧客数と顧客単価を同時に伸ばせるかが重要です。
今回、主力事業が約29%成長していることは高く評価できます。
タレントプラットフォームは2.8%減収
一方、弱かったのがタレントプラットフォームです。
売上高は9億6700万円となり、前年同期比2.8%減でした。
主力事業が30%近く伸びている中で、ここだけ減収となっています。
Sun AsteriskはIT人材を発掘・育成し、顧客企業へ供給する仕組みも強みとしています。
日本国内ではIT人材不足が続いているため、中長期的な市場環境は悪くありません。
そのため次回はタレントプラットフォームが再び成長へ戻れるかを確認したいです。
インキュベーションその他は49.0%増
インキュベーションその他は売上8億8100万円で49.0%増となりました。
かなり高い成長率です。
ただし、ここには2025年7月に子会社化したグローバルギアの影響も含まれています。
そのため49%増をそのまま既存事業の成長率とは考えません。
それでもデジタルコンテンツやファンコミュニティなど、本業とは異なる収益源が育っていることはプラスです。
MIXENSEを9億円で買収
2026年1月5日にはMIXENSEを完全子会社化しました。
取得価格は9億円です。
MIXENSEは業務系・制御系システムの受託開発を手掛け、大手通信キャリアなどと長期間取引しています。
Sun AsteriskはMIXENSEを取り込むことで、DX支援の中でも「デジタイゼーション」領域を強化する方針です。
買収に伴って、
のれん 3億1300万円
顧客関連資産 4億4300万円
を計上しています。
のれんは15年間、顧客関連資産は14年間で償却します。
M&Aによって売上を増やすだけではなく、今後は買収企業をSun Asteriskの顧客基盤や開発力と組み合わせて利益を伸ばせるかが重要です。
不適切な会計処理は今回最大の注意点
今回の好決算で最も注意すべきなのが、Sun Asterisk Vietnamで発覚した不適切な会計処理です。
会社は会計帳簿に計上されていない現金の存在を確認しました。
そのため外部の弁護士による調査・検証を行っています。
調査の結果、本来会計帳簿へ計上すべき取引などの不適切な会計処理が確認されました。
主に産学連携に関連する支出・収入だったとしています。
今回の中間決算では、
現預金 2400万円
販管費 600万円
営業外収益 3000万円
を計上しました。
営業外収益3000万円のうち2200万円は過年度分です。
金額は小さいが問題の本質はそこではない
今回の不適切会計処理が過年度の連結財務諸表へ与える影響は僅少として、会社は過年度決算の訂正を行っていません。
金額だけなら全社業績への影響は小さいです。
営業利益10億円に対して販管費への影響は600万円です。
そのため今回の141.8%営業増益が不適切会計処理によって作られたわけではありません。
業績そのものは本当に強いです。
しかし私は問題の本質を金額では見ません。
海外子会社で、
帳簿外現金が存在した
本来計上すべき取引が会計帳簿へ計上されていなかった
という内部管理上の問題です。
海外拠点を多数持つ企業だけに、再発防止策はかなり重要です。
決算発表日にも影響した
今回の資料では、2026年9月4日に「2026年12月期第2四半期決算発表日に関するお知らせ」を公表したことが記載されています。
会社はベトナム子会社の帳簿外現金を確認したため、外部専門家による調査と検証を行ってきました。
その結果を反映し、今回9月14日に中間決算を発表しています。
つまり今回については、Liberawareのように「理由が分からないまま予定日からずれた」というケースとは性質が違います。
Sun Asteriskでは、決算発表日変更の背景となった問題が決算短信に明記されています。
ここは区別して評価します。
ただし理由が説明されたから問題が消えるわけではありません。
今後の内部管理体制強化を確認する必要があります。
IFRS適用も延期
もう一つ気になるのがIFRSです。
Sun Asteriskは当初、2026年12月期第1四半期からIFRSを任意適用する予定でした。
しかし、
会計基準変更時には会計処理や開示情報をこれまで以上に慎重に検討すべき
との判断から延期しました。
現在は2026年12月期の通期決算からIFRSを適用する予定です。
今回の決算短信では、IFRS延期とベトナム子会社の不適切会計処理が直接の因果関係にあるとは書かれていません。
そのため両者を結び付けて考えることはしません。
ただし会計・開示体制について確認事項が重なっていることは、投資家として意識しておきたいです。
通期予想は据え置き
通期予想は変更していません。
IFRSベースで、
売上収益 182億100万円
営業利益 17億1400万円
税引前利益 19億円
純利益 13億8900万円
を計画しています。
注意点があります。
今回の中間決算は日本基準です。
一方、通期予想はIFRSです。
そのため中間実績と通期予想を完全に同じ基準で単純比較することはできません。
参考値として計算すると、
売上 約48.8%
営業利益 約58.6%
純利益 約57.0%
の進捗です。
利益進捗はかなり高く見えます。
ただし会計基準が異なるため、私はこの数字を「上方修正確実」の根拠にはしません。
業績予想を据え置いた点は少し慎重に見る
中間期の営業利益は前年の2.4倍です。
それでも会社は通期業績予想を変更していません。
単純に見ると上振れ余地がありそうです。
一方、
M&A関連費用
IFRS移行
海外為替
人材投資
下期の費用発生
なども考慮する必要があります。
今後、第3四半期でも営業利益率10%前後を維持できれば、通期上振れ期待はさらに強まります。
営業CFは5.74億円
営業活動によるキャッシュ・フローは5億7400万円のプラスとなりました。
前年は2億9100万円でしたので、約2倍です。
本業の利益成長がキャッシュにも表れています。
一方、投資CFは▲39億6300万円です。
かなり大きなマイナスですが、主因は定期預金の増加32億5100万円です。
さらにMIXENSEの買収で6億900万円を支出しています。
そのため投資CFの大幅マイナスを、そのまま事業投資による資金流出と見る必要はありません。
現金同等物は63.52億円
中間期末の現金及び現金同等物は63億5200万円です。
前年末から15億4200万円減少しました。
ただし貸借対照表上の現金及び預金は122億6900万円まで増えています。
定期預金へ資金を移した影響が大きいためです。
一方、短期借入金は新たに17億7500万円発生しました。
長期借入金も16億2800万円あります。
借入金は増えていますが、現預金の方がかなり大きいため、財務余力は十分あります。
自己資本比率は61.3%
自己資本比率は、
66.2% → 61.3%
へ4.9ポイント低下しました。
これは短期借入金増加などによって総資産・負債が増えた影響があります。
ただし61%台なら財務安全性はまだ高いです。
純資産も106億6200万円から118億5900万円へ増えています。
利益剰余金も増加しています。
今回の財務を危険とは見ません。
発行済株式数は増加
期末発行済株式数は、
3911万5080株 → 4005万5360株
へ約94万株増えました。
約2.4%の増加です。
ストックオプションなどによる株式数増加は、既存株主にとっては希薄化要因です。
急激な希薄化ではありませんが、今後も確認したいです。
前期0円から年間10円配当へ
2026年12月期の年間配当予想は10円です。
前期は年間0円でした。
今期は期末10円を予定しています。
成長企業でありながら株主還元を開始することはプラスです。
現在の利益成長が続けば、今後の増配余地も出てきます。
ただし現時点では配当利回りより、業績成長によるキャピタルゲインを狙う銘柄として見る方が適切です。
私ならどう売買するか
今回評価しているのは、
売上高25.8%増
営業利益141.8%増
営業利益率5.9%→11.3%
売上総利益率45.4%→49.8%
クリエイティブ&エンジニアリング28.5%増収
営業CF約2倍
年間10円配当開始
です。
業績だけならかなり強いです。
一方で、
ベトナム子会社の帳簿外現金
不適切な会計処理
内部管理体制への懸念
IFRS適用開始の延期
タレントプラットフォーム2.8%減収
は確認します。
特に今回は決算数字が良いからといって、不適切会計処理を小さな問題として片付けない方がよいと考えます。
今回の私の結論
今回のSun Asteriskの中間決算は、業績だけなら★★★★★の非常に強い好決算です。
売上高25.8%増、営業利益141.8%増、経常利益163.1%増となりました。
営業利益率は約5.9%から11.3%へ改善し、売上総利益率も約45.4%から49.8%へ上昇しています。
主力のクリエイティブ&エンジニアリングも28.5%増収です。
つまり本業にはかなり強い改善が見られます。
一方で、Sun Asterisk Vietnamにおいて帳簿外現金と不適切な会計処理が確認されました。
金額的な影響は小さく、過年度決算の訂正も不要とされています。
それでも、海外子会社を多数抱える企業にとって内部統制の問題は無視できません。
そのため今回の総合評価は★★★★☆とします。
業績評価は★★★★★、ガバナンスを含めた総合評価は★★★★☆です。
私は保有を継続します。
ただし追加買いについては、次の決算で業績成長が続くことに加えて、内部管理体制強化についてどこまで説明されるかを確認してからでも遅くないと考えます。
キャピタルゲインという視点では、
営業利益率10%台を維持しながら主力DX事業を二桁成長させ、M&Aによる成長を利益につなげると同時に、今回傷ついた会計・内部管理面の信頼を早期に回復できるか。
ここが次の焦点です。
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