積水ハウス(1928)が2026年9月10日に発表した2027年1月期第2四半期(中間期)決算を分析します。
売上高は1兆9656億4400万円で前年同期比2.5%減となりました。
一方、営業利益は1803億7000万円で16.0%増、経常利益は1690億8100万円で23.8%増、純利益は1250億5300万円で23.1%増です。
減収にもかかわらず利益は大きく伸び、営業利益率も前年の約7.7%から9.2%へ改善しました。
国内では賃貸住宅管理・リフォームなどのストック型事業が堅調だったほか、マンション・都市再開発を中心とする開発型事業の営業利益が114.1%増となりました。
一方、最大の注意点は国際事業です。
米国住宅市場の停滞によって国際事業は20.8%減収、93.2%営業減益となりました。
ただし受注を見ると、国際事業は20.3%増、受注残高は前期末比104.5%増となっています。
私は今回を、米国事業には大きな弱さが残るものの、国内事業の高収益化と受注残の積み上がりによって全社利益を大きく伸ばした、かなり内容の良い決算と評価します。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★☆☆☆ | 1兆9656.44億円、2.5%減 |
| 営業利益 | ★★★★★ | 1803.70億円、16.0%増 |
| 営業利益率 | ★★★★★ | 約7.7%→9.2%へ改善 |
| 売上総利益率 | ★★★★★ | 約19.8%→21.8%へ改善 |
| 経常利益 | ★★★★★ | 1690.81億円、23.8%増 |
| 純利益 | ★★★★★ | 1250.53億円、23.1%増 |
| 請負型事業 | ★★★☆☆ | 2.3%減収、1.6%減益 |
| ストック型事業 | ★★★★★ | 4.9%増収、13.3%増益 |
| 開発型事業 | ★★★★★ | 24.9%増収、114.1%増益 |
| 国際事業 | ★☆☆☆☆ | 20.8%減収、93.2%減益 |
| 受注高 | ★★★★★ | 全社9.3%増 |
| 受注残高 | ★★★★★ | 全社19.9%増、国際は104.5%増 |
| 通期進捗 | ★★★★★ | 営業利益51.5%、純利益55.8% |
| 通期予想 | ★★★★☆ | 売上は下方修正、純利益は上方修正 |
| 財務 | ★★★★☆ | 自己資本比率42.7%→44.0% |
| 株主還元 | ★★★☆☆ | 年144円→145円へ増配予定 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★☆ | 国内好調+受注残増、米国回復が次の鍵 |
売買判断
保有 ★★★★★
追加買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私は積水ハウスを保有継続する判断です。
売上は減っていますが、営業利益は16%増加し、営業利益率も大きく改善しています。
さらに全社受注高は9.3%増、受注残高は19.9%増です。
現在かなり弱い米国事業についても受注残が大きく積み上がっているため、今後の回復余地があります。
追加買いも検討できますが、今期上期の利益成長には都市再開発物件の売却なども大きく寄与しています。
そのため決算後の上昇を追うより、株価調整局面で増やしたいです。
減収でも営業利益は16.0%増
売上高は、
2兆154億800万円 → 1兆9656億4400万円
となり2.5%減少しました。
一方、営業利益は、
1554億7300万円 → 1803億7000万円
となり16.0%増です。
営業利益率は、
約7.7% → 約9.2%
へ約1.5ポイント改善しました。
減収増益です。
今回の積水ハウスを見るうえでは、売上高よりも利益率改善の大きさを重視したいです。
売上総利益率も21.8%へ改善
売上総利益は、
3984億5600万円 → 4287億9100万円
となり約7.6%増加しました。
売上高は減っていますが、粗利益は増えています。
売上総利益率を計算すると、
前年 約19.8%
今回 約21.8%
となり約2ポイント改善しました。
販管費は2429億8200万円から2484億2100万円へ増加しましたが、粗利益の増加で吸収しています。
売上規模を追うだけでなく、採算性の高い案件・事業へシフトできていることが今回の営業増益につながっています。
ストック型事業が13.3%増益
決算短信2ページのセグメント別表を見ると、ストック型事業は売上4727億8300万円で4.9%増、営業利益567億8100万円で13.3%増となっています。
営業利益率も、
11.1% → 12.0%
へ改善しました。
住宅を建てて終わりではなく、その後の管理・リフォームから継続的に収益を得るストック型ビジネスが成長しています。
積水ハウスの中長期的な安定性を考えるうえで非常に重要な部分です。
賃貸住宅管理は12.7%増益
賃貸住宅管理事業は売上3680億1600万円で2.9%増、営業利益417億4500万円で12.7%増となりました。
好立地を中心に展開する「シャーメゾン」で高い入居率と賃料水準を維持しています。
既存物件についても空室期間短縮やリテナント時のバリューアップを進めています。
売上の伸び以上に利益が伸びているため、管理事業の収益性が改善しています。
景気変動を受けやすい住宅販売とは異なり、管理収入は比較的安定しています。
積水ハウスの利益の下支えとして今後さらに重要になる事業だと見ます。
リフォームは12.8%増収・14.8%増益
リフォーム事業は売上1047億6600万円で12.8%増、営業利益150億3500万円で14.8%増です。
大型リノベーションや断熱改修、省エネ設備などの提案が伸びています。
受注高も17.9%増。
受注残高は前期末比20.7%増となっています。
新築住宅市場では住宅ローン金利や建設コスト上昇が逆風になります。
一方、すでに保有している住宅の性能・資産価値を高めるリフォーム需要には長期的な成長余地があります。
ここは今後も安定した成長分野になりそうです。
開発型事業の利益は2倍以上
今回最も利益を押し上げたのが開発型事業です。
売上高は、
2931億3000万円 → 3660億9000万円
となり24.9%増。
営業利益は、
279億6000万円 → 598億6500万円
となり114.1%増です。
営業利益率は、
9.5% → 16.4%
まで上昇しました。
今回の営業増益を考えるうえで非常に大きな要因です。
都市再開発は437.7%増益
特に都市再開発事業が急伸しています。
売上高は984億1600万円で176.2%増。
営業利益は、
50億8600万円 → 273億5200万円
となり437.7%増です。
積水ハウス・リート投資法人へ「プライムメゾン用賀砧公園」など6物件を売却したことが大きく寄与しました。
営業利益率も27.8%という高い水準です。
非常に強い数字ですが、物件売却の時期によって四半期ごとの利益が大きく動く事業でもあります。
そのため、437%増益をそのまま恒常的な成長率とは考えません。
マンションも83.8%増益
マンション事業は売上561億8400万円で2.3%減でした。
一方、営業利益は157億4200万円で83.8%増です。
営業利益率は、
14.9% → 28.0%
へ急上昇しました。
「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」や「グランドメゾン渋谷大山町」などの引渡しが計画通り進んだことが寄与しています。
売上は減っているのに利益が大きく伸びているため、物件ミックスの改善がかなり効いています。
請負型はやや弱い
一方、戸建住宅・賃貸住宅・建築土木を合わせた請負型事業は、
売上 2.3%減
営業利益 1.6%減
となりました。
大きく崩れてはいませんが、成長もしていません。
中でも戸建住宅は、
売上高 1.1%減
営業利益 5.2%減
です。
住宅ローン金利上昇、建設コスト上昇、インフレなどによって購入者マインドには弱さがあります。
ただし戸建住宅の受注高は0.8%増となっています。
売上・利益は弱くても、受注自体は前年を維持しています。
国際事業は最大の弱点
今回最も注意すべきなのが国際事業です。
売上高は、
6143億8100万円 → 4863億5300万円
となり20.8%減。
営業利益は、
152億3400万円 → 10億3600万円
となり93.2%減です。
営業利益率も、
2.5% → 0.2%
まで低下しました。
非常に弱いです。
米国戸建住宅では住宅ローン金利上昇、インフレ、経済の先行き不透明感によって顧客の様子見姿勢が続いています。
販売・引渡戸数減少に加え、販売促進のためのインセンティブも利益を圧迫しました。
今回の決算を★★★★★ではなく★★★★☆とした最大の理由です。
ただし国際事業の受注は20.3%増
一方で、決算短信3ページの受注表には興味深い数字があります。
国際事業の受注高は、
6608億1700万円 → 7946億6900万円
となり20.3%増です。
現在の売上・利益とは逆方向に動いています。
さらに国際事業の受注残高は、
前期末2950億9900万円 → 6034億1500万円
となりました。
前期末比104.5%増です。
受注残が約2倍になっています。
現在の業績は非常に弱いですが、将来売上につながる案件は大きく積み上がっています。
第3四半期には米国4物件の売上計上予定
米国賃貸住宅開発事業では、
「The Ayer」(シアトル)
「West」(サンディエゴ)
など4物件について売買契約を締結し、2026年7月に引渡しを完了しています。
会社はこれらについて第3四半期に計上予定としています。
そのため国際事業は、第2四半期までの数字だけで通期を判断しにくい面があります。
米国戸建住宅の回復には時間が必要ですが、賃貸住宅開発などから第3四半期以降に利益が乗ってくる可能性があります。
全社受注高は9.3%増
全社受注高は2兆3249億3000万円となりました。
前年同期の2兆1262億3300万円から9.3%増です。
請負型は3.8%減ですが、
ストック型 6.0%増
開発型 26.5%増
国際事業 20.3%増
となっています。
売上高は2.5%減っていますが、受注は9.3%増です。
現在の売上よりも先行指標の方が強くなっています。
全社受注残高は19.9%増
受注残高は2兆1637億400万円となりました。
前期末の1兆8044億1700万円から19.9%増です。
内訳では、
請負型 4.4%増
リフォーム 20.7%増
マンション 16.8%増
国際事業 104.5%増
となっています。
通期だけでなく来期以降を見るうえでも重要な数字です。
私は今回、営業利益16%増と並んで受注残高19.9%増をかなり高く評価します。
通期予想は「全面上方修正」ではない
今回、会社は通期業績予想を修正しました。
ただし内容には注意が必要です。
売上高は、
4兆3530億円 → 4兆2600億円
へ930億円下方修正しました。
営業利益は、
3500億円 → 3500億円
で据え置きです。
経常利益は、
3140億円 → 3160億円
へ20億円上方修正。
純利益は、
2180億円 → 2240億円
へ60億円上方修正しました。
つまり、
売上は下方修正
営業利益は据え置き
経常利益・純利益は上方修正
です。
利益率重視の経営が進んでいる一方、売上面では米国を中心に会社想定を下回っています。
通期営業利益への進捗は51.5%
修正後通期予想に対する進捗率は、
売上高 約46.1%
営業利益 約51.5%
経常利益 約53.5%
純利益 約55.8%
です。
6カ月経過時点ですので、利益面はいずれも50%を上回っています。
純利益は55.8%まで進んでいます。
下期には米国賃貸住宅開発物件の売却計上も予定されています。
現時点では通期利益計画に対して順調だと判断します。
通期では純利益3.5%減予想
ただし修正後の通期予想でも、
売上高 1.5%増
営業利益 2.5%増
経常利益 3.6%減
純利益 3.5%減
となっています。
上期の純利益は23.1%増なのに対して、通期は減益計画です。
そのため会社は下期をかなり慎重に見ていると考えられます。
米国住宅市場や金利、為替、開発物件の売却タイミングなどの不確実性が大きいため、私は上期23%増益をそのまま年間へ延長して考えません。
販売用不動産が増加
財務面では販売用不動産の増加に注目します。
分譲建物は、
1兆935億7400万円 → 1兆1496億6700万円
分譲土地は、
1兆5077億8100万円 → 1兆6289億400万円
へ増加しています。
販売用不動産の積み上がりによって総資産は約1087億円増加しました。
開発案件や将来販売する住宅を確保しているという意味では成長投資です。
一方、住宅・不動産市況が悪化した場合には在庫負担にもなります。
今後も売却スピードと利益率を確認したいです。
自己資本比率は44.0%へ改善
自己資本比率は、
42.7% → 44.0%
へ改善しました。
純資産は2兆1882億3700万円から2兆3029億9200万円へ増加しています。
一方、負債総額はわずかに減少しました。
販売用不動産を積み増しながら自己資本比率が改善しているため、財務バランスは悪化していません。
年間配当は145円
2027年1月期の年間配当予想は145円です。
前期144円から1円増配となります。
中間72円、期末73円です。
大幅増配ではありません。
今回の利益成長を考えると株主還元面ではもう一段欲しいところですが、連続的な増配姿勢自体は維持しています。
キャッシュ・フローは今回の短信では確認できない
今回アップロードされた中間決算短信には、中間連結キャッシュ・フロー計算書の記載がありません。
そのため営業CFやフリーCFを今回の資料だけから評価することはできません。
販売用不動産が増えているため、今後のキャッシュ創出力については本決算で確認したいです。
私ならどう売買するか
私は現在の保有を維持する判断です。
今回評価しているのは、
営業利益16.0%増
営業利益率7.7%→9.2%
売上総利益率19.8%→21.8%
ストック型13.3%増益
開発型114.1%増益
全社受注9.3%増
全社受注残19.9%増
国際事業受注残104.5%増
自己資本比率44.0%へ改善
です。
一方で、
売上高2.5%減
国際事業93.2%減益
戸建住宅5.2%減益
通期売上予想を930億円下方修正
都市再開発利益には物件売却タイミングの影響が大きい
という点は注意します。
それでも国内事業の利益率改善と受注の強さを考えれば、現時点で売却する内容ではありません。
今回の私の結論
今回の積水ハウスの第2四半期決算は、売上だけを見ると弱いものの、利益・受注まで含めるとかなり良い決算です。
売上高は2.5%減少しましたが、営業利益は16.0%増、純利益は23.1%増となりました。
営業利益率も約7.7%から9.2%へ改善しています。
特にストック型事業が13.3%増益、開発型事業が114.1%増益となり、国内事業の高収益化が全社利益を押し上げました。
一方、国際事業は20.8%減収、93.2%減益と非常に弱いです。
ただし国際事業の受注高は20.3%増、受注残高は前期末比104.5%増となっています。
全社でも受注高9.3%増、受注残高19.9%増です。
今回の業績予想修正では売上を下方修正しましたが、営業利益3500億円は据え置き、純利益は2240億円へ上方修正しました。
そのため今回の総合評価は★★★★☆とします。
私は保有を継続し、米国事業の回復が見え始める前の株価調整局面では追加買いを検討します。
キャピタルゲインという視点では、
国内のストック・開発事業で高い利益率を維持しながら、現在ほぼ利益が消えている米国事業を回復させ、受注残高19.9%増を実際の売上・利益成長へ変えられるか。
ここが次の焦点です。
コメント