テスホールディングス(5074)2026年6月期決算を分析|大幅増益の後に来期減益予想、今後の業績と売買判断

今回の決算は、今期実績は非常に強い一方、来期は減益予想という少し評価の分かれる内容です。なので、前回のセックのように素直な★★★★★ではなく、「今期は良い、来期は慎重に見る」が適切だと思います。

目次

今回の決算を5段階で評価

まず、今回の決算を私なりに5段階で評価してみました。

評価項目星評価私の見方
売上成長★★★★★+39.6%。かなり強い
今期利益成長★★★★★営業利益+109%、純利益は約10倍
エンジニアリング★★★★★売上+32.8%、利益+254%
エネルギーサプライ★★★★☆売上+45.4%、利益+39.8%
蓄電池・再エネテーマ★★★★★系統用蓄電池やPPAなど中長期テーマは強い
来期業績予想★★☆☆☆売上+25%に対して営業利益▲11.8%
キャッシュフロー★★★☆☆営業CFは黒字だが現金残高は減少
財務健全性★★★☆☆自己資本比率31.6%。借入負担は軽くない
株主還元★★★★☆9.54円→9.60円へ増配予想
総合評価★★★★☆今期は非常に良い。ただし来期減益をどう見るかが重要

総合評価:★★★★☆(4.1 / 5)

今回を一言で表すなら、

「今期決算はかなり良い。ただ、株価が見るのは来期なので手放しでは喜べない」

という評価です。

現時点での売買判断

保有:★★★★☆ → 基本は継続保有

新規買い:★★★☆☆ → 来期減益を織り込んだ株価なら検討

売却:★★☆☆☆ → 今すぐ全部売る内容ではないが、上昇時の一部利確はあり


テスホールディングス(5074)が2026年8月14日に2026年6月期本決算を発表しました。

今回の数字だけを見れば、かなり派手です。

売上高は約40%増。

営業利益は2倍以上。

前年赤字だった経常利益は黒字化。

純利益は約10倍です。

これだけを見ると、

「文句なしの好決算」

と言いたくなります。

ただし、株式投資では終わった期の数字より、これからの数字のほうが重要です。

そこで2027年6月期予想を見ると、

売上+25%なのに営業利益は▲11.8%。

ここが今回の決算を少し難しくしています。

まず2026年6月期はかなり強い

2026年6月期の実績は次の通りです。

2026年6月期前年比
売上高512.17億円+39.6%
営業利益53.26億円+109.0%
経常利益38.34億円前年▲6.41億円から黒字転換
純利益21.23億円+936.6%

これは相当強いです。

特に私は、

売上+39.6%に対して営業利益+109%

という点を評価しています。

売上が増えただけでなく、利益率まで大きく改善しています。

営業利益率も、

7.0% → 10.4%

まで上がりました。

かなり良い伸び方です。

営業利益が2倍になった理由

損益計算書を見ると、

売上高は、

366.84億円 → 512.17億円

売上総利益は、

74.53億円 → 104.17億円

へ増加しています。

一方、販管費は、

49.05億円 → 50.91億円

です。

つまり売上総利益が約30億円増えたのに、販管費は2億円弱しか増えていません。

その結果、

営業利益25.48億円 → 53.26億円

となりました。

これはかなり効率の良い増益です。

規模拡大による利益レバレッジがしっかり出ています。

エンジニアリング事業が一気に改善

今回特に強かったのがエンジニアリング事業です。

売上高は、

221.97億円
前年同期比+32.8%

セグメント利益は、

12.74億円
+254.0%

となりました。

利益が3倍以上です。

背景には、再生可能エネルギー設備、とりわけ蓄電システム案件の増加があります。

さらに開発型では、

静岡菊川蓄電所

や、

東京センチュリーが組成する合同会社の系統用蓄電所EPC

などが順調に進みました。

私はテスHDを見るうえで、今後は太陽光だけではなく、

蓄電池関連企業としての側面

をかなり意識したほうがよいと思います。

エネルギーサプライも好調

エネルギーサプライ事業も強いです。

売上高は、

290.19億円
+45.4%

セグメント利益は、

34.20億円
+39.8%

でした。

この事業には、

再エネ発電所の所有・売電、

オンサイトPPA、

O&M、

電力小売、

バイオマス燃料供給、

などが含まれています。

2026年6月末時点の保有・出資発電所は合計140件、発電容量412.7MWまで増えています。

特にオンサイトPPAは、

51件・57.8MW → 60件・70.0MW

まで増加しました。

ここはストック型収益として重要です。

EPCは案件ごとの売上変動がありますが、発電所を持って売電したり、PPA契約で電力を供給したりする事業は継続収益になります。

この2つを持っているのがテスHDの面白いところです。

経常利益の大幅改善には特殊要因もある

ただし、経常利益の改善については少し注意が必要です。

前年は、

デリバティブ評価損18.28億円

がありました。

今回はこれが、

1.66億円

まで減っています。

さらに持分法投資損失も、

4.44億円 → 0.38億円

まで縮小しました。

したがって、

経常利益▲6.41億円 → +38.34億円

という大改善のすべてが本業の成長によるものではありません。

前年にかなり大きな営業外損失があった反動もあります。

だから私は、

純利益+936%より営業利益+109%

を重視しています。

それでも営業利益が2倍になっているので、決算そのものが良いという評価は変わりません。

そして最大の問題が来期予想

ここからが今回一番大事です。

2027年6月期の会社予想は、

2027年6月期予想前年比
売上高640億円+25.0%
営業利益47億円▲11.8%
経常利益29億円▲24.4%
純利益18億円▲15.2%

です。

ここだけ見ると、

増収減益

です。

しかも売上は25%増えるのに、営業利益は約12%減ります。

これが今回の決算で最大のマイナス材料です。

なぜ売上が伸びるのに利益が減るのか

会社は2027年6月期に、

事業拡大に伴う人員増加、

採用関連費、

EFBなどを原料としたバイオマス燃料向けペレットの研究開発費、

などの増加を見込んでいます。

つまり、

将来成長のために先に費用を使う

という部分があります。

これは必ずしも悪い減益ではありません。

売上まで落ちる減益予想ならかなり心配ですが、

売上は+25%

を計画しています。

私は今回の減益予想について、

「成長停止による減益」より「次の成長投資による減益」

に近いと見ています。

ただし投資した以上は、2028年6月期以降に利益として返ってくる必要があります。

来期予想は保守的な部分もある

もう一つ気になるのが、会社の予想前提です。

エネルギーサプライ事業について、2027年6月期中に新しく運転開始する予定の再エネ発電所や、

新規契約獲得による売電収入を業績予想に織り込んでいません。

既に運転中の発電所やPPA案件を中心に予想を作っています。

さらに京都府内の再エネ関連用地開発案件も、許認可に時間がかかる見込みとして、

2027年6月期予想には含めていません。

このあたりを見ると、会社予想には多少保守的な部分があります。

新規案件が順調に取れれば、上振れ余地は残っていると思います。

蓄電池テーマはかなり面白い

私はテスHDについて、

今後一番注目するのは蓄電池

です。

再エネが増えるほど、

「太陽光で発電しました」

だけでは電力系統を安定させられません。

発電量が多い時間に電気をためて、必要な時間に放電する蓄電システムの重要性が高まります。

今回も蓄電システムEPC案件が増えています。

さらに2027年6月期についても、会社は受注済み・受注見込みの系統用蓄電所EPCを売上に見込んでいます。

テスHDは、

再エネ発電
+蓄電池
+省エネ設備
+PPA
+電力小売

まで扱っています。

この組み合わせは中長期ではかなり面白いと思っています。

配当も少し増える

2026年6月期の年間配当は、

9.54円

でした。

2027年6月期は、

9.60円

を予定しています。

大幅増配ではありませんが、来期減益予想でも増配を維持しています。

2026年6月期の配当性向は31.7%。

来期予想では37.7%です。

無理に高配当化している感じでもありません。

成長投資と配当のバランスを取っているように見えます。

財務は少し注意したい

ここはセックなどとかなり違います。

自己資本比率は、

28.1% → 31.6%

へ改善しています。

ただし31.6%なので、ものすごく財務が強い会社ではありません。

総負債は約1,125億円あります。

中でも、

短期借入金 約177億円、

1年内返済予定長期借入金 約69億円、

長期借入金 約621億円、

があります。

再エネ発電所を自社保有するビジネスなので、ある程度借入金が大きくなるのは当然です。

とはいえ、

金利上昇はテスHDにとって無視できないリスク

です。

実際、今期の支払利息は、

12.33億円 → 16.61億円

へ増えています。

今後もここは見ておきたいです。

営業キャッシュフローは黒字だが現金は減少

営業キャッシュフローは、

+50.99億円

です。

本業からしっかり現金を生んでいます。

一方で投資CFは、

▲73.11億円

です。

設備投資を積極的に行っているためです。

結果として期末現金は、

164.31億円 → 128.25億円

へ減少しました。

これは直ちに悪いとは思いません。

成長企業なので投資に現金を使うのは当然です。

ただ、

営業CF < 投資CF

の状態が長期間続き、借入金まで増えていくようなら注意が必要です。

借金は少しずつ返している

一方で財務CFを見ると、

長期借入金の返済は、

105.04億円

です。

新規長期借入は59.86億円なので、長期借入金については返済のほうが大きくなっています。

短期借入金は増えていますが、

長期債務を減らそうとしている

点は評価できます。

財務については、

「危険」

とまでは思いませんが、

★★★★★を付けられる状態でもない

というのが私の判断です。

では、株はどうするか

今回の決算を見て私が保有していたなら、

基本は継続保有

です。

2026年6月期だけならかなり強いです。

特に、

営業利益+109%

は簡単に無視できません。

さらに蓄電池・再エネ・PPAという今後期待できるテーマを持っています。

そのため、来期減益予想だけで全部売る必要はないと思います。

ただしセックほど強気では持たない

前回のセックとは少し違います。

セックは1Q業績も強く、通期も増益予想でした。

テスHDは、

今期がピーク利益になる可能性

を会社予想上は示しています。

そのため私は、

★★★★★の強気保有ではなく★★★★☆の保有

です。

今後、

2027年6月期の営業利益47億円が上方修正されるのか、

それとも本当に減益になるのか、

を確認したいと思います。

新規買いは株価次第

新規買いについては、

決算だけを見て飛びつくほどではない

です。

理由は単純で、来期減益予想だからです。

株価が2026年6月期の大幅増益だけを見て急騰しているなら、私は追いません。

逆に、

来期減益を嫌気して株価が大きく下がる

のであれば興味が出てきます。

なぜなら会社は売上については+25%成長を計画しており、事業そのものが縮小するわけではないからです。

私は、

「減益だから売られた」より、「減益の理由が何なのか」

を見て買い場を判断します。

今回の場合は成長投資の側面が大きいので、過度に売られるなら買いを考えます。

一部利益確定も悪くない

すでに大きく含み益がある場合は、

決算後に大きく上昇したところで一部利益確定

も悪くないと思います。

理由は、会社自身が来期減益を予想しているからです。

全部売る必要はありません。

例えば一部だけ利益を確定して、残りは蓄電池や再エネの中長期成長を見る。

そして来期1Q、2Qで業績が会社予想を上回ってくるなら買い戻す。

このくらいの柔軟な持ち方が合う銘柄だと思います。

私が次に見る数字

次の決算で私が見るのは、

営業利益

だけではありません。

特に見たいのは、

蓄電池EPC案件の増加

新規PPA案件の獲得

営業キャッシュフロー

借入金と支払利息

です。

ここが非常に重要です。

売上が増えても借入金と利払いが急増してしまえば、株主に残る利益は増えません。

反対に、

売上成長
+蓄電池案件増加
+借入金抑制

が同時に進むなら、かなり評価を上げたいと思います。

私が売却を考える条件

私が今後売却を考えるのは、

蓄電池案件の拡大が止まる

エネルギーサプライ事業の利益が大きく落ちる

来期営業利益47億円からさらに下方修正される

借入金と支払利息が増え続ける

という状態になった場合です。

特に、

売上は増えるのに利益が毎年落ちる

ようになれば話は変わります。

2027年6月期の減益が、

次の成長のための一時的な減益なのか

それとも、

利益成長のピークアウトなのか。

ここを今後判断したいと思っています。

今回の私の結論

テスホールディングスの2026年6月期決算は、

今期だけならかなり良い決算

でした。

売上+39.6%。

営業利益+109%。

経常黒字転換。

純利益+936.6%。

エンジニアリング事業もエネルギーサプライ事業も増収増益です。

だから今回の決算自体を悪いとは全く思いません。

ただし2027年6月期は、

売上+25.0%
営業利益▲11.8%
経常利益▲24.4%
純利益▲15.2%

を予想しています。

ここを無視して★★★★★を付けることもできません。

そのため総合評価は、

★★★★☆(4.1 / 5)

です。

現時点での私の方針は、

保有分 → 継続保有

新規買い → 来期減益を織り込んで下がるなら検討

大きく上昇した場合 → 一部利益確定も検討

全売却 → 現時点では考えない

です。

今回のテスHDで重要なのは、

2026年6月期に利益が倍になったことではありません。

これから見るべきなのは、

2027年6月期の減益が「成長投資による一時的な踊り場」で終わるのか。

私はそこだと思っています。

蓄電池、PPA、再エネ、電力需給調整。

成長テーマ自体はかなりあります。

だからこそ次の1年は、

売上成長を本当に次の利益成長へつなげられるか

を確認する期間になりそうです。

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