今回はかなり評価しやすい決算です。売上高+41.0%、営業利益+39.0%、純利益+31.1%で、数字だけなら明確に良い決算です。
ただし、売上総利益率の低下と第三者割当による株式数増加は、株主として見落としたくないポイントです。
今回の決算を5段階で評価
まず、今回の決算を私なりに5段階で評価してみました。
| 評価項目 | 星評価 | 私の見方 |
|---|---|---|
| 売上成長 | ★★★★★ | +41.0%。成長株として十分強い |
| 利益成長 | ★★★★☆ | 営業利益+39.0%、純利益+31.1% |
| AIプロダクト | ★★★★★ | 売上+50.6%。エクサベースAIの導入拡大が目立つ |
| AIソリューション | ★★★★★ | 売上+31.1%、営業利益+44.6% |
| 利益率 | ★★★☆☆ | 売上原価が+89.2%。粗利率低下は要確認 |
| 通期業績への期待 | ★★★★★ | 売上+30.0%、営業利益+44.3%予想を据え置き |
| 財務健全性 | ★★★★★ | 自己資本比率70.1%まで上昇 |
| 株主希薄化 | ★★☆☆☆ | 第三者割当による新株発行は株主目線では注意 |
| 総合評価 | ★★★★☆ | かなり良い1Q。ただし手放しで★★★★★ではない |
総合評価:★★★★☆(4.3 / 5)
今回を一言で表すなら、
「売上だけでなく利益も伸びた、素直に良い決算。ただし粗利率と株式希薄化は確認しておきたい」
という評価です。
現時点での売買判断
保有:★★★★★ → 基本は継続保有
新規買い:★★★★☆ → 買い候補。ただし決算後の急騰は追わない
売却:★☆☆☆☆ → 今回の決算を理由に売る必要性はかなり低い
エクサウィザーズ(4259)が2026年8月12日に2027年3月期第1四半期決算を発表しました。
今回の決算は、前回見たFFRIセキュリティとはかなり違います。
FFRIは売上がほぼ横ばいで営業減益だったため、「悪い1Qだが成長シナリオは崩れていない」という判断でした。
エクサウィザーズについては、もっと素直に評価できます。
売上+41.0%、営業利益+39.0%。
成長株の1Qとして、私はかなり良かったと思います。
売上+41%、営業利益+39%
まず全体の数字です。
| 2027年3月期1Q | 前年同期比 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 34.48億円 | +41.0% |
| 営業利益 | 2.00億円 | +39.0% |
| 経常利益 | 1.68億円 | +21.3% |
| 純利益 | 0.87億円 | +31.1% |
私がまず評価したいのは、
売上だけではなく営業利益もほぼ同じペースで伸びている
ことです。
AI関連銘柄の場合、「売上は伸びているけれど利益が出ない」という会社も珍しくありません。
エクサウィザーズは今回、
売上+41.0%
営業利益+39.0%
です。
成長投資をしながら黒字を確保して、さらに前年同期から利益を伸ばしている。
ここはかなり評価できます。
AIプロダクト事業が+50.6%
さらに中身を見ると、私が一番注目したのはAIプロダクト事業です。
売上高は15.85億円。
前年同期比で、
+50.6%
となりました。
営業利益も5.18億円で+9.1%です。
「エクサベース AI」の導入社数は2026年6月時点で1,626社まで増加しています。
代理店経由の販売が拡大し、地方の中堅・中小企業への導入も加速。さらに官公庁・自治体でも導入が進み、都道府県庁では過半を大きく上回るシェアを獲得したとしています。
ここはかなり面白いと思います。
生成AIというと、どうしても「将来何かできそう」という期待だけで株価が上がる会社もあります。
しかしエクサウィザーズの場合、
実際に企業や自治体への導入社数が増えて、それが売上に反映され始めている
という段階に来ています。
私はここを今回の決算で一番評価しています。
AIプロダクトの利益が+9.1%なのは少し気になる
ただし、気になるところもあります。
AIプロダクト事業は、
売上+50.6%
なのに対して、
営業利益+9.1%
です。
売上の伸びほど利益が伸びていません。
売上総利益率も71.9%となっています。
会社全体でも同じ傾向があります。
売上原価は前年同期比+89.2%。
売上総利益は+18.7%にとどまり、売上総利益率は57.6%となりました。
会社は、人件費、システム利用料、減価償却費などの増加を理由として挙げています。
つまり今回、
売上の伸びは非常に強いものの、原価もかなり増えている
わけです。
ここが今回★★★★★にしなかった一番大きな理由です。
AIソリューションは利益の伸びが強い
一方、AIソリューションサービス事業はかなり良いです。
売上高は19.09億円で、
+31.1%。
営業利益は4.50億円で、
+44.6%。
こちらは売上より利益のほうが速く伸びています。
大企業を中心としたAI・DX支援需要が拡大しており、最近では組織や開発プロセスそのものをAI前提で再設計する「AI駆動開発」の案件も増えています。
さらに前年度に実施した案件精査や人員配置の最適化による営業生産性向上の効果も続いていると会社は説明しています。
これは私がかなり好きな伸び方です。
単純に人を増やして売上を増やすだけではなく、
生産性を改善しながら利益率を上げる
方向に進んでいるからです。
AIプロダクトの利益率低下を、こちらがある程度補っています。
2つの事業が両方伸びているのが大きい
エクサウィザーズには大きく、
AIプロダクト事業
と
AIソリューションサービス事業
があります。
今回、
AIプロダクト売上 +50.6%
AIソリューション売上 +31.1%
です。
片方だけではなく、両方伸びています。
セグメント利益についても、AIプロダクト5.18億円、AIソリューション4.50億円と、どちらも黒字です。
これはかなり重要だと思います。
「生成AIブームに乗った一商品だけが伸びている」という会社ではありません。
プロダクトと企業向けソリューションの両方から成長できる形になっています。
AX人材育成も底打ちした可能性
もう一つ地味ですが気になったのがAX人材育成です。
会社によると、企業のAI活用本格化によって人材育成需要が高まり、
売上高は前第3四半期を底に回復基調へ転じた
としています。
会社自身も「成長軌道への回帰」と表現しています。
以前のDX人材育成から、現在はAX(AI Transformation)人材育成へ軸足を移しています。
AIを導入する会社が増えれば、
「AIツールを買う」
だけではなく、
「AIを使える社員を育てる」
需要も増えます。
エクサベースAIと人材育成をセットで展開できるのであれば、ここも今後面白くなりそうです。
医療AIはまだ利益ではなく将来材料
さらに連結子会社ExaMDでは、
会話音声認知症AI診断支援アプリ
の治験が計画通り進んでいます。
会社は「将来の収益貢献に向けた開発マイルストーンを着実に達成」と説明しています。
ここについて私は、現時点の企業価値に大きく織り込んで考える必要はないと思っています。
まだ将来材料です。
ただし、現在伸びている生成AI事業とは別に、
医療AIという第二、第三の成長材料を持っている
ことは覚えておきたいところです。
通期予想もかなり強い
そして今回重要なのが通期予想です。
会社は2027年3月期について、
| 通期予想 | 前期比 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 156億円 | +30.0% |
| 営業利益 | 23億円 | +44.3% |
を予想しています。
今回の1Q発表でも、この予想を変更していません。
売上+30%に対して、
営業利益+44.3%。
これが達成できればかなり強いです。
特に私は今後、
売上成長から利益成長へ移れるか
を見たいと思っています。
1Qでは売上+41%、営業利益+39%なので、スタートとしては悪くありません。
ただし1Q営業利益の進捗率はまだ低い
ここは注意が必要です。
1Q営業利益は2億円。
通期予想は23億円です。
単純計算すると進捗率は、
約8.7%
しかありません。
売上については34.48億円÷156億円なので、
約22.1%
です。
したがって、
売上はかなり順調だが、利益についてはこれから
という状況です。
もちろん事業の季節性があるため、単純に1Qで25%なければ悪いという話ではありません。
しかし通期営業利益+44.3%を達成するには、2Q以降かなり利益を積み上げる必要があります。
今回の決算が良かったからといって、通期23億円達成まで安心とは考えていません。
財務は一気に強くなった
貸借対照表を見ると自己資本比率は、
48.1% → 70.1%
まで上昇しています。
現金及び預金も、
39.79億円 → 91.94億円
まで増えました。
数字だけなら非常に強い財務です。
ただし、ここには理由があります。
株式会社三井住友フィナンシャルグループとの資本業務提携に伴う第三者割当です。
4月16日に払込が完了し、資本金と資本準備金がそれぞれ26.97億円増加しました。
つまり、
本業だけで現金が50億円増えたわけではありません。
ここは間違えて評価しないようにしたいところです。
三井住友FGとの提携はプラスだが、希薄化はマイナス
私はこの第三者割当を単純な悪材料とは思っていません。
三井住友FGとの資本業務提携ですから、AI関連事業を金融分野へ展開していくうえでメリットが出てくる可能性があります。
一方で、株主としては希薄化を無視できません。
発行済株式数は、
87,156,500株 → 97,005,500株
へ増加しています。
約985万株の増加です。
割合にすると約11%です。
企業価値が同じなら、一株当たりの取り分は薄くなります。
したがって私は、
三井住友FGとの提携効果が、この希薄化を上回る企業価値を生み出せるか
を見る必要があると思っています。
ここは今回の決算数字とは別ですが、株を買う立場なら非常に重要です。
初配当5円も予定
もう一つ変化があります。
2027年3月期は、
年間5円の配当
を予定しています。
前期は無配でした。
金額としてはまだ小さいので、配当目的で買う銘柄ではありません。
ただ、赤字のAIベンチャーという段階から、
利益を出しながら株主還元も始める会社
へ変化してきたことには意味があると思います。
成長投資を優先する会社なので、私は今の段階では配当額そのものより、この変化を評価します。
では、株はどうするか
ここから売買判断です。
今回の決算を見て私が保有していたなら、
売りません。
むしろ基本は継続保有です。
理由はシンプルです。
売上+41.0%
営業利益+39.0%
AIプロダクト+50.6%
AIソリューション+31.1%
これだけ成長している会社を、今回の決算を理由に売却する必要性は低いと思います。
特にAIプロダクトとAIソリューションの両方が30%以上伸びている点を評価します。
新規なら「買いたい決算」ではある
FFRIセキュリティについては、
「決算を見て新規で飛びつく内容ではない」
と判断しました。
エクサウィザーズは違います。
今回の内容なら、
新規買いを検討できる決算
だと思います。
ただし、
良い決算=どんな株価でも買う
ではありません。
決算後に株価が大きく上昇してしまえば、私は追いかけません。
AI関連銘柄は期待が先行するとPERなどの評価が急激に高くなるためです。
今回の決算で「買える会社」だとは思いますが、
「いくらでも買える会社」ではありません。
ここは分けて考えます。
次の決算で一番見るのは営業利益
次の2Qで私が最も確認したいのは売上ではありません。
営業利益です。
売上成長については今回かなり確認できました。
問題は通期23億円の営業利益を本当に達成できるかです。
1Qは2億円なので進捗率約8.7%。
2Q以降で利益が加速する必要があります。
さらに、
AIプロダクトの利益率が改善するか
も重要です。
売上+50%でも利益+9%という状態がずっと続くようなら、少し評価を下げます。
反対に売上30~40%成長を維持しながら利益率まで改善してくれば、かなり面白くなります。
私が売却を考える条件
今回の1Qで売却を考える材料はほとんどありません。
私なら今後、
エクサベースAIの導入増加が止まる
AIプロダクトの売上成長率が大きく鈍化する
売上は伸びても利益率が低下し続ける
通期営業利益23億円が下方修正される
といった状況になったときに売却を考えます。
特に重要なのは、
売上成長と利益成長の両立
です。
今回の1Qでは一応できています。
だから現時点では売る理由はありません。
今回の私の結論
エクサウィザーズの2027年3月期第1四半期決算は、
かなり良い決算
だったと思います。
売上高+41.0%。
営業利益+39.0%。
経常利益+21.3%。
純利益+31.1%。
さらにAIプロダクト+50.6%、AIソリューション+31.1%と、主要2事業がそろって大きく伸びました。
そのため今回の総合評価は、
★★★★☆(4.3 / 5)
としました。
★★★★★にしなかった理由は、
売上原価の増加
AIプロダクトの利益成長の弱さ
通期営業利益に対する1Q進捗率
第三者割当による株式希薄化
です。
特に売上原価が前年同期比89.2%増えていることは、次の決算でも確認します。
それでも現時点ではマイナス材料よりプラス材料のほうが明らかに多いと判断しています。
私の売買方針をまとめると、
保有分 → 継続保有
新規買い → 買い候補。ただし決算後の急騰は追わない
売却 → 今回の決算を理由に売る必要はない
です。
エクサウィザーズは以前の「AIに期待して買う会社」から、
「AIが実際に売上と利益になっている会社」
へ少しずつ変わってきたように見えます。
次に確認したいのは、もう売上ではありません。
この高い売上成長を、どこまで利益に変えられるのか。
通期営業利益23億円に向けて2Q以降の利益が加速してくれば、今回の★★★★☆を★★★★★へ引き上げてもいいと思っています。
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