新東工業(6339)が2026年8月7日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。
売上高は398億1500万円で前年同期比3.9%減となりました。
一方、
営業利益 11億400万円、55.1%増
経常利益 13億9100万円、175.7%増
純利益 6億8100万円、265.3%増
となっています。
売上は減少しましたが、売上総利益率が大きく改善し、営業利益率も前年同期の約1.7%から2.8%へ上昇しました。
さらに受注高は462億3400万円で28.7%増となっています。
特に「表面づくり領域」は営業利益が約3.6倍、「環境技術領域」も59.7%増益となりました。
一方、
受注残高は8.4%減
素材+形づくり領域は53.0%減益
ハンドリング技術領域は95.2%減益
支援技術領域は赤字拡大
となっています。
私は今回を、売上はまだ本格回復していないものの、利益率改善と受注増加によって業績底打ちの可能性が見え始めた決算と評価します。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★☆☆☆ | 398.15億円、3.9%減 |
| 営業利益 | ★★★★★ | 11.04億円、55.1%増 |
| 営業利益率 | ★★★★★ | 約1.7%→2.8%へ改善 |
| 経常利益 | ★★★★★ | 13.91億円、175.7%増 |
| 純利益 | ★★★★★ | 6.81億円、265.3%増 |
| 売上総利益率 | ★★★★★ | 約27.8%→29.8%へ改善 |
| 受注高 | ★★★★★ | 462.34億円、28.7%増 |
| 受注残高 | ★★☆☆☆ | 557.97億円、8.4%減 |
| 表面づくり領域 | ★★★★★ | 1.8%増収、262.6%増益 |
| 素材+形づくり領域 | ★★☆☆☆ | 8.4%減収、53.0%減益 |
| 環境技術領域 | ★★★★★ | 12.3%増収、59.7%増益 |
| ハンドリング技術領域 | ★☆☆☆☆ | 48.2%減収、95.2%減益 |
| 支援技術領域 | ★★☆☆☆ | 15.2%減収、赤字拡大 |
| AI・半導体関連 | ★★★★★ | 電子業界向け需要が堅調 |
| 上期進捗 | ★★★☆☆ | 営業利益35.6%、純利益40.1% |
| 通期進捗 | ★★★☆☆ | 営業利益15.1%、純利益12.2% |
| 財務 | ★★★★☆ | 自己資本比率48.9%→49.5% |
| 株主還元 | ★★★★☆ | 年44円→48円へ増配予想 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★☆ | 受注増と利益率改善を評価 |
売買判断
保有 ★★★★☆
追加買い ★★★☆☆
売却 ★★☆☆☆
私は現在保有しているなら継続します。
営業利益55.1%増、受注高28.7%増という数字はかなり良いです。
特に売上総利益率が改善し、減収にもかかわらず営業利益が大幅に増えている点を評価します。
一方、通期営業利益7300百万円に対する第1四半期進捗率は約15%にとどまります。
受注残高も前年同期比8.4%減です。
そのため今回だけで積極的に買い上がるより、
第2四半期で受注増が実際の売上・利益へつながるか
を確認してから追加買いを考えたいです。
売上高は3.9%減
売上高は、
前年 414億2500万円
今回 398億1500万円
となり3.9%減少しました。
約16億1000万円の減収です。
新東工業の主要顧客である自動車業界では、EV・スマート化による構造変化が進む一方、世界経済の不透明感から設備投資に慎重な動きも残っています。
特に、
自動車
中国向け工作機械
EV・二次電池
関連には弱さが見られました。
したがって今回を「全面的な需要回復」と見るのはまだ早いです。
営業利益は55.1%増
一方、営業利益は、
7億1200万円 → 11億400万円
となりました。
55.1%増です。
売上が減っているにもかかわらず利益は大幅に増えています。
営業利益率は、
前年 約1.72%
今回 約2.77%
まで改善しました。
約1.05ポイントの上昇です。
私は今回、売上高よりこの利益率改善を高く評価します。
売上総利益率は約2ポイント改善
売上総利益は、
115億2800万円 → 118億6800万円
となりました。
売上は減っているにもかかわらず、粗利益額は増えています。
売上総利益率は、
前年 約27.8%
今回 約29.8%
へ約2ポイント上昇しました。
販管費も、
108億1500万円 → 107億6300万円
へわずかに減少しています。
つまり今回の営業増益は、
売上総利益率改善
と
販管費抑制
の両方によるものです。
かなり質の良い利益改善です。
受注高は28.7%増
今回、私が営業利益以上に注目しているのが受注です。
受注高は、
前年 359億2800万円
今回 462億3400万円
となりました。
前年同期比28.7%増です。
約103億円増えています。
現在の売上398億円に対し、受注は462億円です。
売上を上回る新規受注が入っています。
今後の売上につながる先行指標としてはかなり良い数字です。
ただし受注残高は8.4%減
一方、受注残高は、
前年 608億9800万円
今回 557億9700万円
となりました。
8.4%減です。
ここは注意が必要です。
受注高は増えているのに、受注残高は前年を下回っています。
つまり、
第1四半期の新規受注は強い
ものの、
過去から積み上がっている案件全体ではまだ前年を下回る
という状態です。
私は次回、
受注高の高成長が継続するか
受注残高が前年プラスへ戻るか
を確認したいです。
表面づくり領域は利益約3.6倍
最大事業の表面づくり領域は好調です。
売上高は、
230億3400万円 → 234億5400万円
となり1.8%増。
営業利益は、
2億7800万円 → 10億900万円
となりました。
262.6%増、約3.6倍です。
売上はほぼ横ばいなのに、利益が大きく増えています。
部品・消耗品販売が寄与しました。
さらに前年まで負担となっていたエラスティコス社ののれん償却費が解消したことも大きな増益要因です。
したがって、この262.6%増益をすべて本業の成長率として見るのは少し注意が必要です。
それでも利益水準そのものが大きく改善したことはプラスです。
表面づくり領域の受注も7.8%増
受注高は241億7100万円で7.8%増です。
造船業界が堅調だったほか、
AI
データセンター
電子業界
向け装置の販売が伸びました。
さらに納入済み装置向けの部品・消耗品も堅調です。
私はここをかなり評価します。
設備を1台販売して終わりではなく、
装置販売
↓
部品
↓
消耗品
という継続収益につなげられれば、利益の安定性が高まります。
AI・データセンター需要が追い風
会社は今回、AI関連需要によるデータセンター投資拡大によって半導体市場が堅調と説明しています。
新東工業はAI半導体そのものを製造する企業ではありません。
しかし電子・半導体業界で設備投資が増えれば、
装置
セラミック製品
部品
消耗品
などの需要が増えます。
つまり、
AI・データセンター投資の設備投資側から恩恵を受ける企業
として見ることができます。
この部分は今後のキャピタルゲイン材料になり得ます。
素材+形づくり領域は53%減益
一方、素材+形づくり領域は弱いです。
売上高は、
120億4900万円 → 110億3700万円
となり8.4%減。
営業利益は、
1億1100万円 → 5200万円
となり53.0%減少しました。
国内の大型鋳造プラント案件は順調ですが、海外の造型設備販売が低調でした。
さらにセラミック製品では、
売上不足
原価率悪化
が利益を圧迫しました。
現在の全社業績で最も改善余地の大きい事業の一つです。
ただし受注は76.3%増
素材+形づくり領域の受注高は139億2000万円となり、76.3%増です。
これはかなり強い数字です。
国内・海外とも造型設備の受注が増えています。
さらにセラミック製品でも半導体製造装置関連が増加しました。
現在の売上・利益は弱いですが、受注を見ると将来回復の可能性があります。
私はこの事業について、
現在の利益より受注の強さ
を重視します。
環境技術領域は59.7%増益
環境技術領域も好調です。
売上高は30億5900万円で12.3%増。
営業利益は5億1400万円で59.7%増となりました。
大型集塵機
排ガス浄化装置
水処理装置
が業績を牽引しています。
さらに受注高は43億7100万円で26.8%増。
受注残高も88億2700万円で13.8%増です。
売上・利益・受注・受注残のすべてが増えています。
今回の各事業の中で最もバランスの良い成長です。
環境投資は中長期の成長テーマ
製造業では、
環境規制
脱炭素
作業環境改善
省エネルギー
への投資が続いています。
大型集塵機や排ガス浄化設備、水処理設備はこうした需要を取り込む事業です。
自動車や鋳造設備の景気循環とは少し違う成長軸を持てる点も評価できます。
環境技術領域が全社に占める利益比率をさらに高められれば、業績の安定性も増します。
ハンドリング技術領域は48.2%減収
今回かなり弱かったのがハンドリング技術領域です。
売上高は、
25億7600万円 → 13億3400万円
となり48.2%減。
営業利益は、
3億800万円 → 1400万円
となりました。
95.2%減です。
ほぼ利益が消えました。
自動車業界や中国向け工作機械が低調だったことが大きく影響しています。
ただしハンドリングの受注は62.3%増
一方、受注高は23億9200万円で62.3%増です。
受注残高も35億6400万円で29.1%増となりました。
物流業界向けのリフト・コンベヤで、
トラックヤード
食品セットメーカー
冷蔵・冷凍倉庫
向け需要が増えています。
現在の売上は大幅減ですが、先行指標は改善しています。
ここも次回決算で反転の可能性があります。
支援技術領域は赤字拡大
支援技術領域は売上高11億1000万円で15.2%減。
営業損失は、
前年 ▲9800万円
今回 ▲2億4200万円
まで拡大しました。
EV市場の失速によって、
二次電池向けロールプレス
サーボシリンダ
が減少しました。
物量減少で原価率も悪化しています。
今回の決算で最も弱い事業です。
EV一本足からの転換が必要
支援技術領域はEV・二次電池市場の減速を強く受けています。
一方、受注高は12億8900万円で106.2%増です。
光通信市場向け測定装置などが増えました。
今後はEV向けだけに依存せず、
光通信
センサー
新しい産業分野
へ用途を広げられるかが重要になります。
受注増加が実際の売上と赤字縮小につながれば評価を上げられます。
経常利益175.7%増は少し割り引いて見る
経常利益は、
5億400万円 → 13億9100万円
となりました。
175.7%増です。
営業利益55.1%増よりかなり大きな伸びです。
理由の一つが為替です。
前年は、
為替差損2億7300万円
でした。
今回は、
為替差益8400万円
です。
前年差では約3億5700万円改善しています。
さらに持分法投資損失も減少しました。
そのため私は、
経常利益175.7%増より営業利益55.1%増
を本業評価の中心に置きます。
純利益265.3%増もそのまま見ない
親会社株主に帰属する純利益は、
1億8600万円 → 6億8100万円
となり265.3%増です。
ただし前年は四半期純利益4億2000万円に対して、非支配株主に帰属する利益が2億3300万円ありました。
今回は四半期純利益6億8400万円に対し、非支配株主利益はわずか200万円です。
つまり親会社株主帰属利益の265%増には、
非支配株主利益の大幅減少
も大きく影響しています。
私は純利益265%増をそのまま本業成長率とは考えません。
それでも営業利益55%増という数字自体が強いため、決算評価は高いです。
上期営業利益への進捗は35.6%
上期予想は、
売上高 800億円
営業利益 31億円
経常利益 25億円
純利益 17億円
です。
第1四半期の進捗率は、
売上高 約49.8%
営業利益 約35.6%
経常利益 約55.6%
純利益 約40.1%
です。
売上は約半分まで進んでいます。
一方、営業利益は35.6%です。
ここは少し気になります。
上期営業利益31億円を達成するには、第2四半期だけで約19億9600万円の営業利益が必要です。
第1四半期11億400万円の約1.8倍です。
したがって、第2四半期でかなり利益を伸ばす必要があります。
通期営業利益への進捗は15.1%
通期予想は、
売上高 1700億円
営業利益 73億円
経常利益 66億円
純利益 56億円
です。
前年比では、
売上高 3.5%増
営業利益 90.5%増
経常利益 96.1%増
を計画しています。
第1四半期の進捗率は、
売上高 約23.4%
営業利益 約15.1%
経常利益 約21.1%
純利益 約12.2%
です。
営業利益と純利益は25%ペースをかなり下回ります。
会社は業績予想を変更していません。
したがって下期に利益が大きく伸びる計画になっています。
私は今回の決算を高く評価しながらも、★★★★★ではなく★★★★☆にとどめる理由の一つがここです。
のれん償却減少も利益改善要因
第1四半期ののれん償却額は、
前年 4億9000万円
今回 2700万円
まで大きく減少しました。
約4億6300万円の減少です。
表面づくり領域ではエラスティコス社ののれん償却終了が大幅増益要因として挙げられています。
これはキャッシュ流出を伴わない費用が減ったという意味でプラスですが、需要成長によって生まれた増益ではありません。
そのため営業利益55.1%増についても、一定部分はこの効果を考慮して見る必要があります。
自己資本比率49.5%へ改善
自己資本比率は、
48.9% → 49.5%
へ改善しました。
純資産は1188億3000万円から1226億9900万円へ増加しています。
財務面に大きな不安はありません。
現金及び預金は381億4400万円あります。
一方、短期・長期借入金を合わせると約480億円です。
ネットキャッシュ企業ではありませんが、財務余力は十分あります。
投資有価証券が約60億円増加
投資有価証券は、
349億8300万円 → 409億3300万円
へ約59億5000万円増加しました。
その他有価証券評価差額金も、
138億9000万円 → 178億5000万円
へ増えています。
その結果、第1四半期の包括利益は51億5800万円となり、前年の▲13億7700万円から大幅に改善しました。
ただしこれは本業利益とは別に考えます。
株価等の変動によって今後も純資産が動く可能性があります。
仕掛品は増加
仕掛品は、
68億9600万円 → 82億6500万円
へ約13億6900万円増加しました。
一方、
製品 約2億7700万円減
原材料・貯蔵品 約2億8700万円増
です。
大型設備案件では製作期間が長いため、仕掛品増加だけで過剰在庫とは判断できません。
受注高も28.7%増えています。
今後、これらが売上へ転換されていくかを確認します。
キャッシュ・フロー計算書は未作成
今回、第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていません。
そのため営業CFやフリーCFについては評価できません。
減価償却費は14億7900万円です。
設備産業向けの大型装置事業を持つ会社ですので、利益だけでなくキャッシュ回収の状況については中間決算で確認したいです。
年間配当48円へ増配
2027年3月期の年間配当予想は48円です。
中間24円、期末24円です。
前期は年間44円でした。
したがって、
44円 → 48円
へ4円増配、約9.1%増です。
会社は通期営業利益90.5%増を計画していますので、利益回復に合わせて配当も増やしています。
安定配当という意味でもプラスです。
私ならどう売買するか
私は今回の決算なら保有を継続します。
評価しているのは、
営業利益55.1%増
営業利益率1.7%→2.8%
売上総利益率27.8%→29.8%
受注高28.7%増
表面づくり領域262.6%増益
環境技術領域59.7%増益
素材+形づくり受注76.3%増
ハンドリング受注62.3%増
AI・半導体関連需要
です。
一方、注意するのは、
売上高3.9%減
受注残高8.4%減
素材+形づくり53.0%減益
ハンドリング95.2%減益
支援技術領域の赤字拡大
上期営業利益進捗35.6%
通期営業利益進捗15.1%
のれん償却減少による利益押し上げ
です。
今回だけで全面的な業績回復と判断するには、まだ確認したい点があります。
今回の私の結論
今回の新東工業の第1四半期決算は、売上より利益と受注に改善が見えた好決算です。
売上高は3.9%減少しました。
しかし営業利益は55.1%増となり、営業利益率は約1.7%から2.8%へ改善しています。
さらに受注高は28.7%増です。
表面づくり領域では部品・消耗品販売やのれん償却終了によって利益が約3.6倍。
環境技術領域も59.7%増益となりました。
また現在は減益となっている素材+形づくり領域でも受注が76.3%増、ハンドリング技術領域も受注62.3%増となっています。
先行指標には回復の兆しがあります。
一方、受注残高は8.4%減。
EV関連を含む支援技術領域は赤字が拡大しています。
さらに通期営業利益への進捗率は15.1%です。
今回の営業増益にはのれん償却負担の大幅減少も寄与しています。
そのため今回の総合評価は★★★★☆とします。
私は保有を継続しますが、追加買いは第2四半期で受注増が実際の売上・営業利益へ転換していることを確認してからでも遅くないと考えます。
キャピタルゲインという視点では、
AI・半導体、環境、物流分野の受注増を売上へ変え、自動車・EV関連の弱さを補いながら、現在2.8%まで回復した営業利益率を4%台へ戻せるか。
ここが次の焦点です。
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