マルマエ(6264)が2026年7月3日に発表した2026年8月期第3四半期決算を分析します。
売上高は140億2200万円で前年同期比92.9%増、営業利益26億4400万円で84.1%増、経常利益24億6000万円で85.7%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は24億3100万円で159.7%増となりました。
数字だけなら非常に強い決算です。
ただし今回は、2025年4月に子会社化したKMアルミニウムの機能材料事業が今期は9カ月分連結される一方、前年同期は2カ月分しか含まれていません。
さらに純利益には10億1300万円の補助金収入も入っています。
そのため私は、92.9%増収・159.7%最終増益という表面数字より、精密部品の半導体受注回復とKMACの現在の収益力を重視して見る決算と評価します。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★★★★ | 140.22億円、92.9%増。ただしKMAC連結期間差あり |
| 営業利益 | ★★★★★ | 26.44億円、84.1%増 |
| 営業利益率 | ★★★★☆ | 約19.8%→18.9%へ小幅低下 |
| 精密部品 | ★★★★☆ | 8.7%増収、1.6%増益 |
| 半導体製造装置 | ★★★★★ | 工場高稼働と装置市場回復で受注・売上が過去最高 |
| FPD | ★★★★☆ | OLED向けが急回復 |
| 機能材料 | ★★★★★ | 半導体部材・HDD・コンデンサ材料が好調 |
| 通期予想 | ★★★★☆ | 営業利益41億円、98.3%増を据え置き |
| 進捗率 | ★★★☆☆ | 営業利益64.5%、4Qの利益加速が必要 |
| 特殊要因 | ★★☆☆☆ | 補助金10.13億円、減価償却方法変更の影響あり |
| CF | ★★★☆☆ | 第3四半期CF計算書は未作成 |
| 財務 | ★★★★☆ | 自己資本比率31.5%→44.7%へ改善 |
| 株主還元 | ★★★★★ | 分割後換算で実質年間45円へ大幅増配 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★☆ | 半導体回復は強いが増資・4Q進捗に注意 |
売買判断
保有 ★★★★☆
追加買い ★★★☆☆
売却 ★☆☆☆☆
私はマルマエを保有継続します。
半導体製造装置市場では先端ロジックに加え、DRAM投資が急拡大し、NAND投資も動き始めています。精密部品では受注額・売上高が四半期過去最高を更新しており、事業環境そのものはかなり良いです。
一方、今回の大幅増益にはKMACの連結期間差や補助金収入もあります。さらに公募増資による株式希薄化もあるため、追加買いは強気一辺倒にはしません。
売上92.9%増をそのまま成長率とは見ない
全社売上は72億6900万円から140億2200万円へほぼ倍増しました。
ただし最大の理由はKMACです。
機能材料事業は売上76億6800万円で437.6%増となっていますが、前年は2025年4~5月の2カ月分しか連結されていません。
今期は9カ月分が入っているため、この437.6%増を通常の事業成長率として見ることはできません。
今回のマルマエを見る場合、全社92.9%増収よりも、既存の精密部品事業が8.7%増収し、半導体受注が過去最高まで回復したことの方が重要です。
精密部品は受注急回復。ただし利益はほぼ横ばい
精密部品事業は売上63億5300万円で8.7%増、セグメント利益14億3000万円で1.6%増でした。
半導体工場の高稼働と製造装置市場の回復によって、半導体分野の受注額・売上高は四半期として過去最高を更新しています。
FPDも中国を中心としたOLED設備投資の回復で売上が伸びています。
一方、利益の伸びは1.6%だけです。
人員増、報酬水準引き上げ、材料購入増加などがコストを押し上げています。
さらに今期から減価償却方法を定率法から定額法へ変更したことで、精密部品事業の利益は1億800万円押し上げられています。
この影響を単純に除くと精密部品利益は約13億2200万円となり、前年14億600万円を下回ります。
つまり、受注・売上は強いものの、既存事業の利益率改善はまだこれからと見ています。
KMACは新しい利益柱になりつつある
機能材料事業の売上は76億6800万円、セグメント利益12億3100万円でした。
IT器材では半導体メモリ向けターゲット材やCVD工程向け消耗品材料が好調です。
半導体装置部材では顧客の在庫調整が2月に終了し、その後受注が急拡大しています。
基礎素材でも電解コンデンサ、HDD、真空ポンプ向け需要が強く、複数市場から利益を取れる構造になっています。
一方、KMAC買収に伴うのれん償却1億4300万円と顧客関連資産償却1億4700万円、合計2億9100万円が利益を押し下げています。
単純計算では償却前のセグメント利益は約15億2200万円です。
KMACはすでにかなり大きな利益源になっています。
純利益159.7%増はかなり割り引く
今回の純利益は24億3100万円で159.7%増となりました。
しかし特別利益として補助金収入10億1300万円を計上しています。
税引前利益34億7300万円のうち約3割に相当する金額です。
したがって私は、
純利益159.7%増=本業利益が2.6倍
とは全く考えません。
本業を見るなら営業利益26億4400万円を重視します。
さらに営業利益にもKMACの連結期間差と減価償却方法変更の影響がありますので、今回は数字をかなり分解して見る必要があります。
通期営業利益41億円への進捗は64.5%
通期予想は、
売上高 200億円
営業利益 41億円
経常利益 39億円
純利益 33億円
です。
第3四半期までの進捗率は、
売上高 約70.1%
営業利益 約64.5%
経常利益 約63.1%
純利益 約73.7%
となっています。
純利益は補助金の影響が大きいため参考程度です。
重要なのは営業利益です。
通期41億円を達成するには第4四半期だけで約14億5600万円の営業利益が必要です。
第3四半期累計26億4400万円から考えると、最終四半期にはかなり強い利益水準が必要です。
一方、会社は6月11日に修正した通期予想を今回据え置いています。
半導体装置部材の受注急増や増産体制整備を考えると、会社側は第4四半期の利益加速を見込んでいると考えられます。
財務は改善したが増資による効果が大きい
自己資本比率は31.5%から44.7%へ大幅に改善しました。
現金及び預金も42億5200万円から108億5700万円まで増加しています。
ただし利益だけで増えたわけではありません。
5月に200万株の新株発行と70万株の自己株式処分を実施し、さらに6月22日には31万7200株の第三者割当増資を行っています。
新株発行だけでも従来の発行済株式数に対して約9%に相当します。
調達資金は精密部品・機能材料の設備投資と借入金返済に使う予定です。
成長投資としては合理的ですが、キャピタルゲインを狙う場合は利益成長が株式数増加を上回れるかを確認する必要があります。
CFは今回確認できない
第3四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていません。
したがって今回の資料から営業CFやFCFを判断することはできません。
現金は大幅に増えていますが、公募増資による資金流入も大きいため、これを営業キャッシュの改善とは見ません。
本決算では営業CFと設備投資額を確認したいです。
配当は実質大幅増配
2026年4月1日に1株を2株へ分割しています。
中間配当は分割前38円、期末予想は分割後26円です。
分割後換算では中間19円、期末26円となり、年間45円相当です。
前期40円を分割後換算すると20円相当ですので、実質的には大幅な増配です。
利益成長を株主還元へつなげている点は高く評価できます。
私ならどう売買するか
私はマルマエを保有継続します。
半導体製造装置市場ではDRAM投資が急拡大し、NANDも動き始め、精密部品の受注は過去最高です。
さらにKMACという新たな利益柱も加わりました。
一方、既存の精密部品利益は減価償却方法変更の効果を除けばまだ弱く、第4四半期には営業利益14億円超が必要です。
さらに増資による希薄化もあります。
そのため私は現在の保有分を維持し、追加買いは本決算で41億円の営業利益を達成できるかを確認しながら判断します。
次の決算で見るポイント
最重要は第4四半期の営業利益です。
通期41億円へ到達するには利益加速が必要です。
次に精密部品の受注過去最高が実際の売上・利益へつながるか、KMACの半導体装置部材の急増受注を増産で取り込めるかを見ます。
減価償却方法変更を除いた精密部品の利益率と、増資後の設備投資効果も重要です。
売却を考える条件
私が売却を考えるのは、半導体受注が高水準でも利益率が改善せず、通期営業利益41億円を下回る場合です。
また、KMACの増産投資やマルマエ本体の設備投資を進めても利益成長が株式希薄化を補えない、半導体装置市場の回復が失速する場合も評価を下げます。
今回の私の結論
今回のマルマエの第3四半期決算は、数字は非常に強いですが、表面上の増益率をそのまま評価してはいけない決算です。
売上高92.9%増、営業利益84.1%増、純利益159.7%増ですが、KMACの連結期間差と10億1300万円の補助金収入があります。
一方、半導体市場そのものは明確に回復しています。
精密部品では受注・売上が四半期過去最高となり、KMACでも半導体装置部材の受注が急増しています。
そのため今回の総合評価は★★★★☆です。
私は保有を継続しますが、追加買いは第4四半期の利益加速を確認しながら判断します。
キャピタルゲインという視点で重要なのは、今回の92.9%増収ではありません。
半導体投資回復を受注だけで終わらせず、増産によって利益率を高め、増資による株式希薄化を上回る一株利益成長を実現できるか。
ここが次の焦点です。
コメント