クスリのアオキホールディングス(3549)が2026年10月1日に発表した2027年5月期第1四半期決算を分析します。
売上高は1590億4200万円で前年同期比13.8%増、営業利益84億2400万円で16.0%増、経常利益85億6800万円で17.6%増、純利益68億6600万円で36.4%増となりました。
売上成長率を営業利益成長率が上回り、営業利益率も前年同期の約5.20%から5.30%へ小幅ながら改善しています。
商品別ではフードが15.3%増、生鮮が42.8%増、調剤が13.9%増と、「フード&ドラッグ」戦略が引き続き成長を牽引しました。
第1四半期にはドラッグストア21店舗、調剤薬局20局を新規開設し、グループ店舗数は1154店舗まで拡大しています。
私は今回を、食品・生鮮・調剤を軸に二桁増収を維持しながら営業利益も二桁成長した、かなり内容の良い決算と評価します。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★★★★ | 1590.42億円、13.8%増 |
| 営業利益 | ★★★★★ | 84.24億円、16.0%増 |
| 営業利益率 | ★★★★☆ | 約5.20%→5.30%へ改善 |
| 経常利益 | ★★★★★ | 85.68億円、17.6%増 |
| 純利益 | ★★★★★ | 68.66億円、36.4%増 |
| 売上総利益率 | ★★★★☆ | 約26.43%→26.49%へ小幅改善 |
| フード | ★★★★★ | 658.12億円、15.3%増 |
| 生鮮 | ★★★★★ | 225.74億円、42.8%増 |
| 調剤 | ★★★★★ | 159.31億円、13.9%増 |
| ヘルス | ★★☆☆☆ | 112.35億円、0.2%減 |
| 店舗展開 | ★★★★★ | ドラッグストア21店舗を新設 |
| 調剤網 | ★★★★★ | 20薬局新設、併設調剤710店舗 |
| 北信越 | ★★★★★ | 17.1%増収 |
| 四国 | ★★★★★ | 152.9%増収 |
| 上期進捗 | ★★★★★ | 営業利益54.3%、純利益64.8% |
| 通期進捗 | ★★★★☆ | 営業利益26.3%、純利益36.1% |
| 財務 | ★★★★☆ | 自己資本比率34.3%→35.7% |
| 株主還元 | ★★★★☆ | 年間64円予想 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★★ | 高成長継続と利益率改善を評価 |
売買判断
保有 ★★★★★
追加買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私は今回の決算なら保有継続を優先します。
売上高13.8%増に対して営業利益16.0%増となり、店舗拡大だけでなく利益も伸ばせています。
特にフード、生鮮、調剤の成長が強く、クスリのアオキが進める「フード&ドラッグ」が数字として機能しています。
上期営業利益計画に対する進捗率も54%を超えています。
追加買いも検討できる内容ですが、決算後に大きく上昇する場面を追うより、株価調整局面で増やしたいです。
売上高13.8%増
売上高は、
前年 1397億3500万円
今回 1590億4200万円
となりました。
約193億円の増収です。
ドラッグストア業界ではM&Aや出店競争による狭小商圏化が進んでいます。
その中でもクスリのアオキは二桁増収を続けています。
今回も、
大型店舗
食品強化
生鮮食品
調剤併設
積極出店
を組み合わせて売上規模を拡大しました。
単なるドラッグストアではなく、日常の食品までまとめて購入できる生活インフラ型店舗へ変化していることが成長の背景です。
営業利益は16.0%増
営業利益は、
72億6300万円 → 84億2400万円
となり16.0%増です。
営業利益率は、
前年 約5.20%
今回 約5.30%
へ改善しました。
改善幅自体は約0.1ポイントです。
それでも売上を13.8%伸ばしながら利益率も低下していない点は評価できます。
積極出店を行う小売企業では、新店費用や人件費が先行して利益率が下がることがあります。
今回は21店舗の新規出店を行いながら営業利益率も改善しました。
売上総利益率も小幅改善
売上総利益は、
369億3600万円 → 421億3200万円
となり約14.1%増えました。
売上総利益率は、
前年 約26.43%
今回 約26.49%
です。
わずかな改善ですが、物価高や価格競争が続く中で粗利益率を維持できています。
一方、販管費は、
296億7200万円 → 337億700万円
となり約13.6%増加しました。
売上13.8%増とほぼ同じ伸びです。
つまり今回の営業増益は、
売上拡大+粗利益率維持+販管費コントロール
の組み合わせによるものです。
生鮮が42.8%増
今回、最も目立つ成長分野が生鮮です。
生鮮売上高は、
158億300万円 → 225億7400万円
となりました。
前年同期比42.8%増です。
売上構成比も、
11.3% → 14.2%
まで上昇しました。
クスリのアオキは大型店舗の比率を高め、生鮮食品の取り扱いを拡大しています。
ドラッグストアでありながら、
青果
精肉
鮮魚
惣菜
まで揃えることで、食品スーパーと競争できる店舗へ変化しています。
私はこの生鮮42.8%増を今回かなり高く評価します。
フードは15.3%増
加工食品や日配、菓子、飲料などを含むフードは658億1200万円となり、15.3%増です。
売上構成比は41.4%まで上昇しました。
つまりクスリのアオキの売上の4割以上が生鮮を除く食品です。
さらに生鮮14.2%を加えると、
食品関連だけで売上の55%を超えます。
もはや売上構成だけを見ると、従来型ドラッグストアというより食品スーパーにかなり近づいています。
ここが他のドラッグストアとの差別化要因です。
食品で客数を増やし、医薬品・化粧品・調剤へつなげる
食品は一般的に医薬品や化粧品より粗利益率が低い傾向があります。
そのため食品比率が上がるだけでは必ずしも利益率改善にはつながりません。
クスリのアオキの戦略で重要なのは、
食品で来店頻度を高める
↓
医薬品・化粧品・日用品を一緒に購入してもらう
↓
調剤も利用してもらう
という流れです。
食品だけで稼ぐのではなく、食品を集客装置として店舗全体の売上を高められるかが重要です。
今回、食品比率が上がりながら営業利益率も改善しているため、現時点では戦略が機能していると見ます。
調剤は13.9%増
調剤売上高は、
139億8900万円 → 159億3100万円
となり13.9%増です。
売上構成比は10.0%で横ばいです。
第1四半期には調剤薬局を20局新設しました。
期末時点では、
ドラッグストア1123店舗
そのうち調剤薬局併設710店舗
調剤専門薬局6店舗
となっています。
ドラッグストア1123店舗のうち、約63%に調剤薬局を併設している計算です。
食品で日常的に来店してもらい、処方箋需要まで取り込める点は大きな強みです。
ヘルスは0.2%減
一方、医薬品・健康食品・医療用品などのヘルス部門は112億3500万円となり、前年同期比0.2%減でした。
今回の商品カテゴリーの中で弱かった部分です。
売上構成比も、
8.1% → 7.1%
へ低下しています。
ただし会社全体では食品・生鮮・調剤が伸びているため、業績への影響は吸収できています。
今後は食品比率が高まりすぎて、本来高収益が期待できる医薬品・化粧品の構成比が下がり続けないかは確認したいです。
ビューティは4.5%増
化粧品などのビューティ部門は175億7000万円で4.5%増。
ライフ部門も259億1700万円で4.6%増となりました。
食品ほど高成長ではありませんが、プラス成長を維持しています。
食品目的で来店する客に、化粧品・日用品をどれだけ追加購入してもらえるかが今後の利益率向上につながります。
第1四半期に21店舗を新設
今回の3カ月間だけでドラッグストアを21店舗出店しました。
内訳は、
北信越 9店舗
関東 1店舗
東海 5店舗
四国 6店舗
です。
一方で5店舗を閉店しました。
出店と閉店を同時に進めながら店舗網を拡大しています。
期末店舗数はドラッグストア1123店舗、スーパーマーケット25店舗などを合わせて1154店舗です。
かなり速いペースで店舗網を増やしています。
四国売上は2.5倍
地域別売上を見ると、最も大きく伸びたのが四国です。
四国売上は、
29億9300万円 → 75億7100万円
となりました。
前年同期比252.9%、約2.5倍です。
四国の店舗数は35店舗まで拡大しています。
まだ売上構成比は4.8%ですが、今後の成長地域として注目できます。
北信越という既存の強固な地盤だけでなく、新しい地域でドミナント化できるかが中長期の成長を左右します。
北信越も17.1%増
最大地域の北信越も好調です。
売上高は、
575億1500万円 → 673億7200万円
となり17.1%増です。
売上構成比は42.4%です。
既存地盤である北信越がまだ二桁成長していることは強いです。
通常、店舗密度が高くなるほど自社店舗同士の競合が起こりやすくなります。
それでも成長を維持できている点は、食品・生鮮・調剤の強化が効いている可能性があります。
東北は14.1%増
東北売上は130億9200万円となり14.1%増です。
店舗数は97店舗となっています。
今後100店舗を超えてくれば、物流効率や広告効率などドミナント展開のメリットもさらに出てきます。
北信越に続く重要地域として注目します。
関東と東海は伸びが小さい
一方、
関東 3.0%増
東海 4.4%増
にとどまりました。
関東は店舗数294店舗で、北信越に次ぐ大きな市場です。
競争も非常に激しい地域です。
クスリのアオキが今後さらに成長するためには、四国など新規地域だけでなく、関東の既存店舗を再び高成長へ戻せるかが重要になります。
上期営業利益への進捗は54.3%
上期予想は、
売上高 3180億円
営業利益 155億円
経常利益 149億円
純利益 106億円
です。
第1四半期の進捗率は、
売上高 約50.0%
営業利益 約54.3%
経常利益 約57.5%
純利益 約64.8%
です。
利益面は50%をかなり上回っています。
特に純利益は上期計画の約65%まで進んでいます。
会社は今回、「概ね計画どおり」として業績予想を変更していません。
現時点ではかなり順調なスタートと判断します。
通期営業利益への進捗26.3%
通期予想は、
売上高 6400億円
営業利益 320億円
経常利益 308億円
純利益 190億円
です。
前年比では、
売上高 12.9%増
営業利益 18.1%増
経常利益 11.1%増
純利益 10.9%増
を計画しています。
第1四半期の進捗率は、
売上高 約24.9%
営業利益 約26.3%
経常利益 約27.8%
純利益 約36.1%
です。
営業利益・経常利益とも25%を上回っており、通期計画に対しても順調です。
純利益36.4%増は少し割り引いて見る
純利益は68億6600万円となり36.4%増です。
非常に強い数字です。
ただし税引前利益は、
72億2900万円 → 85億7000万円
で約18.5%増です。
それに対して法人税等は、
21億9600万円 → 17億300万円
へ減少しました。
つまり純利益36.4%増は、本業利益の伸び以上に税負担の低下が寄与しています。
今回の資料には税負担が低下した詳しい理由は記載されていません。
そのため私は、
純利益36.4%増より営業利益16.0%増を本業評価の中心
に置きます。
それでも十分強い決算です。
借入金は約64億円減少
財務面では借入金が減っています。
1年以内返済予定の長期借入金は、
218億8800万円 → 216億7000万円
長期借入金は、
1199億100万円 → 1137億6400万円
となりました。
両者の合計では、
約1417億8900万円 → 約1354億3400万円
へ約63億5500万円減少しています。
出店を続けながら借入金を減らしていることは評価できます。
自己資本比率35.7%へ改善
自己資本比率は、
34.3% → 35.7%
へ1.4ポイント改善しました。
純資産は、
1410億3800万円 → 1450億4000万円
へ増加しています。
一方、負債は約84億8900万円減少しました。
小売業として極端に高い自己資本比率ではありませんが、財務は改善方向です。
積極出店を続けながら自己資本比率も改善している点はプラスです。
現預金は589億円を維持
現金及び預金は、
589億3100万円 → 589億8700万円
とほぼ横ばいです。
借入金を減らしながら現金水準も維持しています。
財務余力は十分あります。
今後も年間100店舗近いペースで店舗・調剤網を拡大する場合には大きな資金が必要ですが、現時点で資金面の不安は大きくありません。
在庫はわずかに減少
商品在庫は、
637億7800万円 → 635億8200万円
となり、わずかに減少しました。
一方、売上高は13.8%増です。
売上が二桁増えているのに在庫が増えていません。
これは今回かなり良い数字です。
小売業では売上以上に在庫が増えると、値下げ・廃棄による粗利益率悪化につながります。
今回はその逆です。
増収+在庫減少
となっており、在庫管理は良好と評価します。
設備投資は続いている
建物及び構築物は、
1524億700万円 → 1550億7000万円
へ増加しました。
機械装置・運搬具、リース資産、建設仮勘定も増えています。
新規出店を続けているため、設備投資は今後も必要です。
一方で売上・利益もそれ以上に拡大できれば、店舗投資を成長へ変えられます。
新店の出店数だけではなく、1店舗当たり売上・利益を維持できるかを今後確認します。
キャッシュ・フロー計算書は未作成
第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていません。
そのため営業CFやフリーCFは今回の資料から確認できません。
減価償却費は38億9000万円で、前年33億2700万円から増加しています。
のれん償却額も4億1400万円です。
キャッシュ創出力については中間決算で確認したいです。
年間配当は64円
2027年5月期の年間配当予想は64円です。
中間32円、期末32円となります。
前期は年間56円ですが、そのうち40円は設立40周年記念配当でした。
したがって前年の普通配当だけを見ると16円でした。
今期は記念配当がなくても年間64円を予定しています。
単純な「56円→64円」という比較以上に、普通配当水準を大きく引き上げています。
利益成長に合わせた株主還元強化として評価できます。
私ならどう売買するか
私は今回の決算なら保有を継続します。
評価しているのは、
売上高13.8%増
営業利益16.0%増
営業利益率5.20%→5.30%
フード15.3%増
生鮮42.8%増
調剤13.9%増
第1四半期だけで21店舗出店
四国売上約2.5倍
上期営業利益進捗54.3%
在庫減少
借入金約64億円減少
自己資本比率35.7%へ改善
です。
一方、
ヘルス0.2%減
関東3.0%増にとどまる
純利益36.4%増には税負担低下も寄与
食品比率上昇による将来の粗利益率への影響
は確認します。
現時点では成長ストーリーに大きな崩れはありません。
今回の私の結論
今回のクスリのアオキHDの第1四半期決算は、かなり強い好決算です。
売上高13.8%増、営業利益16.0%増、経常利益17.6%増となりました。
売上成長以上に営業利益が伸び、営業利益率も約5.3%へ改善しています。
特に生鮮42.8%増、フード15.3%増、調剤13.9%増となり、会社が進める「フード&ドラッグ」戦略が業績を牽引しています。
第1四半期だけで21店舗を出店しながら、在庫はむしろ減少しました。
上期営業利益への進捗率は54.3%、通期でも26.3%です。
財務面でも借入金を減らし、自己資本比率は35.7%へ改善しています。
一方、純利益36.4%増には税負担の低下も寄与しているため、私は本業を見るうえでは営業利益16.0%増を重視します。
そのため今回の総合評価は★★★★★とします。
私は保有を継続し、株価調整局面では追加買いを検討します。
キャピタルゲインという視点では、
食品・生鮮で来店頻度を高めながら、高収益な医薬品・化粧品・調剤へ購買を広げ、積極出店を続けても営業利益率5%台をさらに引き上げられるか。
ここが次の焦点です。
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