システム開発業界の今後を予想|生成AIで仕事は減る?これから伸びる有望株は?

目次

システム開発業界の今後はどうなる?

システム開発業界について、私は今後3~5年を「強気」と見ています。

ただし、これまでと同じシステム開発会社がそのまま伸び続けるとは考えていません。

生成AIによってプログラミング、テスト、仕様書作成などの一部は大幅に効率化されます。そのため「大量のエンジニアを投入し、作業時間に応じて売上を増やす」という従来型の人月ビジネスには逆風になる可能性があります。

一方、日本企業には古い基幹システムが大量に残っています。IPAもレガシーシステムの存在が生成AIなど新技術の導入を妨げていると指摘しており、2026年時点でもモダナイゼーションを促進するための新指標づくりが続いています。

さらに「DX動向2026」では、日本企業のAI導入は着実に広がっているものの、現状は業務効率化・迅速化が中心で、新しい価値創出や企業変革への利用はまだ限定的とされています。

つまり、日本企業のAI・DX投資は終盤ではなく、まだ初期から中盤にあると考えています。

生成AIでシステム開発会社は不要になるのか?

私は不要にはならないと考えています。

ただし、仕事内容は大きく変わります。

AIによって単純なコードを書く作業は減ります。しかし企業が本当に必要としているのはコードそのものではありません。

「古い基幹システムをどう刷新するか」
「クラウドへどう移行するか」
「AIを既存業務へどう組み込むか」
「顧客データをどう統合するか」
「セキュリティをどう確保するか」

といった部分です。

大企業の基幹システムは数十年間利用されることもあり、AIに「全部作り直して」と指示して簡単に置き換えられるものではありません。

むしろ生成AIによって新しいシステムを導入したくなるほど、古い基幹システムとの接続・刷新需要が増える可能性があります。

これから強いのは「人を増やさず利益を増やすSIer」

今後のシステム開発会社で私が最も重視するのは生産性です。

従来のSIerは、売上を10%増やすためにはエンジニアも10%増やす必要がありました。

しかし生成AIを使って設計、プログラミング、テストなどを効率化できれば、同じ人数でもより多くの案件を処理できます。

その結果、

売上高+5%
営業利益+10%

といった「利益が売上以上に伸びる会社」が出てきます。

こうした企業こそAI時代の勝ち組です。

逆に、AIを顧客へ販売しているだけで、自社の開発生産性が上がっていない会社には慎重です。

ストック型収益を持つ企業が有利

もう一つ重要なのが、システムを作った後の収益です。

受託開発だけの場合、大型案件が完成すると売上が途切れます。

しかし、

クラウド利用料
システム運用
保守
データセンター
セキュリティ
決済システム
共同利用型サービス

などを持っていれば、毎月・毎年収入が積み上がります。

私は今後のシステム開発株では、「開発力」以上に「開発した後も継続的に稼げるか」を重視したいと思います。

システム内製化はSIerにとってリスク

一方、注意すべき変化もあります。

日本企業でもシステム開発を自社で行う「内製化」が進んでいます。IPAも、DXに取り組んでいる企業ほど内製化を進める傾向を確認しています。

これはシステム開発会社にとって一部の仕事が減る要因になります。

ただし実際には、AI、クラウド、ERP、セキュリティなど高度な専門人材をすべて自社で揃えることは難しい企業も多くあります。

そのため今後は、

「全部作ってあげる会社」

から、

「顧客企業と一緒にシステムを作る会社」

へ変化していくと考えています。

コンサルティングや上流工程に強い企業ほど有利になります。

今後厳しくなりそうなシステム開発企業

システム開発業界全体を低迷予想とはしませんが、次のような企業には慎重です。

・下請け比率が高い
・単純なプログラミング作業が中心
・人を増やさなければ売上が増えない
・特定顧客への依存度が極端に高い
・ストック型収益が少ない
・AIによる生産性改善が進んでいない
・不採算プロジェクトが多い

生成AIによって最も大きな影響を受けるのは、付加価値の低い開発工程だと考えています。

逆に、コンサルティング、設計、基幹システム、金融・決済、クラウド、セキュリティなど顧客の重要システムを握っている企業は強くなるでしょう。

システム開発株を見るための投資判断軸

システム開発株では「成長性」「AI・DX恩恵」「収益性・ストック収益」「株価水準」「財務・株主還元」の5項目で評価します。

特に重視するのは「AIで売上が増えるか」だけではなく、「AIによって自社の利益率を高められるか」です。

有望銘柄① TISI(3626)

システム開発業界の第一候補はTISIです。

2026年7月1日にTISとインテックが合併し、現在の正式社名はTISI株式会社です。生成AIをはじめとする先端技術への投資や両社の人材・技術統合を進めています。

金融・決済、製造、流通、エネルギー、公共、医療など顧客業界が幅広く、特定分野だけに依存していないことを評価しています。

2027年3月期第1四半期は売上高1,501億円で前年同期比7.0%増、営業利益183億円で12.2%増となりました。営業利益率も11.6%から12.2%へ改善しています。

ここで注目したいのは、売上7%増に対して営業利益が12%増えている点です。

高付加価値案件や生産性改善によって、利益が売上以上に伸びています。

投資判断軸

成長性:★★★★★
AI・DX恩恵:★★★★★
収益性・ストック収益:★★★★★
株価水準:★★★★★
財務・株主還元:★★★★☆

総合投資判断:強気

2026年9月3日の終値は3,998円、予想PER15.0倍、PBR2.87倍、予想配当利回り2.25%、実績ROE13.96%です。

2027年3月期通期では営業利益6.3%増を計画しています。

AI・DXという成長市場にいながら予想PER15倍という株価水準は、今回の候補で最も魅力的だと考えています。

システム開発株を1銘柄だけ選ぶなら、現時点ではTISIを第一候補にします。

有望銘柄② 日鉄ソリューションズ(2327)

2位は日鉄ソリューションズです。

日本製鉄系のシステム開発会社ですが、現在は製造業だけでなく、金融、流通、通信など幅広い顧客を持っています。

製鉄所という非常に複雑で止めることのできないシステムを長年扱ってきた経験は、大企業の基幹システム刷新でも強みになります。

2027年3月期第1四半期は売上収益936億円で前年同期比13.3%増、営業利益92億円で8.8%増となりました。さらに会社は上期・通期の利益予想を上方修正しています。

投資判断軸

成長性:★★★★★
AI・DX恩恵:★★★★★
収益性・ストック収益:★★★★☆
株価水準:★★★☆☆
財務・株主還元:★★★★★

総合投資判断:やや強気~強気

2026年9月3日の終値は3,997円、予想PER22.6倍、PBR2.65倍、予想配当利回り2.18%です。自己資本比率は66.9%あります。

配当も2025年3月期74円、2026年3月期85円、2027年3月期予想87円と増えています。

TISIよりPERは高いものの、大企業向け基幹システムという参入障壁の高い市場を持っていることを評価して2位とします。

有望銘柄③ BIPROGY(8056)

3位はBIPROGYです。

旧日本ユニシスで、金融、流通、公共、エネルギーなど社会インフラに近い大型システムに強みがあります。

2026年には生成AIを利用したデータ分析支援や金融機関向けサービスなども拡充しています。

ただし直近決算には注意が必要です。

2027年3月期第1四半期は売上収益914億円で前年同期比5.6%減、営業利益68億円で20.4%減となりました。ハードウェア・ソフトウェア販売減少や先行費用が影響しています。

一方、会社は通期では売上収益4,700億円で8.4%増、営業利益484億円で13.6%増を計画しています。

つまり今期は「第1四半期が悪かったため低評価されるのか、それとも第2四半期以降に回復するのか」が投資判断のポイントです。

投資判断軸

成長性:★★★☆☆
AI・DX恩恵:★★★★☆
収益性・ストック収益:★★★★☆
株価水準:★★★★★
財務・株主還元:★★★★☆

総合投資判断:やや強気

2026年9月3日の終値は4,782円です。前日9月2日時点ではPER約14.2倍、PBR約2.6倍でした。

現在は「好業績を買う銘柄」ではなく「業績回復を先回りする銘柄」です。

第2四半期以降に通期計画どおり利益が回復することが確認できれば、PERの低さを理由に株価が再評価される可能性があります。

その意味でキャピタルゲイン候補として3位にしました。

有望銘柄④ 野村総合研究所(4307)

4位は野村総合研究所、NRIです。

企業としての質なら今回の4社で1位候補です。

コンサルティングからシステム開発、運用まで一貫して提供し、特に金融機関向けの共同利用型システムなど継続収益性の高い事業を持っています。

2027年3月期第1四半期は売上収益2,105億円で前年同期比7.5%増、営業利益417億円で12.0%増、純利益292億円で12.4%増となりました。金融ITソリューションやIT基盤サービスが成長を牽引しています。

NRIの強みは、単純な受託開発ではありません。

コンサルティングで顧客の経営課題に入り込み、その後システム開発、運用まで長期間関係を続けることができます。

AI時代になればなるほど「どのAIを使うか」以上に「企業のどこへAIを組み込むか」というコンサルティング能力が重要になるため、長期的な競争力は非常に高いと考えています。

投資判断軸

成長性:★★★★★
AI・DX恩恵:★★★★★
収益性・ストック収益:★★★★★
株価水準:★★☆☆☆
財務・株主還元:★★★★★

総合投資判断:やや強気

2026年9月3日の終値は5,169円、予想PERは約24.7倍、PBRは約7倍前後です。

企業としては非常に魅力的ですが、TISIやBIPROGYと比較すると株価評価はかなり高くなっています。

そのため「良い会社だから1位」ではなく、「今の株価からキャピタルゲインを狙う」という基準で4位としました。

大きく調整した場合には優先順位を上げたい銘柄です。

参考 SCSKは現在上場していない

システム開発会社としてSCSKを思い浮かべる人も多いと思います。

ただしSCSK株は2026年3月12日に上場廃止となっているため、現在は投資候補にはできません。

過去の銘柄情報を使ってシステム開発株を探す際には注意が必要です。

システム開発業界の有望銘柄ランキング

1位 TISI(3626)
金融・決済+産業IT+DX。営業利益が売上以上に伸び、PER15倍という株価水準を評価。

2位 日鉄ソリューションズ(2327)
大企業基幹システム+製造DX。業績上方修正と高い財務力が魅力。

3位 BIPROGY(8056)
金融・流通・公共システム+割安。第1四半期は悪いが、回復すれば評価余地あり。

4位 野村総合研究所(4307)
コンサル+金融IT+ストック収益。企業の質は最上位だが株価評価も高い。

今回特に注目しているのはTISIです。

システム開発市場そのものが成長しているだけでなく、売上高7%増に対して営業利益12%増と収益性も改善しています。

それでいてPER15倍程度なので、AI期待だけでPER30倍、40倍まで買われている銘柄より投資しやすいと考えています。

一方、企業として最も完成度が高いのはNRIです。NRIが大きく調整してPER20倍前後まで下がるような場面があれば順位を上げたいと思います。

まとめ

システム開発業界については、今後低迷する業界とは考えていません。

生成AIによってプログラムを書く作業そのものは効率化されます。

しかし日本企業にはレガシーシステム刷新、クラウド移行、AI導入、セキュリティ強化、データ統合など大量の課題が残されています。IPAの最新調査でもAI利用はまだ業務効率化中心で、本格的な企業変革まで進んでいる企業は限定的です。

そのため今後は、「エンジニアを大量に集める会社」より、「少ない人数でもAIを使って高付加価値なシステムを作れる会社」が強くなるでしょう。

私が重視したいのは、「基幹システムを握っている」「金融・製造・公共など重要業務に強い」「運用・クラウドなどストック収益がある」「コンサルティングや上流工程へ進める」「AIによって自社の生産性を改善できる」という企業です。

システム開発業界の将来性を5段階で評価するなら「5」

生成AIはシステム開発会社の仕事を奪うだけではありません。

むしろ優れた企業にとっては、「人を増やさなくても売上と利益を増やせるようになる技術」です。

これからは「AIに仕事を取られるシステム会社」と「AIを使って利益率を上げるシステム会社」の差が大きくなると考えています。

現時点では本命をTISI(3626)、大企業の基幹システム刷新需要を狙う対抗を日鉄ソリューションズ(2327)とします。

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