システナ(2317)が2026年7月30日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。今回の決算は、売上高237億9900万円で前年同期比5.5%増、営業利益38億3400万円で9.0%増、経常利益39億8400万円で6.3%増、親会社株主に帰属する四半期純利益26億6800万円で3.1%増となりました。売上・利益ともに増加しており、営業利益の伸びが売上高の伸びを上回る堅調な決算です。
今回特に注目したいのは、単純な増収増益だけではありません。営業利益率が前年同期より改善し、次世代モビリティ、デジタルインテグレーション、IT&DXサービスといった高付加価値領域の利益が伸びています。さらに会社が重視するEBITDA+Sは前年同期比14.2%増となり、営業利益の9.0%増を上回っています。
一方で、少し気になる数字もあります。受注高全体は前年同期比6.1%減となっており、特に次世代モビリティとプロジェクトマネジメントデザインの新規受注が減少しています。ただし受注残高全体は4.0%増えているため、現時点で直ちに業績悪化を示す数字ではありません。
キャピタルゲインを意識するなら、今回のシステナは「大幅な上方修正を期待させる爆発的決算」というより、利益率改善とAI・DX関連への事業転換が着実に進んでいることを評価したい決算です。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★★★☆ | 237.99億円、前年同期比5.5%増 |
| 営業利益 | ★★★★☆ | 38.34億円、9.0%増。売上以上の利益成長 |
| 利益率 | ★★★★★ | 営業利益率は約16.1%へ改善 |
| EBITDA+S | ★★★★★ | 41.31億円、14.2%増と強い |
| 主要事業 | ★★★★☆ | モビリティ、デジタルインテグレーション、IT&DXが好調 |
| 受注・受注残 | ★★★☆☆ | 受注高6.1%減だが受注残高4.0%増 |
| 通期予想 | ★★★★☆ | 営業利益3.9%増予想に対し1Qは9.0%増 |
| 進捗率 | ★★★★☆ | 営業利益約24.0%、経常利益約25.0% |
| 財務 | ★★★★★ | 自己資本比率67.8%、現預金も豊富 |
| CF | ★★★★★ | 営業CF18.83億円、投資CFもプラス |
| 株主還元 | ★★★★★ | 年間18円予想、前期14円から増配 |
| 成長性 | ★★★★☆ | AI・DX、高付加価値、ストック型への転換が進展 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★☆ | 業績・利益率改善は好材料。受注動向の確認が必要 |
売買判断
保有 ★★★★★
新規買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
今回の決算であれば、保有している場合は基本的に継続したい内容です。
売上高5.5%増に対して営業利益9.0%増となり、利益率も改善しています。財務も非常に強く、配当も年間14円から18円へ増配予定です。
新規買いも★★★★☆としました。
ただし決算後に株価が大きく上昇している場合には、急いで高値を追う必要はないと考えます。受注高が前年同期比で減少しているため、第2四半期で受注回復を確認できれば、さらに買いやすくなります。
売上高5.5%増、営業利益9.0%増
第1四半期の売上高は前年同期225億5300万円から237億9900万円へ増加しました。
売上総利益は59億5100万円から65億9800万円へ増加し、販売費及び一般管理費は24億3500万円から27億6400万円へ増加しています。
その結果、営業利益は35億1600万円から38億3400万円へ増加しました。
売上高の増加率が5.5%であるのに対して営業利益が9.0%増えているため、決算の方向性としては良好です。
売上を増やしただけでなく、利益効率も改善しています。
営業利益率は約15.6%から16.1%へ改善
営業利益率を単純計算すると、前年同期は約15.6%でした。
今期は約16.1%です。
約0.5ポイントの改善です。
一見すると小さな変化に見えますが、200億円を超える四半期売上高を持つ企業ですので、利益率改善が続けば利益への効果は大きくなります。
売上総利益率も前年同期約26.4%から今期約27.7%へ改善しています。
一方で販管費は増加しています。
この販管費増には、後で触れる株式報酬費用なども含まれています。
それでも営業利益率を改善できているため、今回の増益は質の悪いものではありません。
EBITDA+Sが14.2%増という点は重要
システナは今期からEBITDA+Sという指標を前面に出しています。
第1四半期のEBITDA+Sは41億3100万円で前年同期比14.2%増でした。
内訳は営業利益38億3400万円、減価償却費8700万円、株式報酬費用2億900万円です。
前年同期のEBITDA+Sは36億1700万円でした。
営業利益の伸びが9.0%なのに対し、EBITDA+Sは14.2%増です。
この差を生んでいる大きな要因が株式報酬費用です。
今期は2億900万円の株式報酬費用を負担しています。
つまり現在の営業利益は、株式報酬費用を計上したうえで9.0%増えています。
この点は今回の決算でかなり評価してよいと思います。
株式報酬費用2.09億円をどう見るか
今回、各セグメントに配分されていない調整費用として2億4700万円が計上されています。
そのうち2億900万円が有償ストック・オプションに係る株式報酬費用です。
会社は、中期的な業績拡大や企業価値向上へ向け、取締役や従業員の意欲を高める目的で導入したものと説明しています。
これは現金支出を伴う通常の人件費とは性格が異なるため、会社がEBITDA+Sで調整して業績を見る理由も理解できます。
一方、株主側から見ると株式報酬は完全に無視してよい費用でもありません。
したがって私は、
営業利益9.0%増を基本評価としつつ、株式報酬費用を吸収したうえで増益していることをプラス評価する
という見方が適切だと思います。
純利益3.1%増だけを見ると弱く見える
営業利益が9.0%増なのに対して、純利益は3.1%増です。
ここだけを見ると少し物足りなく感じます。
ただし損益計算書を確認すると、今期には特別利益や特別損失の計上はなく、経常利益39億8400万円がそのまま税金等調整前利益となっています。
つまり今回の純利益は、大型の資産売却益などによって作られたものではありません。
営業外では有価証券売却益1億6900万円がある一方、有価証券評価損5800万円、暗号資産評価損7100万円なども計上しています。
特殊要因によって最終利益だけが膨らんだ決算ではなく、本業利益が中心です。
一時利益を除いても本業は増益
営業外収益は2億9900万円、営業外費用は1億4900万円です。
営業外収益には有価証券売却益1億6900万円が含まれています。
一方、営業外費用には有価証券評価損5800万円、暗号資産評価損7100万円があります。
有価証券売却益だけを見れば利益押し上げ要因ですが、同時に評価損も出ています。
そして何より、本業を見る営業利益が9.0%増えています。
したがって今回の増益を「投資収益で作った決算」と見る必要はありません。
本業そのものが成長しています。
次世代モビリティ事業が非常に強い
次世代モビリティ事業の売上高は21億7600万円で前年同期比17.2%増、営業利益は8億7200万円で23.5%増となりました。
単純計算すると営業利益率は約40%です。
非常に高い利益率です。
前年同期も約38%でしたので、売上を伸ばしながら利益率まで改善しています。
会社は自動車業界で進むSDV化、車載コックピット、コネクテッド、HMI、IoT・5G関連などを成長分野として挙げています。
さらに国内メーカーだけではなく、北米市場での案件創出や、IDYの通信技術との組み合わせも進めています。
今回のシステナを見るうえで、AIだけでなくSDV関連は重要な成長材料です。
ただしモビリティの受注高減少には注意
好調な次世代モビリティですが、一つ注意すべき数字があります。
第1四半期の受注高は14億7600万円で前年同期比38.2%減、受注残高は33億8200万円で5.6%減となっています。
現在の売上・利益は非常に強いです。
しかし先行指標にあたる受注は弱くなっています。
これが単なる大型案件の受注タイミングによるものなのか、それとも需要鈍化なのかは今回の資料だけでは分かりません。
したがって第2四半期では、モビリティ事業について売上・利益だけでなく受注高も必ず確認したいです。
プロジェクトマネジメントデザインは減収減益
プロジェクトマネジメントデザイン事業の売上高は33億4000万円で前年同期比8.6%減、営業利益は7億7400万円で1.8%減となりました。
表面上は今回の弱いセグメントです。
ただし売上高が8.6%減っているのに対して営業利益は1.8%減にとどまっています。
単純計算した営業利益率は前年同期約21.6%から約23.2%へ改善しています。
つまり売上規模は縮小しましたが、低採算案件が減り、高付加価値案件へリソースを振り向けている可能性が数字に表れています。
会社もAI領域の上流工程、大規模システム開発、実行型PMOなど、利益率の高い領域へリソースを移していると説明しています。
したがって私は単純な「減収減益だから悪い」とは評価しません。
ただしPMデザインも受注が弱い
プロジェクトマネジメントデザインの受注高は31億7200万円で前年同期比23.3%減です。
受注残高は59億9400万円で前年同期比0.2%減と、ほぼ横ばいです。
モビリティほど受注残高は悪化していませんが、新規受注は弱いです。
会社が案件の選別や事業ポートフォリオの組み替えを進めているため、その影響も考えられます。
ただし第2四半期でも受注減少が続く場合は注意したいところです。
デジタルインテグレーションが今回かなり良い
デジタルインテグレーション事業は売上高32億3500万円で前年同期比25.4%増、営業利益7億8600万円で36.9%増となりました。
今回、最も評価したい事業の一つです。
営業利益率を単純計算すると約24.3%です。
前年同期は約22.2%でした。
売上高が25%増え、営業利益が37%増え、利益率まで改善しています。
金融機関の基幹システム刷新、行政デジタル化、SaaS、クラウド、テクニカルコンサルティングなど、高付加価値案件へのリソースシフトが数字につながっています。
さらに受注高は35億9700万円で26.5%増、受注残高は47億9200万円で13.6%増です。
現在の業績だけでなく先行指標も強いため、次の四半期以降にも期待しやすい事業です。
IT&DXサービスはストック型の安定成長
IT&DXサービス事業は売上高57億2700万円で5.5%増、営業利益7億9300万円で13.3%増となりました。
営業利益率は約13.8%です。
前年同期の約12.9%から改善しています。
この事業は運用・保守、BPO、伴走型PMO、セキュリティなど、継続収益につながるストック型ビジネスの中心です。
受注高も57億1600万円で1.1%増、受注残高79億4200万円で4.2%増となっています。
急成長ではありませんが、安定した利益基盤として非常に重要です。
システナが今後利益の変動を抑えながら成長するには、このストック型ビジネスの拡大が重要です。
ビジネスソリューションは特需後でも増益
ビジネスソリューション事業は売上高85億7900万円で1.5%増、営業利益7億3200万円で3.4%増となりました。
Windows 10関連特需は一巡していますが、それでも増収増益を確保しています。
会社はプロダクト物販中心から、クラウド、セキュリティ、ネットワーク、AI導入基盤などの高付加価値SIへシフトしています。
営業利益率も前年同期約8.4%から今期約8.5%へわずかに改善しています。
売上規模がシステナの中で最も大きい事業ですので、ここで利益率が少し上がるだけでも全社利益への影響は大きくなります。
DX&ストック型ビジネスは利益が約3倍
DX&ストック型ビジネス事業は売上高6億1300万円で1.4%減でした。
しかし営業利益は9300万円で前年同期比208.7%増となっています。
売上は減ったのに利益が約3倍です。
営業利益率も前年同期約4.8%から今期約15.2%まで大幅に改善しています。
主力のノーコードDXプラットフォーム「Canbus.」を中心とするサブスクリプション型収益や、導入後のカスタマイズ、伴走型支援が利益につながっているとみられます。
利益額はまだ全社から見れば小さいですが、今後システナの利益率を上げるうえで重要な事業です。
オンラインソリューションは新たな成長領域
オンラインソリューション事業は売上高2億5100万円で前年同期比617.5%増、営業利益3000万円で245.8%増となりました。
ただしこれは、シンクロジックが前第4四半期から連結子会社になったことなどの影響があるため、前年同期比の数字をそのまま成長率として見るべきではありません。
ゲーム開発で培った3D、UI/UX、ゲーミフィケーション技術をSDVなど他事業へ横展開しようとしている点は面白いです。
利益規模は小さいものの、今後のクロスドメイン戦略が機能するかを見る事業だと思います。
セグメント全体では利益率改善が目立つ
第1四半期のセグメント利益は、
次世代モビリティ8億7200万円、プロジェクトマネジメントデザイン7億7400万円、デジタルインテグレーション7億8600万円、IT&DXサービス7億9300万円、ビジネスソリューション7億3200万円、DX&ストック型9300万円、オンラインソリューション3000万円となっています。
そこから各セグメントに配分していない2億4700万円の費用を差し引き、連結営業利益38億3400万円となっています。
今回の特徴は、一つの事業だけが突出して利益を増やした決算ではないことです。
特にモビリティ、デジタルインテグレーション、IT&DXサービスがバランスよく利益を積み上げています。
これは事業ポートフォリオの安定性という意味ではプラスです。
全体の受注高は6.1%減だが、受注残は4.0%増
今回の決算で最も注意しておきたい数字の一つが受注です。
受注高合計は146億8800万円で前年同期比6.1%減となりました。
一方、受注残高は232億6200万円で4.0%増です。
受注高だけなら少し悪いです。
しかし受注残高は前年を上回っているため、現時点で売上が急減する兆候とまでは言えません。
中身を見ると、
デジタルインテグレーションは受注高26.5%増、受注残13.6%増、IT&DXサービスも受注高1.1%増、受注残4.2%増です。
一方、次世代モビリティとPMデザインの受注が大きく減っています。
次回決算ではこの二つが回復するかが重要です。
通期予想は据え置き
2027年3月期の通期予想は変更されていません。
売上高980億円で前期比3.8%増、EBITDA+S172億5000万円で9.0%増、営業利益159億6000万円で3.9%増、経常利益159億6000万円で1.1%減、親会社株主に帰属する当期純利益106億3000万円で6.0%減を見込んでいます。
ここは少し変わった予想です。
営業利益は増益予想ですが、経常利益と純利益は減益予想です。
つまり会社は今期、本業は成長する一方、営業外や税金などを含めた最終利益では前年を下回る計画を立てています。
その中で第1四半期は経常利益6.3%増、純利益3.1%増となっています。
現時点では通期会社予想より良いスタートです。
通期予想に対する進捗率
第1四半期時点の単純な進捗率は、
売上高が約24.3%、EBITDA+Sが約23.9%、営業利益が約24.0%、経常利益が約25.0%、純利益が約25.1%です。
ほぼきれいに25%前後です。
第1四半期としては順調です。
特に通期では経常減益・純利益減益予想にもかかわらず、第1四半期は前年同期比で増益となっています。
ただし進捗率が30%を超えるような大幅先行ではありません。
そのため現時点で上方修正期待を強く持つより、
「会社計画を着実にこなしている」
という評価が適切です。
営業利益率改善が続けば上振れ余地
通期営業利益予想は159億6000万円です。
第1四半期で38億3400万円を稼いでいます。
残り3四半期で必要な営業利益は約121億2600万円です。
単純平均すると1四半期当たり約40億4200万円です。
第1四半期38億3400万円を少し上回る利益が必要です。
したがって現段階では会社計画達成に大きな余裕があるわけではありません。
ただし、第1四半期で営業利益率が16.1%まで改善しているため、この利益率を維持しながら売上が伸びれば通期上振れの可能性はあります。
財務は非常に強い
第1四半期末の総資産は581億1300万円、純資産402億7600万円となっています。
自己資本比率は前期末64.9%から67.8%へ上昇しました。
負債総額は208億5800万円から178億3700万円へ約30億円減少しています。
会社は主に未払法人税等と賞与引当金の減少によるものと説明しています。
短期借入金は15億5000万円、1年内返済予定の長期借入金2200万円、長期借入金2300万円です。
借入金は非常に小さいです。
現預金265億円、実質的な財務余力は大きい
現金及び預金は265億8400万円あります。
さらに有価証券21億4500万円を保有しています。
一方、短期・長期の借入金は合計しても16億円程度です。
この財務は非常に強いです。
今後AI関連、データセンター、M&A、新規事業などへ投資する余力があります。
また景気悪化局面でも財務面の耐久力は高いと評価できます。
キャピタルゲインを狙う場合でも、この強い財務は下値リスクを抑える材料になります。
営業CFは41%増
今回のシステナは第1四半期からキャッシュ・フロー計算書を開示しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは18億8300万円のプラスとなり、前年同期の13億3200万円から約41%増加しました。
利益だけでなく実際のキャッシュ創出も改善しています。
売上債権の減少によって18億8900万円のキャッシュ流入があったことも寄与しています。
一方、法人税等の支払額は33億5400万円と大きくなっています。
それでも営業CFを18億円以上確保しており、悪くありません。
投資CFもプラス
投資活動によるキャッシュ・フローは2億3500万円のプラスです。
前年同期は5億3400万円のマイナスでした。
ただし内容を見ると、有価証券取得26億7300万円に対して有価証券売却29億5200万円があり、金融資産の売買による影響が大きいです。
したがって単純に「投資CFがプラスだから投資をしていない」という意味ではありません。
有形・無形固定資産の取得支出は1億3100万円です。
営業CFと投資CFを単純合計すると約21億1800万円のプラスですが、有価証券売買の影響を含む点には注意が必要です。
それでもキャッシュ創出力自体は良好です。
財務CFのマイナスは主に配当
財務活動によるキャッシュ・フローは28億500万円のマイナスでした。
この大部分は配当金28億3600万円の支払いです。
つまり借入返済などによって資金繰りが苦しくなったわけではなく、株主還元によるキャッシュアウトです。
それでも第1四半期末の現金及び現金同等物は291億3900万円あり、前年同期末201億2200万円から大幅に増えています。
財務とキャッシュの両面から見ても安定性は非常に高いです。
年間配当は14円から18円へ増配予想
2026年3月期の年間配当は14円でした。
2027年3月期は中間9円、期末9円の年間18円を予想しています。
4円増配です。
増配率で見ると約28.6%となります。
純利益については通期6.0%減予想ですが、それでも配当は増やす方針です。
システナはキャピタルゲインだけでなく、配当面でも保有しやすくなっています。
利益成長と増配が同時に続けば、中長期的な株価の下支えにもなります。
今回の決算で最も評価したいポイント
一つ目は営業利益率の改善です。
売上高5.5%増に対して営業利益9.0%増となり、営業利益率は約16.1%へ上昇しました。
二つ目は高利益率事業が伸びていることです。
次世代モビリティは営業利益23.5%増、デジタルインテグレーションは36.9%増、IT&DXサービスは13.3%増です。
三つ目はEBITDA+Sが14.2%増となっていることです。
株式報酬費用2億900万円を計上しながら営業利益を伸ばしている点は評価できます。
四つ目は財務です。
自己資本比率67.8%、現預金265億円に対して借入金は非常に少なく、かなり強固です。
五つ目は増配です。
年間14円から18円への増配は、利益成長が大きくなくても株主還元を積極化していることを示しています。
一方で気になるポイント
最も気になるのは受注高です。
全体の受注高は前年同期比6.1%減です。
特に次世代モビリティは38.2%減、プロジェクトマネジメントデザインは23.3%減となっています。
現在の利益が好調でも、受注減少が数四半期続けば、その後の売上へ影響する可能性があります。
二つ目は売上成長率です。
前年同期は14.2%増でしたが、今回は5.5%増まで鈍化しています。
利益率改善で営業利益は9.0%増となっていますが、キャピタルゲインを大きく狙うなら、再び二桁に近い売上成長が欲しいところです。
三つ目はプロジェクトマネジメントデザインの減収です。
利益率は改善していますが、売上規模そのものは縮小しています。
この事業が再成長へ戻るかを確認したいです。
キャピタルゲインという視点ではどう見るか
キャピタルゲイン目的で見ると、今回のシステナは悪くありません。
むしろ私は前向きに評価します。
理由は、売上高そのものより利益構造の変化です。
AI、SDV、DX、クラウド、セキュリティ、ストック型ビジネスなど、比較的高い利益率を確保しやすい領域へ経営資源を移しています。
その結果、営業利益率が改善しています。
システナが株式市場からさらに高い評価を受けるためには、
「人月型のシステム開発会社」
から、
「AI・DX・高付加価値コンサル・ストック収益を持つ高利益率IT企業」
へ評価が変わることが重要だと思います。
今回の決算は、その方向へ進んでいることを示しています。
ただし、現在の第1四半期売上成長率は5.5%です。
利益率だけでなく売上成長も再加速すれば、より強いキャピタルゲイン材料になります。
私ならどう売買するか
私がシステナを保有しているなら、今回の決算では売却しません。
営業利益9.0%増、EBITDA+S14.2%増、営業利益率改善、自己資本比率67.8%、年間18円への増配という内容で、売却を急ぐ理由はありません。
むしろ基本は保有継続です。
新規買いについても前向きです。
ただし決算後に株価が大きく上昇している場合は、一括で追いかけず分割で買います。
私なら最初に一部を買い、第2四半期で次世代モビリティとPMデザインの受注が回復していれば追加します。
さらにデジタルインテグレーションとIT&DXサービスの高成長が続いていれば、買い評価をもう一段引き上げます。
逆に受注減少が全セグメントへ広がるようなら、新規買いは一度止めます。
次の決算で見るポイント
最優先は受注高です。
今回146億8800万円で前年同期比6.1%減でした。
これが第2四半期で前年同期比プラスへ戻るかを確認します。
特に次世代モビリティとプロジェクトマネジメントデザインの受注回復が重要です。
二つ目はデジタルインテグレーション事業です。
現在売上25.4%増、営業利益36.9%増、受注高26.5%増、受注残13.6%増となっており、最も勢いがあります。
この成長が続くかを見ます。
三つ目は営業利益率です。
今回約16.1%でした。
16%台を維持するのか、さらに上昇するのかを確認します。
四つ目はEBITDA+Sです。
株式報酬費用を考慮したうえで、本来の事業キャッシュ創出力が伸びているかを見ます。
五つ目は売上成長率です。
5.5%から再び上向くかを確認します。
六つ目はストック型ビジネスです。
Canbus.やIT&DXサービスの継続収益が拡大すれば、利益の安定性がさらに高まります。
最後に通期営業利益159億6000万円に対する進捗です。
第2四半期で50%を明確に上回るようなら、上振れ期待が高まります。
売却を考える条件
私がシステナの売却を考えるのは、まず受注減少が継続し、受注残高まで前年割れへ転じた場合です。
特に高利益率の次世代モビリティやデジタルインテグレーションの受注残が大きく減少する場合は注意します。
二つ目は営業利益率の悪化です。
今回16.1%まで改善していますが、これが15%を大きく下回る状態へ戻り、高付加価値化が利益に結びつかなくなれば投資前提を見直します。
三つ目は売上成長の停滞です。
利益率改善だけで利益を伸ばすには限界があります。
売上成長率が数%程度へ低下し、その状態が長期化するようならキャピタルゲイン期待は下がります。
四つ目はデジタルインテグレーションやIT&DXサービスなど現在好調な事業まで減益に転じる場合です。
逆に受注が回復し、高利益率事業が成長し続けるなら、私は簡単には売却しません。
今回の私の結論
今回のシステナの第1四半期決算は、派手ではありませんが、質の良い増収増益決算です。
売上高は5.5%増、営業利益9.0%増、経常利益6.3%増、純利益3.1%増となりました。
売上成長率だけなら少し物足りません。
しかし営業利益率は約15.6%から16.1%へ改善しています。
さらに株式報酬費用2億900万円を含めても営業利益が増え、会社が重視するEBITDA+Sは14.2%増となりました。
事業別では、次世代モビリティ、デジタルインテグレーション、IT&DXサービスが強く、特にデジタルインテグレーションは売上25.4%増、営業利益36.9%増、受注高26.5%増と非常に良い内容です。
一方、全体の受注高は6.1%減となっています。
ここだけは次の決算で必ず確認したいポイントです。
ただし受注残高は4.0%増えているため、現時点で業績悪化を警戒して売るほどではありません。
財務も非常に強く、自己資本比率67.8%、現預金265億円を確保しています。
営業CFも前年同期から増加し、年間配当は14円から18円への増配予定です。
したがって私なら、
保有は継続。
新規買いも前向き。
ただし決算後の高値を追わず、押し目で分割買い。
第2四半期で受注回復を確認できれば追加買い。
という判断です。
今回の総合評価は★★★★☆です。
売上成長率と受注高に少し不安があるため★★★★★にはしませんが、利益率改善、高付加価値事業の成長、財務力、増配まで含めると十分に良い決算です。
キャピタルゲインを考えるなら、今後の最大のポイントはAIという言葉そのものではありません。
AI・SDV・DX・ストック型への事業転換によって、システナ全体の営業利益率をどこまで引き上げられるかです。
ここが継続して改善すれば、株価の評価も一段変わる可能性があると考えます。
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