携帯電話事業者の今後を予想|料金競争から金融・AI競争へ、有望株は?

目次

携帯電話事業者の今後はどうなる?

携帯電話事業者について、私は今後3~5年を「やや強気」と見ています。

日本ではすでにほとんどの人がスマートフォンを持っています。

そのため、

「新しく携帯電話を持つ人が増える」

という市場ではありません。

人口減少もあるため、通信契約数だけを増やして成長するのは難しくなっています。

しかし私は、携帯電話会社を成熟産業とは考えていません。

現在のKDDI、NTT、ソフトバンク、楽天グループは、すでに単なる通信会社ではないからです。

通信契約を入口として、

クレジットカード
銀行
証券
保険
コード決済
ポイント
電気
EC
動画
法人DX
クラウド
AI

まで顧客との関係を広げています。

今後の携帯電話会社を見るうえでは、

「何回線契約されているか」より、「1人の顧客から年間いくら利益を得られるか」

が重要になると考えています。

値下げ競争からARPU回復へ

数年前の携帯電話業界では、料金値下げ競争が最大のテーマでした。

ahamo
povo
LINEMO
楽天モバイル

など低価格プランが登場し、大手3社の通信収入は強い下押し圧力を受けました。

しかし現在は状況が変わりつつあります。

人件費
電気料金
基地局設備
通信設備
システム投資

などのコストが上昇しているため、通信会社側も料金や各種手数料を見直しています。

ソフトバンクでは2027年3月期第1四半期のモバイルARPUが前年同期比60円増加し、第2~第4四半期には前年同期比200円前後の増加を見込んでいます。

KDDIもモバイル通信収入の成長を主要な利益成長要因として挙げています。2027年3月期第1四半期は売上高5.1%増に対し、調整後営業利益は21.1%増となりました。

私は今後、

「通信料金を下げて顧客を奪う競争」から「付加価値を追加してARPUを上げる競争」

へ移っていくと考えています。

通信品質の差は以前より小さくなった

携帯電話会社にとって通信品質は当然重要です。

しかし都市部を中心に、NTTドコモ、au、ソフトバンクでは普通に利用する分には大きな違いを感じにくくなっています。

そのため今後は、

通信品質だけ

ではなく、

ポイント
クレジットカード
銀行
決済
EC
コンテンツ

まで含めた「経済圏」で顧客を囲い込む競争になります。

例えばKDDIなら、

au
UQ mobile
povo
au PAY
au PAYカード
auじぶん銀行
ローソン

などがあります。

NTTドコモなら、

dポイント
d払い
dカード
マネックス証券

があります。

ソフトバンクなら、

PayPay
PayPayカード
PayPay銀行
Yahoo! JAPAN
LINE

があります。

楽天なら、

楽天市場
楽天カード
楽天銀行
楽天証券
楽天ペイ
楽天ポイント

があります。

携帯電話は、その経済圏へ顧客を入れる入口になっています。

携帯電話会社が金融会社になる

私は今後の携帯電話事業者で、特に金融事業を重要視しています。

通信料金だけなら1人当たり月数千円です。

しかし顧客が、

クレジットカードを使う
住宅ローンを組む
株式を購入する
保険へ加入する
コード決済を使う

ようになれば、顧客1人から得られる利益は大きくなります。

そして携帯電話会社は何千万という顧客基盤をすでに持っています。

新しい金融会社がゼロから顧客を集めるより、はるかに有利です。

その意味では、これからの携帯電話株を見る際には、

通信契約数+金融利用者数

を見る必要があると思います。

AI・データセンターも新しい成長分野

もう一つ大きいのがAIです。

携帯電話会社は全国に通信ネットワークを持っています。

さらに、

データセンター
光ファイバー
クラウド
法人顧客

も持っています。

AIを企業へ導入するには、通信インフラとデータセンターが必要です。

そのため通信会社はAIインフラ企業にもなれます。

特にソフトバンクは法人向けクラウド・AI事業を成長分野と位置付けており、2025年度2,558億円だったクラウド・AI領域の売上高について、2027年度まで年平均30%程度の成長を見込んでいます。

NTTもIOWN、AI、データセンターなどへ巨額投資を進めています。

KDDIも新しい中期経営戦略で、通信をコアにAIを組み合わせた成長を目指しています。

つまり今後の携帯電話会社は、

通信インフラ企業+金融会社+AIインフラ企業

へ変わっていく可能性があります。

楽天モバイルが業界の最大の変数

携帯電話業界を考えるうえで外せないのが楽天モバイルです。

参入当初は巨額赤字が続き、

「楽天モバイルは本当に成立するのか」

という見方もありました。

しかし状況はかなり変わってきています。

2026年6月末の楽天モバイル全契約回線数は1,075万回線

前年同期から178万回線増えました。

ARPUも前年同期比60円増の2,921円です。

2026年第2四半期の楽天モバイル売上収益は1,013億円で11.9%増。

Non-GAAP営業損失は323億円でしたが、前年同期から67億円改善しています。

EBITDAも59億円のプラスです。

まだ営業黒字ではありません。

しかし以前のような「契約者を増やせば赤字も増える」という状態から、

契約者増加→ARPU上昇→赤字縮小

という方向へ変わり始めています。

もし楽天モバイルが営業黒字化まで到達すれば、楽天グループ全体の株式評価が大きく変わる可能性があります。

一方、国内通信市場そのものは高成長ではない

注意点もあります。

日本の人口は減少しています。

スマートフォン普及率もすでに高いため、契約者数が毎年10%、20%増える市場ではありません。

さらに大手4社で顧客を奪い合う構造です。

そのため携帯電話会社では、

通信契約数×通信料金

だけで大幅な利益成長を期待するのは難しいと思います。

成長するためには、

ARPU改善
金融
法人DX
クラウド
AI
データセンター
コンテンツ

などの非通信事業が必要です。

今後はここで企業間格差が広がると考えています。

携帯電話事業者株を見るための投資判断軸

今回は、

「成長性」
「通信基盤・顧客基盤」
「金融・AIなど非通信成長」
「株価水準」
「株主還元」

の5項目で評価します。

特にキャピタルゲインを考えるため、

安定している会社

ではなく、

現在利益が伸びていて、その成長が株価に織り込まれすぎていない会社

を上位にします。

有望銘柄① KDDI(9433)

今回の本命はKDDIです。

私は現在の携帯電話4社では、成長性と安定性のバランスが最も良いと考えています。

KDDIは、

au
UQ mobile
povo

という3ブランドを持っています。

さらに、

au PAY
au PAYカード
auじぶん銀行
ローソン
法人DX

まで事業を広げています。

特に重要なのが、通信収入が再び成長していることです。

2027年3月期第1四半期は、

売上高 1兆4,873億円 5.1%増
調整後営業利益 3,143億円 21.1%増
調整後純利益 1,934億円 21.6%増

となりました。

売上高5%増に対して営業利益21%増。

かなり良い内容です。

会社は2027年3月期通期で調整後営業利益1兆2,100億円を目指しています。

投資判断軸

成長性:★★★★★
通信基盤・顧客基盤:★★★★★
金融・AIなど非通信成長:★★★★★
株価水準:★★★★☆
株主還元:★★★★★

総合投資判断:強気

2026年9月4日の終値は2,981円

PER15倍台、PBR2倍台です。

年初来高値は3,121円なので、高値からは約4~5%しか下がっていません。

その意味では「大きな押し目」ではありません。

しかし第1四半期営業利益が21%増えていることを考えれば、PER15倍台はそれほど高くないと考えています。

さらに2027年3月期の年間配当は84円を予定。

25期連続増配となる見込みです。

通信の安定利益を持ちながら、

金融
ローソン
法人DX
AI

へ利益源を広げられるため、今回1位とします。

有望銘柄② 楽天グループ(4755)

2位は楽天グループです。

今回の4社で最もリスクが高い一方、最も大きな値幅が出る可能性がある銘柄だと考えています。

楽天グループの場合、投資判断の中心は楽天モバイルです。

2026年第2四半期には楽天グループ全体で、

売上収益 6,655億円 11.6%増
Non-GAAP営業利益 420億円 109.6%増
IFRS営業利益 200億円 126.9%増

となりました。

さらに親会社帰属四半期利益は77億円となり、6年ぶりに四半期黒字化しました。

楽天モバイルも、

契約回線数1,075万
ARPU2,921円
売上収益+11.9%
営業赤字67億円改善

と、方向性は明確に改善しています。

投資判断軸

成長性:★★★★★
通信基盤・顧客基盤:★★★★☆
金融・AIなど非通信成長:★★★★★
株価水準:★★★★☆
株主還元:★☆☆☆☆

総合投資判断:やや強気~強気

2026年9月4日の終値は754.4円

PBRは1.80倍

赤字会社予想のため通常のPERでは評価できません。年初来高値1,026円から約26%下の水準です。

楽天最大の問題は財務です。

モバイル事業への巨額投資によって有利子負債が増え、現在も配当より財務改善を優先しています。2026年12月期の配当予想も未定です。

したがって安定株ではありません。

しかし株価上昇余地という意味では、

モバイル営業黒字化

楽天グループ連結黒字定着

有利子負債削減

復配

という流れが実現すれば、評価が大きく変わります。

私は楽天を、

「携帯電話株」というより「モバイル赤字解消による企業価値再評価株」

として2位にします。

有望銘柄③ NTT(9432)

3位はNTTです。

NTTドコモは非上場なので、株式投資では親会社のNTTを選ぶことになります。

NTTは、

NTTドコモ
NTT DATA
法人通信
データセンター
IOWN
AI

などを持つ巨大通信グループです。

2026年度第1四半期は、

営業収益 3兆6,177億円 10.9%増
営業利益 4,251億円 4.9%増
当社帰属四半期利益 2,748億円 5.8%増

となりました。

KDDIほど利益成長率は高くありません。

一方、NTTには通信会社として圧倒的な資産があります。

全国光回線
携帯電話
法人ネットワーク
データセンター
NTT DATA

です。

さらにIOWNやAIへの投資も進めています。

通信だけでは大きく成長しなくても、AI時代のデータ通信量増加、データセンター需要、法人IT投資の恩恵を受けられる企業です。

投資判断軸

成長性:★★★★☆
通信基盤・顧客基盤:★★★★★
金融・AIなど非通信成長:★★★★★
株価水準:★★★★★
株主還元:★★★★★

総合投資判断:やや強気~強気

2026年9月4日の終値は172.6円

予想PER14.34倍、PBR1.43倍です。

2027年3月期年間配当は5.4円

16期連続増配を予定しています。

さらに2,000億円を上限とする自己株式取得も実施しています。

ただし株価は9月3日に176円の年初来高値を付けており、現在は高値圏です。

私はNTTを爆発的なキャピタルゲイン銘柄ではなく、

増配+自社株買い+AI・データセンターによる緩やかな再評価

を狙う銘柄と考えています。

有望銘柄④ ソフトバンク(9434)

4位はソフトバンクです。

ここで言うソフトバンクは、ソフトバンクグループ(9984)ではなく通信会社のソフトバンク(9434)です。

携帯電話だけでなく、

PayPay
LINE
Yahoo! JAPAN
PayPayカード
PayPay銀行
法人DX
クラウド
AI

などを持っています。

2027年3月期第1四半期は、

売上高 1兆8,147億円 9%増
営業利益 3,023億円 4%増
純利益 1,501億円 3%増

となりました。

一過性要因を除けば営業利益は9%増です。

特に注目したいのが法人事業です。

エンタープライズ事業は11%増収、28%増益。

クラウド・AI領域では2027年度まで年平均30%の売上成長を見込んでいます。

通信会社の中では、AI関連の成長ストーリーがかなり明確です。

投資判断軸

成長性:★★★★☆
通信基盤・顧客基盤:★★★★★
金融・AIなど非通信成長:★★★★★
株価水準:★★★☆☆
株主還元:★★★★★

総合投資判断:やや強気

2026年9月4日の終値は239.2円

PER約20倍、PBR約3.9倍です。

年間配当は8.8円を予定しており、現在株価に対する予想配当利回りは約3.7%です。

高配当株としては魅力があります。

ただし株価は9月2日に243円の年初来高値を付けたばかりです。

さらにPER20倍、PBR約4倍なので、

NTT
KDDI

より株価評価は高くなっています。

PayPayやAI事業の成長力は評価していますが、現在のキャピタルゲイン余地を考えて4位とします。

携帯電話事業者の有望銘柄ランキング

1位 KDDI(9433)
通信収入回復+金融+ローソン+法人DX。1Q調整後営業利益21.1%増に対してPER15倍台。

2位 楽天グループ(4755)
楽天モバイル1,075万回線+赤字縮小。リスクは高いが、営業黒字化した場合の株価再評価余地は4社最大。

3位 NTT(9432)
ドコモ+NTT DATA+IOWN+AI。PER14倍台、16期連続増配予定、自社株買いで安定した再評価を狙う。

4位 ソフトバンク(9434)
PayPay+LINE+法人AI。高配当は魅力だが、PER20倍・PBR約4倍かつ年初来高値圏。

今回、企業として最もバランスが良いと考えるのはKDDIです。

通信事業が回復しているだけでなく、

金融
ローソン
法人DX

という次の利益源があります。

しかも第1四半期の調整後営業利益が21%増えているのにPER15倍台です。

一方、最も大きな値幅を狙える可能性があるのは楽天グループです。

楽天モバイルがまだ営業赤字なので、KDDIとは投資の性質がまったく違います。

KDDIは、

利益成長を買う銘柄

楽天は、

赤字解消による企業評価の変化を買う銘柄

と考えています。

NTTはその中間ではなく、むしろ安定型です。

増配と自社株買いを受けながらAI・データセンター成長を待つ銘柄だと思います。

まとめ

携帯電話事業者の将来性を5段階で評価するなら「4」です。

通信市場そのものが高成長ではないため「5」にはしません。

日本の人口は減少し、すでにスマートフォンは広く普及しています。

しかし携帯電話会社は通信事業だけで成長する必要がなくなっています。

今後重要になるのは、

通信
+金融
+決済
+ポイント
+法人DX
+クラウド
+AI

です。

そして携帯電話会社には、他の企業が簡単に真似できない最大の資産があります。

それが数千万規模の顧客との継続的な接点です。

毎月通信料金を支払い、スマートフォンアプリを利用する顧客に、

カード
銀行
証券
保険
決済
EC
AIサービス

を追加できれば、顧客数が増えなくても1人当たり利益を増やせます。

私はこれからの携帯電話会社を「通信株」だけでなく、巨大な顧客基盤を持つ生活・金融・AIプラットフォーム企業として見たいと思います。

現時点でキャピタルゲインを狙う本命はKDDI(9433)

リスクを取って大きな変化を狙うなら楽天グループ(4755)

配当と安定性ならNTT(9432)

高配当+PayPay+法人AIを評価するならソフトバンク(9434)です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次