コメリ(8218)が2026年7月28日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。
営業収益は1146億4600万円で前年同期比4.9%増、営業利益108億8300万円で8.8%増、経常利益108億5900万円で7.4%増、純利益72億4300万円で5.2%増となりました。
工具・金物、リフォーム資材、家電などが好調で、EC売上も12.6%増となっています。
さらに決算発表と同時に、最大88億円・220万株の自己株買いと自己株消却を発表しました。
私は今回を、派手な増収率ではないものの、売上以上に営業利益を伸ばし、EC・リフォームなど成長分野も二桁増収。さらに大型の自社株買いまで加わった、かなり評価できる決算と見ます。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 営業収益 | ★★★★☆ | 1146.46億円、4.9%増 |
| 営業利益 | ★★★★★ | 108.83億円、8.8%増 |
| 営業利益率 | ★★★★☆ | 約9.2%→9.5%へ改善 |
| 経常利益 | ★★★★☆ | 108.59億円、7.4%増 |
| 純利益 | ★★★★☆ | 72.43億円、5.2%増 |
| 工具・金物 | ★★★★★ | 8.8%増 |
| リフォーム資材 | ★★★★★ | 6.3%増、リフォーム事業は12.1%増 |
| 日用品・家電等 | ★★★★★ | 8.1%増、エアコン好調 |
| EC | ★★★★★ | 売上12.6%増 |
| PB商品 | ★★★☆☆ | 売上2.0%増、構成比50.0%へ1.3pt低下 |
| 上期進捗 | ★★★★★ | 営業利益66.4%、純利益65.8% |
| 通期予想 | ★★★★☆ | 営業利益240億円、4.1%増 |
| CF | ★★★☆☆ | 第1四半期CF計算書は未作成 |
| 財務 | ★★★★★ | 自己資本比率65.6% |
| 株主還元 | ★★★★★ | 58円へ増配+最大88億円の自社株買い・消却 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★☆ | 利益成長+資本政策を高評価 |
売買判断
保有 ★★★★★
追加買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私はコメリを保有継続します。
営業収益4.9%増に対して営業利益8.8%増となり、収益性は改善しています。
さらにEC・リフォームが二桁成長し、最大88億円の自己株買いと消却まで発表しました。
急騰したところを追うより、押し目では追加買いを検討したい内容です。
営業利益率は約9.5%へ改善
営業収益は前年1092億5300万円から1146億4600万円へ4.9%増えました。
一方、営業利益は100億700万円から108億8300万円へ8.8%増です。
営業利益率は、
約9.2% → 約9.5%
へ改善しました。
売上高ベースでも、
売上高 1054億900万円 → 1106億9700万円
売上総利益 333億5200万円 → 350億7400万円
となっています。
販管費は271億8800万円から281億4000万円へ増加しましたが、増収と粗利益増加で吸収しました。
今回の決算は、売上を増やしながら利益率も少しずつ高めていることを評価します。
工具・金物が8.8%増
工具・金物・作業用品は191億4100万円で8.8%増となりました。
中東情勢の影響から塗料用シンナーや接着材の需要が増えたほか、エアコン用配管材も好調です。
リフォーム資材・エクステリア用品も160億5900万円で6.3%増となりました。
資材・建材、金物・工具はコメリが強みを持つ分野です。
ホームセンター同士だけでなく、専門商社やネット通販とも競争する中で、この専門分野を伸ばせている点は評価できます。
エアコン関連が好調
日用品・家電・カー・レジャー用品は199億5600万円で8.1%増となりました。
会社は「2027年エアコン問題」を背景にエアコン販売が好調だったと説明しています。
紙類、洗剤、ラップなど日用消耗品のまとめ買い需要も増加しました。
一方、燃料等は12億8800万円で14.5%減です。
4月・5月の気温上昇によって灯油販売量が減少しました。
ただし燃料の売上規模は全体では小さいため、他部門の成長で十分補えています。
リフォーム事業は12.1%増
私が今回注目している成長分野の一つがリフォームです。
リフォーム事業の売上高は前年同期比112.1%となりました。
さらに住宅設備機器の取付・交換や、シロアリ・害虫駆除、庭木の手入れなどを行う「住急番サービス」は前年同期比144.2%です。
コメリは全国1200店舗超でリフォームを受け付けています。
ホームセンターの店舗網を商品販売だけでなく、
施工・修繕・住宅サービス
へ活用できれば、1店舗当たり売上をさらに伸ばせます。
単純な物販より今後の利益成長余地が大きい分野だと見ています。
EC売上は12.6%増
イーコマース事業も好調です。
売上高は前年同期比112.6%となりました。
コメリドットコムで注文した商品を店舗で受け取るBOPISを強化しており、ネット注文客の店頭受取比率は80%を超えています。
コメリの場合、全国1200店舗超という実店舗網そのものをEC物流拠点として利用できます。
これは純粋なネット通販企業にはない強みです。
店舗とECを競合させるのではなく、店舗網をECの武器にできていることを評価します。
PB比率低下は少し気になる
PB商品の売上高は前年同期比102.0%でした。
「CRUZARD」や「Natural Season」などのブランドを強化しています。
ただしPB売上高構成比は、
前年 51.3%
今回 50.0%
へ1.3ポイント低下しました。
PBは一般的に粗利益確保や価格競争力向上につながるため、私はコメリを見る際に重要視しています。
PB売上自体は増えていますが、全体売上の伸びを下回りました。
次回はPB構成比が再び上昇するかを確認します。
新規出店ゼロでも増収増益
今回の第1四半期は新規出店がありませんでした。
店舗数は1234店舗です。
それでも営業収益4.9%増、営業利益8.8%増となりました。
一方で既存37店舗を改装しています。
前年同期より16店舗多い改装数です。
つまり今回は、
店舗数を増やして売上を作った決算ではありません。
既存店舗の生産性改善によって増収増益を実現しています。
私はこの点を高く評価します。
物流・DXで店舗コストを下げる
2026年2月に新関西センターが稼働しました。
新システムによって物流センター内の作業と店舗作業を軽減し、その仕組みを既存物流センターへ展開する方針です。
店舗ではセルフレジを179店舗に導入しました。
さらに清掃ロボットも49店舗へ導入しています。
人件費や物流費が上昇する中、小売企業では単純な売上成長だけでなく省人化が重要です。
コメリは物流と店舗双方でローコスト化を進めています。
今後この効果が営業利益率上昇としてさらに表れるかに注目します。
在庫は約20億円減少
商品及び製品は、
1324億100万円 → 1304億3500万円
となり、約19億6600万円減少しました。
営業収益が増えている中で在庫は減っています。
小売企業の場合、売上鈍化時に在庫が積み上がると値引き販売によって利益率が低下します。
今回についてはその逆で、
増収+在庫減少
となっています。
在庫管理は良好と評価できます。
上期営業利益への進捗は66%
会社の上期予想は、
営業収益 2095億円
営業利益 164億円
経常利益 163億5000万円
純利益 110億円
です。
第1四半期の進捗率は、
営業収益 約54.7%
営業利益 約66.4%
経常利益 約66.4%
純利益 約65.8%
となっています。
かなり高い進捗です。
ただしコメリは園芸・農業用品など春先需要の影響を受けるため、単純に第1四半期利益を4倍して考えることはしません。
それでも上期計画に対しては順調と判断します。
通期営業利益への進捗45%
通期予想は、
営業収益 4008億円
営業利益 240億円
経常利益 239億円
純利益 150億円
です。
前年比では、
営業収益 4.0%増
営業利益 4.1%増
経常利益 2.2%増
純利益 2.4%増
を計画しています。
第1四半期の通期進捗率は、
営業収益 約28.6%
営業利益 約45.3%
経常利益 約45.4%
純利益 約48.3%
です。
かなり高く見えます。
会社は通期予想を変更していませんが、第2四半期以降も利益率改善が続けば上振れ期待は出てきます。
財務は強い
自己資本比率は65.2%から65.6%へ上昇しました。
純資産は2569億7900万円から2629億3500万円へ増加しています。
現金及び預金も121億3000万円から148億4100万円へ増加しました。
短期借入金は20億円増えていますが、純資産規模を考えれば財務負担は大きくありません。
第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、営業CFについては中間決算で確認します。
年間配当56円から58円へ増配
2027年3月期の年間配当予想は58円です。
前期56円から2円増配となります。
中間29円、期末29円を予定しています。
増配幅だけを見ると大きくありません。
しかし今回は配当以上に重要な株主還元策が発表されました。
最大88億円の自社株買い
コメリは最大220万株の自己株取得を発表しました。
取得上限額は、
88億円
です。
自己株式を除く発行済株式数に対して4.65%に相当します。
4~5%規模の自社株買いはかなり大きいです。
取得期間は2026年7月29日から2027年3月24日までとなっています。
さらに220万株を消却
今回さらに評価したいのが自己株消却です。
消却株数は220万株。
消却前発行済株式総数の4.09%に相当します。
2027年3月31日の消却を予定しています。
単に自社株を取得して保有するだけではなく、消却によって発行済株式数そのものを減らします。
これは1株当たり利益や1株当たり価値の向上につながる資本政策です。
増配+自社株買い+自己株消却
をセットで行うため、今回の株主還元はかなり強いと評価します。
私ならどう売買するか
私は現在の保有分を維持します。
今回評価しているのは、
営業収益4.9%増
営業利益8.8%増
営業利益率約9.5%へ改善
リフォーム事業12.1%増
EC売上12.6%増
新規出店ゼロでも増収増益
在庫約20億円減少
上期営業利益進捗66.4%
最大88億円の自社株買い
220万株の自己株消却
です。
一方、PB構成比が50.0%へ低下していることと、通期利益成長率自体はまだ一桁という点は確認します。
そのため決算だけで★★★★★まで強気にはせず、総合評価は一段抑えます。
今回の私の結論
今回のコメリの第1四半期決算は、堅実ながらかなり内容の良い好決算です。
営業収益4.9%増に対して営業利益8.8%増となり、営業利益率も改善しました。
工具・金物、リフォーム資材、家電などが伸び、リフォーム事業は12.1%増、ECも12.6%増となっています。
しかも新規出店はゼロです。
既存店舗改装や物流・DXによる生産性改善で利益を伸ばしている点は評価できます。
さらに最大88億円、発行済株式の4.65%相当の自己株買いを発表し、220万株を消却します。
年間配当も56円から58円へ増配予定です。
そのため今回の総合評価は★★★★☆とします。
私は保有を継続し、株価調整局面では追加買いを検討します。
キャピタルゲインという視点では、
既存店舗の生産性を高めながらEC・リフォームを二桁成長させ、利益率改善と積極的な自己株買いによって1株当たり利益を継続的に引き上げられるか。
ここが次の焦点です。
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