阿波銀行(8388)2027年3月期第1四半期決算を分析|純利益53.7%増、コア業務純益は約2.4倍

阿波銀行(8388)が2026年7月31日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。

経常収益は379億3700万円で前年同期比73.6%増、経常利益83億2600万円で56.5%増、純利益58億900万円で53.7%増となりました。

さらに阿波銀行単体のコア業務純益は118億6100万円となり、前年同期の50億300万円から約2.4倍に拡大しています。

ただし、このコア業務純益の急増にはアセットスワップ解約益も含まれています。

一方、資金利益は17%増、貸出金残高は前年同期比1012億円増、貸出金利回りも1.26%から1.45%へ上昇しました。

私は今回を、一時的な有価証券関連損益の影響は大きいものの、貸出成長と金利上昇によって銀行本来の収益力も明確に改善したかなり強い決算と評価します。

目次

今回の決算を5段階で評価

評価項目評価コメント
経常収益★★★★★379.37億円、73.6%増
経常利益★★★★★83.26億円、56.5%増
純利益★★★★★58.09億円、53.7%増
コア業務純益★★★★★単体118.61億円、約2.4倍
資金利益★★★★★単体126.31億円、約17.4%増
貸出金利息★★★★★90.73億円、約17.9%増
貸出金残高★★★★★前年6月末比1012億円増
貸出金利回り★★★★★1.26%→1.45%へ上昇
有価証券関係損益★★☆☆☆▲32.10億円、債券売却損が重い
不良債権★★★★★比率2.03%→1.94%へ改善
上期進捗★★★★★純利益57.5%、経常利益54.8%
通期予想★★★★☆純利益176億円、13.3%増
財務健全性★★★★★国内基準連結自己資本比率10.69%
株主還元★★★★★年142.5円→190円へ増配予定
キャピタルゲイン期待★★★★★本業改善+貸出成長+増配を評価

売買判断

保有 ★★★★★

追加買い ★★★★☆

売却 ★☆☆☆☆

私は阿波銀行を保有継続します。

今回の経常利益56.5%増、純利益53.7%増はかなり強い数字です。

ただし株式売却益やアセットスワップ解約益も利益を押し上げているため、単純に50%成長が続くとは考えません。

それでも資金利益、貸出金、貸出金利回りという銀行本来の数字も改善しているため、私は押し目では追加買いを検討します。

コア業務純益は約2.4倍

阿波銀行単体のコア業務純益は、

前年 50億300万円
今回 118億6100万円

となりました。

増加額は68億5800万円、約137%増です。

つまり前年の約2.4倍です。

ただし、この数字はすべてを恒常的な本業成長と考えるべきではありません。

会社はコア業務純益増加の理由として、

資金利益の増加
役務取引等利益の増加
国内債券入れ替えに伴うアセットスワップ解約益

を挙げています。

特にその他業務利益は前年▲3500万円から46億6300万円へ急増しています。

したがって、コア業務純益2.4倍という数字には一時的な押し上げもかなり含まれていると見ています。

それでも資金利益17%増は強い

一時的な利益を除いても本業は改善しています。

資金利益は、

107億5800万円 → 126億3100万円

となり、約17.4%増えました。

連結の貸出金利息も76億9600万円から90億7300万円へ約17.9%増加しています。

有価証券利息配当金も50億8300万円から63億8000万円へ増えました。

一方、預金利息は14億2000万円から24億4200万円へ増えています。

預金金利上昇による負担は増えていますが、それ以上に運用収益が増えています。

金利正常化が阿波銀行の収益拡大につながっていることは明確です。

貸出金利回り1.45%へ上昇

阿波銀行単体の貸出金利回りは、

1.26% → 1.45%

へ0.19ポイント上昇しました。

一方、預金等利回りは、

0.17% → 0.30%

へ0.13ポイント上昇しています。

単純な差を見ると、

前年 1.09%
今回 1.15%

となり、貸出金利回りと預金利回りの差は拡大しています。

預金金利負担が上昇しても、それ以上に貸出金利回りを引き上げられている点は評価できます。

貸出金は1012億円増

単体貸出金残高は2兆5454億円となりました。

前年6月末の2兆4442億円から1012億円、約4.1%増えています。

内訳を見ると、

一般貸出 1009億円増
地方公共団体等 75億円増
個人ローン 72億円減

となっています。

特に一般貸出が強いです。

中小企業等貸出金も前年同期比964億円増の1兆9738億円となりました。

そのうち中小企業向けだけでも1037億円増加しています。

金利上昇だけで利益を伸ばしているのではなく、貸出数量そのものも増えていることを高く評価します。

徳島県外でも貸出が伸びている

地域別の実質的な貸出増加を見ると、

徳島県内 172億円増
関西地区 303億円増
徳島県以外の中四国 262億円増
関東地区 273億円増

となっています。

本拠地の徳島だけに依存していません。

関西・関東まで営業基盤を広げて貸出を伸ばしています。

人口減少が続く地方銀行では地元市場だけで成長することには限界があります。

その意味でも、県外融資を伸ばせていることは中長期の成長材料と考えます。

預かり資産も大きく拡大

預金・譲渡性預金は3兆4824億円となり、前年同期比590億円増えました。

さらに金融商品仲介業務の預かり資産残高は1兆5068億円となっています。

前年同期から3973億円増です。

特に野村證券との金融商品仲介口座残高が1兆4861億円まで拡大しています。

金利収益だけでなく、資産運用・証券関連ビジネスを強化できれば、今後の手数料収益拡大にもつながります。

債券売却損はかなり大きい

今回の注意点は有価証券です。

国債等債券関係損益は、

前年 ▲2億5100万円
今回 ▲120億1600万円

まで悪化しました。

国内債券の入れ替えを進めた影響です。

一方、株式等関係損益は、

前年 9億6900万円
今回 88億500万円

まで増えています。

結果として有価証券関係損益全体では、

前年 +7億1800万円
今回 ▲32億1000万円

となりました。

それでも経常利益が56.5%増えているところに、今回の本業利益の強さがあります。

私は債券売却損について、将来の金利上昇へ備えたポートフォリオ再構築という面もあると見ています。

有価証券含み益は2038億円

有価証券の評価差額は2038億円のプラスです。

前年同期の1173億円から865億円増加しています。

内訳は、

株式 +1932億円
債券 ▲580億円
その他 +686億円

です。

債券には580億円の評価損がありますが、それを株式などの大きな含み益がカバーしています。

政策保有株式などを今後さらに売却すれば、

売却益の実現+資本効率改善+株主還元余力拡大

につながる可能性があります。

不良債権比率は1.94%へ改善

金融再生法開示債権は497億円です。

前年同期の500億円から2億円減少しました。

総与信残高に占める比率は、

2.03% → 1.94%

へ0.09ポイント改善しています。

貸出金を1000億円以上増やしながら不良債権比率を低下させているため、貸出拡大の質も現時点では悪くありません。

実質与信費用も6億500万円で、前年5億9100万円とほぼ同水準です。

上期純利益への進捗57.5%

上期予想は、

経常収益 657億円
経常利益 152億円
純利益 101億円

です。

第1四半期の進捗率は、

経常収益 57.7%
経常利益 54.8%
純利益 57.5%

となっています。

半分を超えており、順調です。

会社は2026年7月28日に上期予想を修正しています。

理由は、政策保有株式を含む株式売却益が当初予想を上回る見込みとなったためです。

一方、通期予想は経済・金融情勢が不透明として据え置いています。

通期純利益176億円への進捗は33%

通期予想は、

経常収益 1176億円
経常利益 260億円
純利益 176億円

です。

前年比では、

経常収益 23.3%増
経常利益 19.1%増
純利益 13.3%増

を見込んでいます。

第1四半期の進捗率は、

経常収益 約32.3%
経常利益 約32.0%
純利益 約33.0%

です。

第1四半期としてはかなり良い進捗です。

ただし株式売却益やアセットスワップ解約益の寄与もあるため、単純に4倍して上方修正を予想するのは避けます。

それでも貸出・資金利益が伸びていることから、現時点では通期計画達成の確度は高いと考えます。

自己資本比率10.69%

銀行の健全性を見る国内基準の連結自己資本比率は10.69%です。

前年同期の10.82%から0.13ポイント低下しましたが、2026年3月末の10.48%からは0.21ポイント改善しています。

貸出金増加によってリスクアセットが増えていますが、自己資本額も増加しています。

十分な水準を維持していると評価します。

年間配当190円へ大幅増配

2027年3月期の年間配当予想は190円です。

前期は142.5円でしたので、47.5円増、約33%の増配です。

内訳は、

中間 100円
期末 90円

です。

中間100円には創業130周年記念配当10円が含まれています。

記念配当を除いても普通配当は年間180円となります。

利益成長を株主還元へ積極的に反映している点はかなり評価できます。

私ならどう売買するか

私は現在の保有分を維持します。

今回評価しているのは、

経常利益56.5%増

純利益53.7%増

コア業務純益約2.4倍

資金利益約17%増

貸出金残高1012億円増

貸出金利回り1.26%→1.45%

不良債権比率1.94%へ改善

年間配当142.5円→190円

です。

一方、

アセットスワップ解約益の寄与

株式売却益の大幅増加

国債等債券関係損益▲120億円

は注意します。

そのため、今期の50%増益がそのまま来期以降も続くとは考えません。

それでも本業の資金利益と貸出成長が強いため、私は保有継続です。

今回の私の結論

今回の阿波銀行の第1四半期決算は、かなり強い好決算です。

経常利益56.5%増、純利益53.7%増となりました。

単体のコア業務純益は前年の約2.4倍です。

ただしコア業務純益にはアセットスワップ解約益、最終利益には株式売却益なども寄与しているため、表面上の増益率だけを見るべきではありません。

それでも資金利益は約17%増、貸出金残高は前年同期比1012億円増、貸出金利回りも1.45%へ上昇しています。

さらに不良債権比率は1.94%へ改善し、年間配当も142.5円から190円へ大幅増配予定です。

そのため今回の総合評価は★★★★★とします。

私は保有を継続し、銀行株全体の調整局面では追加買いを検討します。

キャピタルゲインという視点では、

一時的な有価証券利益に頼らず、貸出残高と利回りの上昇によって資金利益を伸ばし、厚い有価証券含み益を資本効率改善と株主還元へつなげられるか。

ここが次の焦点です。

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