百十四銀行(8386)2027年3月期第1四半期決算を分析|純利益28.4%増、コア業務純益35.4%増

百十四銀行(8386)が2026年8月5日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。

経常収益は412億2100万円で前年同期比70.7%増、経常利益95億3900万円で29.3%増、純利益61億7900万円で28.4%増となりました。

単体のコア業務純益も86億9500万円となり、前年同期比35.4%増です。

貸出金利息の増加に加え、法人・個人向け貸出金が伸びています。

一方、株式売却益が大幅に増えた反面、国債等の債券関係損失も大きく計上しています。

私は今回を、有価証券売買の影響は大きいものの、本業の資金利益・貸出残高・コア業務純益が揃って伸びた、かなり良い決算と評価します。

目次

今回の決算を5段階で評価

評価項目評価コメント
経常収益★★★★★412.21億円、70.7%増
経常利益★★★★★95.39億円、29.3%増
純利益★★★★★61.79億円、28.4%増
コア業務純益★★★★★単体86.95億円、35.4%増
資金利益★★★★★単体144.20億円、16.2%増
貸出金利息★★★★★129.25億円、約17.2%増
法人向け貸出★★★★★前年同期比約5.2%増
個人向け貸出★★★★★前年同期比約5.5%増
債券関係損益★☆☆☆☆▲136.75億円
株式等関係損益★★★★★140.78億円へ大幅増
不良債権★★★★☆比率1.34%、3月末から横ばい
上期進捗★★★★☆経常利益57.8%、純利益56.2%
通期予想★★★★☆純利益210億円、11.4%増
財務健全性★★★★★国内基準連結自己資本比率10.62%
株主還元★★★★★分割調整後58.5円→70円へ実質増配
キャピタルゲイン期待★★★★☆本業改善は強いが債券損失を確認

売買判断

保有 ★★★★★

追加買い ★★★★☆

売却 ★☆☆☆☆

私は百十四銀行を保有継続します。

今回最も評価したいのは経常収益70.7%増という派手な数字ではなく、コア業務純益35.4%増、資金利益16.2%増、貸出金増加です。

株式売却益の増加など一時的な要因もありますが、本業そのものが強くなっています。

追加買いも前向きですが、銀行株全体が上昇した局面を追うより調整時に増やしたいです。

コア業務純益35.4%増

単体のコア業務純益は、

前年 64億2200万円
今回 86億9500万円

となりました。

前年差は22億7300万円、35.4%増です。

投資信託解約損益を除いたコア業務純益も82億9400万円で36.6%増となっています。

内訳を見ると、

資金利益 16.2%増
役務取引等利益 21.7%増
その他業務利益 64.5%増

です。

経費は8.4%増えていますが、それ以上に本業収益が増えています。

銀行本来の稼ぐ力は明確に改善しています。

貸出金利息が17.2%増

連結の貸出金利息は、

110億2600万円 → 129億2500万円

となり、約17.2%増加しました。

有価証券利息配当金も38億4300万円から41億8500万円へ増えています。

一方、預金利息は、

25億7700万円 → 41億6600万円

となり、約62%増加しました。

金利上昇によって預金コストもかなり増えています。

それでも単体の資金利益は、

124億700万円 → 144億2000万円

と16.2%増加しました。

預金金利上昇を吸収してなお資金利益を伸ばせている点は高く評価できます。

貸出金は前年同期比1565億円増

単体貸出金残高は3兆7127億円です。

前年6月末の3兆5561億円から1565億円、約4.4%増えています。

内訳を見ると、

法人向け 約1420億円増
個人向け 約337億円増
公共向け 約191億円減

です。

特に法人向け貸出は2兆8589億円となり、前年同期比約5.2%増。

個人向け貸出も6404億円で約5.5%増えています。

住宅ローンも前年同期比317億円増えました。

金利上昇だけではなく、貸出数量そのものも伸びていることが今回の強さです。

中小企業向けも前年同期比では増加

中小企業等貸出金残高は2兆6122億円です。

3月末比では69億円減っています。

ただし前年6月末と比較すると832億円増加しています。

そのため直近3カ月だけを見ると少し弱いものの、中期的には貸出基盤を拡大できています。

中小企業等貸出金比率は70.35%です。

地方銀行として地域企業への融資基盤は引き続き大きいです。

株式売却益が大幅増

今回の大幅増益には株式売却益も寄与しています。

単体の株式等関係損益は、

前年 16億500万円
今回 140億7800万円

となりました。

前年差は約125億円です。

このため、経常利益29.3%増をすべて本業の増益と見るべきではありません。

政策保有株式などの売却が利益を押し上げています。

ただし本業のコア業務純益も35.4%増えているため、今回が単なる株式売却益頼みの決算というわけでもありません。

債券関係損失136億円は注意

一方、かなり大きいのが債券損失です。

単体の債券関係損益は、

前年 ▲10億7300万円
今回 ▲136億7500万円

まで悪化しました。

前年差では126億円以上のマイナスです。

金利上昇に伴い債券ポートフォリオの入れ替えを進めていることが影響しています。

興味深いのは、

株式等関係損益 +140.78億円
債券関係損益 ▲136.75億円

となっていることです。

両者を合わせた有価証券関係損益は4億200万円のプラスにとどまります。

つまり今回の経常増益は、株式売却益だけで作られた数字ではなく、本業利益の増加が重要だったことが分かります。

与信費用は増加

注意したいもう一つの数字が与信費用です。

単体の与信関係費用は、

前年 6億1300万円
今回 12億8300万円

となり、約2.1倍に増加しました。

不良債権処理費用も7億8200万円から14億5700万円へ増えています。

ただし金融再生法開示不良債権比率は1.34%です。

2026年3月末も1.34%でしたので、比率そのものは悪化していません。

貸出金を増やしている中で不良債権比率が横ばいであるため、現時点では大きな懸念とは見ません。

預り資産が21.6%増

預り資産残高は4702億3900万円となりました。

前年同期の3866億7700万円から約21.6%増です。

特に投資信託は、

1452億6300万円 → 2054億6500万円

となり、約602億円増えています。

一時払保険、金融商品仲介も増加しました。

貸出金利息だけでなく、

投資信託・保険・金融商品仲介

といった非金利ビジネスを伸ばしていることも評価できます。

上期純利益への進捗56.2%

上期予想は、

経常収益 595億円
経常利益 165億円
純利益 110億円

です。

第1四半期の進捗率は、

経常収益 約69.3%
経常利益 約57.8%
純利益 約56.2%

となっています。

利益はすでに上期計画の半分を超えています。

かなり順調です。

一方、会社は現時点で業績予想を変更していません。

有価証券損益や与信費用の変動も大きいため、私は上方修正を決めつけませんが、少なくとも上期計画に対しては余裕のあるスタートと見ます。

通期純利益への進捗29.4%

通期予想は、

経常収益 1165億円
経常利益 330億円
純利益 210億円

です。

前年比では、

経常収益 7.3%増
経常利益 13.3%増
純利益 11.4%増

を見込んでいます。

第1四半期の進捗率は、

経常利益 約28.9%
純利益 約29.4%

です。

25%を上回っており、現時点では順調です。

コア業務純益の35%増が続けば、今後さらに上振れ期待が高まります。

有価証券評価益は984億円

その他有価証券の評価差額は984億2600万円のプラスです。

3月末の950億400万円から34億円増えています。

内訳は、

株式 +1200億5400万円
債券 ▲213億6000万円
その他 ▲2億6700万円

です。

株式に大きな含み益がある一方、債券には200億円を超える評価損があります。

今後も政策保有株式を売却しながら債券ポートフォリオを整理できれば、資本効率改善につながる可能性があります。

自己資本比率10.62%へ改善

銀行の健全性を見る国内基準の連結自己資本比率は10.62%です。

2026年3月末の10.41%から0.21ポイント改善しました。

自己資本額も2733億7800万円まで増えています。

貸出を拡大しながら自己資本比率も改善しているため、財務健全性は高いと評価します。

配当は実質19.7%増配

百十四銀行は2026年4月1日に1株を4株へ株式分割しました。

前期年間配当234円を分割後換算すると58.5円です。

2027年3月期は、

中間35円
期末35円
年間70円

を予定しています。

分割調整後では、

58.5円 → 70円

となり、実質約19.7%の増配です。

銀行株として本業利益の成長だけでなく株主還元も強化されています。

私ならどう売買するか

私は現在の保有分を維持します。

今回評価しているのは、

経常利益29.3%増

純利益28.4%増

コア業務純益35.4%増

資金利益16.2%増

貸出金利息約17%増

貸出金残高前年同期比約4.4%増

法人向け貸出約5.2%増

預り資産約21.6%増

実質約19.7%増配

です。

一方で、

債券関係損失▲136.75億円

与信費用約2倍

には注意します。

それでも本業改善の方が強いため、現時点で売却する理由はありません。

今回の私の結論

今回の百十四銀行の第1四半期決算は、かなり良い好決算です。

経常利益29.3%増、純利益28.4%増となりました。

株式売却益の増加が利益を押し上げていますが、一方では136億円を超える債券関係損失も計上しています。

その中でコア業務純益が35.4%増、資金利益が16.2%増となったことを私は高く評価します。

貸出金残高も前年同期比約4.4%増え、法人・個人向けとも成長しています。

不良債権比率は1.34%で安定し、連結自己資本比率は10.62%へ改善しました。

さらに年間配当は株式分割調整後で58.5円から70円へ実質増配です。

そのため今回の総合評価は★★★★☆とします。

私は保有を継続し、銀行株全体の調整局面では追加買いを検討します。

キャピタルゲインという視点では、

金利上昇による資金利益と貸出成長を継続しながら、債券評価損・売却損を縮小し、政策保有株式の含み益を資本効率改善と株主還元へつなげられるか。

ここが次の焦点です。

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