Liberaware(218A)が2026年6月12日に発表した2026年7月期第3四半期決算を分析します。
第3四半期累計の売上高は12億1654万円、営業損失19億6987万円、経常損失13億4859万円、親会社株主に帰属する四半期純損失は13億4939万円となりました。
前年同期は連結決算を作成していないため単純な前年比較はできません。
今回の決算は、下水道、鉄道、建設など将来の成長につながる案件は着実に進んでいる一方、現時点の売上規模に対して研究開発・事業拡大コストが非常に大きく、収益化にはまだ時間が必要という内容です。
特に注意したいのは、経常損失13.5億円には6.6億円の補助金収入が入っていることです。補助金を除けば経常損失は単純計算で約20.1億円となり、本業の赤字は依然としてかなり大きいです。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★★☆☆ | 12.17億円。通期17~19億円予想に対し64~72%進捗 |
| 営業利益 | ★☆☆☆☆ | 19.70億円の営業赤字 |
| 粗利益率 | ★★★★☆ | 売上総利益率は約42.2% |
| 販管費 | ★☆☆☆☆ | 24.83億円で売上高を大きく上回る |
| ドローン事業 | ★★★★☆ | 売上6.25億円で最大事業 |
| デジタルツイン | ★★★☆☆ | 売上2.39億円。LAPISの事業化を推進 |
| 下水道領域 | ★★★★★ | 自治体40か所以上で調査、業界中核4社と連携 |
| SBIR・研究開発 | ★★★★★ | 建設・鉄道で大型国家プロジェクトが進行 |
| 海外展開 | ★★☆☆☆ | 本格的な売上寄与は来期以降へ後ずれ |
| 通期予想 | ★★☆☆☆ | 売上17~19億円、営業赤字21.54~23.11億円へ修正 |
| 財務 | ★★☆☆☆ | 自己資本比率46.6%だが赤字による資本消耗が大きい |
| CF | ★★☆☆☆ | 四半期CF計算書は未作成。現預金は6.29億円 |
| 株主還元 | ★☆☆☆☆ | 無配 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★☆ | 政策・下水道・鉄道の事業化次第で大きな上振れ余地 |
売買判断
保有 ★★★★☆
新規買い ★★☆☆☆
売却 ★★☆☆☆
私はLiberawareの保有を継続します。
ただし今回の決算を見て積極的に買い増す判断にはしません。
下水道DX、鉄道、建設、LAPISなど将来の成長材料はかなり増えていますが、現在は「技術開発・実証」から「大規模売上」へ移る途中です。
キャピタルゲインという意味では非常に面白い会社ですが、次に必要なのは新しい実証実験ではなく、実証案件が継続的な売上に変わることです。
売上12.2億円に対して営業赤字19.7億円
売上高12億1654万円に対して売上総利益は5億1314万円です。
売上総利益率は約42.2%ですので、サービスそのものの粗利率が極端に悪いわけではありません。
問題は販管費です。
販売費及び一般管理費は24億8301万円となっており、売上高の約2倍です。
その結果、営業損失は19億6987万円となっています。
つまりLiberawareの現在の最大の課題は、粗利益率ではなく、研究開発、人員、営業、事業開発など先行投資に対して売上規模がまだ小さいことです。
売上が今後大きく伸びれば利益レバレッジが効く可能性がありますが、現時点では赤字負担がかなり重いです。
補助金6.6億円を除くと本来の赤字はさらに大きい
営業損失19億6987万円に対して、経常損失は13億4859万円まで縮小しています。
最大の理由は営業外収益として6億6003万円の補助金収入を計上しているためです。
補助金を除いて単純計算すると、経常損失は約20.1億円規模になります。
したがって今回の経常損失13.5億円だけを見て、
「営業赤字19.7億円よりかなり改善している」
と評価するべきではありません。
国家プロジェクトを活用して研究開発を進められる点は強みですが、投資家としては補助金を除いた事業そのものの採算改善を重視したいです。
売上の半分以上はドローン事業
事業別売上を見ると、
ドローン事業 6億2517万円
デジタルツイン事業 2億3917万円
ソリューション開発事業 3億558万円
新規領域 4662万円
となっています。
ドローン事業だけで全体の約51%を占めています。
特にプロダクト提供サービスが4億4829万円と大きく、点検ソリューションは1億7689万円です。
今後は機体販売だけでなく、点検サービス、データ処理、LAPISなどを組み合わせて継続収益を増やせるかが重要です。
下水道はかなり期待できる
今回の決算で私が最も注目するのは下水道です。
全国の自治体と連携した下水管などのインフラ調査は累計40か所以上まで拡大しています。
さらに下水道業界の中核企業4社と事業連携・資本業務提携を進め、日本下水道協会や日本下水道管路管理業協会にも加入しました。
2025年の八潮市道路陥没事故以降、老朽下水道の点検強化は国の重要課題になっています。
Liberawareにとっては単なるテーマではなく、制度整備、実証、自治体案件、業界企業との連携が同時に進んでいます。
キャピタルゲインを狙うなら、私はここを最重要成長材料として見ています。
SBIR案件も将来の売上候補
建設分野では最大交付額4.7億円のSBIRプロジェクトで主要な技術開発・実証が概ね完了し、LAPISを活用した施工進捗管理サービスの事業化を進めています。
さらに鉄道では最大交付額52億円の国家プロジェクトが進行中で、現在は量産試作機を開発しています。
この52億円をLiberawareの売上としてそのまま計上できるわけではありませんが、鉄道点検ソリューションが実用化された場合の事業インパクトは大きいです。
今後は「研究開発採択」というニュースより、実際の導入件数や受注金額を重視したいです。
一方、海外とトリノスは後ずれ
今回明確に弱かったのが事業化のスピードです。
韓国ではIBIS2の導入などが進んでいるものの、市場自体がまだ黎明期で、販売拡大には当初想定以上の時間がかかっています。
東南アジアなどでも規制、認証、顧客の導入判断、保守体制などの整備が必要で、本格的な売上寄与は来期以降の見込みです。
新製品の自動巡視型カメラ「トリノス」もPoCに時間がかかっており、本格量産は来期以降となる可能性があります。
Liberawareの弱点は技術力より、実証から商用化までに時間がかかることだと今回改めて感じます。
通期予想達成には第4四半期が重要
修正後の通期売上予想は17~19億円です。
第3四半期までで12.17億円ですので、第4四半期に必要な売上は約4.83~6.83億円です。
営業損失予想は21.54~23.11億円ですので、第4四半期にも約1.84~3.41億円の営業赤字を見込んでいる計算になります。
さらに注目したいのが経常損失です。
第3四半期時点ですでに13.49億円の経常赤字ですが、通期予想は5.74~7.30億円の経常赤字です。
つまり第4四半期には営業外収益などによる大きな利益押し上げが必要になります。
今回の資料だけでは具体的な内訳までは確認できませんので、私は通期の最終利益より、営業損益そのものがどこまで改善するかを重視します。
財務は増資で支えている状態
現金及び預金は前期末7億5199万円から6億2903万円へ減少しました。
純資産は7億2913万円、自己資本比率は46.6%です。
数字だけなら極端に悪く見えませんが、今期は九州電力、日本ヒューム、日本水コン、管清工業、山田商会などから第三者割当増資を受けています。
資本金と資本剰余金はそれぞれ約5.58億円増加しています。
それでも純資産は前期末から約2億円減少しています。
つまり、大型の資本調達を行いながら、それ以上の赤字を計上しているということです。
一方で、単なる資金調達ではなく下水道・インフラ関連企業との資本業務提携になっている点はプラスです。
発行済株式数は約1889万株から1964万株へ約3.9%増えていますので、キャピタルゲイン目的では今後の追加増資による希薄化も確認する必要があります。
私ならどう売買するか
私は現在の保有分を売却しません。
理由は、下水道、鉄道、建設という大きな市場でLiberawareの技術が実証段階から社会実装段階へ移り始めているからです。
特に下水道は政策面、自治体、業界企業、国の研究開発が同時に動いており、中長期の成長材料としてかなり期待しています。
ただし追加買いは急ぎません。
現在の売上12億円に対して営業赤字約20億円という収益構造はまだ重く、補助金への依存も大きいです。
私は次の本決算と来期予想を確認し、売上成長が明確に加速するなら追加買いを考えます。
次の決算で見るポイント
一番は2027年7月期の売上予想です。
今回の17~19億円から来期どこまで伸びる計画を出してくるかを最重要視します。
次に下水道関連の実際の受注件数・売上、LAPISの商用化、鉄道SBIRの進捗、海外売上、トリノスの量産開始時期を確認します。
そして最も重要なのが営業赤字です。
売上が伸びても営業赤字20億円前後が続くなら評価は上げられません。
売却を考える条件
私が売却を考えるのは、下水道や鉄道で実証案件は増えているのに売上が伸びない状態が続く場合です。
また、来期も営業赤字が大幅に縮小しない、追加増資による株式希薄化が繰り返される、LAPISや新製品の事業化がさらに後ろ倒しになる場合も保有比率を見直します。
逆に下水道関連が大口受注へ変わり、売上が大きく伸びながら営業赤字が急速に縮小するなら、キャピタルゲイン狙いで追加買いを考えます。
今回の私の結論
今回のLiberawareの第3四半期決算は、事業の将来性と現在の業績にかなり大きな差がある決算です。
下水道では自治体40か所以上で調査を行い、業界中核企業4社との連携も進んでいます。建設・鉄道のSBIR、LAPIS、海外展開など将来材料も豊富です。
一方、売上12.17億円に対して営業赤字19.70億円です。
さらに経常損失13.49億円には6.60億円の補助金収入が含まれており、本業の赤字は数字以上に大きいです。
海外展開やトリノスの本格売上も来期以降へ後ずれしています。
そのため今回の総合評価は**★★★☆☆**です。
私は保有を継続しますが、現時点での追加買いは慎重にします。
Liberawareでキャピタルゲインを狙ううえで最も重要なのは、新しい実証実験や採択ニュースの数ではありません。
下水道・鉄道・LAPISが実際の継続売上へ変わり、売上成長によって約20億円の営業赤字をどこまで縮められるか。
ここが確認できれば、株式市場からの評価は大きく変わる可能性があると考えます。
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