ドローン業界の今後はどうなる?
ドローン業界について、私は今後5~10年を「強気」と見ています。
以前のドローンは、
空撮
イベント撮影
趣味
というイメージが強かったと思います。
しかし現在、成長しているのはむしろ産業用途です。
橋梁点検
下水道調査
工場設備点検
建設測量
災害調査
物流
警備
防衛
などです。
国土交通省のレベル4飛行制度では、有人地帯での補助者なし目視外飛行が可能になりました。
国交省自身もレベル4によって、
医薬品・食料配送
災害時の被害確認・救援
橋梁・砂防ダム・工場設備点検
建設測量
警備・海難捜索
などへの利用拡大を想定しています。
私はドローンについて、
「人がラジコンを飛ばす産業」
ではなく、
「危険・遠い・狭い場所で人間の代わりに働く自律ロボット産業」
として見るべき段階に入ったと考えています。
日本では人手不足がドローン導入を加速させる
日本では、
建設
物流
インフラ保守
警備
などで人手不足が進んでいます。
例えば橋の下やトンネル内部を人間が点検するには、
足場を組む
交通規制を行う
作業員を派遣する
必要があります。
これをドローンで代替できれば、
時間
人件費
安全リスク
を大きく減らせます。
つまりドローン導入は、
「新しい技術だから使う」
のではなく、
「人が足りないから使わざるを得ない」
段階へ近づいています。
この構造はかなり強いと思います。
物流ドローンは長期テーマ
物流も期待される分野です。
特に、
離島
山間部
過疎地域
災害地域
ではトラック配送よりドローンの方が合理的になるケースがあります。
政府が策定した「総合物流施策大綱(2026年度~2030年度)」でも、自動化・省人化の一環としてドローン航路を全国で面的に整備する方向が示されています。
ただし私は、都市部でAmazonの商品がすぐドローンで届くという未来を短期的にはそれほど重視していません。
人口密集地域では、
安全性
騒音
飛行許可
事故責任
などの問題があるからです。
それより先に実用化が進むのは、
人が行きにくい場所への物流
だと考えています。
最も早く利益になるのは「点検」
私がドローン用途で特に注目するのはインフラ点検です。
日本には大量の、
橋
トンネル
下水管
工場
プラント
発電設備
があります。
しかも老朽化しています。
ここは「いつかドローンを使うかもしれない」市場ではありません。
すでに実際の調査に使われ始めています。
例えばLiberawareは、2026年4月に福島第一原子力発電所3号機の原子炉格納容器内部へマイクロドローンを投入し、圧力容器底部付近の直接撮影を実施しました。
同社は下水道についても全国40か所以上で調査を実施しています。
私はこうした、
「人間が入りたくても入れない場所」
がドローンの最も強い市場になると考えています。
災害対応とも非常に相性が良い
地震や豪雨が発生すると、
道路が寸断される
橋が壊れる
土砂崩れが起きる
下水設備が壊れる
ことがあります。
このとき人が現場へ入る前にドローンを飛ばせれば、被害状況を確認できます。
Liberawareは2026年9月にも千葉市の豪雨災害で排水路調査を実施しています。
災害が多い日本では、
防災・減災インフラとしてドローンを常備する
という需要も増える可能性があります。
そして急浮上したのが「防衛ドローン」
2026年に入り、株式市場で特に注目されているのが防衛用途です。
ウクライナ戦争などによって、
偵察ドローン
攻撃ドローン
迎撃ドローン
の重要性が世界的に認識されました。
日本でも国産ドローンを安全保障へ利用する動きが強まっています。
ACSLは中期戦略で防衛・安全保障を重点分野に位置付けており、2026年には小型空撮機体で約3.5億円の大型案件を受注しました。
さらにTerra Droneは、防衛装備庁の「迎撃ドローン早期取得プログラム」で国産迎撃ドローン「Terra B1」が実証試験を通過。
量産段階へ進んだと2026年8月25日に発表しています。
ここはドローン市場にとって非常に大きな変化です。
これまで産業ドローン会社の顧客は、
建設会社
電力会社
自治体
などが中心でした。
そこへ今後、
防衛省・政府機関
という巨大顧客が加わる可能性があります。
「中国製ではないこと」自体が価値になる
ドローンではセキュリティも重要です。
ドローンは、
映像
位置情報
施設情報
地形情報
など非常に重要なデータを取得します。
軍事施設や発電所、重要インフラではなおさらです。
そのため価格だけで海外製ドローンを選べないケースが増えていく可能性があります。
ACSLも2026年8月の資金調達発表で、地政学リスクの高まりを背景に、ドローンが安全保障・重要インフラを支える技術として位置付けられていると説明しています。
今後は、
性能
価格
だけではなく、
国産・セキュア・サプライチェーン
も競争力になります。
これは日本のドローン企業にとって大きな追い風です。
ドローン単体より「データ」が重要になる
ただし私は、ドローンメーカーだから有望とは考えていません。
機体は将来的にコモディティ化する可能性があります。
重要になるのは、
ドローンを飛ばす
↓
画像・3Dデータを取得する
↓
AIで解析する
↓
異常を発見する
↓
保守計画へ反映する
という一連のサービスです。
例えば橋を撮影するだけなら、ドローンの価値は限定的です。
しかしAIが、
「この亀裂は前回より2mm広がっている」
と自動判定できれば、価値は大きくなります。
つまり将来的には、
ドローンメーカーより「ドローン+AI+データ」を持つ会社
の方が高い利益率を実現できる可能性があります。
運航管理も巨大市場になる可能性
ドローンが数千機、数万機飛ぶようになると、
誰がどこを飛んでいるか
を管理する必要があります。
これは航空機の航空管制に近い仕組みです。
Terra DroneはこのUTM(Unmanned Aircraft System Traffic Management=無人航空機運航管理)を重要事業として展開しています。
今はまだドローン機体そのものが注目されていますが、将来的に多数のドローンが自律飛行する社会になれば、
「空の交通整理」
を行うシステムの価値が大きくなる可能性があります。
一方、ドローン株はまだ「利益で買える会社」が少ない
ここは非常に重要です。
ドローン市場の将来性は高いと思います。
しかし上場しているドローン専業企業を見ると、2026年現在でも多くが赤字です。
つまり、
業界が伸びること
と、
今その株を買えば儲かること
は別です。
特にグロース株では、
テーマ人気
政府案件
防衛材料
だけで株価が急騰することがあります。
そのため今回は、
将来性
社会実装
現在株価
を分けて評価します。
ドローン株を見るための投資判断軸
今回は、
「成長性・市場拡大」
「実用化・社会実装」
「国産・防衛・セキュリティ」
「収益化への距離」
「株価水準」
の5項目で評価します。
特にキャピタルゲインを考えるため、期待だけで株価が何倍にもなっている銘柄は順位を下げます。
有望銘柄① Liberaware(218A)
今回のドローン関連株で第一候補にするのはLiberawareです。
最大の理由は、競争する市場が非常に明確だからです。
主力のマイクロドローン「IBIS」は、
狭い
暗い
GPSが使えない
危険
という場所で使用することを想定しています。
これは通常の空撮ドローンとは競争軸が違います。
下水道
原子力施設
工場
配管
プラント
など、人が簡単には入れない空間です。
私はここをかなり評価しています。
下水道点検は大きな市場になり得る
日本では上下水道の老朽化が問題になっています。
すべてを人間が目視調査するには膨大な人員と時間が必要です。
Liberawareは2026年4月までに全国40か所以上の自治体で下水管などの調査を実施。さらに建設施工進捗管理、空間データ基盤「LAPIS」など、機体販売以外のサービスも強化しています。
私は、
マイクロドローンを売る会社
から、
インフラ空間データを蓄積・解析する会社
へ変われるかを注目しています。
さらに2026年6月には、災害対応・重要インフラ・安全保障領域に対応する国産無人機プラットフォーム構築にも着手しました。
一方、現在はまだ大幅赤字
2026年7月期第3四半期累計では、
売上高 12.16億円
営業損失 19.69億円
経常損失 13.48億円
です。
通期売上高予想は17~19億円ですが、営業損失21.54~23.11億円を見込んでいます。
売上高以上の営業赤字なので、現在は利益で評価できる企業ではありません。
投資判断軸
成長性・市場拡大:★★★★★
実用化・社会実装:★★★★★
国産・防衛・セキュリティ:★★★★★
収益化への距離:★★☆☆☆
株価水準:★★★★☆
総合投資判断:やや強気
2026年9月4日の終値は1,153円。
年初来高値1,808円、年初来安値705円。
現在は高値から約36%下です。
一方、赤字企業なのでPERはなく、PBRは33.25倍です。
普通のバリュー株として見れば高い株価です。
ただし時価総額は約229億円とまだ小さく、下水道・原発・災害・安全保障のどれかが大規模な継続収益へ変われば、利益インパクトはかなり大きくなります。
現在株価と成長余地のバランスから1位とします。
なお、2026年7月期本決算の発表予定日は9月11日です。
次に見るべき最大のポイントは、売上高よりも2027年7月期に赤字をどこまで縮小できるかです。
有望銘柄② ACSL(6232)
2位はACSLです。
国産産業用ドローンの代表企業の一つです。
ACSLの最大の強みは、
国産+セキュリティ+政府・防衛調達
です。
産業用ドローン「SOTEN」などを展開し、防衛・防災・インフラ用途を強化しています。
2026年には政府・防衛向け小型空撮機体で約3.5億円の大型案件も受注しました。
さらにAI・デジタルツインと自律ドローンを組み合わせ、防衛・防災・社会インフラ保守への活用をスペースデータと検討しています。
私はドローンの経済安全保障が重視されるほど、ACSLには追い風になると考えています。
2026年は売上拡大局面
2026年12月期会社予想は、
売上高 40億円
営業損失 13.6億円
です。
前年2025年12月期は売上高25.98億円、営業損失18.40億円だったため、
売上高は約54%増
営業赤字は縮小
する計画です。
まだ赤字ですが、Liberawareより一歩先に売上規模が大きくなっています。
投資判断軸
成長性・市場拡大:★★★★★
実用化・社会実装:★★★★★
国産・防衛・セキュリティ:★★★★★
収益化への距離:★★★☆☆
株価水準:★★★★☆
総合投資判断:やや強気
2026年9月4日の終値は1,450円。
年初来高値は4,130円。
現在は高値から約65%下落しています。
PBRは9.95倍です。
テーマ株としてかなり過熱した株価が大きく調整したため、以前よりは買いやすくなりました。
ただし注意したいのが資金調達です。
ACSLは2026年8月24日に海外募集による新株発行を発表しています。
成長投資には必要ですが、既存株主にとっては希薄化要因になります。
そのため、事業テーマなら1位候補ですが現在の投資判断では2位とします。
今後、防衛・政府案件が単発受注から継続量産へ移れるかが重要です。
有望銘柄③ Terra Drone(278A)
3位はTerra Droneです。
企業としての成長ストーリーは、今回4社の中でもかなり大きいと思います。
同社は、
ドローン測量
点検
UTM(運航管理)
海外展開
を進めています。
そして2026年8月、さらに大きな材料が出ました。
防衛装備庁の迎撃ドローン早期取得プログラムで、国産迎撃ドローン「Terra B1」が実証試験を通過し、量産段階へ進みました。
ドローン点検会社から、
防衛ドローン+空の交通管理企業
へ企業評価が変わる可能性があります。
ただし足元業績はまだ赤字
2027年1月期第1四半期は、
売上高 10.1億円 6.6%増
営業損失 4.34億円
経常損失 3.25億円
でした。
前年同期より営業赤字は拡大しています。
通期でも、
売上高50.73億円
営業損失16.58億円
純損失12.66億円
を予想しています。
まだ利益で買える企業ではありません。
最大の問題は株価
2026年9月4日の終値は20,470円。
8月25日の迎撃ドローン発表などを受け、株価は急騰しています。
年初来安値は2,055円。
年初来高値は22,290円です。
つまり2026年だけで、一時10倍以上になっています。
PBRも44.54倍です。
投資判断軸
成長性・市場拡大:★★★★★
実用化・社会実装:★★★★★
国産・防衛・セキュリティ:★★★★★
収益化への距離:★★☆☆☆
株価水準:★☆☆☆☆
総合投資判断:中立
企業テーマは今回1位クラスです。
しかし現在の株価には、
防衛ドローン量産
UTM成長
海外展開
への期待が非常に大きく入っています。
特に2026年9月4日だけでも株価は10.77%上昇しました。
私は今から追いかけるより、押し目を待ちたいと考えています。
2027年1月期第2四半期決算も9月14日に予定されているため、その内容を確認したいところです。
「一番伸びそうな会社」と「今一番買いやすい株」は違う
という典型的な銘柄です。
有望銘柄④ ブルーイノベーション(5597)
4位はブルーイノベーションです。
ブルーイノベーションの特徴は、機体メーカーというより、
ドローンを遠隔・自動運用するプラットフォーム企業
であることです。
ドローンやロボットを統合管理する「Blue Earth Platform」を軸に、
点検
物流
教育
ポートシステム
などを展開しています。
特に点検事業の成長を評価しています。
2026年12月期上期は売上高7億5,500万円、前年同期比44.3%増。
点検ソリューションが成長を牽引しました。
一方、営業損失は1億8,000万円で赤字が続いています。
通期では、
売上高 16億円
営業損失 3.8億円
を予想しています。
前年2025年12月期は売上高10.51億円、営業損失5.48億円だったため、
約52%増収+赤字縮小
を計画しています。
これは悪くありません。
投資判断軸
成長性・市場拡大:★★★★☆
実用化・社会実装:★★★★★
国産・防衛・セキュリティ:★★★☆☆
収益化への距離:★★★☆☆
株価水準:★★☆☆☆
総合投資判断:中立~やや強気
2026年9月4日の終値は1,370円。
年初来高値3,045円から約55%下落しています。
価格だけならかなり調整しました。
しかしPBRは109.42倍。
さらに自己資本比率も低いため、財務面には注意が必要です。
時価総額は約56億円と非常に小さいため、営業黒字化すれば株価変化は大きくなる可能性があります。
逆に追加資金調達が必要になれば希薄化リスクがあります。
そのため4位とします。
ドローン業界の有望銘柄ランキング
1位 Liberaware(218A)
狭小空間ドローン+下水道+原発+災害・安全保障。株価は高値から約36%調整。社会実装の具体性を最も評価。
2位 ACSL(6232)
国産ドローン+政府・防衛調達。売上高約54%増予想、高値から約65%調整。ただし増資による希薄化に注意。
3位 Terra Drone(278A)
測量+UTM+迎撃ドローン。成長ストーリーは最大級だが、年初来10倍超まで急騰しPBR44倍台。
4位 ブルーイノベーション(5597)
ドローン統合管理+点検。上期売上44%増、通期約52%増収予想。ただし赤字・財務面を考慮。
今回のランキングで重要なのは、4社ともまだ完成した収益企業ではないことです。
通常の銘柄分析なら、
PER10倍
配当3%
営業利益20%増
といった比較ができます。
しかしドローン専業株ではそうはいきません。
多くがまだ、
研究開発
社会実装
顧客開拓
量産化
の途中です。
そのため私は、
「PERが何倍か」より「赤字から黒字へ向かっているか」
を重視します。
特に注目したいのが、
Liberaware
ACSL
です。
Liberawareは「人が入れない狭い場所」。
ACSLは「国産・政府・防衛」。
競争する市場がかなり明確です。
一方、Terra Droneは企業として非常に面白いのですが、2026年だけで株価が約10倍になったため、現時点では事業評価と株価評価を分ける必要があります。
まとめ
ドローン業界の将来性を5段階で評価するなら「5」です。
ただし私は、
「数年後には街中を配送ドローンが大量に飛んでいる」
という理由で評価しているわけではありません。
もっと現実的な需要を重視しています。
それが、
インフラ点検
下水道調査
建設測量
災害対応
物流省人化
警備
防衛
です。
これらには共通点があります。
すべて、
危険・人手不足・人が入りにくい
という問題があります。
ここをドローンが代替できます。
さらに今後、
ドローン
+AI
+3Dデータ
+自律飛行
+ロボット
が組み合わされれば、人が操縦しなくても自動で点検・解析する時代へ進む可能性があります。
私はドローン産業の本当の成長は、
「ドローンを売る市場」から「ドローンに仕事をさせる市場」へ移ること
で始まると考えています。
現時点でキャピタルゲインを狙う本命はLiberaware(218A)。
国産・防衛テーマを重視するならACSL(6232)。
企業成長力そのものではTerra Drone(278A)も非常に有望ですが、現在は株価が急騰しすぎているため押し目待ち。
小型株の黒字転換による大幅な評価変化を狙うならブルーイノベーション(5597)です。
特に今後は、単発の実証実験件数ではなく、
「実証実験が継続契約・量産発注へ変わったか」
を見ることがドローン株投資で最も重要になると考えています。
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