ナカニシ(7716)が2026年8月7日に発表した2026年12月期中間決算を分析します。
売上高は472億3500万円で前年同期比20.5%増、EBITDAは127億7000万円で22.9%増、営業利益は100億1300万円で32.0%増、経常利益は115億7700万円で67.1%増、親会社株主に帰属する中間純利益は81億4500万円で132.0%増となりました。
歯科、DCI、外科、機工のすべての事業が二桁増収となり、為替影響を除いても売上高は12.3%増です。さらに会社は通期業績予想を上方修正しました。
ただし、経常利益と純利益の伸びには為替差益や前年の税負担の反動も含まれています。
そのため私は今回を、本業の営業利益32%増を最も高く評価しつつ、純利益132%増は少し割り引いて見る非常に強い決算と評価します。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★★★★ | 472.35億円、20.5%増 |
| EBITDA | ★★★★★ | 127.70億円、22.9%増 |
| 営業利益 | ★★★★★ | 100.13億円、32.0%増 |
| 営業利益率 | ★★★★★ | 約19.4%→21.2%へ改善 |
| 歯科事業 | ★★★★★ | 14.6%増収、営業利益11.9%増 |
| DCI事業 | ★★★★☆ | 23.6%増収、営業利益約10倍。ただし値上げ前需要あり |
| 外科事業 | ★★★★★ | 53.4%増収、20.4%増益 |
| 機工事業 | ★★★★★ | 28.6%増収、営業利益273%増 |
| 通期予想 | ★★★★★ | 営業利益186.49億円へ上方修正 |
| 進捗率 | ★★★★★ | 通期営業利益の約53.7% |
| 特殊要因 | ★★★☆☆ | 為替差益と前年税負担反動が経常・純利益を押し上げ |
| CF | ★★★☆☆ | 営業CFは良好だが買収でFCFは大幅マイナス |
| 財務 | ★★★★☆ | 自己資本比率69.6%。買収で借入・のれん増加 |
| 株主還元 | ★★★★★ | 実質年間60円へ増配+1対2株式分割 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★★ | 全事業成長+上方修正を評価 |
売買判断
保有 ★★★★★
新規買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私はナカニシの保有を継続します。
今回の決算では、営業利益32%増という本業の伸びが非常に強く、しかも4事業すべてが二桁増収です。通期予想も上方修正されました。
追加買いも前向きに考えますが、経常利益・純利益には為替の追い風が入り、DCIには値上げ前の駆け込み需要もあります。そのため決算後の急騰を追うより、押し目で増やしたいです。
営業利益32%増、利益率も改善
売上高は391億9000万円から472億3500万円へ20.5%増加しました。
営業利益は75億8700万円から100億1300万円へ32.0%増です。
営業利益率は約19.4%から21.2%へ改善しました。
売上総利益は231億400万円から274億2500万円へ増加する一方、販管費の伸びを抑えたことで、増収率を上回る営業増益となっています。
為替を除いても12.3%増収ですので、単純な円安だけで作った成長ではありません。
主力の歯科事業は安定成長
歯科事業は売上269億6300万円で14.6%増、営業利益89億6200万円で11.9%増となりました。
国内、北米、欧州、アジアのすべてで増収です。
営業利益率も約33%あり、依然としてナカニシ最大の収益源です。
爆発的な成長率ではありませんが、主力事業が世界各地域で伸びていることは安心材料です。
外科・機工が次の成長源
外科事業は売上39億900万円で53.4%増、営業利益14億7400万円で20.4%増でした。
機工事業も売上42億800万円で28.6%増、営業利益は前年3億600万円から11億4200万円へ273%増となっています。
歯科以外の事業が利益を大きく伸ばしていることは重要です。
今後、歯科依存度を下げながら外科・機工を成長させられれば、会社全体の利益成長率をさらに引き上げられます。
DCIの約10倍増益は少し割り引く
DCI事業は売上121億5500万円で23.6%増、営業利益6億7400万円で913.9%増となりました。
数字だけなら非常に強いですが、会社は値上げ前の駆け込み需要が増収要因だったと説明しています。
また前年の営業利益が6600万円程度と低かったため、増益率も非常に大きく見えています。
そのため私は「営業利益約10倍」という数字をそのまま今後の成長率としては見ません。
次の決算で値上げ後も販売が維持されるかを確認します。
純利益132%増には為替の影響が大きい
今回の経常利益は67.1%増、純利益は132.0%増と、営業利益32%増を大きく上回っています。
主な理由の一つが為替です。
前年は11億6900万円の為替差損でしたが、今回は11億3100万円の為替差益となりました。
これだけで約23億円の前年差があります。
さらに前年には約11億6300万円の過年度法人税等がありましたが、今回は計上されていません。
したがって私は、
純利益132%増=本業利益が2倍以上になった
とは評価しません。
本業を見るなら営業利益32%増を重視します。
通期予想を上方修正、営業利益進捗53.7%
修正後の通期予想は、
売上高 944億8000万円
EBITDA 243億4000万円
営業利益 186億4900万円
経常利益 190億6200万円
純利益 135億4400万円
です。
中間期の進捗率は、
売上高 約50.0%
EBITDA 約52.5%
営業利益 約53.7%
経常利益 約60.7%
純利益 約60.1%
となっています。
上方修正後でも営業利益はすでに53%を超えています。
下期に営業利益約86億円を稼げば通期計画を達成できますので、現時点ではかなり順調です。
CFは買収で大きく動いた
営業CFは76億2100万円で、前年75億7800万円からほぼ横ばいです。
本業からのキャッシュ創出力は維持されています。
一方、投資CFは189億6900万円のマイナスです。Acra CutとIntechの買収に約132億4800万円を支出したことが大きく影響しています。
単純な営業CF+投資CFでは約113億円のマイナスです。
ただしこれは業績悪化によるものではなく、成長投資によるCF悪化です。
今後重要なのは、今回買収した企業が売上・営業利益をどれだけ押し上げるかです。
財務はまだ強いが借入増加に注意
総資産は1601億5500万円から1745億5100万円へ増加しました。
買収により、のれんが53億9100万円から178億8100万円へ約125億円増加しています。
短期借入金も77億7400万円から161億1900万円へ増加しました。
一方、自己資本比率は69.6%と依然として非常に高い水準です。
したがって現時点で財務を心配する必要はありませんが、今後は買収先の収益がのれんや借入増加に見合っているかを見ます。
株式分割と実質増配
会社は2026年10月1日付で1株を2株に分割します。
中間配当は分割前で30円、期末配当予想は分割後15円です。
分割前換算では期末30円となるため、年間配当は実質60円です。
前期54円から6円増配となります。
さらに株式分割によって投資単価も下がるため、新規投資家が買いやすくなる点も株価にはプラス材料です。
私ならどう売買するか
私はナカニシを保有継続します。
営業利益32%増、全4事業二桁増収、通期上方修正という内容なら売却する理由はありません。
特に外科・機工が大きく成長していることを評価します。
追加買いも検討しますが、DCIの駆け込み需要や為替差益の影響がなくなった後でも営業利益が成長できるかを確認しながら増やします。
次の決算で見るポイント
最重要は営業利益です。
為替ではなく、本業で現在の20%台の利益率を維持できるかを見ます。
次にDCIの値上げ後の販売動向、外科・機工の高成長継続、Acra CutとIntechの買収効果を確認します。
また通期営業利益186億円をさらに上回れるかにも注目します。
売却を考える条件
私が売却を考えるのは、主力歯科事業が減益へ転じ、外科・機工の成長でも補えなくなった場合です。
また、買収によってのれんや借入だけが増え、営業CFや利益成長につながらない場合も評価を見直します。
通期上方修正後の営業利益186億円を下回るような下方修正が出る場合も警戒します。
今回の私の結論
今回のナカニシの中間決算は、かなり強い好決算です。
売上高20.5%増、営業利益32.0%増。為替を除いても12.3%増収し、歯科・DCI・外科・機工のすべてが二桁増収となりました。
純利益132%増には為替差損益の改善や前年の税負担反動もありますが、それを除いても営業利益32%増という本業の数字は十分強いです。
さらに通期予想を上方修正し、営業利益進捗率は53.7%。実質年間配当も54円から60円へ増配となります。
そのため今回の総合評価は★★★★★です。
私は保有を継続し、押し目では追加買いを検討します。
キャピタルゲインという視点で次に重要なのは、今回の為替差益ではありません。
歯科の安定成長に加えて外科・機工を第二、第三の利益柱へ育て、買収した2社も利益成長へつなげられるか。
ここが確認できれば、ナカニシの成長率はもう一段上がる可能性があると考えます。
コメント