第四北越フィナンシャルグループ(7327)が2026年7月31日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。
経常収益は696億6200万円で前年同期比20.6%増、経常利益252億3700万円で44.1%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は176億8500万円で38.3%増となりました。
さらに通期業績予想を上方修正し、通期経常利益780億円、純利益530億円へ引き上げています。年間配当も前期の株式分割調整後63円から80円へ増配予想です。
今回は金利上昇による資金利益の増加だけでなく、役務利益、貸出残高、利ざやまで改善しています。一方で株式等関係損益の増加も利益を押し上げているため、この部分は本業と分けて評価します。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 経常収益 | ★★★★★ | 696.62億円、20.6%増 |
| 経常利益 | ★★★★★ | 252.37億円、44.1%増 |
| 純利益 | ★★★★★ | 176.85億円、38.3%増 |
| 本業収益力 | ★★★★★ | 連結コア粗利益398.25億円、約23.5%増 |
| 資金利益 | ★★★★★ | 278.59億円、約16.9%増 |
| 利ざや | ★★★★★ | 預貸金レート差1.11%、総資金利鞘0.43%へ改善 |
| 主要事業 | ★★★★★ | 銀行・リース・証券すべて増益 |
| 通期予想 | ★★★★★ | 経常利益780億円、純利益530億円へ上方修正 |
| 進捗率 | ★★★★★ | 純利益は上期計画の66.9%、通期の33.3% |
| 特殊要因 | ★★★★☆ | 株式等関係損益増加の寄与は大きいが、本業も大幅増益 |
| 財務・健全性 | ★★★★☆ | 純資産増加、不良債権比率1.92%へ改善 |
| CF | ★★★☆☆ | 第1四半期CF計算書は未作成 |
| 株主還元 | ★★★★★ | 年間63円相当から80円へ増配 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★★ | 上方修正・増配・利ざや改善が揃う |
売買判断
保有 ★★★★★
追加買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私は第四北越FGの保有を継続します。
今回の経常利益44%増はかなり強く、さらに会社は第1四半期の時点ですでに通期予想を上方修正しています。金利正常化による利益拡大が実際の数字として表れており、キャピタルゲインという面でも評価しやすい決算です。
追加買いも前向きですが、株式等関係損益の増加も大きいため、決算後の急騰を追うより押し目で増やしたいと考えます。
本業の利益がしっかり伸びている
連結コア粗利益は前年同期322億4100万円から398億2500万円へ増加しました。約23.5%増です。
その内訳では、資金利益が238億3100万円から278億5900万円へ40億2800万円増、役務取引等利益も62億4500万円から72億6300万円へ約10億円増えています。連結業務純益も150億8000万円から189億700万円へ約25%増加しました。
したがって今回の好決算は、株式売却益だけで作ったものではありません。
金利上昇メリットがかなり明確
第四北越銀行単体では、貸出金利回りが前年同期1.14%から1.37%へ上昇しました。預金等利回りも0.15%から0.26%へ上昇していますが、貸出金利の上昇幅の方が大きく、預貸金レート差は0.99%から1.11%へ改善しています。
総資金利鞘も0.30%から0.43%へ上昇しました。
これは今回の決算で最も評価したい部分です。
単に「金利が上がれば銀行株に有利」という期待ではなく、実際に貸出金利回り、利ざや、資金利益のすべてが改善しています。
貸出残高も増えている
貸出金残高は前年同期末から3117億円増加し、5兆9236億円となりました。
特に県外事業性貸出が3259億円増えており、ストラクチャードファイナンスが堅調です。住宅ローンや無担保ローンなどの消費性貸出も837億円増えています。
預金等残高も908億円増の8兆8049億円です。
つまり今回は、
貸出残高増加+貸出金利上昇+利ざや拡大
という銀行にとってかなり良い組み合わせです。
株式等関係損益の寄与は無視できない
一方、経常利益44.1%増をすべて本業成長と見るのは少し強すぎます。
第四北越銀行単体の株式等関係損益は前年25億1000万円から62億3000万円へ増加しました。約37億円の改善です。
一方で国債等債券損益は前年2億6600万円の赤字から38億700万円の赤字へ悪化しています。
つまり有価証券関係では株式利益が大きく増えた一方、債券では損失が拡大しています。
それでも連結コア粗利益が約76億円増え、連結業務純益も約38億円増えているため、特殊要因を除いても本業はかなり強いと評価します。
銀行以外も増益
銀行業の経常利益は167億2700万円から234億6000万円へ増加しました。
リース業は1億4000万円から3億4000万円、証券業も3億8100万円から8億8600万円へ増益しています。
利益の中心は当然銀行ですが、グループ各事業も改善しています。
投資信託・公共債・保険などの預かり資産残高も前年同期末から2166億円増え、1兆2947億円となっています。
手数料ビジネスの成長という意味でもプラスです。
上方修正後でも進捗はかなり高い
会社は通期経常利益を780億円、純利益を530億円へ上方修正しました。前期比ではそれぞれ27.6%増、25.8%増の計画です。
第1四半期純利益176億8500万円は、上期予想264億円の66.9%、通期530億円の33.3%まで進んでいます。会社自身もこの進捗率を資料で示しています。
すでに上方修正した後でも、第1四半期で通期の3分の1を稼いでいます。
現時点ではかなり強い進捗です。
財務と資産健全性も改善
純資産は前期末5694億円から5983億円へ増加しました。貸借対照表上の自己資本比率は5.2%から5.6%へ上昇していますが、これは銀行規制上の自己資本比率とは別物です。
不良債権比率は連結で前年同期2.07%から1.92%へ改善しました。不良債権額も1176億円から1150億円へ減少しています。
貸出を増やしながら不良債権比率が改善しているため、現時点では融資拡大による資産劣化は見られません。
なお、第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていませんので、今回はCFを数字で評価できません。
配当は63円相当から80円へ
2026年3月期の年間配当は株式分割調整後で63円でした。
2027年3月期は中間40円、期末40円、年間80円へ増配する予想です。
17円増配、単純計算では約27%の増配です。
利益予想の上方修正と同時に株主還元も引き上げており、キャピタルゲインだけでなく配当面でもかなり魅力が増しています。
私ならどう売買するか
私は保有を継続します。
経常利益44%増だけでなく、資金利益、役務利益、貸出残高、利ざやがすべて改善し、そのうえで通期予想と配当まで上方修正されています。
株式等関係損益の寄与が大きいため、私は急騰局面で一気に買い増すことはしません。ただし金利上昇メリットが本業利益へ継続的に表れているため、押し目では追加買いを検討します。
次の決算で見るポイント
一番は預貸金レート差です。現在1.11%まで上昇しており、さらに拡大するかを見ます。
次に資金利益、貸出残高、連結コア粗利益の成長を確認します。株式等関係損益に頼らなくても利益を伸ばせる状態が続くことが重要です。
また、不良債権比率1.92%と信用コストが悪化しないか、上方修正後の通期純利益530億円に対して高い進捗を維持できるかにも注目します。
売却を考える条件
私が売却を考えるのは、預貸金利ざやが縮小へ転じ、資金利益まで減少する場合です。
また、貸出増加とともに不良債権や信用コストが急増する場合、あるいは株式等関係損益を除く本業利益が減益へ転じる場合も評価を下げます。
逆に利ざや拡大、貸出増加、高進捗、増配が続くなら、私は簡単には売却しません。
今回の私の結論
今回の第四北越フィナンシャルグループの第1四半期決算は、かなり強い好決算です。
経常収益20.6%増、経常利益44.1%増、純利益38.3%増。
さらに連結コア粗利益は約23.5%増え、資金利益も約17%増えています。預貸金レート差は0.99%から1.11%、総資金利鞘は0.30%から0.43%へ改善しました。
一方、株式等関係損益の増加も経常利益を大きく押し上げていますので、利益44%増すべてを恒常的な成長とは見ません。
それでも本業利益そのものが大幅に増えているため、今回の総合評価は★★★★★です。
私は保有を継続し、押し目では追加買いを検討します。
次の焦点は、金利正常化による利ざや改善を継続しながら、上方修正した純利益530億円をさらに上回れるかです。
コメント