日本たばこ産業、JT(2914)が2026年7月30日に発表した2026年12月期第2四半期、中間決算を分析します。
中間期の売上収益は1兆9860億7000万円で前年同期比17.7%増、営業利益6449億4000万円で29.0%増、税引前利益6059億9900万円で32.4%増、親会社の所有者に帰属する中間利益は4318億2900万円で35.0%増となりました。EPSも180.19円から243.24円へ大きく伸びています。
さらに会社は通期業績を上方修正し、年間配当も272円としました。数字、進捗、株主還元の3つが揃ったかなり強い決算です。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上収益 | ★★★★★ | 1兆9861億円、17.7%増 |
| 営業利益 | ★★★★★ | 6449億円、29.0%増 |
| 利益率 | ★★★★★ | 営業利益率約32.5%へ改善 |
| たばこ事業 | ★★★★★ | 調整後営業利益6829億円、約25%増 |
| 加工食品 | ★★★★☆ | 調整後営業利益40.7億円、約58%増 |
| 本業利益 | ★★★★★ | 為替一定ベース調整後営業利益19.4%増 |
| 通期予想 | ★★★★★ | 売上・利益を大幅上方修正 |
| 進捗率 | ★★★★★ | 営業利益約64%、純利益約67% |
| 特殊要因 | ★★★★☆ | カナダ訴訟等を除いた調整後利益でも強い |
| 財務 | ★★★★☆ | 親会社所有者帰属持分比率50.7%へ改善 |
| CF | ★★★★★ | 営業CF3313億円、前年の約2倍 |
| 株主還元 | ★★★★★ | 年間272円、前期234円から38円増配 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★★ | 上方修正後でも高進捗。利益成長と増配が両立 |
売買判断
保有 ★★★★★
追加買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私はJTの保有を継続します。
今回は「高配当だから持つ」というだけの決算ではありません。営業利益29%増に加え、特殊要因を調整した利益も大きく伸びています。
さらに通期業績を上方修正しながら、年間配当も272円へ増やしています。
追加買いも前向きですが、決算後に株価が急騰する場面では追いかけず、押し目で増やしたいと考えます。
営業利益率は約32.5%へ上昇
売上収益は1兆6867億8900万円から1兆9860億7000万円へ増加し、営業利益は5001億2900万円から6449億4000万円へ増えました。
営業利益率は約29.6%から約32.5%へ改善しています。
売上総利益も9713億円から1兆1699億円へ拡大しており、単なる売上拡大ではなく利益率まで上昇した決算です。
特殊要因を除いても本業は強い
JTを見るときは営業利益だけでなく「調整後営業利益」が重要です。
今回の調整後営業利益は6617億2100万円で、前年5244億9300万円から約26%増えました。
さらに為替変動を除いた「為替一定ベース調整後営業利益」も6261億4700万円で19.4%増です。
ここを私はかなり評価します。
為替だけで利益が増えたわけではなく、為替影響を除いても約19%成長しています。
たばこ事業が圧倒的に強い
たばこ事業の売上収益は1兆9055億9300万円、調整後営業利益は6829億200万円でした。
前年は売上1兆6087億7900万円、調整後営業利益5449億2000万円ですので、売上は約18.4%増、利益は約25.3%増となります。
地域別の自社たばこ製品売上収益も、
Asia 4575億円
Western Europe 4273億円
EMA 9436億円
と、海外を中心に大きな規模があります。たばこ事業だけで調整後営業利益6829億円を稼いでおり、JTの利益成長をほぼこの事業が牽引しています。
加工食品も利益改善
加工食品事業は売上収益792億3700万円、調整後営業利益40億7000万円です。
前年は売上767億4700万円、調整後営業利益25億6800万円でしたので、売上は約3.2%増に対して利益は約58%増となりました。
全社への利益寄与は小さいものの、収益性改善はプラス材料です。
カナダ訴訟は数字を分けて見る
今回JTは、カナダの喫煙と健康に関する訴訟の和解に伴う分割支払額相当の利益を「カナダ調整」として調整後営業利益から除外しています。
中間期のカナダ調整は81億8900万円です。また買収に伴う無形資産償却243億3500万円、リストラクチャリング等の調整項目もあります。
つまり私は、営業利益6449億円だけでなく、これらを調整した6617億円の利益も確認しています。
その調整後利益が大きく増えているため、今回の好決算を特殊要因だけによるものとは見ません。
通期予想を大幅上方修正
JTは今回、通期予想を引き上げました。
売上収益は3兆8850億円、営業利益1兆80億円、親会社帰属利益6440億円を予想しています。
従来予想から、
売上収益 1880億円増
営業利益 870億円増
親会社帰属利益 740億円増
というかなり大きな上方修正です。
それでも中間期の進捗率は、
売上収益 約51.1%
営業利益 約64.0%
親会社帰属利益 約67.1%
となっています。
すでに上方修正した後の計画に対して利益が6割を大きく超えているため、進捗は非常に強いです。
CFも大幅改善
営業CFは3313億2900万円で、前年1674億5100万円からほぼ倍増しました。
投資CFは584億2200万円のマイナスですので、単純な営業CF+投資CFでは約2729億円のプラスとなります。
会社も、主にたばこ事業による安定したキャッシュ創出が営業CFを支えたと説明しています。
高配当を続けるうえでも、このキャッシュ創出力は非常に重要です。
財務も改善
総資産は8兆6699億円、資本合計は4兆4231億円、親会社所有者帰属持分比率は48.5%から50.7%へ改善しました。
現金及び現金同等物は8279億円あります。
社債・借入金は短期1171億円、長期1兆5597億円と大きいですが、巨大な営業CFを生み出せており、資本比率も改善しています。
現時点では財務を大きな弱点とは見ません。
年間配当は272円へ
今期は中間136円、期末136円、年間272円の配当予定です。
前期234円から38円増えます。
会社はカナダ訴訟の和解金支払い等を調整した当期利益6420億円を基準に、配当性向75.2%として算定しています。
利益成長をキャピタルゲインにつなげながら、配当も大幅増額している点はかなり魅力的です。
私ならどう売買するか
私はJTの保有を継続します。
今回のポイントは、単に高配当ということではなく、
営業利益29%増
為替一定ベース調整後営業利益19.4%増
通期業績上方修正
年間272円への増配
が同時に出ていることです。
押し目では追加買いも検討します。
ただし上期が非常に強かった分、下期に利益成長が鈍化する可能性もありますので、急騰時の追加は避けます。
次の決算で見るポイント
最優先はたばこ事業の調整後営業利益です。今回約25%増でしたので、この勢いが続くかを見ます。
次に為替一定ベースの利益成長、上方修正後の営業利益1兆80億円への進捗、営業CFを確認します。
加えてカナダ和解に伴う支払いの影響、ロシア事業の今後についても継続して確認します。
売却を考える条件
私が売却を考えるのは、為替を除いたたばこ事業の利益が明確な減少へ転じた場合です。
また、営業CFが大きく悪化する、通期業績が下方修正される、現在の株主還元方針が大きく後退する場合も評価を見直します。
単純な為替変動による四半期減益だけなら、私はすぐには売却しません。
今回の私の結論
今回のJTの中間決算は、かなり強い好決算です。
売上収益17.7%増、営業利益29.0%増、親会社帰属利益35.0%増。さらに為替一定ベースの調整後営業利益も19.4%増えており、本業そのものが強いです。
その結果、会社は通期営業利益を9210億円から1兆80億円へ870億円上方修正しました。それでも中間期の進捗率は約64%あります。
年間配当も前期234円から272円へ増配です。
私は今回を**★★★★★**と評価します。
保有は継続し、押し目では追加買いを検討します。
キャピタルゲインという視点でも、JTは「高配当だから株価上昇は期待しにくい銘柄」ではなくなっています。
今後の焦点は、現在のたばこ事業の高い利益成長を維持し、すでに上方修正した営業利益1兆80億円をさらに上回れるかです。
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