【アイキャッチ用短文】
家電量販店は「家電を安く売る店」から生活サービス企業へ。省エネ家電・リフォーム・スマホ・ECを取り込める会社が強くなる。
家電量販店業界の今後はどうなる?
家電量販店業界について、私は今後3~5年を「やや強気」と見ています。
人口減少を考えると、冷蔵庫や洗濯機、テレビの保有台数が大きく増える市場ではありません。
そのためAIや防衛、データセンターのような高成長業界ではありません。
しかし家電には必ず「買い替え」があります。
冷蔵庫
洗濯機
エアコン
テレビ
パソコン
スマートフォン
は壊れれば買い替える必要があります。
さらに近年は電気代上昇によって、省エネ性能の高い家電への買い替えメリットも大きくなっています。
経済産業省の商業動態統計では、2025年の家電大型専門店販売額は約4兆9,214億円で前年比4.1%増となりました。2026年7月も販売額4,770億円、前年同月比10.4%増と好調です。生活家電は17.1%増、通信家電は26.5%増となりました。
私は家電量販店について、「衰退産業」という見方はしていません。
ただし今後は、単純に家電を並べて安く販売するだけでは利益を伸ばしにくくなります。
2026年はエアコン需要が非常に強い
2026年の家電量販店業績を押し上げている代表商品がエアコンです。
2026年7月は主要家電量販店6社すべてが前年同月売上を上回りました。
ケーズHD115.8%
エディオン115.6%
Joshin114.9%
ヤマダHD110.9%
ビックカメラ108.5%
コジマ106.8%
となっています。
特にエアコンはエディオン153.6%、Joshin154.9%、ケーズHD138.8%と大きく伸びました。
猛暑という一時的な要因もあります。
しかしもう一つ重要なのが省エネです。
古いエアコンや冷蔵庫は、新しい製品と比較すると消費電力が大きくなる場合があります。
電気料金が高くなれば、
「壊れるまで使う」
より、
「電気代を下げるために買い替える」
という需要も発生します。
私は今後の家電量販店にとって、省エネ家電への更新需要は比較的長く続くテーマになると考えています。
パソコン特需の反動には注意
一方、2025年に業界を押し上げたパソコン需要については注意が必要です。
2025年はWindows 10のサポート終了に伴う買い替え需要があり、家電量販店の情報家電販売は前年比13.9%増と大きく伸びました。
しかし買い替え特需は永遠には続きません。
実際、2026年7月の家電大型専門店では情報家電が前年同月比11.1%減となっています。
つまり2026年以降は、
パソコン特需
から、
エアコン
スマートフォン
高付加価値家電
リフォーム
サービス
へ成長源を切り替えられる会社が有利です。
家電量販店は「住宅サービス会社」へ変わる
私が特に注目している変化がリフォームです。
家電量販店には住宅設備との相性があります。
エアコンを交換する
給湯器を交換する
キッチンを交換する
太陽光発電を付ける
蓄電池を設置する
といった需要です。
家電だけならAmazonなどEC企業との価格競争になりやすいですが、リフォームには、
現地調査
施工
工事
アフターサービス
が必要です。
ネット通販だけで完結しにくいため、全国に店舗と施工ネットワークを持つ家電量販店に強みがあります。
この分野で先行しているのがヤマダHDやエディオンです。
私は今後の家電量販店について、
「家電小売業」から「住宅・生活サービス業」へ変われるか
が重要だと考えています。
ECは家電量販店の敵だけではない
Amazonなどネット通販は家電量販店の大きな競争相手です。
店舗で商品を確認して、スマートフォンで最安値を調べ、そのままネットで購入する消費者もいます。
これは以前から家電量販店の大きな問題でした。
しかし大手量販店側もECを強化しています。
家電は、
実物を見る
店員へ相談する
ネットで注文する
店舗で受け取る
設置してもらう
といった店舗とネットの組み合わせが機能しやすい商品です。
今後は「店舗かECか」ではなく、
店舗+EC+配送+工事+修理
を一体化できる会社が強くなると考えています。
インバウンドではビックカメラが強い
家電量販店の中でも少し特殊なのがビックカメラです。
大型駅前店舗が多いため、訪日外国人需要の恩恵を受けやすい特徴があります。
さらにビックカメラは家電だけでなく、
時計
酒類
医薬品
玩具
ゲーム
などの商品構成を持っています。
そのためエアコン需要など特定家電の変動を受けにくいというメリットがあります。
2026年7月もビックカメラ単体売上は前年同月比108.5%でした。
家電量販店というより「都市型総合専門店」に近い会社だと考えています。
業界再編もまだ進む可能性
家電量販店業界はすでに、
ヤマダ
ビックカメラ+コジマ
エディオン
ケーズ
Joshin
など大手へ集約されています。
人口が減少する中、地方の小型家電店が単独で大規模EC投資、物流投資、システム投資を行うのは難しくなります。
そのため今後も大手チェーンへの集約が進む可能性があります。
スーパー業界と同じく、
「市場全体は大きく伸びなくても、大手企業のシェアは上がる」
という構造になりやすいと考えています。
家電量販店株を見るための投資判断軸
家電量販店株では「成長性」「家電以外の収益源」「店舗・EC競争力」「株価水準」「株主還元」の5項目で評価します。
特に私は営業利益率を重視します。
家電量販店は薄利業態なので、売上高が5%増えるだけでは十分ではありません。
粗利益率改善やコスト削減によって、
売上+5%
営業利益+20%
のように、利益が売上以上に伸びる企業を高く評価します。
有望銘柄① ケーズホールディングス(8282)
今回の家電量販店株で第一候補にするのはケーズホールディングスです。
「ケーズデンキ」を全国展開しています。
2027年3月期第1四半期は非常に強い決算となりました。
売上高1,999億円で前年同期比12.4%増。
営業利益は124億81百万円で136.8%増、経常利益133億96百万円で125.0%増、純利益91億61百万円で100.7%増となりました。
売上高12%増に対して営業利益が2倍以上になっている点を高く評価します。
2026年7月の月次売上も前年同月比115.8%で、主要家電量販店の中で最も高い伸びでした。
投資判断軸
成長性:★★★★★
家電以外の収益源:★★★☆☆
店舗・EC競争力:★★★★★
株価水準:★★★★★
株主還元:★★★★★
総合投資判断:強気
2026年9月4日の終値は1,902円。
予想PER14.70倍、PBR1.16倍です。
2027年3月期の年間配当は48円を予定しており、前年46円から増配予想です。
営業利益が第1四半期で136%増えているにもかかわらずPER15倍を下回っています。
もちろん猛暑によるエアコン需要という一時的な押し上げはあります。
それを考慮しても、現在の業績と株価のバランスでは今回最も投資妙味が高いと判断し1位としました。
有望銘柄② エディオン(2730)
2位はエディオンです。
エディオンを高く評価する理由は、家電以外のサービスへ比較的早く展開していることです。
特にリフォーム・住宅設備との相性が良く、「家電を売って終わり」ではない収益構造を作ろうとしています。
そして足元の業績も非常に強いです。
2027年3月期第1四半期は売上高2,014億94百万円で前年同期比9.9%増。
営業利益は110億77百万円で134.0%増、経常利益127.5%増、純利益136.4%増となりました。
ケーズHDとほぼ同じように、売上以上の速度で利益が伸びています。
2026年7月の全店売上高も前年同月比115.6%、エアコンは153.6%でした。
投資判断軸
成長性:★★★★★
家電以外の収益源:★★★★★
店舗・EC競争力:★★★★☆
株価水準:★★★★☆
株主還元:★★★★★
総合投資判断:強気
2026年9月4日の終値は2,512円。
予想PER16.92倍、PBR1.11倍、予想配当利回り1.99%です。
年間配当は50円を予定しています。
さらに株主優待も魅力があります。
100株保有でエディオンギフトカード3,000円分。1年以上保有すると加算され、3年以上なら100~499株でも3,000円追加されます。
したがって100株を長期保有した場合、
配当+株主優待
を合わせた実質的な株主還元はかなり高くなります。
キャピタルゲインだけでなく、保有しながら待てる家電量販店株として評価しています。
有望銘柄③ ヤマダホールディングス(9831)
3位はヤマダホールディングスです。
売上規模では国内最大級の家電量販企業です。
ただし現在のヤマダHDを「ヤマダデンキだけの会社」と見るのは適切ではありません。
家電
家具・インテリア
住宅
リフォーム
金融
などへ事業領域を広げています。
特に住宅との組み合わせは長期的に面白いと考えています。
住宅を購入する顧客へ、
エアコン
冷蔵庫
洗濯機
家具
キッチン
太陽光
蓄電池
までまとめて販売できるからです。
2027年3月期第1四半期は売上高4,202億18百万円で前年同期比11.3%増、営業利益156億42百万円で16.8%増、経常利益14.5%増、純利益12.8%増となりました。
前期は利益面でかなり苦戦しましたが、今期第1四半期は回復しています。
投資判断軸
成長性:★★★★☆
家電以外の収益源:★★★★★
店舗・EC競争力:★★★★★
株価水準:★★★★★
株主還元:★★★★☆
総合投資判断:やや強気~強気
2026年9月4日の株価は約709円。
予想PER16.95倍、PBRはわずか0.75倍です。
年間配当は17円を予定しています。
私がヤマダHDで最も注目するのはPBR0.75倍です。
つまり市場からは、保有純資産に対してかなり低い評価しか付けられていません。
これは逆に考えると、住宅・リフォーム事業を含めてROEを改善できれば株価評価が変わる余地があります。
ただし、PBRが低いのには理由もあります。
過去の利益成長が安定しておらず、事業を多角化した割に資本効率が十分高まっていないためです。
そのため「PBR1倍割れだから買い」ではなく、今期の営業利益回復が本物かを見る銘柄だと考えています。
有望銘柄④ ビックカメラ(3048)
4位はビックカメラです。
駅前大型店を中心とし、コジマも傘下に持っています。
ビックカメラの強みは商品構成です。
家電だけではなく、
時計
玩具
酒類
医薬品
ゲーム
スマートフォン
などを販売しています。
そのため地方型家電量販店よりインバウンドや都市部消費を取り込みやすくなっています。
業績も好調です。
2026年8月期第3四半期累計は売上高7,853億73百万円で前年同期比7.6%増。
営業利益332億97百万円で35.8%増、経常利益33.5%増、純利益31.1%増となりました。
投資判断軸
成長性:★★★★★
家電以外の収益源:★★★★★
店舗・EC競争力:★★★★★
株価水準:★★★☆☆
株主還元:★★★★★
総合投資判断:やや強気
2026年9月4日の終値は1,748円。
予想PERは16倍台、PBR1.65倍、予想配当利回り約2.5%です。
業績内容はかなり良いと思います。
ただしPBRでは、
ヤマダHD0.75倍
エディオン1.11倍
ケーズHD1.16倍
に対してビックカメラは1.65倍。
今回の候補では市場から比較的高く評価されています。
また株主優待は魅力的です。
100株の場合、2月末2,000円分、8月末1,000円分で年間3,000円分のお買物優待券。さらに1年以上保有すると1,000円、2年以上では2,000円分が8月に追加されます。
したがって長期保有+株主優待まで含めるなら、非常に魅力的な銘柄です。
ただしキャピタルゲイン優先なので4位とします。
参考銘柄 Joshin(8173)
直近業績だけなら、Joshinを上位に入れたくなります。
2027年3月期第1四半期は売上高1,127億円で前年同期比13.0%増。
営業利益は31億64百万円でなんと460.1%増、経常利益541.8%増、純利益367.5%増となりました。
業績変化は今回の家電量販店の中でも最も大きいです。
しかし株価も大きく反応しています。
2026年9月4日の終値は4,225円。
予想PER31.24倍、PBR1.03倍、配当利回り2.37%です。9月1日には4,640円の年初来高値を付けています。
PER30倍超は家電量販店としてかなり高い水準です。
さらに第1四半期には前年の低い利益水準からの反動も含まれます。
そのため、
企業業績:★★★★★
現在の株価水準:★★☆☆☆
と判断し、今回は参考銘柄にしました。
ただし株主優待はかなり特徴的で、100株以上なら9月末に10,000円分の優待カードが設定されています。
株価が大きく調整した場合には再評価したい銘柄です。
家電量販店業界の有望銘柄ランキング
1位 ケーズホールディングス(8282)
1Q営業利益136.8%増+PER14倍台。利益成長と現在の株価水準を最も評価。
2位 エディオン(2730)
1Q営業利益134%増+リフォーム+優待。家電以外の収益源も強い。
3位 ヤマダホールディングス(9831)
国内最大級+住宅・リフォーム。PBR0.75倍からの資本効率改善による再評価を狙う。
4位 ビックカメラ(3048)
都市型店舗+インバウンド+コジマ。業績は強いがPBRは4社中やや高い。
参考 Joshin(8173)
1Q営業利益460%増。ただし株価上昇でPER30倍超まで評価されているため、押し目待ち。
今回かなり注目したいのはケーズHDとエディオンです。
どちらも第1四半期の売上高は10%前後の伸びですが、営業利益は前年の2倍以上になっています。
これは売上数量が増えただけではなく、商品構成や粗利益、コスト構造が改善している可能性を示しています。
家電量販店のような低利益率業態では、この「利益率の改善」が株価上昇には非常に重要です。
一方、値ごろ感という意味ではヤマダHDも面白いです。
PBR0.75倍からROEが上昇すれば、業績成長だけでなくPBRの見直しによる二重の株価上昇を狙える可能性があります。
まとめ
家電量販店業界について、将来性を5段階で評価するなら「4」です。
市場そのものが倍になるような高成長産業ではありません。
人口減少、ネット通販との競争、店舗人件費など明確な逆風もあります。
一方、2025年の家電大型専門店販売額は前年比4.1%増、2026年7月も前年同月比10.4%増となっており、少なくとも現時点で市場が急速に縮小しているわけではありません。
これから私が家電量販店株で重視したいのは、
「省エネ家電の買い替え需要を取れる」「家電だけでなくリフォームや住宅サービスを持つ」「ECと店舗を連携できる」「売上以上に営業利益を伸ばせる」「株価が利益成長に対して高すぎない」
という企業です。
そしてこの業界では株主優待も無視できません。
エディオンやビックカメラ、Joshinなどは自社店舗で利用できる優待を持っているため、株価が大きく上昇するまで優待を受け取りながら保有するという戦略とも相性があります。
私は今後の家電量販店を、単なる「テレビや冷蔵庫を販売する店」とは考えていません。
勝ち組は、
家電
スマートフォン
家具
リフォーム
住宅設備
EC
修理・工事
まで顧客との関係を広げる「生活インフラ企業」へ変わっていくと考えています。
現時点ではキャピタルゲインを狙う本命をケーズホールディングス(8282)、家電以外の成長と株主還元まで含めた対抗をエディオン(2730)とします。
割安株の再評価狙いならヤマダホールディングス(9831)にも注目しています。
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