オービック(4684)が2026年7月22日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。
売上高は366億9800万円で前年同期比13.2%増、営業利益248億6000万円で15.7%増、経常利益320億4900万円で17.7%増、純利益226億9700万円で16.3%増となりました。
主力の「OBIC7シリーズ」は大手・中堅企業からの引き合いが強く、クラウドを中心としたシステムサポート事業も15.5%増収、16.6%増益となっています。
さらに全社の営業利益率は前年の約66.2%から67.7%へ上昇しました。
私は今回を、売上・利益・受注がすべて二桁成長し、極めて高い利益率をさらに引き上げた非常に質の高い決算と評価します。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★★★★ | 366.98億円、13.2%増 |
| 営業利益 | ★★★★★ | 248.60億円、15.7%増 |
| 営業利益率 | ★★★★★ | 約66.2%→67.7%へ改善 |
| 売上総利益率 | ★★★★★ | 約78.8%→79.5%へ改善 |
| 経常利益 | ★★★★★ | 320.49億円、17.7%増 |
| 純利益 | ★★★★★ | 226.97億円、16.3%増 |
| システムインテグレーション | ★★★★★ | 11.8%増収、14.3%増益 |
| システムサポート | ★★★★★ | 15.5%増収、16.6%増益 |
| オフィスオートメーション | ★★★★☆ | 2.2%増収、17.2%増益 |
| 受注 | ★★★★★ | 全体13.8%増、サポート15.8%増 |
| 通期進捗 | ★★★★☆ | 営業利益25.4%、純利益27.7% |
| 通期予想 | ★★★★☆ | 営業利益980億円、10.3%増を維持 |
| CF | ★★★★★ | 営業CF148.50億円、FCF約172.68億円 |
| 財務 | ★★★★★ | 自己資本比率84.4% |
| 株主還元 | ★★★★★ | 年84円→94円+約100億円の自己株取得 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★★ | 高収益・受注成長・ストック収益を評価 |
売買判断
保有 ★★★★★
追加買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私はオービックを保有継続する判断です。
今回の13.2%増収、15.7%営業増益は十分強いですが、それ以上に評価したいのが営業利益率67.7%という圧倒的な収益性です。
しかも主力のシステムサポート事業が15%を超える成長を続け、受注も13.8%増えています。
追加買いも前向きですが、非常に高収益な企業であることは株価にも評価されやすいため、決算後の急騰を追うより調整局面で増やしたいです。
営業利益率は67.7%
売上高は前年324億3100万円から366億9800万円へ13.2%増加しました。
営業利益は、
214億7900万円 → 248億6000万円
となり15.7%増です。
営業利益率は、
約66.2% → 約67.7%
へ約1.5ポイント改善しました。
もともと非常に高い利益率をさらに引き上げています。
通常、売上を二桁成長させる局面では採用・営業・設備などの費用も増えやすいですが、オービックは売上成長率以上に営業利益を伸ばしています。
今回の決算で最も評価したい部分です。
売上総利益率も79.5%へ
売上総利益は、
255億6600万円 → 291億8600万円
となりました。
売上総利益率を計算すると、
前年 約78.8%
今回 約79.5%
です。
販管費は40億8700万円から43億2500万円へ増加しましたが、売上総利益の伸びで十分吸収しています。
高付加価値の商品・サービスを自社開発・直接販売するビジネスモデルの強さが、利益率にそのまま表れています。
OBIC7の大手・中堅企業への導入が拡大
システムインテグレーション事業は売上151億4500万円で11.8%増となりました。
営業利益は95億8600万円で14.3%増です。
主力の統合業務ソフトウェア「OBIC7シリーズ」は、会計を中心とするERPシステムとして製造・流通・サービス・金融など幅広い業種で利用されています。
特に今回、大手・中堅企業への新規顧客開拓が進みました。
営業利益率を計算すると、
前年 約61.9%
今回 約63.3%
まで上昇しています。
新規顧客を増やしながら利益率まで改善しているため、内容はかなり良いです。
システムサポートが成長の中心
私が今回特に注目するのはシステムサポート事業です。
売上高は、
169億5800万円 → 195億8900万円
となり15.5%増。
営業利益は、
125億600万円 → 145億8700万円
となり16.6%増です。
営業利益率は約74.5%です。
全社売上の53.4%をシステムサポート事業が占めています。
大手・中堅企業の顧客数増加に伴って、クラウドソリューションや運用支援・保守サービスが伸びています。
システムを一度導入して終わりではなく、その後のクラウド利用・運用・保守から継続的に収益を得られることがオービックの強みです。
売上の半分以上が高収益なサポート事業になっていることが、全社営業利益率67%という数字につながっています。
クラウド需要が継続成長
企業のDX、生産性向上、業務効率化への投資需要は引き続き高い状態です。
オービックは自社運営のクラウドセンターからサービスを提供しています。
クラウド関連施設の設備増強も続けています。
クラウド化が進めば、
新規システム構築
↓
クラウド利用
↓
運用・保守
という継続収益につながります。
オービックを見るうえでは、単年度のシステム販売だけでなく、システムサポート売上の成長率を確認することが非常に重要だと考えます。
今回15.5%増ですので、かなり良いです。
受注高も13.8%増
第1四半期の受注高は393億4500万円となりました。
前年同期は345億7300万円ですので13.8%増です。
内訳は、
システムインテグレーション 11.8%増
システムサポート 15.8%増
オフィスオートメーション 9.0%増
となっています。
売上実績が13.2%増なのに対して受注は13.8%増です。
現在の売上だけでなく、今後の売上につながる受注も二桁増を維持していることを評価します。
特に売上規模の大きいシステムサポートの受注が15.8%増えている点は強いです。
オフィスオートメーションは利益17.2%増
オフィスオートメーション事業は売上19億6400万円で2.2%増となりました。
増収率は小さいです。
一方、営業利益は6億8600万円で17.2%増となっています。
営業利益率は、
前年 約30.5%
今回 約34.9%
まで上昇しました。
全社への利益寄与はそれほど大きくありませんが、売上がほぼ横ばいでも利益を伸ばしているため、収益性改善という意味では評価できます。
3事業すべて増収増益
今回の3セグメントを見ると、
システムインテグレーション
11.8%増収、14.3%増益
システムサポート
15.5%増収、16.6%増益
オフィスオートメーション
2.2%増収、17.2%増益
となりました。
すべて増収増益です。
特に利益成長率がすべて売上成長率を上回っています。
特定事業だけに頼らず、全事業で収益性が改善していることを高く評価します。
経常利益17.7%増
経常利益は320億4900万円で17.7%増となりました。
営業利益15.7%増より少し高い伸びです。
営業外では、
受取配当金 29億1900万円
持分法による投資利益 18億1100万円
投資有価証券売却益 20億300万円
などを計上しています。
営業外収益全体は75億6800万円です。
オービックは本業以外からも大きな収益を得ています。
ただし私は経常利益17.7%増よりも、本業営業利益15.7%増を中心に評価します。
本業だけでも十分強いです。
包括利益77.6%減は本業悪化ではない
一見すると気になる数字があります。
第1四半期の包括利益は71億2700万円で、前年同期比77.6%減となりました。
しかしこれは本業悪化によるものではありません。
その他有価証券評価差額金が、
前年 +120億6800万円
今回 ▲150億1800万円
となったことが大きく影響しています。
オービックは投資有価証券を3095億4800万円保有しています。
そのため株式市場の変動によって包括利益や純資産が大きく動くことがあります。
営業利益や純利益とは別に考えるべき数字です。
通期営業利益980億円への進捗25.4%
通期予想は、
売上高 1487億円
営業利益 980億円
経常利益 1145億円
純利益 820億円
です。
前年比では、
売上高 10.0%増
営業利益 10.3%増
経常利益 9.3%増
純利益 9.1%増
を見込んでいます。
第1四半期の進捗率は、
売上高 約24.7%
営業利益 約25.4%
経常利益 約28.0%
純利益 約27.7%
です。
営業利益はほぼ四半期ペースですが、経常利益・純利益は25%を上回っています。
会社は通期予想を据え置いています。
現時点では大幅上振れを決めつけるほどではありませんが、第1四半期として順調なスタートです。
営業CF148.5億円
営業活動によるキャッシュ・フローは148億5000万円となりました。
前年同期の140億7500万円から5.5%増えています。
投資活動によるCFも24億1800万円のプラスです。
そのため単純に両者を合計したフリーCFは、
約172億6800万円のプラス
です。
利益率が高いだけでなく、本業からしっかりキャッシュも生み出しています。
約100億円の自己株取得
財務活動によるキャッシュ・フローは303億6600万円のマイナスとなりました。
主な内容は、
配当金支払い 203億6600万円
自己株式取得 99億9900万円
です。
つまり第1四半期だけで約304億円を株主還元に使用しています。
営業CFがプラスでありながら現金が減少したのは、業績悪化ではなく配当と自己株取得に大きく資金を使ったためです。
ここはむしろ株主還元という意味で評価できます。
現預金1943億円
現金及び預金は1942億8700万円です。
前期末の2073億8500万円から約131億円減少しました。
一方、投資有価証券は3095億4800万円あります。
自己資本比率は、
83.4% → 84.4%
へ上昇しました。
極めて高い水準です。
約100億円の自己株取得と200億円を超える配当を実施しながら、自己資本比率84%台を維持しています。
財務余力はかなり大きいと判断します。
年間配当84円から94円へ
2027年3月期の年間配当予想は94円です。
前期84円から10円増、約11.9%の増配となります。
中間47円、期末47円を予定しています。
今期は純利益9.1%増を計画していますので、利益成長以上の増配率です。
さらに第1四半期には約100億円の自己株取得も行っています。
増配+自己株買い
という株主還元はかなり強いです。
AI活用など先行投資も継続
オービックは現在の高収益を維持するだけでなく、
クラウド関連施設の設備増強
ビジネスモデル特許の登録・出願
AIの活用
などの先行投資も進めています。
足元の利益を最大化するだけではなく、次の成長に向けた投資も継続しています。
特にAIによって企業の業務システムがどのように変わるかは今後の重要テーマです。
オービックが既存ERPにAIを組み合わせ、顧客企業の生産性向上へつなげられれば新たな成長材料になる可能性があります。
私ならどう売買するか
私は現在の保有を維持する判断です。
今回評価しているのは、
売上高13.2%増
営業利益15.7%増
営業利益率66.2%→67.7%
システムサポート15.5%増収
システムサポート16.6%増益
受注13.8%増
営業CF148.5億円
自己資本比率84.4%
年間配当84円→94円
約100億円の自己株取得
です。
注意するのは、投資有価証券を3000億円以上保有しているため、市場変動によって包括利益や純資産が大きく動くことです。
ただし本業の業績には現時点で弱さがほとんど見られません。
今回の私の結論
今回のオービックの第1四半期決算は、非常に質の高い好決算です。
売上高13.2%増、営業利益15.7%増、純利益16.3%増となりました。
営業利益率はもともと高い約66.2%から、さらに67.7%へ改善しています。
主力のシステムインテグレーションは14.3%増益。
さらにストック収益色の強いシステムサポートは15.5%増収、16.6%増益となり、売上全体の53.4%を占めています。
受注も13.8%増です。
また営業CFは148.5億円を確保し、約100億円の自己株取得と年間94円への増配も行います。
通期予想は据え置きですが、営業利益25.4%、純利益27.7%まで進んでおり、第1四半期として順調です。
そのため今回の総合評価は★★★★★とします。
私は保有を継続し、株価調整局面では追加買いを検討します。
キャピタルゲインという視点では、
OBIC7の大手・中堅企業への導入を伸ばしながら、高収益なクラウド・システムサポート事業を二桁成長させ、営業利益率67%台という圧倒的な収益力をさらに高められるか。
ここが次の焦点です。
コメント