良品計画(7453)が2026年7月10日に発表した2026年8月期第3四半期決算を分析します。
営業収益は6907億8800万円で前年同期比16.9%増、営業利益808億2200万円で36.0%増、経常利益823億9600万円で42.5%増、純利益585億5300万円で34.3%増となりました。
国内だけでなく、東アジアは29.3%増収・39.6%増益、東南アジア・オセアニアは34.7%増収・55.5%増益と海外事業が大きく成長しています。
さらに生産体制の内製化や値下げ抑制によって営業総利益率が改善し、営業利益率は11.7%まで上昇しました。
第3四半期の好調を受け、会社は通期営業利益予想を上方修正しています。
私は今回を、国内外で売上を伸ばしながら粗利益率も改善し、売上成長以上の利益成長を実現した非常に強い決算と評価します。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 営業収益 | ★★★★★ | 6907.88億円、16.9%増 |
| 営業利益 | ★★★★★ | 808.22億円、36.0%増 |
| 営業利益率 | ★★★★★ | 約10.1%→11.7%へ改善 |
| 経常利益 | ★★★★★ | 823.96億円、42.5%増 |
| 純利益 | ★★★★★ | 585.53億円、34.3%増 |
| 営業総利益率 | ★★★★★ | 約51.2%→52.5%へ改善 |
| 国内事業 | ★★★★★ | 8.9%増収、23.9%増益 |
| 東アジア | ★★★★★ | 29.3%増収、39.6%増益 |
| 東南アジア・オセアニア | ★★★★★ | 34.7%増収、55.5%増益 |
| 欧米 | ★★★★☆ | 21.9%増収、3.8%増益 |
| 店舗展開 | ★★★★★ | 国内外1463店舗まで拡大 |
| 通期進捗 | ★★★★★ | 営業利益82.5%、純利益87.4% |
| 通期予想 | ★★★★★ | 営業利益980億円へ上方修正 |
| CF | ★★★☆☆ | 第3四半期CF計算書は未作成 |
| 財務 | ★★★★★ | 自己資本比率59.0%→60.4% |
| 株主還元 | ★★★★★ | 分割調整後で年間25円→32円へ実質増配 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★★ | 海外成長+利益率改善+上方修正を評価 |
売買判断
保有 ★★★★★
追加買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私は良品計画を保有継続する判断です。
営業収益16.9%増に対して営業利益36.0%増となり、利益成長率が売上成長率を大きく上回っています。
さらに国内だけでなく東アジア、東南アジア・オセアニアまで大幅増益となっており、成長地域が広がっています。
第3四半期終了時点で通期営業利益計画への進捗率も82%を超えています。
追加買いも前向きですが、業績の強さが株価に大きく織り込まれた場面を追うより、調整局面で増やしたいです。
営業利益36.0%増
営業収益は前年5910億9300万円から6907億8800万円へ16.9%増加しました。
営業利益は、
594億600万円 → 808億2200万円
となり36.0%増です。
営業利益率は、
約10.1% → 11.7%
へ約1.6ポイント改善しました。
売上高を伸ばすだけではなく、利益率まで大きく引き上げています。
今回の良品計画で最も評価したいポイントです。
営業総利益率は52.5%へ改善
営業総利益は、
3027億5700万円 → 3628億3800万円
となり、約19.8%増加しました。
営業総利益率を計算すると、
約51.2% → 約52.5%
へ約1.3ポイント改善しています。
会社は主な要因として、
生産体制の内製化による原価低減
値下げの抑制
を挙げています。
販管費は15.9%増えていますが、営業総利益の伸びがそれを上回りました。
つまり今回の大幅営業増益は、単純に店舗数を増やした結果ではありません。
商品の採算そのものが改善していることが重要です。
国内事業は23.9%増益
国内事業の営業収益は3911億1800万円で8.9%増、セグメント利益は511億7900万円で23.9%増となりました。
「無印良品週間」や年末年始の「良いね祭」、「GOOD POINT WEEK」などの販売施策が売上を押し上げました。
ECについては、システム障害からの復旧後、第3四半期に入って徐々に回復しています。
さらに生産体制の内製化と値下げ抑制によって粗利益率も改善しました。
国内事業のセグメント利益率は、
前年 約11.5%
今回 約13.1%
まで上昇しています。
国内で売上を大きく伸ばすだけではなく、1円の売上から得られる利益が増えていることを高く評価します。
東アジアは39.6%増益
東アジア事業はかなり強いです。
営業収益は2128億1200万円で29.3%増、セグメント利益は454億1900万円で39.6%増となりました。
中国大陸では生活雑貨と食品を中心に全部門で売上が伸びています。
台湾、香港、韓国も増収増益となりました。
売上増加によって販管費率も改善しています。
東アジア事業の利益率は、
前年 約19.8%
今回 約21.3%
まで上昇しました。
中国消費の先行きに慎重な見方も出やすい中、良品計画については中国を含む東アジア事業がかなり強く成長しています。
中国では店舗のスクラップアンドビルド
良品計画は単純に中国店舗を増やしているわけではありません。
中国大陸では既存店舗のスクラップアンドビルドを進めています。
採算や商圏を見ながら店舗網を組み替えていると考えられます。
海外全体では第3四半期までに56店舗を出店し、30店舗を閉鎖しました。
成長市場だから無条件で出店数を増やすのではなく、店舗の質を高めながら売上と利益を伸ばしている点は評価できます。
東南アジア・オセアニアは55.5%増益
今回最も高い利益成長率となったのが東南アジア・オセアニアです。
営業収益は490億7400万円で34.7%増。
セグメント利益は69億5700万円で55.5%増となりました。
各地域で売場改善や販売計画の見直しを進めたことで、既存店売上も伸びています。
2025年11月に開店したタイとベトナムの旗艦店も好調です。
セグメント利益率は、
前年 約12.3%
今回 約14.2%
へ改善しました。
売上規模はまだ東アジアほど大きくありませんが、今後の成長余地という意味では非常に注目したい地域です。
欧米は21.9%増収でも利益は3.8%増
欧米事業は営業収益377億8300万円で21.9%増となりました。
欧州・北米とも既存店とECが好調で、店舗数増加も増収に寄与しています。
一方、セグメント利益は55億1900万円で3.8%増にとどまりました。
利益率を計算すると、
前年 約17.2%
今回 約14.6%
へ低下しています。
ここは今回の決算で数少ない注意点です。
売上成長は強いものの、出店費用などが先行している可能性があります。
北米では今期から再び出店を開始し、2027年8月期にはパリ旗艦店も予定しています。
今後は欧米で売上成長と利益率改善を両立できるかを確認します。
国内外1463店舗へ
第3四半期末の無印良品店舗数は、ライセンスドストアを含めて1463店舗となりました。
国内は、
33店舗出店
8店舗閉鎖
708店舗
です。
海外は、
56店舗出店
30店舗閉鎖
755店舗
となりました。
海外店舗数が国内を上回っています。
現在の良品計画は、もはや日本の小売企業というより、世界展開する生活ブランド企業として見る必要があります。
海外事業の成長速度を考えると、ここが今後の株価を左右する大きなポイントになりそうです。
純利益34.3%増には特殊要因もある
純利益は585億5300万円で34.3%増となりました。
本業の営業利益が36%増えているため、基本的には質の高い増益です。
ただし最終利益にはいくつか特殊要因もあります。
投資有価証券売却益 23億6700万円
受取補償金 17億1500万円
が計上されています。
受取補償金には、ランサムウェアによる第三者からの不正アクセスで発生したシステム障害に関連する補償金などが含まれています。
一方、固定資産除却損も30億7000万円計上しています。
そのため特殊要因はプラスだけではありません。
私は純利益34.3%増以上に、本業の営業利益36.0%増を重視します。
ランサムウェア障害後のECも回復
国内ECについては、システム障害の影響を受けていました。
しかし会社は、第3四半期に入り徐々に回復傾向にあると説明しています。
システム障害がありながら国内事業が8.9%増収、23.9%増益となったことを考えると、ECが正常化すれば今後さらに売上を押し上げる余地があります。
ここも第4四半期で確認したいポイントです。
通期営業利益を980億円へ上方修正
会社は第3四半期実績を受けて通期予想を上方修正しました。
修正後の通期予想は、
営業収益 9070億円
営業利益 980億円
経常利益 990億円
純利益 670億円
です。
前年比では、
営業収益 15.6%増
営業利益 32.7%増
経常利益 36.9%増
純利益 31.8%増
を見込んでいます。
売上だけではなく、すべての利益項目で30%を超える成長計画です。
第3四半期時点で会社自身が通期予想を引き上げたことは高く評価できます。
通期純利益への進捗は87.4%
修正後の通期予想に対する進捗率は、
営業収益 約76.2%
営業利益 約82.5%
経常利益 約83.2%
純利益 約87.4%
です。
9カ月経過時点なので単純な目安は75%ですが、すべて75%を上回っています。
特に純利益はすでに通期計画の87%を超えました。
営業利益でも残り3カ月で必要なのは約172億円です。
第3四半期までの利益水準を考えると、上方修正後の計画に対してもかなり余裕のある進捗と見ています。
商品在庫は売上ほど増えていない
商品在庫は、
1697億6600万円 → 1770億1200万円
となり、約72億円増加しました。
増加率は約4.3%です。
一方、営業収益は16.9%増えています。
売上の伸びに対して在庫の伸びはかなり小さくなっています。
小売企業では在庫が売上以上に急増すると値下げリスクが高まりますが、今回はそうなっていません。
値下げを抑えながら粗利益率を改善できていることとも整合します。
在庫管理も現時点では良好と評価します。
現預金は約338億円増加
現金及び預金は、
1349億2600万円 → 1687億1600万円
へ約338億円増加しました。
一方、短期借入金は49億1400万円から9800万円まで減少しています。
1年以内返済予定の長期借入金100億円もなくなりました。
社債300億円は残っていますが、現預金がそれを大きく上回ります。
財務余力はかなりあります。
自己資本比率60.4%へ改善
純資産は3359億2000万円から4046億3900万円へ増加しました。
自己資本比率も、
59.0% → 60.4%
へ改善しています。
利益剰余金は約419億円増加しました。
海外出店を加速しながら自己資本比率まで高めているため、成長投資と財務健全性を両立できています。
第3四半期CF計算書は未作成
今回、第3四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていません。
そのため営業CFやフリーCFについては今回の資料から確認できません。
減価償却費は280億4400万円で、前年236億7400万円から増加しています。
キャッシュ創出力については本決算で確認します。
年間配当は実質25円から32円へ
良品計画は2025年9月1日に1株を2株へ株式分割しています。
2025年8月期の年間配当50円を分割後換算すると25円です。
2026年8月期の配当予想は、
中間16円
期末16円
年間32円
です。
したがって実質的には、
25円 → 32円
となり、28%の増配です。
利益成長とほぼ歩調を合わせて株主還元も強化しています。
MUJI ENERGYを新たに連結
今回、新たに合同会社MUJI ENERGYが連結範囲へ加わりました。
今回の決算短信では、その利益寄与や具体的な事業規模までは詳しく示されていません。
そのため現時点で業績への影響を大きく評価することはできません。
ただ、良品計画が衣服・生活雑貨・食品・店舗だけでなく、暮らしに関わる領域を広げようとしている動きの一つとして今後確認したいです。
私ならどう売買するか
私は現在の保有を維持する判断です。
今回評価しているのは、
営業収益16.9%増
営業利益36.0%増
営業利益率10.1%→11.7%
営業総利益率51.2%→52.5%
国内事業23.9%増益
東アジア39.6%増益
東南アジア・オセアニア55.5%増益
通期営業利益進捗82.5%
通期業績予想を上方修正
実質28%増配
です。
一方で、
欧米では21.9%増収に対して利益は3.8%増
純利益には政策保有株式売却益や補償金も含まれる
という点は確認します。
それでも本業営業利益が36%増えているため、決算の質はかなり高いと判断します。
今回の私の結論
今回の良品計画の第3四半期決算は、非常に強い好決算です。
営業収益16.9%増に対して営業利益36.0%増、経常利益42.5%増となりました。
生産体制の内製化や値下げ抑制によって営業総利益率が改善し、営業利益率も11.7%まで上昇しています。
国内事業は23.9%増益、東アジアは39.6%増益、東南アジア・オセアニアは55.5%増益です。
さらに店舗数は国内外1463店舗まで拡大し、海外店舗数が国内店舗数を上回っています。
一方、欧米では増収率に対して利益成長が小さいことや、純利益には投資有価証券売却益・補償金などが含まれていることは注意します。
それでも本業の営業利益36%増という数字は十分強く、会社は通期営業利益予想も980億円へ上方修正しました。
そのため今回の総合評価は★★★★★とします。
私は保有を継続する判断で、株価調整局面では追加買いを検討します。
キャピタルゲインという視点では、
国内の利益率改善を維持しながら、東アジア・東南アジアの高成長を続け、欧米の利益率も引き上げることで、営業利益率11%台をさらに高められるか。
ここが次の焦点です。
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