ベルーナ(9997)が2026年7月31日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。
売上高は521億8500万円で前年同期比2.7%増、営業利益は12億4400万円で21.8%減となりました。一方、経常利益は13億6900万円で8.8%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は9億3900万円で27.2%増です。
一見すると最終利益27%増の好決算ですが、私はそこまで高く評価しません。本業を示す営業利益は約22%減っているからです。
経常利益が増えたのは受取配当金の増加や支払手数料の減少など営業外収支の改善、純利益には投資有価証券売却益8400万円も寄与しています。したがって今回は「最終利益は強いが、本業は減益」という決算として見る必要があります。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★★☆☆ | 521.85億円、2.7%増 |
| 営業利益 | ★★☆☆☆ | 12.44億円、21.8%減 |
| 利益率 | ★★☆☆☆ | 営業利益率約2.4%、前年約3.1%から低下 |
| プロパティ | ★★★☆☆ | 23.9%増収だが35.4%減益 |
| アパレル・雑貨 | ★★★★☆ | 0.9%減収でも23.0%増益 |
| データベース活用 | ★★★☆☆ | 6.3%増収、1.3%減益 |
| 化粧品・健康食品 | ★☆☆☆☆ | 15.0%減収、黒字から赤字転落 |
| 通期予想 | ★★★☆☆ | 営業利益175億円、6.2%増予想を据え置き |
| 進捗率 | ★★☆☆☆ | 上期営業利益予想に対し約23% |
| 特殊要因 | ★★☆☆☆ | 営業外収支改善と有価証券売却益で最終利益が強く見える |
| 財務 | ★★★★☆ | 自己資本比率43.8% |
| CF | ★★★☆☆ | 第1四半期CF計算書は未作成 |
| 株主還元 | ★★★★☆ | 年間39円予想、前期38円から増配 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★☆☆ | 本業回復を確認してから強気にしたい |
売買判断
保有 ★★★☆☆
追加買い ★★☆☆☆
売却 ★★☆☆☆
私はベルーナの保有を継続しますが、今回の決算で積極的に買い増すつもりはありません。
売上は増えていますし、アパレル・雑貨など収益改善が進んでいる事業もあります。ただ、全社営業利益が21.8%減っており、第2四半期累計の営業利益予想54億円に対して第1四半期は12億4400万円です。
まず第2四半期で本業利益が本当に回復するかを確認したいです。
売上は増えたが営業利益率は低下
売上高は508億2600万円から521億8500万円へ増加しました。
売上総利益も316億4700万円から331億8400万円へ増加し、売上総利益率は約62.3%から約63.6%へ改善しています。
ところが販管費が300億5600万円から319億4000万円へ増加したため、営業利益は15億9100万円から12億4400万円へ減少しました。
営業利益率は約3.1%から約2.4%へ低下しています。
つまり今回の問題は粗利益ではなく、広告費、人件費、新規ホテル運営費などを含む販管費・事業コストの増加です。
プロパティ事業は大幅増収でも35%減益
プロパティ事業は売上高102億2800万円で23.9%増となった一方、セグメント利益は5億3700万円で35.4%減でした。
国内都市型ホテルでは北海道・東京の高価格帯ホテルや新規ホテルが売上を押し上げました。
一方、前年の大阪万博による宿泊特需の反動、新規開業ホテルがまだ収益基盤確立の途中であること、ホテル瑞鳳・秋保グランドホテルが閑散期だったことなどが利益を圧迫しています。
ここは今後改善余地がありますが、現時点では「ホテル取得で売上は増えたが、まだ利益化が追いついていない」状態です。
化粧品・健康食品の赤字転落は注意
今回かなり悪かったのが化粧品健康食品事業です。
売上高は24億3500万円で15.0%減、前年2億4700万円の利益から4300万円の赤字へ転落しました。
化粧品通販では新規顧客は増えたものの、定期継続率の低下、広告宣伝費増加、海外在庫適正化が響いています。
ベルーナは事業が分散しているため全社への影響は限定されますが、約2億9000万円の前年差悪化は今回の営業減益要因としてかなり大きいです。
アパレル・雑貨は減収でも23%増益
一方、主力のアパレル・雑貨事業は良い内容です。
売上高196億1500万円で0.9%減でしたが、セグメント利益は4億1700万円で23.0%増となりました。
紙媒体の発行数量を減らして広告費を抑制し、不採算だったインポートブランド品ECも終了しています。
売上を無理に追わず、利益を優先する構造改革が数字に表れています。
私は今回、この事業の改善を評価します。
グルメは好調、呉服は赤字縮小
グルメ事業は売上高65億5700万円で6.4%増、利益5700万円で47.3%増でした。
呉服関連は売上1.7%減ですが、セグメント赤字は前年11億4000万円から10億7300万円へ縮小しています。ナース関連も減収ながら1.4%増益です。
つまり全事業が悪いわけではありません。
今回の全社減益は、特にプロパティと化粧品健康食品の悪化が大きく、アパレルやグルメでは改善が進んでいます。
最終利益27%増をそのまま評価しない
営業利益は21.8%減なのに、経常利益は8.8%増です。
受取配当金が1億2700万円から2億5900万円へ増え、支払手数料は5億3100万円から2億8300万円へ減少しました。一方、支払利息は2億8700万円から4億9300万円へ増えています。
さらに投資有価証券売却益8400万円も計上しました。
このため純利益は27.2%増となっています。
私は今回、純利益より営業利益12億4400万円を重視します。
上期計画達成には第2四半期の急回復が必要
会社予想は据え置きで、第2四半期累計では売上高1000億円、営業利益54億円、経常利益47億円、純利益35億円を見込んでいます。通期では営業利益175億円、純利益120億円の予想です。
第1四半期の上期計画に対する進捗率は、
営業利益 約23.0%
経常利益 約29.1%
純利益 約26.8%
です。
特に営業利益は、上期54億円を達成するため第2四半期だけで約41億5600万円必要です。
第1四半期の12億4400万円から大幅に利益を増やす必要があります。
会社は予想を変更していませんので第2四半期での利益回復を見込んでいると考えられますが、私はここを次回決算で最重要視します。
財務は大きな問題なし
総資産3443億9700万円、純資産1510億6700万円、自己資本比率43.8%です。
現預金は361億1400万円あります。
一方、短期借入金245億1000万円、長期借入金1255億7800万円で、借入金は合計約1501億円です。
ホテル・不動産事業を持つため借入規模は大きく、実際に支払利息も増えています。
財務危機を意識する水準ではありませんが、今後はホテル投資による利益成長が金利負担を上回るかを見る必要があります。
なお、第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていません。
配当は39円へ増配予定
2026年3月期は年間38円でした。
2027年3月期は中間19.50円、期末19.50円の年間39円を予定しています。
1円ですが増配です。
本業が減益の第1四半期でも配当予想を維持している点は、保有を続けやすい材料です。
私ならどう売買するか
私はベルーナをそのまま保有します。
ただし今は追加買いを急ぎません。
アパレル・雑貨の収益改善やグルメの増益は良い一方、プロパティ事業は大幅増収でも減益、化粧品健康食品は赤字転落しています。
第2四半期でホテルの収益改善と化粧品事業の赤字縮小が確認でき、営業利益が急回復するなら追加買いを考えます。
次の決算で見るポイント
最優先は上期営業利益54億円を達成できるかです。
次にプロパティ事業の利益回復、化粧品健康食品の黒字化、アパレル・雑貨の増益継続を見ます。
また支払利息が前年同期比で大きく増えているため、借入コストが経常利益をどの程度圧迫するかも確認します。
売却を考える条件
私が売却を考えるのは、第2四半期でも営業減益が続き、通期営業利益175億円が下方修正される場合です。
また、ホテル事業の売上だけが増えて利益が改善しない状態が続く場合、化粧品健康食品事業の赤字が拡大する場合も評価を下げます。
逆に第2四半期で営業利益が急回復し、通期計画が維持できる内容なら保有継続です。
今回の私の結論
今回のベルーナの第1四半期決算は、最終利益の数字ほど強い決算ではありません。
売上高は2.7%増、純利益は27.2%増ですが、最も重要な営業利益は21.8%減です。
純利益増加には営業外収支改善や投資有価証券売却益も寄与しています。
その一方、アパレル・雑貨は23%増益、グルメも47%増益となっており、事業構造改革の成果も出ています。
問題はプロパティと化粧品健康食品です。
特に第2四半期累計営業利益54億円に対して第1四半期は12億4400万円しか進んでいません。
そのため今回の総合評価は**★★★☆☆**です。
私は保有を継続しますが、追加買いは第2四半期を確認してからにします。
キャピタルゲインを考えるうえで次に見るべきなのは純利益ではなく、
営業利益が本当に回復するのか
です。
ホテル投資の収益化と化粧品事業の改善が確認できれば、今回より評価を引き上げたいと考えます。
コメント