東リ(7971)が2026年7月30日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。
売上高は256億6000万円で前年同期比2.4%増、営業利益は6億2500万円で49.5%増、経常利益は8億5300万円で32.8%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は5億8300万円で53.8%増となりました。売上の伸びは小さいものの、利益が大きく伸びた決算です。
特に重要なのは営業利益です。最終利益には投資有価証券売却益1億5100万円が含まれますが、営業利益の段階ですでに49.5%増えているため、一時利益だけで作った好決算ではありません。さらに7月27日受注分から販売価格を改定しており、その効果は第1四半期にはほぼ入っていません。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★★☆☆ | 256.6億円、2.4%増 |
| 営業利益 | ★★★★★ | 6.25億円、49.5%増 |
| 利益率 | ★★★★★ | 営業利益率約2.4%、前年約1.7%から改善 |
| インテリア事業 | ★★★★★ | 売上2.4%増、利益50.2%増 |
| グローバル事業 | ★★★☆☆ | 売上23.3%増だが赤字継続 |
| 建材その他 | ★★☆☆☆ | 増収だが利益35.5%減 |
| 通期予想 | ★★★★☆ | 営業利益19.6%増を据え置き |
| 進捗率 | ★★★★☆ | 上期営業利益予想に対し89.3%まで進捗 |
| 特殊要因 | ★★★★☆ | 投資有価証券売却益1.51億円あり。ただし本業も大幅増益 |
| 財務 | ★★★★★ | 自己資本比率53.1% |
| CF | ★★★☆☆ | 第1四半期CF計算書は未作成 |
| 株主還元 | ★★★★☆ | 年間34円配当予想を維持 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★☆ | 利益率改善+値上げ効果が今後加わる可能性 |
売買判断
保有 ★★★★☆
追加買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私は東リの保有を継続します。
今回の決算は、売上2.4%増に対して営業利益49.5%増という利益率改善が最大の評価ポイントです。さらに販売価格改定は7月27日受注分からですので、第2四半期以降には値上げ効果も加わる可能性があります。
追加買いも前向きですが、通期営業利益41億円に対する進捗率はまだ15.2%です。第2四半期で値上げ効果と原材料高のどちらが強く出るかを確認しながら増やしたいと考えます。
売上は小幅増でも利益率が改善
売上高は250億5600万円から256億6000万円へ2.4%増でした。一方、売上総利益は73億9100万円から77億1400万円へ増え、営業利益は4億1800万円から6億2500万円へ伸びました。
売上総利益率は約29.5%から約30.1%へ、営業利益率は約1.7%から約2.4%へ改善しています。
原材料価格が上昇する中でも、製造原価低減や販売数量増加によって利益を伸ばしている点は評価できます。
インテリア事業が利益成長を牽引
主力のインテリア事業は売上高244億4500万円で2.4%増、セグメント利益6億7100万円で50.2%増となりました。
防滑性ビニル床シート「NS-800」、単層ビニル床シート「ヒトエ」、「LAYフローリング ピタフィー」、タイルカーペットなどが好調でした。
大型設備投資による減価償却費や人件費、原材料高という逆風がありながら50%増益ですので、今回の本業はかなり強いです。
グローバルは増収でも赤字継続
グローバル事業は売上高6億6800万円で23.3%増と大きく伸びましたが、セグメント損失は6200万円となり、前年の5400万円赤字からやや悪化しました。
中国市場は不動産不況の影響が続く一方、ASEAN、中東・インドでは売上が大きく伸びています。人件費などの間接費増加が利益を圧迫しました。
ここが黒字化すれば全社利益にはさらに上積み余地があります。
建材その他は利益35.5%減
建材その他事業は売上高12億1600万円で1.3%増でしたが、セグメント利益は1700万円で35.5%減となりました。
物流費や人件費増加が利益を押し下げています。
規模は小さいため全社への影響は限定的ですが、主力以外の2事業はまだ改善余地があります。
純利益53.8%増には一時利益もある
四半期純利益は5億8300万円で53.8%増となりましたが、特別利益として投資有価証券売却益1億5100万円を計上しています。
これを単純に除いた税引前利益は約8億4300万円となり、前年の6億3800万円と比べても約32%増です。
つまり最終利益の53.8%増は少し強く見えていますが、特殊要因を除いても十分な増益です。
第2四半期予想に対する進捗が非常に高い
会社は第2四半期累計で営業利益7億円、経常利益9億円、純利益7億円を予想しています。通期では営業利益41億円、経常利益45億円、純利益34億円です。予想は今回据え置かれました。
第1四半期時点の進捗率は、
営業利益 約89.3%
経常利益 約94.8%
純利益 約83.3%
です。
つまり上期計画に対して非常に高い進捗です。第2四半期に必要な営業利益はわずか7500万円です。
一方、通期営業利益41億円に対しては15.2%ですので、利益は下期偏重の計画になっています。第2四半期の数字だけで通期上方修正を断定する段階ではありません。
7月末から値上げを実施
今回かなり注目したいのが価格改定です。
会社は原油・ナフサなど原材料価格の急騰を受け、2026年7月27日受注分から販売価格を改定しました。
第1四半期は値上げ前にもかかわらず営業利益49.5%増です。
そのため、第2四半期以降に価格改定が浸透し、原材料高を吸収できれば利益率がさらに改善する可能性があります。
逆に原材料価格上昇が値上げ効果を上回る場合は利益率改善が止まります。次の決算で最も見たいポイントです。
財務は安定
総資産980億9700万円、純資産525億800万円、自己資本比率53.1%です。前期末の52.0%から改善しました。
現預金は84億4400万円、短期借入金56億3000万円、長期借入金51億5000万円です。財務に大きな不安は感じません。
なお、第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、今回の資料だけでは営業CFやフリーCFは評価できません。
株主還元は年間34円を維持
2027年3月期は中間10円、期末24円、年間34円の配当予想を維持しています。
今期は純利益23.8%増を計画している一方で配当は据え置きです。
キャピタルゲインという意味では、今後利益上振れが見えてきた場合に株主還元まで拡大するかにも注目したいです。
私ならどう売買するか
私は東リの保有を継続し、押し目では追加買いを検討します。
営業利益49.5%増という数字だけでなく、主力インテリア事業が50.2%増益となっているため、本業の改善が確認できます。
さらに値上げ効果はこれからです。
ただし私は一気に買い増すのではなく、第2四半期で営業利益率がさらに上昇するかを確認します。
次の決算で見るポイント
最優先は価格改定後の利益率です。営業利益率約2.4%がさらに上昇するかを見ます。
次にインテリア事業の高付加価値製品の販売、グローバル事業の赤字縮小、原材料価格、そして通期営業利益41億円への進捗を確認します。
特に上期予想に対してすでに営業利益89%まで進んでいるため、第2四半期で会社予想をどの程度上回るかに注目です。
売却を考える条件
私が売却を考えるのは、値上げを実施したにもかかわらず営業利益率が再び悪化する場合です。
また、主力インテリア事業が減益へ転じる、原材料高を価格転嫁できない、グローバル事業の赤字がさらに拡大する場合も評価を下げます。
逆に利益率改善が続き、通期予想の上方修正が見えてくるなら、私は保有継続だけでなく追加買いを考えます。
今回の私の結論
今回の東リの第1四半期決算は、売上の伸び以上に利益率改善を評価したい好決算です。
売上高は2.4%増ですが、営業利益49.5%増、純利益53.8%増です。
純利益には投資有価証券売却益1億5100万円がありますが、それを除いても本業はしっかり増益しています。
さらに上期営業利益予想7億円に対して第1四半期で6億2500万円まで進み、進捗率は約89%です。
そして7月27日から販売価格を改定しています。
私は今回を**★★★★☆**と評価します。
保有は継続し、押し目では追加買いを検討します。
★★★★★にしなかったのは、通期営業利益に対する進捗がまだ15%程度であること、グローバル事業が赤字であること、原材料高の影響がまだ読みにくいためです。
次の決算で値上げ効果が確認され、営業利益率がさらに改善するなら、評価を★★★★★へ引き上げたいと考えます。
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