小売業の今後はどうなる?
小売業について、私は今後3~5年を「やや強気」と見ています。ただし、小売業全体が一斉に成長するというより、勝ち組と負け組の差がさらに広がる業界になると考えています。
日本では人口減少が続くため、国内の店舗数を増やすだけでは長期的な成長が難しくなります。一方で、物価上昇による節約志向、インバウンド需要、ドラッグストアの市場拡大、PB商品の強化、海外進出など、小売企業にとって追い風となるテーマも複数あります。
実際、2025年の国内小売業販売額は157兆5,080億円で前年比1.4%増となり、5年連続で増加しました。ただし業態別ではドラッグストア、スーパー、家電大型専門店、コンビニが増加する一方、百貨店とホームセンターは減少しています。すでに「小売業」という一括りでは判断できない状況になっています。
これから強い小売業の条件
今後特に重要になるのは「価格競争力」です。物価が上昇したことで消費者は以前より価格に敏感になっています。そのため、単純な安売りではなく、PB商品、自社工場、直接輸入、大量仕入れなどによって利益を確保しながら低価格を実現できる企業が有利になるでしょう。
もう一つ重要なのがインバウンドです。2026年7月の訪日外国人数は344万2,100人となり、7月として過去最高を記録しました。外国人旅行者が増えることで、ドラッグストア、ディスカウントストア、化粧品、キャラクター商品などには引き続き恩恵が期待できます。
そして長期的には海外展開が重要になります。国内人口が減少する以上、日本で確立したブランドや販売モデルを海外でも展開できる企業は、国内市場の縮小を補うことができます。
私が今後の小売業で重視したい条件は、「低価格を実現できる仕組み」「独自ブランドやPB」「インバウンド需要」「海外展開」「業界再編で勝つ側」の5つです。
逆に低迷が予想される分野
小売業全体を低迷予想とはしませんが、特徴の少ない地方型総合スーパー、従来型百貨店、ホームセンター、価格以外に差別化できない衣料品店、ECやデジタル化への対応が遅れている専門店などは厳しくなる可能性があります。
今後は「店舗数が多い会社」よりも、「その会社から買う理由がある会社」が強くなると考えています。
有望銘柄① 良品計画(7453)
小売業の中で、私が最も成長性を評価しているのが良品計画です。
最大の魅力は「無印良品」という独自ブランドを国内だけでなく海外でも展開できることです。2026年8月期第3四半期までの営業収益は前年同期比16.9%増の6,907億円、営業利益は36.0%増の808億円となりました。会社側は通期予想も引き上げ、営業収益9,070億円、営業利益980億円を見込んでいます。
さらに2026年8月の国内既存店+オンラインストア売上は前年比109.6%となっています。海外だけでなく国内も好調なのは評価できます。
良品計画は単なる国内小売企業ではなく、今後は世界で成長するブランド企業として考えた方がよいかもしれません。海外店舗拡大と利益率改善が続けば、小売業の中でも長期的な成長余地は大きいと見ています。
有望銘柄② パン・パシフィック・インターナショナルHD(7532)
ドン・キホーテを展開するPPIHも、小売業の本命候補です。
強みは「安さ」「豊富な商品」「買い物自体の面白さ」「インバウンド」という複数の武器を持っていることです。節約志向が強くなればディスカウント業態が有利になり、外国人観光客が増えればインバウンド需要も取り込めます。
つまり、国内消費が弱くても価格競争力で客を集めることができ、外国人観光客が増えればさらに売上を伸ばせるという構造です。2026年6月期の本決算も発表されており、現在も成長路線を維持しています。
ドン・キホーテの店舗モデルは他社が簡単に真似できないことも強みです。今後もディスカウント、食品、PB、インバウンドの4テーマを同時に取り込める企業として注目しています。
有望銘柄③ 神戸物産(3038)
「業務スーパー」を展開する神戸物産も、今後の消費環境と相性が良い企業です。
神戸物産の強みは単なる安売りスーパーではなく、自社工場、PB商品、海外からの商品調達、FC方式を組み合わせた製販一体型のビジネスモデルを持っていることです。
2026年10月期中間期は売上高2,861億円で前年同期比5.1%増、営業利益210億円で10.2%増となりました。
さらに単体売上高は2026年7月まで前年を上回る状態が続いており、7月は前年同月比107.6%でした。
生活防衛意識が高まるほど「業務スーパー」の存在感は増す可能性があります。価格競争力を企業側の仕組みで作れる点を高く評価しています。
有望銘柄④ マツキヨココカラ&カンパニー(3088)
ドラッグストア業界から選ぶなら、マツキヨココカラ&カンパニーを候補にします。
ドラッグストアは医薬品だけではなく、化粧品、日用品、食品、調剤などへ販売分野を広げており、小売業の中でも比較的成長しやすい業態です。
マツキヨココカラは特に都市型店舗、化粧品、PB商品、インバウンドとの相性が良いことが特徴です。2026年4~7月の全店売上高は前年同期比5.7%増となっています。
良品計画やPPIHほど大きな成長を狙うタイプではありませんが、高齢化による医薬品・調剤需要とインバウンドによる化粧品需要の両方を取り込める点は魅力です。
小売業の有望銘柄ランキング
現時点で私が注目する順番は、1位 良品計画(7453)、2位 パン・パシフィック・インターナショナルHD(7532)、3位 神戸物産(3038)、4位 マツキヨココカラ&カンパニー(3088)です。
良品計画は「海外+ブランド」、PPIHは「ディスカウント+インバウンド」、神戸物産は「節約需要+PB」、マツキヨココカラは「ドラッグストア+化粧品+調剤」という、それぞれ異なる成長要因を持っています。
まとめ
小売業については、今後低迷する業界とは考えていません。ただし、何を売っても成長できる時代ではなく、企業による二極化がさらに進むと予想しています。
特に注目したいのは、PBや自社商品を持つ企業、価格競争力がある企業、インバウンドを取り込める企業、海外へ進出できる企業、業界再編で勝つ側にいる企業です。
小売業の将来性を5段階で評価するなら「4」。
業界全体の大幅成長を期待するというより、強い企業に売上と利益が集中していく「勝ち組を選ぶ業界」として注目したいと思います。
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