コーセル(6905)が2026年9月18日に発表した2027年5月期第1四半期決算を分析します。
売上高は78億1400万円で前年同期比54.0%増、営業利益5億4500万円、経常利益5億8000万円、純利益6億6100万円となりました。
前年同期は営業損失3億8900万円、経常損失7900万円、純損失6800万円でしたので、すべて黒字へ転換しました。
さらに注目したいのが受注です。
第1四半期の受注高は130億100万円で前年同期比154.9%増、受注残高は178億9800万円で94.2%増となりました。
AI関連需要を背景にサーバー・データセンター向け半導体投資が続き、半導体製造装置関連を中心に電源需要が急速に回復しています。
会社は第1四半期の進捗を踏まえ、中間期・通期の業績予想も修正しました。
私は今回を、前年の需要調整局面から明確に反転し、売上だけでなく受注・粗利益率・営業損益まで一気に改善した、非常に強い回復決算と評価します。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★★★★ | 78.14億円、54.0%増 |
| 営業利益 | ★★★★★ | ▲3.89億円→+5.45億円 |
| 営業利益率 | ★★★★★ | ▲7.7%→約7.0%へ改善 |
| 経常利益 | ★★★★★ | ▲0.79億円→+5.80億円 |
| 純利益 | ★★★★★ | ▲0.68億円→+6.61億円 |
| 売上総利益率 | ★★★★★ | 約25.6%→29.7%へ改善 |
| 受注高 | ★★★★★ | 130.01億円、154.9%増 |
| 受注残高 | ★★★★★ | 178.98億円、94.2%増 |
| ユニット電源 | ★★★★★ | 売上77.7%増、受注219.2%増 |
| オンボード電源 | ★★★★★ | 売上47.6%増、受注135.3%増 |
| ノイズフィルタ | ★★★★★ | 売上77.9%増、受注191.2%増 |
| 日本事業 | ★★★★★ | 81.3%増収、営業黒字転換 |
| 北米事業 | ★★★★★ | 81.5%増収、営業黒字転換 |
| アジア事業 | ★★★★★ | 56.4%増収、246.8%増益 |
| 欧州事業 | ★★☆☆☆ | 0.3%減収、赤字拡大 |
| 中間期進捗 | ★★★★★ | 営業利益56.2%、経常利益56.3% |
| 通期予想 | ★★★★☆ | 売上318億円、営業利益23億円へ修正 |
| 財務 | ★★★★★ | 自己資本比率84.0% |
| 株主還元 | ★★★★★ | 年55円→60円へ増配予想 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★★ | 受注急増と利益回復を高評価 |
売買判断
保有 ★★★★★
追加買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私はコーセルについて、保有しているなら継続する判断です。
特に評価したいのは売上高54%増そのものではありません。
受注高154.9%増、受注残高94.2%増
という先行指標の強さです。
すでに売上が大きく回復しているにもかかわらず、その先にある受注がさらに強く伸びています。
追加買いも前向きに考えられる内容ですが、決算後に急騰する場合は追いかけず、押し目を待ちたいです。
営業赤字から5.45億円の黒字へ
売上高は、
前年 50億7500万円
今回 78億1400万円
となり54.0%増加しました。
営業損益は、
▲3億8900万円 → +5億4500万円
です。
前年差では約9億3400万円改善しました。
営業利益率も、
約▲7.7% → +7.0%
まで回復しています。
前年は売上減少によって固定費負担が重くなっていましたが、需要回復によって利益構造が大きく改善しました。
今回の決算は、単なる「赤字縮小」ではなく、明確な収益回復局面への転換と見ます。
粗利益率は約29.7%へ改善
売上総利益は、
12億9700万円 → 23億2400万円
となり約79%増えました。
売上総利益率を計算すると、
前年 約25.6%
今回 約29.7%
です。
約4.1ポイント改善しています。
一方、販管費は、
16億8700万円 → 17億7900万円
で約5%の増加にとどまりました。
つまり、
売上54%増
粗利益約79%増
に対して、
販管費約5%増
です。
売上回復による固定費吸収効果が非常に大きく出ています。
今回の営業黒字転換はかなり質が高いと考えます。
受注高は154.9%増
今回最大の注目点です。
受注高は、
130億100万円
となり前年同期比154.9%増です。
第1四半期売上78.14億円に対して、受注高は130億円あります。
単純計算では、四半期売上の約1.66倍に相当します。
つまり、現在出荷している以上のペースで新しい注文が入っています。
半導体・電子部品株を見る際、売上は過去に獲得した受注の結果です。
そのため私は今回、売上54%増以上に受注154.9%増を高く評価します。
受注残高は178.98億円
第1四半期末の受注残高は178億9800万円となりました。
前年同期比94.2%増です。
今回の四半期売上78.14億円と比較すると、約2.3倍に相当します。
もちろん受注残すべてが次の四半期に売上になるわけではありません。
それでも第2四半期以降の売上を支える案件がかなり積み上がっていることは明らかです。
売上回復→受注急増→受注残増加
という順番になっており、業績の先行指標としてかなり強い状態です。
ユニット電源の受注は219.2%増
製品別でも非常に強い数字が並びます。
ユニット電源の受注高は73億5700万円で前年同期比219.2%増。
売上高も43億700万円で77.7%増となりました。
受注残高は81億7200万円で144.3%増です。
ユニット電源はコーセルの中核製品です。
AI・データセンター需要の拡大に伴う半導体製造装置投資の回復が、かなり強く業績へ表れています。
オンボード電源も受注135.3%増
オンボード電源は、
受注高 32億4500万円、135.3%増
売上高 18億1900万円、47.6%増
受注残高 42億6700万円、156.2%増
となっています。
売上以上に受注残が大きく増えています。
ユニット電源だけに依存した需要回復ではなく、複数の電源カテゴリーで受注が増加している点も評価できます。
ノイズフィルタも受注191.2%増
ノイズフィルタは、
受注高 7億4700万円、191.2%増
売上高 4億6000万円、77.9%増
受注残高 7億1600万円、257.5%増
です。
売上規模は電源製品より小さいものの、受注残高の伸び率は今回最も高くなっています。
FA・半導体製造装置など産業機器市場全体の需要回復を示す数字として注目します。
日本事業は81.3%増収で黒字転換
日本生産販売事業の外部売上高は48億600万円で81.3%増となりました。
セグメント損益は、
前年 ▲2億9100万円
今回 +5億3500万円
へ黒字転換しています。
売上高に対するセグメント利益率は約11.1%です。
日本ではAI・データセンター設備投資を背景に、半導体製造装置関連需要が急速に増加しています。
コーセルの業績を見るうえで最も重要な地域です。
北米も黒字転換
北米販売事業の売上高は5億6900万円で81.5%増です。
セグメント損益は、
前年 ▲1500万円
今回 +8000万円
となりました。
北米でも前期第3四半期以降、大口受注を含め需要回復が続いています。
さらにCOSELSYNC.製品やLITEON製品によって、これまでより広い価格帯・市場へ参入しようとしています。
まだ売上規模は小さいですが、新たな成長余地があります。
アジア事業は利益3.5倍
アジア販売事業は売上高9億2200万円で56.4%増となりました。
セグメント利益は6100万円で246.8%増です。
約3.5倍です。
顧客側の在庫調整が進み、大口案件も受注したことで需要が回復しています。
特に半導体製造装置向けを重点市場として新規顧客開拓を進めています。
日本だけではなくアジアにも半導体需要回復が広がっている点はプラスです。
中国生産事業も黒字へ
中国生産事業の内部売上高は8億7600万円で130.2%増となりました。
セグメント損益も、
前年 ▲1300万円
今回 +7300万円
へ黒字転換しています。
受注増加に伴って生産量が増加しており、会社は今後のさらなる受注拡大を見据えて増産体制を整えています。
新製品の生産ライン整備も進めています。
受注の急拡大に対して、生産能力をどこまでスムーズに引き上げられるかも今後重要になります。
欧州だけはまだ弱い
一方、今回唯一かなり弱いのがヨーロッパです。
売上高は15億1500万円で0.3%減。
セグメント損失は、
前年 ▲1億8400万円
今回 ▲2億700万円
となり赤字が拡大しました。
欧州では需要調整局面が続き、顧客の発注調整も継続しています。
日本・北米・アジアが大きく回復する一方、欧州だけ取り残されています。
今回の決算を評価するうえで最大の注意点です。
LITEONとの連携が売上に寄与し始めた
コーセルはLITE-ON TECHNOLOGYとの連携を進めています。
「COSELSYNC.」ブランド製品とLITEON製品の販売が、今回の決算では徐々に実績へ寄与し始めました。
これは重要です。
コーセル単独の商品ラインアップだけでは対応しにくかったミドルレンジ市場まで対象を広げられれば、顧客数や1社当たり売上を増やす余地があります。
現在の半導体需要回復に加えて、販売できる市場そのものを広げている点も中期的な成長材料です。
AI・データセンター投資が大きな追い風
会社は今回の市場環境について、AIを活用したデジタル化を背景に、サーバーやデータセンター向け半導体需要の増加が続いていると説明しています。
自動車や産業機器関連も回復傾向です。
コーセルはAI半導体を直接製造する会社ではありません。
しかし半導体製造装置やFA機器には電源装置が必要です。
つまり、
AI需要拡大
↓
データセンター投資
↓
半導体需要増加
↓
半導体製造装置投資
↓
産業用電源需要増加
という形で恩恵を受けています。
AI関連銘柄の中でも、設備投資の裾野に位置する企業として見ることができます。
ただし供給面には注意
会社は半導体製造装置需要の急回復について、メモリやプリント基板などの供給懸念にも言及しています。
つまり現在は、
需要不足
よりも、
部材を十分確保して生産できるか
が課題になり始めています。
受注が130億円まで増えても、生産能力や部材調達が追いつかなければ売上計上が遅れます。
今後は受注の伸びだけでなく、
受注残をどれだけ売上へ変えられるか
を確認したいです。
中間期営業利益への進捗56.2%
修正後の中間期予想は、
売上高 153億8000万円
営業利益 9億7000万円
経常利益 10億3000万円
純利益 14億3000万円
です。
第1四半期の進捗率は、
売上高 約50.8%
営業利益 約56.2%
経常利益 約56.3%
純利益 約46.2%
となっています。
営業・経常利益については半分をかなり超えています。
第1四半期としては順調です。
通期売上318億円、営業利益23億円へ
会社は第1四半期実績と今後の市場動向を踏まえ、業績予想を修正しました。
現在の通期予想は、
売上高 318億円
営業利益 23億円
経常利益 24億円
純利益 26億円
です。
第1四半期の進捗率は、
売上高 約24.6%
営業利益 約23.7%
経常利益 約24.2%
純利益 約25.4%
となっています。
通期ベースではほぼ25%前後です。
ただし受注高・受注残高が非常に強いため、私は単純な進捗率よりも受注動向を重視します。
純利益6.61億円には特別利益も含まれる
今回の純利益は6億6100万円です。
前年の6800万円赤字から大きく改善しました。
ただし純利益については注意があります。
Powerbox International ABの株式譲渡に関連して、
関係会社整理益3億5500万円
を特別利益として計上しています。
そのため純利益6.61億円をすべて本業改善と見るのは適切ではありません。
私は純利益より、
営業利益5.45億円への黒字転換
を重視します。
本業段階でも十分強い決算です。
Powerboxを売却
コーセルはPowerbox International ABの全株式を譲渡し、2026年9月1日に売却を完了しました。
第2四半期からPowerboxとその子会社は連結対象外となる予定です。
さらに第2四半期には追加の関係会社整理益も計上する見込みで、その影響は今回修正した業績予想に織り込まれています。
今後はPowerbox売却によって売上規模がどう変わるかだけでなく、
低収益事業を切り離すことで全社利益率が改善するか
を確認したいです。
自己資本比率84.0%
財務はかなり強いです。
自己資本比率は、
86.1% → 84.0%
へ低下しましたが、依然として非常に高い水準です。
現金及び預金も266億900万円あります。
総資産617億円に対して負債は98億6800万円しかありません。
成長投資や景気変動への耐久力は十分です。
財務面の不安はほぼありません。
現預金は17.6億円減少
一方、現金及び預金は、
283億7000万円 → 266億900万円
となり17億6100万円減少しました。
理由の一つが配当です。
第1四半期には11億5100万円の配当を行っています。
また売掛債権・在庫も増加しています。
売上・生産回復に伴う運転資金増加という面があるため、現金減少だけを悪材料とは見ません。
在庫は増加
商品及び製品は、
25億3000万円 → 28億500万円
仕掛品は、
8億1800万円 → 8億9500万円
原材料及び貯蔵品は、
58億6500万円 → 60億4400万円
へ増加しました。
需要急回復に対応するための在庫確保という側面があります。
現時点では売上54%増、受注155%増ですので、在庫増加自体に違和感はありません。
ただし半導体市場は変動が大きいため、受注が鈍化した場合の在庫調整リスクは確認します。
年間配当は55円から60円へ
2027年5月期の年間配当予想は60円です。
前期55円から5円増配となります。
中間30円、期末30円を予定しています。
前年は業績が大きく落ち込んでいましたが、需要回復を背景に増配へ戻りました。
財務余力も非常に大きいため、利益回復が続けば株主還元強化の余地もあります。
キャッシュ・フロー計算書は未作成
第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていません。
そのため営業CF・フリーCFは今回の資料から評価できません。
第1四半期の減価償却費は3億1200万円です。
キャッシュ創出力については中間決算で確認したいです。
私ならどう売買するか
私は今回の決算では保有継続を優先します。
評価しているのは、
売上高54.0%増
営業赤字から5.45億円の黒字へ転換
粗利益率25.6%→29.7%
受注高154.9%増
受注残高94.2%増
ユニット電源受注219.2%増
日本事業81.3%増収・黒字転換
北米事業81.5%増収・黒字転換
アジア事業246.8%増益
年間配当55円→60円
です。
一方で、
欧州事業の赤字拡大
急激な受注増に対する部材供給リスク
純利益には関係会社整理益が含まれる
Powerbox売却後の売上構成変化
は確認します。
それでも本業の改善度はかなり大きく、今回の決算だけを見る限り、売却を急ぐ内容ではありません。
今回の私の結論
今回のコーセルの第1四半期決算は、需要回復が数字に明確に表れた非常に強い決算です。
売上高は54.0%増。
営業損益は前年▲3億8900万円から+5億4500万円へ黒字転換しました。
粗利益率も約25.6%から29.7%へ大幅に改善しています。
さらに受注高は154.9%増、受注残高は94.2%増です。
特にユニット電源は受注219.2%増となり、AI・データセンター投資を背景とした半導体製造装置需要の回復が強く表れています。
日本、北米、中国も赤字から黒字へ転換し、アジアも大幅増益です。
一方、欧州はまだ赤字が続き、純利益にはPowerbox株式譲渡に伴う特別利益も含まれています。
そのため最終利益ではなく、営業利益と受注を重視して評価します。
今回の総合評価は★★★★★とします。
私は保有を継続し、決算後に株価が急騰した場合は追わず、調整局面での追加買いを検討します。
キャピタルゲインという視点では、
178億円まで積み上がった受注残を確実に売上へ転換し、現在約7%まで回復した営業利益率をさらに引き上げられるか。
ここが次の焦点です。
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