外食業界の今後はどうなる?
外食業界について、私は今後3~5年を「やや強気」と見ています。ただし、業界全体が同じように伸びるとは考えていません。
2026年7月の外食産業全体の売上高は前年同月比6.8%増、客数3.2%増、客単価3.5%増となりました。ファーストフードは7.5%増、ファミリーレストランは5.7%増、焼肉は8.2%増となるなど、物価高の中でも外食需要そのものは比較的強く推移しています。
しかし、売上が増えているから外食企業が簡単に儲かるわけではありません。
米、肉、魚、油、野菜などの食材価格、人件費、電気代、物流費、店舗賃料なども上昇しています。
そのため今後の外食業界では「売上を増やせる企業」以上に、「値上げしても客数を維持できる企業」が重要になります。
私は外食業界を、これまで以上にブランド力と経営力の差が出る業界になると考えています。
「安い店」と「高くても行きたい店」が強くなる
今後の外食市場では、中途半端な価格帯が最も難しくなる可能性があります。
物価高で家計負担が増えれば、日常的な外食では価格を重視します。
一方、誕生日や休日などには多少高くても満足度の高い店を選びます。
つまり、
「圧倒的にコストパフォーマンスが良い店」
と、
「多少高くても行きたい店」
に需要が分かれていくと考えています。
サイゼリヤのような低価格業態、すき家や丸亀製麺のような日常利用型、焼肉きんぐのような体験型、スシローのようなブランド型などは、それぞれ「その店を選ぶ理由」が明確です。
逆に、価格も品質も特徴がなく、近くにあるから利用されているだけの店舗は厳しくなるでしょう。
外食企業でも「規模」が強さになる
物価高の時代には企業規模も重要です。
数千店舗を持つ企業は食材を大量調達でき、自社物流や食品工場を持つこともできます。
例えばゼンショーホールディングスは牛丼だけではなく、外食、食品小売、介護などを含む巨大な食のグループを形成しています。
食材調達から製造、物流、店舗まで自社グループで管理する「マス・マーチャンダイジング・システム」は、食材価格が上昇する局面ほど強みになります。
今後の外食業界では、単純な店舗数ではなく「調達力」「物流力」「商品開発力」の差が利益率に表れてくると考えています。
人手不足への対応も重要
外食業界最大の問題の一つが人手不足です。
アルバイト時給を上げなければ人材が集まらず、人件費は今後も上昇する可能性があります。
そのため、
セルフレジ
モバイルオーダー
配膳ロボット
自動調理設備
店舗オペレーション簡素化
などによって、1店舗当たりの必要人数を減らせる企業が有利になります。
外食企業を見るときには店舗数だけではなく、「1店舗を何人で運営できるか」も重要になってくるでしょう。
国内だけではなく海外展開が成長を左右する
日本では人口減少が続くため、国内店舗だけで長期間成長することには限界があります。
そこで今後大きな差になるのが海外展開です。
寿司、うどん、焼肉など、日本の外食ブランドは海外でも受け入れられる可能性があります。
実際、FOOD & LIFE COMPANIESでは海外スシロー事業が急成長しています。2026年9月期第3四半期累計の海外スシロー事業は売上収益1,506億円で前年同期比61.8%増、セグメント利益は203億円で83.2%増となりました。
今後の外食株では、「国内であと何店舗出せるか」だけではなく、「日本で成功したブランドを世界で何店舗まで増やせるか」を重要視したいと思います。
今後厳しくなりそうな外食企業
外食業界全体を低迷予想とはしませんが、次のような企業には慎重です。
・人件費上昇を価格転嫁できない
・食材価格上昇の影響を強く受ける
・既存店客数が長期間減っている
・特徴のないブランドを大量に抱えている
・国内市場だけに依存している
・出店しなければ売上を伸ばせない
・不採算店舗の閉店が遅い
特に注意したいのは、値上げによって売上高は増えていても客数が減少し続けている企業です。
客単価5%上昇、客数5%減少なら売上はほぼ変わりません。
値上げ後も客数を維持、あるいは増やしている企業こそブランド力があると判断したいと思います。
外食株を見るための投資判断軸
外食株では「成長性」「ブランド・集客力」「コスト対応力」「海外成長力」「株価水準」の5項目で評価します。
特に重要なのが株価水準です。
外食株には株主優待人気もあり、PER30倍以上でも買われる企業が珍しくありません。
そのため「店が人気だから株も買う」ではなく、利益成長に対して現在のPERが妥当かを考えます。
有望銘柄① 物語コーポレーション(3097)
外食業界で第一候補にするのは物語コーポレーションです。
主力の「焼肉きんぐ」をはじめ、「丸源ラーメン」「ゆず庵」など複数のブランドを展開しています。
特に評価したいのは、単なる低価格競争ではなく「食べ放題+楽しさ」という体験価値を作れていることです。
2026年6月期は売上高1,516億89百万円で前期比22.4%増、営業利益121億45百万円で31.4%増、純利益87億43百万円で42.0%増となりました。2027年6月期も売上高1,730億84百万円、営業利益138億64百万円と増収増益を計画しています。
利益率も改善しており、単純に店舗を増やして売上を作っているだけではない点を評価しています。
投資判断軸
成長性:★★★★★
ブランド・集客力:★★★★★
コスト対応力:★★★★☆
海外成長力:★★★★☆
株価水準:★★★★☆
総合投資判断:強気
2026年9月2日の終値は5,550円、予想PER24.34倍、PBR4.52倍でした。
PBRは高めですが、2026年6月期のROEは約20%まで改善しており、利益成長率を考えるとPER24倍台は外食成長株として極端に割高とは考えていません。
今回の外食株では、成長性と株価水準のバランスを最も評価しています。
有望銘柄② FOOD & LIFE COMPANIES(3563)
2位はスシローを展開するFOOD & LIFE COMPANIESです。
外食企業の中でも現在の成長力はトップクラスです。
2026年9月期第3四半期累計は売上収益3,904億円で前年同期比24.7%増、営業利益420億円で43.9%増、純利益265億円で47.1%増となりました。会社は通期純利益予想も315億円へ上方修正しています。
さらに国内スシローも好調で、2026年8月の既存店売上高は前年同月比109.6%、客数102.7%、客単価106.7%でした。
値上げによって客単価だけが上がっているのではなく、客数も前年を上回っています。これは非常に強い数字だと考えています。
そして最大の魅力が海外です。
海外スシロー事業が急成長しており、「日本で完成したスシローモデルを海外へ輸出する」という成長ストーリーが現実になり始めています。
投資判断軸
成長性:★★★★★
ブランド・集客力:★★★★★
コスト対応力:★★★★★
海外成長力:★★★★★
株価水準:★★☆☆☆
総合投資判断:やや強気
2026年9月2日の終値は6,000円、予想PER43.24倍、PBR10.95倍でした。
企業の成長力だけなら今回1位でもおかしくありません。
しかしPER40倍超、PBR10倍超まで評価されているため、良い決算が出ることをかなり前提とした株価になっています。
業績成長を追うなら非常に魅力的ですが、現在の価格から買うなら大きな調整を待ちたい銘柄です。
有望銘柄③ ゼンショーホールディングス(7550)
3位はゼンショーホールディングスです。
「すき家」「はま寿司」「ココス」など多数の外食ブランドを展開し、国内外で巨大な食のネットワークを構築しています。
2027年3月期第1四半期は売上高3,248億円で前年同期比16.8%増、営業利益248億円で57.5%増、純利益151億円で89.2%増となりました。
好調な第1四半期を受けて会社は通期予想も上方修正し、売上高1兆4,020億円、営業利益1,020億円を計画しています。営業利益は前期比25.2%増となる見込みです。
ゼンショー最大の強みは規模です。
食材調達、製造、物流、店舗をグループ内でつなげられるため、物価上昇時代には中小外食企業との差が広がる可能性があります。
投資判断軸
成長性:★★★★★
ブランド・集客力:★★★★★
コスト対応力:★★★★★
海外成長力:★★★★☆
株価水準:★★★☆☆
総合投資判断:やや強気
2026年9月2日の終値は11,480円、予想PER33.26倍、PBR6.53倍でした。8月28日には年初来高値12,070円を付けています。
業績は非常に強いものの、株価も高値圏です。
企業としては外食業界で最も強い会社の一つですが、今からキャピタルゲインを狙うなら押し目を待ちたいと考えています。
有望銘柄④ サイゼリヤ(7581)
4位はサイゼリヤです。
物価高の中で「低価格」という明確な競争力を持っています。
サイゼリヤの強さは、単純に価格を安く設定しているだけではありません。食材調達、製造、物流、店舗オペレーションを効率化することで低価格を実現しています。
さらに国内だけでなく、中国、台湾、香港、シンガポール、ベトナムなどアジア市場にも展開しています。
2026年8月期第3四半期累計は売上高2,213億円で前年同期比17.5%増、営業利益133億円で25.6%増となりました。経常利益も24.9%増となっています。
投資判断軸
成長性:★★★★☆
ブランド・集客力:★★★★★
コスト対応力:★★★★★
海外成長力:★★★★★
株価水準:★★★☆☆
総合投資判断:やや強気
2026年9月2日の終値は6,960円、予想PER28.98倍、PBR2.62倍でした。7月29日の年初来高値8,420円からはある程度調整しています。
FOOD & LIFE COMPANIESやゼンショーほど利益成長が急激ではありませんが、物価高時代の低価格ブランドとして非常に強いポジションにあります。
株価がもう一段調整すれば、投資妙味はさらに高まると考えています。
外食業界の有望銘柄ランキング
1位 物語コーポレーション(3097)
焼肉きんぐを中心に高成長。成長率とPERのバランスを評価。
2位 FOOD & LIFE COMPANIES(3563)
スシロー+海外成長。成長力は最上位だが株価評価もかなり高い。
3位 ゼンショーホールディングス(7550)
圧倒的規模と調達力。業績は非常に強いが株価も高値圏。
4位 サイゼリヤ(7581)
物価高に強い低価格モデル+アジア展開。調整時に狙いたい。
企業の成長力だけならFOOD & LIFE COMPANIESを1位にしてもおかしくありません。
しかし今回は「今後伸びる会社」だけでなく「現在の株価から利益を狙えるか」という投資判断まで含めているため、予想PER24倍台の物語コーポレーションを1位としました。
まとめ
外食業界については、今後低迷する業界とは考えていません。
2026年7月も業界全体の売上高は前年同月比6.8%増となっており、外食需要そのものは依然として強さがあります。
一方で食材費、人件費、光熱費、物流費は上昇しており、小規模企業には厳しい環境です。
そのため今後は、「値上げしても客数を維持できる」「大量調達によって原価を抑えられる」「省人化できる」「海外へ出店できる」「複数の強いブランドを持つ」という企業へ利益が集中していくと考えています。
外食業界の将来性を5段階で評価するなら「4」。
国内人口だけを考えれば大幅な市場成長は期待しにくいですが、強い外食ブランドにはまだ国内シェア拡大と海外展開という成長余地があります。
今後の外食株で重要なのは、単純に「人気の店」を探すことではありません。
「値上げしても客が減らず、そのブランドを海外でも増やせる会社」を探すことが、外食株で大きなキャピタルゲインを狙うポイントになると考えています。
現時点では本命を物語コーポレーション(3097)、成長力最優先ならFOOD & LIFE COMPANIES(3563)とします。
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