鉄道車両業界は今後どうなる?
鉄道車両業界には、鉄道車両本体の製造に加え、走行や運行に必要な機器を供給する企業も含まれます。
主な製品には、
・新幹線車両
・通勤・近郊電車
・地下鉄車両
・特急・観光列車
・貨物用車両
・主電動機・制御装置
・ブレーキ・台車・車内設備
などがあります。
以前は、国内の新線建設や輸送力増強によって、新しい鉄道車両を大量に導入する需要がありました。
しかし現在の日本では、人口減少によって、すべての路線で利用者が増え続けるとは考えにくい状況です。
一方、鉄道車両は古くなれば更新が必要です。また、海外では都市人口の増加や交通渋滞への対応として、地下鉄や都市鉄道の整備が進められています。
私は、今後5〜10年を見ると、鉄道車両業界は比較的有望な業界だと考えています。
ただし、国内向け車両の製造数量だけで大幅な成長を続けることは難しいでしょう。
特に注目したいのは、国内車両の更新+海外都市鉄道+省エネ・保守関連機器の3分野です。
新車を何両製造するかだけでなく、長期間使用する鉄道車両から、どれだけ継続的な収益を得られるかが重要になると考えています。
国内では新線建設より車両更新が重要になる
鉄道車両は、何十年にもわたって使用される設備です。
しかし、どれだけ丁寧に整備しても、車体、配線、制御装置、空調設備などは経年劣化します。
また、古い車両では、
・消費電力が大きい
・車内設備が古い
・バリアフリー対応が不十分
・保守部品の入手が難しい
といった問題も生じます。
そのため鉄道会社には、新線を建設しなくても、既存車両を更新する需要があります。
今後の国内市場では、輸送力を増やすための新造車両より、安全性・省エネ・保守効率を改善するための更新車両が重要になると考えています。
車両更新には長期的な需要がある
鉄道会社は、車両を更新する際に多額の資金を必要とします。
そのため、すべての車両を一度に交換するのではなく、複数年に分けて更新することが一般的です。
例えば、
更新対象の車両を決める
↓
車両メーカーへ発注する
↓
設計・製造する
↓
試験を行う
↓
営業運転へ投入する
という流れです。
鉄道車両メーカーにとっては、受注から納入まで長い期間が必要になります。
その一方、一定の受注残を確保できれば、今後の工場稼働や売上高を見通しやすくなります。
ただし、受注残が多いことと、高い利益を確保できることは別です。
今後は、受注残高だけでなく、契約価格と製造原価のバランスも確認する必要があります。
新幹線は日本企業の技術を生かせる分野
日本の鉄道車両メーカーが強みを持つ分野の一つが新幹線です。
高速で走行する車両では、
・車体の軽量化
・高速走行時の安定性
・騒音の低減
・省エネ性能
・安全性
・長期間の信頼性
などが重要になります。
新幹線では、車両単体の性能だけでなく、線路、信号、運行管理などと組み合わせたシステム全体の信頼性が求められます。
そのため、新幹線の製造実績を持つ企業には、国内の車両更新に加えて、海外の高速鉄道向けにも事業機会があると考えています。
台湾向け新型高速鉄道車両の製造が進む
海外で日本の高速鉄道技術を活用している代表的な市場が台湾です。
2026年には、日本のN700Sをベースとした台湾向け新型高速鉄道車両「N700ST」の出荷が始まりました。
このプロジェクトでは、日立製作所や東芝などで構成される企業連合が、台湾高速鉄道向けの新型車両12編成・144両を受注しています。
日本車輌製造も、日立から受注した車両の一部を製造しています。
こうした案件では、単に日本の車両をそのまま輸出するわけではありません。
現地の運行条件や顧客の要求に合わせて、車両の設計・製造を行う必要があります。
私は、日本の高速鉄道技術を海外案件に展開できることが、国内車両メーカーの重要な成長機会になると考えています。
日本車輌製造は新幹線と国内車両に強み
この分野で注目したいのが日本車輌製造です。
同社は、新幹線や通勤電車などの鉄道車両を製造しています。
東海道・山陽新幹線のN700Sの開発・製造に関わってきた企業であり、国内の鉄道会社向け車両に強みを持っています。
さらに、台湾向け新型高速鉄道車両の製造にも参加しています。
2027年3月期第1四半期は、
売上高236億円
営業利益29億円
となりました。
前年同期比では売上高が1.8%増、営業利益が86.0%増です。
売上高の伸び以上に利益が増加している点が注目できます。
今後は、国内の新幹線・通勤車両の更新需要と海外案件を取り込みながら、現在の収益性を維持できるかが重要になると考えています。
海外では都市鉄道の整備に成長余地がある
世界の大都市では、人口集中や交通渋滞への対応が課題となっています。
都市鉄道には、一度に多くの人を輸送できるという特徴があります。
そのため、
・地下鉄
・都市近郊鉄道
・空港アクセス鉄道
・路面電車・LRT
などが整備される可能性があります。
鉄道車両メーカーにとっては、新路線向け車両の供給に加えて、すでに運行している路線の車両更新も事業機会になります。
ただし、海外案件では現地生産、技術規格、契約条件などへの対応が必要です。
海外市場が拡大することと、日本企業が高い利益率で受注できることは別だと考えています。
海外案件では長期の受注残が重要になる
海外の鉄道車両契約では、数百両規模の発注が行われる場合があります。
例えば、ニューヨーク市交通局は2025年に、川崎車両へ地下鉄車両R211型435両を追加発注しました。
さらに、2025年11月にはR268型地下鉄車両378両について、川崎車両が受注内定を公表しました。
大型案件を受注できれば、長期間にわたり車両製造の仕事を確保できます。
一方、海外案件では、現地工場の生産体制、部品調達、人件費、納入スケジュールなどが利益率を左右します。
受注が増えても、製造コストが想定を上回れば利益が残らないことがあります。
そのため海外鉄道車両事業では、受注高・受注残高に加えて、実際の事業利益を確認することが重要です。
川崎重工は北米向け鉄道車両を展開
川崎重工業グループの川崎車両は、新幹線や国内向け車両に加え、北米の地下鉄車両などを展開しています。
同社の2027年3月期における車両事業の計画は、
売上収益2,300億円
事業利益100億円
です。
前期の車両事業の事業利益は86億円でした。
国内外での鉄道車両需要に対応しながら、利益の改善を目指しています。
ただし、川崎重工業は鉄道車両専業企業ではありません。
航空宇宙、エネルギー、ロボット、二輪車なども大きな事業です。
そのため、鉄道車両事業が好調でも、他部門の業績によって全社利益や株価が変動する点には注意が必要です。
車両メーカーは利益率の改善が重要になる
鉄道車両の製造には多くの工程があります。
車体を製造するだけでなく、
・台車
・主電動機
・制御装置
・ブレーキ
・空調設備
・車内設備
などを組み合わせる必要があります。
さらに、車両ごとに鉄道会社や地域の要求仕様が異なります。
そのため、大量生産する一般的な工業製品と比べて、設計や製造工程が複雑になりやすい特徴があります。
今後は、
部品の共通化+製造工程の効率化+適切な受注価格
によって利益率を高められるかが重要になるでしょう。
近畿車輛は国内外の鉄道車両を製造
鉄道車両専業に近い企業として注目したいのが近畿車輛です。
同社は、通勤電車、地下鉄、特急車両などを製造しています。
国内では近鉄をはじめとする鉄道会社向けの実績があり、海外向け車両の製造も手がけています。
2027年3月期第1四半期は、
売上高107億円
営業利益3億円
となりました。
前年同期比では売上高が41.6%増、営業利益は前年の約5.3倍です。
ただし、営業利益率は約3%にとどまっています。
売上高を大きく伸ばしながら、さらに製造原価を抑えられるかが課題です。
近畿車輛は企業規模が比較的小さいため、大型案件の進捗や採算によって業績が大きく変動する可能性があります。
鉄道車両の省エネ化が機器メーカーの成長市場になる
鉄道車両の更新では、車体だけでなく、走行に必要な電機品も重要です。
特に、
・主電動機
・駆動制御装置
・補助電源装置
・回生電力を利用する設備
などです。
新しい車両では、消費電力を抑えながら、必要な加速性能や乗り心地を実現することが求められます。
また、古い車両についても、車体をそのまま使用しながら制御装置などを更新する場合があります。
そのため電機品メーカーには、新造車両向けだけでなく、既存車両の機器更新という継続需要があります。
東洋電機製造は鉄道用電機品に強み
この分野で注目したいのが東洋電機製造です。
同社は、鉄道車両用の主電動機や駆動制御装置などを展開しています。
また、鉄道関連の機器だけでなく、産業用機器や発電・インフラ関連事業も持っています。
2026年5月期は、
売上高404億円
営業利益31億円
となりました。
さらに、2030年5月期を最終年度とする中期経営計画では、
売上高480億円
営業利益43億円
営業利益率9.0%
ROE10.0%
を目標としています。
交通事業では、国内の車両新造・機器更新需要に加え、海外市場への展開も進める方針です。
私は、車両本体の製造数量だけに依存せず、既存車両の電機品更新や省エネ化を取り込めることが、同社の強みになると考えています。
車両の保守・更新は継続的な収益源になる
鉄道車両は、納入したら終わりではありません。
営業運転を続けるためには、定期的な検査や部品交換が必要です。
例えば、
・主電動機の整備
・制御装置の更新
・ブレーキ部品の交換
・空調設備の更新
・車内設備の改修
などです。
新しい車両を購入するより、既存車両の一部を更新した方が合理的な場合もあります。
そのため今後の鉄道車両関連企業では、新造車両の販売収益に加えて、保守・部品・改修から得られる収益が重要になると考えています。
車両の軽量化と省エネ化も長期テーマ
鉄道会社にとって、車両を運行する際の電力消費は重要なコストです。
車両が軽くなれば、走行に必要なエネルギーを抑えられる場合があります。
また、モーターや制御装置の性能向上によって、消費電力を削減できる可能性があります。
さらに、減速時に発生する回生電力を有効活用する技術も重要です。
今後は、車両を購入する際の価格だけでなく、
車両価格+運行中の電力費+保守費
という長期的なコストで評価する鉄道会社が増えると考えています。
これは、車両本体だけでなく、高効率の電機品を供給する企業にも成長機会をもたらします。
鉄道車両のDXは保守効率を変える
今後の鉄道車両では、センサーや通信技術を使った状態監視も重要になります。
例えば、
・モーターの温度
・振動
・ブレーキの状態
・電力消費
・空調設備の稼働状況
などをデータとして把握できれば、故障の兆候を早期に見つけられる可能性があります。
これにより、必要なタイミングで部品を交換する予防保全を進めやすくなります。
ただし、鉄道では安全性が最も重要です。
AIやデジタル技術によって保守を効率化する場合も、必要な検査や安全基準を満たすことが前提になります。
今後は、車両製造と保守データを組み合わせたサービスにも成長余地があると考えています。
地方鉄道では新造車両以外の需要も重要になる
国内の地方鉄道では、人口減少によって利用者が減少する地域もあります。
このため、すべての地方鉄道が新しい車両を大量導入できるわけではありません。
一方、車両を安全に運行するための整備や機器更新は必要です。
今後は、
・既存車両の延命
・中古車両の活用
・省エネ機器への更新
・少ない人員で保守できる設備
などの需要が重要になる可能性があります。
鉄道車両メーカーにとっては、大都市向けの新造車両だけでなく、地方鉄道の運行維持に対応する製品やサービスも事業機会になるでしょう。
世界市場は大きいが海外競争も激しい
世界の鉄道車両市場では、欧州や中国などにも大手メーカーがあります。
例えば、フランスのアルストムは、2026年3月末時点で約1,044億ユーロの受注残高を持っていました。
鉄道車両だけでなく、保守や信号システムなどを含む大きな事業規模です。
日本企業が海外市場へ進出する場合、車両の技術力だけでなく、
・現地生産能力
・価格競争力
・納入実績
・保守体制
・資金調達
・契約管理
などが求められます。
私は、海外の鉄道需要が増えることは追い風ですが、日本企業がすべての案件を獲得できるわけではないと考えています。
特に大型案件では、売上高よりも、契約全体で利益を確保できるかが重要です。
今後成長が期待できる分野
鉄道車両業界で今後特に成長を期待したいのは、
・新幹線車両の更新
・海外高速鉄道向け車両
・海外地下鉄・都市鉄道
・通勤・近郊電車の更新
・省エネ型主電動機・制御装置
・既存車両の機器更新
・保守・改修サービス
・車両状態監視・予防保全
・車体軽量化・部品共通化
などです。
特に私は、海外都市鉄道+国内車両更新+省エネ・保守関連機器の3分野に注目しています。
国内の新造車両数が大きく増えなくても、海外案件や既存車両の更新需要を取り込めれば、利益成長の余地があると考えています。
今後低迷が予想される分野
国内の新造車両数だけに依存する事業
日本では人口減少が進んでいるため、国内の鉄道利用者がすべての地域で増え続けるとは考えにくいでしょう。
海外展開や保守・更新事業を持たない企業では、長期的な成長に限界がある可能性があります。
採算を確保できない海外大型案件
海外で大量の車両を受注しても、現地生産や部品調達のコストが想定以上に増えれば、利益が減少します。
受注高や売上高だけでなく、事業利益やキャッシュフローを確認する必要があります。
個別設計に依存しすぎる製造事業
顧客ごとに異なる仕様へ対応することは重要ですが、すべての部品や工程を個別設計すると製造コストが高くなります。
品質を維持しながら、共通化できる部品や工程を増やせるかが重要になるでしょう。
車両納入後の保守収益を取り込めない事業
鉄道車両は長期間使用されるため、納入後も部品交換や機器更新の需要があります。
新造車両の販売だけに依存する企業と、保守・更新サービスも提供できる企業では、収益構造に差が生じる可能性があります。
今後有望な銘柄
① 日本車輌製造(7102)
鉄道車両業界で本命として最も注目したいのが日本車輌製造です。
最大の理由は、国内の新幹線・通勤車両に強みを持ちながら、海外向け高速鉄道車両の製造にも関わっていることです。
同社はN700Sなどの新幹線車両を製造しており、台湾向け新型高速鉄道車両「N700ST」の一部も担当しています。
2027年3月期第1四半期は、
売上高236億円
営業利益29億円
経常利益31億円
となりました。
前年同期比では営業利益が86.0%増となっています。
2026年9月18日の終値は3,630円。
予想PER6.98倍、PBR0.62倍、予想配当利回り1.38%です。
2027年3月期の年間配当予想は50円です。
成長性:★★★★★
テーマ性:★★★★★
収益力:★★★★★
割安度:★★★★★
株主還元:★★★☆☆
総合投資判断:★★★★★
国内の車両更新に加えて、台湾向け高速鉄道車両などの海外需要も取り込める点を評価しています。
予想PERは7倍前後、PBRは0.6倍台で、株価指標だけを見ると低い水準です。
ただし、鉄道車両の利益は案件の進捗や採算によって変動します。
今後は現在の高い利益率を維持できるかに加え、新たな受注が継続するかを確認したい銘柄です。
② 東洋電機製造(6505)
2番目に注目したいのが東洋電機製造です。
同社は鉄道車両用の主電動機や制御装置などを展開しています。
車両本体の新造需要だけでなく、既存車両の電機品更新や省エネ化にも関わることができます。
2030年5月期を最終年度とする中期経営計画では、
売上高480億円
営業利益43億円
営業利益率9.0%
ROE10.0%
を目標としています。
2026年5月期の売上高は404億円、営業利益は31億円でした。
そのため計画の実現には、売上高の拡大だけでなく、収益性の改善も必要になります。
2026年9月18日の終値は2,437円。
予想PER8.46倍、PBR0.72倍、予想配当利回り4.76%です。
2027年5月期の年間配当予想は116円です。
成長性:★★★★☆
テーマ性:★★★★★
収益力:★★★★☆
割安度:★★★★★
株主還元:★★★★★
総合投資判断:★★★★★
今回の4社では、鉄道車両の省エネ化と既存車両の機器更新を取り込める点に注目しています。
また、予想PER8倍台、PBR0.7倍台、予想配当利回り4%台という株価指標も特徴です。
一方、2030年に向けた営業利益率9%という目標を実現するには、価格設定や製造原価の管理が重要になります。
今後は交通事業の受注拡大と、全社の利益率改善が進むかを確認したいところです。
③ 近畿車輛(7122)
3番目は近畿車輛です。
同社は国内外の通勤電車、地下鉄、特急車両などを製造しています。
鉄道車両そのものの需要を取り込める企業であり、海外案件が業績に与える影響も大きいことが特徴です。
2027年3月期第1四半期は、
売上高107億円
営業利益3億円
経常利益4億円
となりました。
前年同期比では売上高41.6%増、営業利益は前年の約5.3倍です。
ただし、売上高に対する営業利益率は約3%にとどまっています。
2026年9月18日の終値は2,444円。
予想PER16.81倍、PBR0.47倍、予想配当利回り2.05%です。
2027年3月期の年間配当予想は50円です。
成長性:★★★★☆
テーマ性:★★★★★
収益力:★★★☆☆
割安度:★★★★☆
株主還元:★★★☆☆
総合投資判断:★★★★☆
PBRは0.5倍を下回っていますが、低PBRだけで割安と判断することはできません。
鉄道車両メーカーでは、案件ごとの採算が利益を大きく左右します。
今後は受注増加に加え、営業利益率が安定的に改善するかが重要です。
また、比較的小型の銘柄であり、日々の売買高も大手企業ほど多くありません。株価の変動や売買時の流動性にも注意が必要です。
④ 川崎重工業(7012)
4番目は川崎重工業です。
同社は川崎車両を通じて、新幹線や国内向け車両に加え、北米向け地下鉄車両などを展開しています。
2027年3月期の車両事業では、
売上収益2,300億円
事業利益100億円
を計画しています。
大型の海外案件を受注できることに加え、車両の製造から納入まで対応できる事業基盤が強みです。
一方、川崎重工業には航空宇宙、エネルギー、ロボット、二輪車などの大きな事業もあります。
そのため、鉄道車両関連の成長が全社業績に与える影響は、専業メーカーと比べると限定的です。
2026年9月18日の終値は2,404.5円。
予想PER17.48倍、PBR2.27倍、予想配当利回り1.66%です。
2027年3月期の年間配当予想は40円です。
成長性:★★★★☆
テーマ性:★★★★★
収益力:★★★★☆
割安度:★★★☆☆
株主還元:★★★☆☆
総合投資判断:★★★★☆
北米の地下鉄車両など、海外大型案件を取り込める点に注目しています。
ただし、全社の売上・利益に占める鉄道車両事業の割合は比較的小さく、株価は航空宇宙やエネルギーなど他部門の業績にも左右されます。
今回は鉄道車両事業への直接的な関わりと現在の株価指標を重視して4位としました。
まとめ
鉄道車両業界は、国内人口の減少によって新造車両の製造数量を大幅に増やし続けることが難しい業界です。
一方、鉄道車両は長期間使用される設備であり、古くなれば更新が必要になります。
さらに、
・国内の新幹線・通勤車両の更新
・海外の地下鉄・都市鉄道
・高速鉄道の海外展開
・省エネ型主電動機・制御装置
・車両の保守・改修
・デジタル技術を利用した予防保全
などには成長余地があります。
そのため、鉄道車両業界の将来性を5段階で評価するなら「4」です。
ただし、海外市場が大きくても、日本企業がすべての案件で高い利益を確保できるわけではありません。
今後5〜10年では、車両を製造する技術に加えて、受注価格、製造原価、海外案件の管理、保守収益を組み合わせられる企業が重要になると考えています。
今回取り上げた4銘柄を、今後の成長性と現在の株価からの上昇余地を重視して順位付けするなら、1位 日本車輌製造(7102)、2位 東洋電機製造(6505)、3位 近畿車輛(7122)、4位 川崎重工業(7012)と考えています。
本命は日本車輌製造です。
国内の新幹線・通勤車両に強みを持ちながら、台湾向け高速鉄道車両の製造にも関わっています。
足元では営業利益が大きく増加しており、現在の予想PER7倍前後、PBR0.6倍台という株価水準から、収益力が継続するかに注目しています。
対抗は東洋電機製造です。
車両本体の製造数量だけでなく、既存車両の電機品更新や省エネ化という需要を取り込めます。
2030年5月期に営業利益43億円、ROE10%を目指しており、現在の低PER・低PBRと高い予想配当利回りも特徴です。
近畿車輛は、国内外の新造車両需要を取り込める企業です。PBRは0.5倍を下回っていますが、今後は売上高の拡大を安定した営業利益へつなげられるかが重要になります。
川崎重工業は北米の地下鉄車両など大型案件を持つ一方、鉄道車両以外の事業も大きい企業です。鉄道関連の成長に加え、全社の利益動向も確認する必要があります。
鉄道車両業界は今後、「鉄道会社へ新しい車両を製造・納入する産業」から、「国内外の車両更新、電機品の省エネ化、保守・改修まで長期間支える総合鉄道システム産業」へ変化していくと考えています。
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