半導体材料業界の今後を予想|AI・HBM・先端パッケージで成長は続く?有望株は?

目次

半導体材料業界は今後どうなる?

半導体材料業界は、半導体を製造するために必要な素材や化学品を供給する業界です。

主な製品には、

・シリコンウェーハ
・フォトレジスト
・高純度薬液・特殊ガス
・CMP用研磨材
・半導体封止材
・接着フィルム
・パッケージ基板関連材料

などがあります。

半導体そのものを設計・製造する企業とは異なり、半導体材料メーカーは製造工程で継続的に必要となる素材を供給して利益を得ます。

半導体の需要が増えれば材料の使用量も増えやすくなりますが、今後の成長要因は数量だけではありません。

AI向けの先端半導体では、微細な回路を正確に形成し、複数のチップを高密度に接続する必要があります。そのため、製造工程が複雑になるほど、高性能な材料が求められます。

私は、今後5〜10年を見ると、半導体材料業界は非常に有望な業界だと考えています。

特に、AI半導体+HBM+先端パッケージに対応できる材料メーカーの成長に注目しています。

ただし、半導体材料ならどの企業でも同じように成長するわけではありません。従来型の半導体向け材料と、先端プロセス向け材料では、需要の伸びや利益率に差が生じる可能性があります。

世界の半導体材料市場は過去最高を更新

SEMIの発表によると、2025年の世界半導体材料市場は前年比6.8%増の732億ドルとなり、過去最高を記録しました。

内訳は、

ウェーハ製造材料:458億ドル
パッケージング材料:274億ドル

です。

ウェーハ製造材料は前年比5.4%増、パッケージング材料は9.3%増となりました。

注目したいのは、パッケージング材料の成長率がウェーハ製造材料を上回っていることです。

これは、半導体の回路を微細化する技術に加えて、複数のチップを組み合わせる技術の重要性が高まっていることを示しています。

今後は、半導体を作るための材料と、半導体を組み合わせるための材料の両方に成長機会があると考えています。

AI半導体の需要拡大が材料市場を押し上げる

生成AIを動かすためには、大量の計算を高速で処理する半導体が必要です。

AI向け半導体では、GPUなどの演算用チップに加え、大量のデータを高速で読み書きするメモリも重要になります。

AIデータセンターへの設備投資が増えると、

AI向け半導体の需要増加

先端ロジック・メモリの生産拡大

半導体製造工程で使う材料の需要増加

という流れが生まれます。

一方、AI関連の需要が強くても、スマートフォンや一般的な産業機器向けの半導体が同じ勢いで伸びるとは限りません。

半導体材料メーカーを見る場合には、どの種類の半導体向け材料が売上・利益を伸ばしているかを確認する必要があります。

HBMは半導体材料の重要な成長テーマになる

HBMとは、高いデータ転送速度を実現する高帯域幅メモリです。

AI向け半導体では、演算用チップの性能だけでなく、必要なデータをどれだけ高速に供給できるかも重要になります。

そのため、複数のメモリチップを積み重ねて利用するHBMの需要が拡大しています。

HBMの製造では、

・ウェーハの研磨
・チップの薄型化
・積層・接続
・封止・保護

など、高度な製造技術が求められます。

このためHBMの生産能力増強は、メモリメーカーだけでなく、研磨材、接着材、封止材などの材料メーカーにも成長機会をもたらします。

先端パッケージが半導体の性能を左右する

以前は、半導体の性能向上というと回路の微細化が中心でした。

しかし現在では、複数のチップを組み合わせて高い性能を実現する技術も重要になっています。

例えば、

演算用チップ

HBM

複数の接続・配線部材

を一つの高性能なパッケージとして組み合わせる方法です。

ここでは、チップ同士を精密に接続するだけでなく、熱による変形や機械的な負荷にも対応する必要があります。

そのため、

・封止材
・接着フィルム
・絶縁材料
・高機能樹脂
・パッケージ基板材料

などの性能が重要になります。

半導体の性能向上が、チップ内部だけでなく、チップを組み合わせる技術にも広がっていることが、材料メーカーにとって大きな成長機会になると考えています。

レゾナックは先端パッケージ材料を強化

先端パッケージ関連で注目したいのが、レゾナック・ホールディングスです。

同社は、半導体製造に使う研磨材料や、チップの接続・保護に必要な封止材、フィルムなどを展開しています。

さらに、材料メーカーや装置メーカーと共同で次世代のパッケージ技術を開発する取り組みを進めています。

2026年には、米国で次世代半導体パッケージの研究開発を行う企業連携組織「US-JOINT」が本格稼働しました。

複数企業が材料と装置を組み合わせて開発することで、実際の製造工程に適した材料の開発を進める狙いがあります。

私は、単独の材料性能だけでなく、顧客の製造工程全体に適合する材料を提供できることが、今後の競争力になると考えています。

フォトレジストは微細化に欠かせない

半導体の回路を形成する際に必要となるのがフォトレジストです。

フォトレジストは、光を使ってウェーハ上に微細な回路パターンを形成する工程で使用されます。

回路が細かくなるほど、わずかな形状の違いや欠陥が製品の品質に影響します。

そのため先端半導体では、極めて高い精度で加工できる材料が必要です。

材料メーカーには、

・微細なパターン形成
・欠陥の低減
・加工後の形状安定性
・高純度化
・量産工程での安定供給

などが求められます。

私は、こうした厳しい条件に対応できる企業ほど、価格だけで競争する材料メーカーとの差を広げられると考えています。

EUV向け材料は高付加価値化が進む

先端半導体の製造では、EUVと呼ばれる極端紫外線を利用した露光技術が使われています。

EUVを利用する工程では、使用するフォトレジストにも高い性能が求められます。

さらに、今後の製造技術の高度化によって、材料の性能向上が継続的に必要になると考えられます。

ただし、微細化が進めばすべての材料の使用量が一律に増えるわけではありません。

工程の変更によって使用する材料が変わったり、競合技術が採用されたりする可能性もあります。

そのため重要なのは、現在の主力製品だけでなく、次世代の製造技術に対応した材料を開発できるかです。

東京応化工業は先端レジストで成長

この分野で注目したいのが東京応化工業です。

同社は半導体製造に使うフォトレジストや高純度化学薬品などを展開しています。

EUV向け材料の研究開発にも取り組み、2026年には海外企業との戦略的な投資・共同開発を公表しました。

2026年12月期上期は、

売上高1,396億円
営業利益288億円

となり、前年同期比で売上高は25.1%増、営業利益は45.4%増でした。

売上高の増加率を上回って営業利益が伸びている点が注目できます。

今後は先端半導体向け材料の販売拡大を、継続的な利益成長につなげられるかが重要です。

CMP研磨材は半導体の高性能化を支える

半導体材料の中で、もう一つ注目したいのがCMP用研磨材です。

CMPは、化学的な作用と機械的な研磨を組み合わせて、ウェーハ表面を平坦にする技術です。

半導体では、回路や配線を何層も重ねる工程があります。

表面に凹凸が残ると、次の工程で微細な加工を正確に行うことが難しくなります。

そのため、製造途中で表面を平坦にする工程が重要になります。

先端半導体では、必要な部分を精密に研磨しながら、削りすぎや傷を防ぐことが求められます。

研磨材の品質が半導体の歩留まりに影響するため、技術力の高い材料メーカーには成長機会があります。

フジミはCMP向け研磨材で利益を伸ばす

CMP関連で注目したいのがフジミインコーポレーテッドです。

同社は半導体製造向けの精密研磨材を主力としています。

特にCMP用製品やシリコンウェーハ向けの研磨材などを展開しています。

2027年3月期第1四半期は、

売上高195億円
営業利益46億円

となりました。

前年同期比では売上高が19.1%増、営業利益が41.5%増です。

売上高の増加率を大きく上回って利益が伸びている点が注目できます。

今後も顧客の先端製造工程で採用が拡大すれば、売上高の成長に加えて利益率の改善も期待できます。

シリコンウェーハは半導体の土台になる

シリコンウェーハは、半導体回路を形成するための基板です。

半導体を製造する際には、まず高い品質を持つウェーハが必要になります。

特に先端半導体では、

・不純物の少なさ
・表面の平坦性
・結晶の品質
・製品ごとの品質の安定性

などが重要です。

シリコンウェーハは製造設備への投資負担が大きく、高品質な製品を安定的に大量供給できる企業には競争力があります。

日本企業では、信越化学工業やSUMCOが代表的なメーカーです。

ただし、シリコンウェーハ市場では出荷数量が増えても、販売価格や工場稼働率によって利益が変動します。

ウェーハメーカーを見る場合には、出荷面積+販売単価+工場稼働率を合わせて確認する必要があります。

信越化学は複数の半導体材料を持つ

信越化学工業の特徴は、シリコンウェーハだけに依存していないことです。

同社は、

・シリコンウェーハ
・フォトレジスト
・フォトマスク関連材料
・その他の電子材料

などを展開しています。

2026年3月期の電子材料事業は、

売上高1兆157億円
営業利益3,445億円

となりました。

半導体材料の需要拡大を取り込みながら、化学製品などの事業も持つため、半導体専業企業とは異なる収益構造です。

一方、塩化ビニル樹脂など半導体以外の事業環境も全社業績に影響します。

私は、複数の先端材料と高い収益力を持つ一方、半導体材料の成長が全社利益へどこまで反映されるかを確認したい企業だと考えています。

日本の半導体材料メーカーには世界市場がある

半導体材料は、日本国内の半導体工場だけで使用されるわけではありません。

主な半導体製造拠点には、

・台湾
・韓国
・中国
・米国
・日本

などがあります。

日本の材料メーカーがこれらの地域の半導体メーカーへ製品を供給できれば、日本国内の生産能力だけに成長を依存する必要はありません。

また、半導体材料では品質や歩留まりへの影響が大きいため、顧客の製造工程に適合した材料を安定供給できることが重要になります。

私は、海外の先端半導体メーカーから継続的に採用される技術力と供給体制が、日本企業の強みになると考えています。

今後成長が期待できる分野

半導体材料業界で今後特に成長を期待したいのは、

・EUV向けフォトレジスト
・先端半導体向け高純度薬液
・CMP用研磨材
・HBM向け材料
・先端パッケージ用封止材
・半導体接着フィルム
・高品質シリコンウェーハ
・次世代半導体向け材料開発
・海外半導体工場への安定供給

などです。

特に私は、EUV関連材料+CMP研磨材+先端パッケージ材料の3分野に注目しています。

半導体の生産数量が増えるだけでなく、製造工程が高度化することによって、高性能な材料の需要が伸びる可能性があります。

今後低迷が予想される分野

従来型半導体の販売数量だけに依存する材料

AI向け半導体の需要が強くても、すべての半導体市場が同じように成長するわけではありません。

先端材料への対応が遅れた企業では、市場全体の成長を十分に取り込めない可能性があります。

価格競争が激しい汎用材料

品質や技術で差別化しにくい材料では、供給量の増加によって販売価格が下落する可能性があります。

単純な数量拡大よりも、高付加価値品への転換が重要になるでしょう。

工場稼働率の低下に弱い事業

半導体材料では、需要拡大を見込んで生産設備を増強することがあります。

しかし顧客の生産計画が遅れた場合、工場の稼働率が下がり、減価償却費などの負担が利益を圧迫する可能性があります。

次世代技術への研究開発が不足する企業

半導体の製造技術が変化すると、必要な材料の性能や種類も変わります。

現在の製品が好調でも、次世代の露光技術やパッケージ技術に対応できなければ、長期的な競争力が低下する可能性があります。

今後有望な銘柄

① 東京応化工業(4186)

半導体材料業界で本命として注目したいのが東京応化工業です。

最大の理由は、EUV向けを含む先端フォトレジストなど、半導体製造工程の高度化に直接関わる材料を持っていることです。

同社はフォトレジストや高純度化学薬品などを展開しています。

2026年12月期上期は、

売上高1,396億円
営業利益288億円

となり、前年同期比で売上高25.1%増、営業利益45.4%増でした。

2026年9月18日の終値は8,073円。

予想PER22.72倍、PBR3.91倍、予想配当利回り0.99%です。

2026年12月期の年間配当予想は80円です。

成長性:★★★★★
テーマ性:★★★★★
収益力:★★★★★
割安度:★★★☆☆
株主還元:★★☆☆☆

総合投資判断:★★★★★

現在のPBRは約4倍で、決して割安な水準ではありません。

それでも、上期の営業利益が前年同期比45%以上増加している点から、先端半導体向け材料の需要拡大を利益成長につなげていることに注目しています。

今後は次世代EUV向け材料の開発と、先端品の売上比率拡大が重要になります。

一方、半導体メーカーの生産計画が変化した場合には業績が変動するため、現在の高い成長率がどこまで続くかを確認する必要があります。

② フジミインコーポレーテッド(5384)

2番目に注目したいのがフジミインコーポレーテッドです。

同社は半導体製造向けの精密研磨材を展開しています。

特にCMP関連製品は、先端半導体の製造工程で重要な役割を持っています。

回路や配線の加工が高度化するほど、表面を正確に平坦化するための材料にも高い性能が求められます。

2027年3月期第1四半期は、

売上高195億円
営業利益46億円

となりました。

前年同期比では売上高19.1%増、営業利益41.5%増です。

2026年9月18日の終値は3,375円。

予想PER24.07倍、PBR2.94倍、予想配当利回り2.28%です。

2027年3月期の年間配当予想は77円です。

成長性:★★★★★
テーマ性:★★★★★
収益力:★★★★★
割安度:★★★☆☆
株主還元:★★★★☆

総合投資判断:★★★★★

CMP研磨材という専門分野を持ち、AI向け先端半導体の需要拡大を利益成長につなげている点が注目できます。

一方、予想PERは24倍前後で、今後の利益成長もある程度織り込まれていると考えられます。

今後はCMP関連製品の売上高と営業利益率が、現在の水準からさらに改善するかが重要です。

③ レゾナック・ホールディングス(4004)

3番目はレゾナック・ホールディングスです。

同社はCMP用研磨材に加え、半導体封止材や接着フィルムなど、先端パッケージに関わる材料を展開しています。

AI半導体では、演算用チップやHBMなど複数のチップを組み合わせるため、先端パッケージ材料の重要性が高まっています。

この分野では、材料の性能だけでなく、顧客の製造工程に合わせた開発力が重要になります。

レゾナックは、複数企業との共同研究によって次世代パッケージ材料の開発を進めています。

2026年9月18日の終値は13,895円。

予想PER22.40倍、PBR3.34倍、予想配当利回り0.47%です。

2026年12月期の年間配当予想は65円です。

成長性:★★★★★
テーマ性:★★★★★
収益力:★★★★☆
割安度:★★★☆☆
株主還元:★★☆☆☆

総合投資判断:★★★★☆

先端パッケージ材料は、AI半導体やHBMの成長を取り込める可能性がある分野です。

一方、レゾナックには半導体材料以外の事業もあり、先端材料の売上成長がそのまま全社利益の成長率になるわけではありません。

今後は半導体・電子材料事業の利益拡大と、全社の収益性改善がどこまで進むかに注目しています。

④ 信越化学工業(4063)

4番目は信越化学工業です。

同社は、シリコンウェーハやフォトレジストなど複数の半導体材料を展開しています。

さらに塩化ビニル樹脂などの化学製品も持ち、半導体専業企業とは異なる収益構造になっています。

2026年3月期の電子材料事業は、

売上高1兆157億円
営業利益3,445億円

となりました。

半導体材料を大きな事業として持ちながら、複数の製品分野で利益を得られる点が特徴です。

2026年9月18日の終値は5,844円。

予想PER20.69倍、PBR2.39倍、予想配当利回り2.33%です。

2027年3月期の年間配当予想は136円です。

成長性:★★★★☆
テーマ性:★★★★★
収益力:★★★★★
割安度:★★★★☆
株主還元:★★★★☆

総合投資判断:★★★★☆

シリコンウェーハやフォトレジストなど、複数の半導体材料を持つことが強みです。

一方、半導体以外の化学事業も全社業績に影響するため、今回の4社の中では、半導体材料市場の成長が株価へ直接反映される度合いは相対的に小さいと考えています。

今後は電子材料事業の利益成長に加え、化学製品事業の収益改善が全社の企業価値を押し上げるかに注目しています。

まとめ

半導体材料業界は、AI半導体やHBMの需要拡大によって、今後5〜10年で成長を期待できる分野です。

2025年の世界半導体材料市場は732億ドルとなり、過去最高を記録しました。

今後は半導体の生産数量が増えるだけでなく、

・EUV向けフォトレジスト
・CMP用研磨材
・HBM向け材料
・先端パッケージ用封止材
・高品質シリコンウェーハ

など、高度な製造工程に対応する材料の重要性が高まると考えています。

そのため、半導体材料業界の将来性を5段階で評価するなら「5」です。

ただし、AI関連需要が強くても、従来型半導体向け材料の需要が同じように伸びるとは限りません。

また、半導体メーカーの在庫調整や設備投資の延期によって、材料メーカーの業績や株価が短期的に大きく変動する可能性があります。

今回取り上げた4銘柄を、今後の成長性と現在の株価からの上昇余地を重視して順位付けするなら、1位 東京応化工業(4186)、2位 フジミインコーポレーテッド(5384)、3位 レゾナック・ホールディングス(4004)、4位 信越化学工業(4063)と考えています。

本命は東京応化工業です。

EUV向けを含む先端フォトレジストを持ち、半導体の微細化という長期テーマを取り込めます。

2026年12月期上期は営業利益が前年同期比45%以上増加しており、今後も先端材料の採用拡大が利益成長につながるかに注目しています。

対抗はフジミインコーポレーテッドです。

CMP用研磨材という専門性の高い材料を持ち、先端半導体の製造工程の高度化から恩恵を受ける可能性があります。利益成長に加えて、配当による株主還元も確認したい企業です。

レゾナックは先端パッケージ材料という成長テーマを持っています。今後は半導体・電子材料事業の利益拡大が、全社の収益性改善へどこまでつながるかが重要になるでしょう。

信越化学工業はシリコンウェーハやフォトレジストなど複数の半導体材料を持ち、高い収益力が特徴です。一方、半導体以外の化学事業も大きいため、電子材料事業の成長と全社業績の両方を確認する必要があります。

半導体材料業界は今後、「半導体を作るための素材を供給する産業」から、「微細化・高性能メモリ・先端パッケージを材料技術によって支える高付加価値産業」へ成長していくと考えています。

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