電子部品業界の今後を予想|AI・データセンター・自動車で伸びる有望株は?

目次

電子部品業界の今後はどうなる?

電子部品業界について、私は今後3~5年を「強気」と見ています。

将来性を5段階で評価するなら「5」です。

以前の電子部品株は、

スマートフォンが売れる

電子部品メーカーも儲かる

というイメージが強かったと思います。

しかし現在は状況が大きく変わっています。

今後の成長源は、

AIサーバー
データセンター
自動車
EV・HV
自動運転
ロボット
産業機器

へ広がっています。

実際、JEITAによる2026年6月の電子部品グローバル出荷額は3,994億円で、前年同月比25.6%増

中でもコンデンサなどを含む受動部品は30.5%増となっています。日本、米州、欧州、中国、アジアのすべての地域で前年を上回りました。

電子部品市場は現在かなり強い局面に入っています。

最大用途はすでに自動車

電子部品というとスマートフォンを思い浮かべますが、現在最大の用途は自動車です。

JEITAの2026年4~6月期データでは、電子部品出荷の用途別構成比は、

自動車 30.4%
通信機器 19.0%
PC・周辺機器 16.1%

となっています。

自動車1台に使用される電子部品は今後さらに増えると考えています。

特に、

ADAS
自動運転
電動パワートレイン
バッテリー管理
インバーター
車載通信
センサー

などです。

ガソリン車からEVへ変わるかどうかだけではありません。

HVでもEVでも、自動車の電子化そのものは進みます。

つまり電子部品メーカーにとって重要なのは、

「EVが売れるか」ではなく「自動車1台当たりの電子部品搭載金額が増えるか」

です。

私はこの流れは長期間続くと考えています。

AIサーバーが電子部品の新しい巨大市場になる

さらに現在最も強いテーマがAIです。

AIサーバーというと、

NVIDIAのGPU
HBM
半導体製造装置

などが注目されます。

しかしAIサーバーを実際に動かすには大量の電子部品が必要です。

コンデンサ
インダクター
電源
センサー
コネクター
冷却ファン
HDD関連部品

などです。

特に注目したいのがMLCC、積層セラミックコンデンサです。

TrendForceによると、AIサーバーやカスタムASIC需要の拡大により高性能MLCC需要が急増し、2026年6月末には村田製作所のBBレシオが1.30、太陽誘電も1.25まで上昇しました。

業界全体でも需給逼迫リスクが高まっています。

半導体と違って目立ちませんが、

AIサーバーが増えるほど電子部品も増える

という構造があります。

私は電子部品を「AIの裏方銘柄」としてかなり注目しています。

AIはHDD需要まで復活させている

興味深いのがHDDです。

数年前まではSSD普及によってHDD市場は縮小すると考えられていました。

ところがAIデータセンターでは膨大なデータを保存する必要があり、大容量のニアラインHDD需要が増えています。

TDKも2027年3月期第1四半期について、AIデータセンター向けニアラインHDD需要が堅調だったと説明しています。

ミネベアミツミでもデータセンター向けサーバー需要を背景に、HDD関連部品やファンモーターなどが伸びています。

つまりAI投資はGPUメーカーだけではなく、

電子部品
モーター
ベアリング
HDD部品
電源

まで広く波及しています。

日本企業が比較的強い業界

電子部品は日本企業が現在でも世界的な競争力を持っている分野です。

特に、

MLCC
センサー
磁性部品
小型モーター
精密ベアリング
高周波部品

などでは日本企業の存在感があります。

半導体では最先端ロジックを海外企業に奪われた分野もありますが、電子部品では材料・製造技術・品質管理による参入障壁が比較的高くなっています。

村田製作所、TDK、太陽誘電などが長年蓄積した製造ノウハウを短期間でコピーするのは簡単ではありません。

ここも日本株として電子部品を評価する理由です。

スマートフォン依存度は下げたい

一方で注意したいのがスマートフォンです。

世界スマホ市場は成熟しています。

さらに中国メーカーとの競争もあります。

そのため今後は、

スマートフォンだけで利益を伸ばす会社

より、

AIサーバー
自動車
産業機器
データセンター

へ販売先を広げている会社を高く評価します。

実際、TDKは2027年3月期1QでスマートフォンなどICT関連製品の生産減少があったにもかかわらず、AIデータセンターや自動車などの需要によって全セグメント増収増益を実現しました。

私はここをかなり重要視しています。

電子部品業界の弱点は景気循環

電子部品業界を強気と見る一方、値動きはかなり激しい業界です。

需要が強くなると、

在庫積み増し
設備投資
部品不足

が発生します。

しかし供給が増えすぎると、

在庫調整
単価下落
稼働率低下

が一気に起こります。

そのため株価は業績より半年ほど先に大きく動くことがあります。

特に太陽誘電のような受動部品メーカーは、電子部品サイクルの影響を受けやすい傾向があります。

したがって私は、

「業績が良い会社」だけでなく「業績が良いのに株価が高すぎない会社」

を優先します。

電子部品株を見るための投資判断軸

今回は「成長性」「AI・データセンター恩恵」「自動車・電動化対応」「株価水準」「収益力・財務」の5項目で評価します。

電子部品では特に、

AI需要
自動車比率
利益率改善
設備投資回収

を重視します。

有望銘柄① TDK(6762)

今回の本命はTDKです。

電子部品株として最もバランスが良いと考えています。

TDKは、

コンデンサ
インダクター
磁気センサー
電源
二次電池
HDD関連部品

など非常に幅広い電子部品を持っています。

そのため、

スマートフォン
自動車
産業機器
AIデータセンター

の複数市場から利益を得られます。

2027年3月期第1四半期は非常に強い決算でした。

売上高 7,410億円 38.3%増
営業利益 863億円 53.0%増
税引前利益 945億円 64.0%増
純利益 806億円 94.4%増

となり、売上高・各段階利益とも第1四半期として過去最高を更新しました。

会社はAIデータセンター需要、自動車の電動化・自動運転化、産業機器需要が好調だったと説明しています。

通期でも、

売上高2兆5,800億円
営業利益2,950億円
純利益2,250億円

を見込んでいます。

投資判断軸

成長性:★★★★★
AI・データセンター恩恵:★★★★★
自動車・電動化対応:★★★★★
株価水準:★★★★☆
収益力・財務:★★★★★

総合投資判断:強気

2026年9月4日の終値は2,907.5円

予想PER24.53倍、PBR2.40倍です。

6月1日の年初来高値4,315円から約33%下にあります。

PERだけを見ると割安株ではありません。

しかし1Q営業利益53%増という成長率、AIデータセンター・自動車・産業機器の複数テーマを持っていることを考えると、私は現在の水準なら十分狙えると考えています。

電子部品株で1社だけ選ぶなら、現時点ではTDKを本命にします。

有望銘柄② ミネベアミツミ(6479)

2位はミネベアミツミです。

今回かなり評価したい銘柄です。

一般にはベアリングメーカーというイメージもありますが、現在は、

精密ベアリング
小型モーター
ファンモーター
センサー
半導体
電源部品
光デバイス

などを持つ総合精密・電子部品メーカーです。

特にAIデータセンターとの関係が面白くなっています。

AIサーバー需要によってHDD関連部品、ファンモーター、ベアリングなどが伸びています。

2027年3月期第1四半期は、

売上高 4,266億円 16.3%増
営業利益 263億円 50.9%増
税引前利益 298億円 91.2%増
純利益 213億円 95.6%増

となりました。

主力のプレシジョンテクノロジーズ事業では、データセンター向け需要を背景に売上高23.7%増、営業利益34.1%増。

モーター・ライティング&センシング事業も営業利益58.3%増。

半導体・エレクトロニクス事業では営業利益が168.3%増となりました。

会社は2027年3月期通期で営業利益1,200億円、前期比15.4%増を見込んでいます。

投資判断軸

成長性:★★★★★
AI・データセンター恩恵:★★★★★
自動車・電動化対応:★★★★☆
株価水準:★★★★★
収益力・財務:★★★★☆

総合投資判断:強気

2026年9月4日の終値は3,332円

予想PER15.38倍、PBR1.44倍、予想配当利回り1.80%です。

6月25日の年初来高値5,307円からは約37%下落しています。

私はここをかなり評価しています。

第1四半期営業利益50%増なのにPER15倍程度です。

TDKよりAI純度や事業の分かりやすさは少し落ちますが、

現在の株価からのキャピタルゲイン余地だけならTDK以上になる可能性もある

と考えています。

今回の4社では最も「利益成長に対して株価が安い」銘柄です。

有望銘柄③ 村田製作所(6981)

3位は村田製作所です。

電子部品メーカーとしての競争力なら今回トップクラスです。

特にMLCC、積層セラミックコンデンサで世界的な競争力を持っています。

MLCCは、

スマートフォン
自動車
サーバー
通信機器

など、ほぼすべての電子機器に使われます。

そして現在、AIサーバー向け需要がかなり強くなっています。

2027年3月期第1四半期は、

売上収益 5,023億円 20.7%増
営業利益 985億円 59.8%増
税引前利益 1,092億円 75.3%増
純利益 814億円 63.7%増

となりました。

さらに会社は通期業績予想を上方修正しています。

2027年3月期は、

売上収益 2兆1,100億円 15.2%増
営業利益 4,300億円 52.6%増
純利益 3,380億円 44.5%増

を計画しています。

会社自身も、サーバー向けコンデンサや電源モジュールの増加を見込んでいます。

投資判断軸

成長性:★★★★★
AI・データセンター恩恵:★★★★★
自動車・電動化対応:★★★★★
株価水準:★★★☆☆
収益力・財務:★★★★★

総合投資判断:やや強気~強気

2026年9月4日の終値は7,191円

予想PER38.71倍、PBR4.74倍、予想配当利回り0.97%です。

6月22日には12,895円まで上昇しており、高値からは約44%調整しています。

株価はかなり下がりました。

しかしPERはまだ30倍後半です。

会社としての競争力だけなら1位候補ですが、現在の株価からのキャピタルゲインを重視して3位とします。

ただし今後もAIサーバー向けMLCC需要が想定以上に増え、営業利益50%成長が続くなら、現在のPERを利益成長によって急速に吸収できる可能性があります。

大きな押し目を拾いたい銘柄です。

有望銘柄④ 太陽誘電(6976)

4位は太陽誘電です。

太陽誘電もMLCCを中心とする受動部品メーカーです。

村田製作所より企業規模が小さいため、電子部品市況が改善したときには利益変化率が大きくなりやすい特徴があります。

2027年3月期第1四半期は、

売上高 939億円 10.7%増
営業利益 48億円 53.3%増
経常利益 43億円
純利益 25億円

となり、前年の純損失から黒字転換しました。

さらに会社は2027年3月期通期で、

売上高4,240億円
営業利益450億円
経常利益420億円
純利益290億円

を予想しています。

営業利益は前期199億円から2倍以上になる計画です。

現在のAIサーバー向け高性能MLCC需要の増加も追い風です。

TrendForceでは太陽誘電の2026年6月末BBレシオが1.25まで上昇したとしています。

投資判断軸

成長性:★★★★★
AI・データセンター恩恵:★★★★★
自動車・電動化対応:★★★★☆
株価水準:★★☆☆☆
収益力・財務:★★★★☆

総合投資判断:やや強気

2026年9月4日の終値は9,426円

予想PER41.08倍、PBR3.33倍です。

7月1日には年初来高値24,065円まで上昇していました。

そこから株価は約61%下落しています。

値動きの大きさからも分かるように、今回の4社では最もハイリスク・ハイリターンです。

利益回復率は非常に高いですが、PER40倍を超えているため現在の利益水準だけでは割安とは言えません。

一方、MLCCの需給逼迫が本格化して単価上昇まで起これば利益予想がさらに上振れる可能性があります。

私は太陽誘電を、

「電子部品スーパーサイクルを狙う攻め枠」

として4位にします。

参考銘柄 アルプスアルパイン(6770)

割安株として気になるのがアルプスアルパインです。

2026年9月4日の終値は2,258円。

予想PER14.69倍、PBR0.99倍、予想配当利回り2.83%です。

PBR1倍前後なので価格だけを見ると魅力があります。

しかし2027年3月期第1四半期は、

売上高2,379億円 0.4%減
営業損失9億円

となり、前年の営業黒字から赤字へ転落しました。

現在は、

「PBR1倍割れだから買う」

よりも、

モビリティ事業の収益改善を確認してから買いたい

と考えています。

利益が回復すれば順位を上げる可能性があります。

電子部品業界の有望銘柄ランキング

1位 TDK(6762)
AIデータセンター+自動車+磁気・電源・センサー。1Q営業利益53%増。成長テーマの分散と株価調整を評価。

2位 ミネベアミツミ(6479)
AIサーバー+HDD+ファン+半導体。1Q営業利益50.9%増なのにPER15倍台。現在価格からの値幅期待は大きい。

3位 村田製作所(6981)
MLCC世界大手+AIサーバー+車載。通期営業利益52.6%増予想。ただしPER30倍後半を考慮。

4位 太陽誘電(6976)
MLCC需給改善+利益急回復。通期営業利益2倍超を計画する一方、PER40倍超で値動きも非常に大きい。

参考 アルプスアルパイン(6770)
PER14倍台・PBR1倍前後だが、1Q営業赤字。収益回復確認待ち。

今回、私が最も悩むのはTDKとミネベアミツミです。

企業の成長テーマだけならTDKを1位にします。

AIデータセンター、自動車、スマートフォン、産業機器と利益源が非常に分散しており、第1四半期も全セグメント増収増益でした。

しかし現在の株価水準ではミネベアミツミもかなり魅力的です。

TDK
PER24.5倍

ミネベアミツミ
PER15.4倍

で、1Q営業利益成長率はどちらも約50%です。

そのため、

企業力・成長テーマならTDK

割安度と値幅ならミネベアミツミ

という見方をしています。

まとめ

電子部品業界の将来性を5段階で評価するなら「5」です。

2026年6月のグローバル電子部品出荷額は前年同月比25.6%増、受動部品では30.5%増となっています。

そして今回の主要企業の1Q営業利益を見ると、

TDK +53.0%
ミネベアミツミ +50.9%
村田製作所 +59.8%
太陽誘電 +53.3%

と、かなり強い数字が並んでいます。

私はこれは単純なスマートフォン回復だけではないと考えています。

今後の電子部品需要を支えるのは、

AIデータセンター
自動車の電子化
EV・HV
自動運転
ロボット
産業機器

です。

特にAIサーバーについては、GPUだけではなくコンデンサ、電源、磁気部品、HDD部品、モーター、冷却部品まで必要になります。

そのためAI投資が続く限り、電子部品メーカーにも大きな恩恵が広がる可能性があります。

一方で電子部品業界は景気循環が激しく、株価が業績より先に大きく上下します。

したがって私は今後、

「世界シェアが高い」「AIと自動車の両方へ売れる」「利益率が上昇している」「スマホ依存度が低下している」「成長率に対してPERが高すぎない」

企業を選びたいと思います。

現時点の本命はTDK(6762)

現在株価からの再評価余地を重視するならミネベアミツミ(6479)

世界トップクラスのMLCC競争力を買うなら村田製作所(6981)

電子部品市況の大きな上昇を狙う攻めの候補なら太陽誘電(6976)です。

私は電子部品を、半導体に次ぐ「AI時代のつるはし銘柄群」として今後も注目したいと考えています。

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