ヒューリック(3003)2026年12月期第2四半期決算を分析|売上38.8%増、特殊なのれん償却を除けば本業はさらに強い、今後の業績と売買判断

ヒューリック(3003)が2026年7月28日に発表した2026年12月期第2四半期、中間期決算を分析します。ヒューリックの証券コードは3003です。

今回の中間決算は、売上高4165億9600万円で前年同期比38.8%増、営業利益803億1300万円で7.0%増、経常利益708億6100万円で6.4%増、親会社株主に帰属する中間純利益499億7800万円で11.3%増となりました。

売上高が約39%増えているのに対して営業利益は7%増ですので、最初に数字だけを見ると「売上は大きく伸びたが利益率がかなり悪化した決算」に見えます。

しかし今回のヒューリックは、ここだけで判断すると実態を見誤ります。

最大の特殊要因は、リソー教育グループの株価に応じて発生した追加的なのれん償却51億2900万円です。この特殊要因によって「その他」事業は24億5900万円の営業赤字となっていますが、この影響を除くと営業利益26億6900万円です。前年同期は5200万円の営業赤字でした。

単純にこの51億2900万円を連結営業利益へ戻して考えると、調整後の営業利益は約854億4200万円となり、前年同期750億5500万円に対して約13.8%増となります。

つまり今回の営業利益7.0%増という表面的な数字より、本業の実態は強いと私は考えます。

一方で経常利益は支払利息が前年94億5100万円から142億4900万円へ増えており、金利負担の増加が利益の伸びを抑えています。

キャピタルゲインという視点では、今回のヒューリックは、

「不動産賃貸の安定収益を維持しながら物件売却を積み上げ、本業利益も拡大。ただし金利上昇による支払利息と特殊なのれん償却が利益を抑えている決算」

と評価します。

目次

今回の決算を5段階で評価

評価項目評価コメント
売上高★★★★★4165.96億円、前年同期比38.8%増
営業利益★★★★☆803.13億円、7.0%増。特殊なのれん償却を考慮すれば実態はさらに強い
経常利益★★★★☆708.61億円、6.4%増。支払利息増加が重い
純利益★★★★★499.78億円、11.3%増
利益率★★★☆☆営業利益率は約19.3%へ低下。ただし不動産売却の売上増と特殊要因の影響が大きい
不動産事業★★★★★売上35.8%増、営業利益9.4%増。賃貸・売却とも順調
ホテル・旅館★★★★☆売上13.0%増。インバウンドと宿泊単価上昇が追い風
保険★★★★☆売上4.6%増、営業利益18.8%増
その他事業★★★★☆表面上は赤字だが、特殊なのれん償却を除けば26.69億円の黒字
通期予想★★★★★営業利益2100億円、12.4%増。経常利益1850億円、純利益1210億円
進捗率★★★★★営業利益38.2%、経常利益38.3%、純利益41.3%
特殊要因★★★★☆リソー教育関連の追加のれん償却51.29億円が営業利益を押し下げ
財務★★★★☆自己資本比率26.3%。借入金1.67兆円だが不動産企業として安定調達を継続
CF★★★★★営業CF1557.52億円へ大幅増加
株主還元★★★★★年間62円から67円へ増配予想
キャピタルゲイン期待★★★★☆本業は強い。金利負担を吸収して利益成長を続けられるかが次の焦点

売買判断

保有 ★★★★★

追加買い ★★★★☆

売却 ★☆☆☆☆

私はヒューリックの保有を継続します。

今回の決算で売却する理由はありません。

表面的な営業利益は7.0%増ですが、リソー教育グループに関する51億2900万円の特殊なのれん償却が入っています。これを単純に除いて見ると、営業利益は前年同期比で約13.8%増となります。

さらに中核の不動産事業は営業利益9.4%増です。

通期営業利益2100億円に対する中間期進捗率は約38.2%ですので、50%には達していません。しかし会社自身は「概ね計画通り」と説明し、通期予想を変更していません。

ヒューリックは販売用不動産の売却時期によって四半期利益が大きく動く会社です。そのため単純に半年で50%に届いていないから進捗が悪いとは考えません。

追加買いも前向きです。

ただし私は現在の保有分を維持しながら、株価が大きく上昇した場面を追いかけるより、押し目で追加する考えです。

今後は不動産事業の利益成長以上に、金利上昇による支払利息をどこまで吸収できるかを見ます。

売上高は38.8%増の4165億円

中間期の売上高は前年同期3000億8100万円から4165億9600万円へ増加しました。

増加額は1165億1500万円です。

営業利益は750億5500万円から803億1300万円へ52億5800万円増加しました。

売上増加額に対して利益増加額が小さいため、営業利益率は、

前年同期 約25.0%

今期 約19.3%

まで低下しています。

約5.7ポイントの低下です。

かなり大きく見えます。

ただしヒューリックの場合、売上高には販売用不動産の売却が含まれます。

不動産売却が増えると売上高が大きく膨らむ一方、賃貸事業と同じ利益率にはならないため、売上増加率と営業利益増加率に大きな差が出ることがあります。

会社自身も、営業収益は販売用不動産の売買動向によって大きく変動するため、通期売上高予想そのものを開示していません。

したがってヒューリックでは、売上高より営業利益・経常利益を重視した方がよいと考えます。

売上総利益率も低下している

営業総利益は前年同期1201億4100万円から1409億8300万円へ増加しました。

一方、営業原価は1799億4000万円から2756億1300万円へ大きく増えています。

営業総利益率を単純計算すると、

前年同期 約40.0%

今期 約33.8%

となります。

こちらも低下しています。

ただし、これも売上構成の変化を考える必要があります。

今回会社は、オフィスなどからの不動産賃貸収入が安定して推移するとともに、販売用不動産の売上も順調だったと説明しています。

今回の資料には賃貸収入と不動産売却収入それぞれの詳細な利益率は掲載されていません。

そのため、

「利益率低下の何ポイントが物件売却によるもの」

といった数字は作りません。

ただ、今回の38.8%増収をそのまま賃貸事業の成長率と見ることもできません。

本業を見るなら不動産事業が最重要

ヒューリックの中心は当然、不動産事業です。

今回の不動産事業の営業収益は3496億3000万円で前年同期比35.8%増。

営業利益は872億5300万円で9.4%増となりました。

非常に大きな増収増益です。

全社営業利益803億円より不動産事業の営業利益872億円の方が大きいのは、その他事業の赤字や全社費用などが差し引かれているためです。

不動産事業だけを見れば、今回も安定的に利益を伸ばしています。

私はヒューリックを保有するうえで、連結売上高38.8%増以上に、この不動産事業の営業利益9.4%増を重視します。

不動産事業の利益率は低下

一方、不動産事業の営業利益率を単純計算すると、

前年同期 約31.0%

今期 約25.0%

となります。

こちらも低下しています。

不動産売却の増加によって売上が大きく膨らんでいることが影響している可能性はありますが、今回の資料では賃貸・売却それぞれの利益構成が詳細には開示されていません。

したがって利益率低下を単純に悪材料とは決めつけませんが、次の決算でも確認したい数字です。

理想は、

賃貸利益を安定的に増やしながら、高利益率で物件売却を行う

ことです。

ヒューリックの強さは、この二つを回転させながら利益を伸ばすところにあります。

賃貸ポートフォリオは約250物件

2026年6月末時点で、ヒューリックは東京23区の駅近を中心に約250件の賃貸物件を保有・管理しています。

賃貸可能面積は約126万平方メートルです。

ヒューリックを保有するうえで、私はここをかなり重視しています。

販売用不動産の売却利益は年度によって変動します。

一方、好立地のオフィスや商業施設などから入る賃貸収入は比較的安定しています。

会社も今回、前期および今期に竣工・取得した物件によってオフィス等の賃貸収入は安定的に推移していると説明しています。

つまり今回の増益は、単に物件を大量に売って利益を作っただけではありません。

安定収益となる賃貸ポートフォリオも拡充しています。

好立地への集中は引き続き強み

今期は固定資産として、

ヒューリック神谷町ビルの一部

ヒューリック九段ビルの底地

札幌ネットワークセンター

などを取得しています。

さらにクオーツ心斎橋が2026年3月に竣工しました。

開発・建替では自由が丘、銀座、青山、新宿など複数の計画が進行しています。

東京23区、駅近、都心というヒューリックの基本戦略は変わっていません。

建築費高騰や金利上昇という環境では、どんな不動産でも持てば利益が出るわけではありません。

今後はさらに、

賃料を上げやすい立地

価格が下落しにくい立地

への集中が重要になります。

その意味で現在のポートフォリオ方針は評価できます。

不動産売却も順調

販売用不動産では、イーストネットビルディングやザ・スクエアホテル銀座などを取得しました。

一方、ヒューリックみなとみらい、ヒューリック府中タワーなどを売却しています。

ヒューリックは単に不動産を保有し続ける会社ではありません。

取得

開発・建替

賃料収入増加

価値向上

売却

そして新たな物件へ再投資

という資産回転を行っています。

このサイクルによって賃貸利益と売却利益の両方を増やしていくことが重要です。

今回、販売用不動産の売上も順調と説明されていますので、このサイクル自体は正常に動いています。

保険事業は利益18.8%増

保険事業の営業収益は20億5800万円で前年同期比4.6%増。

営業利益は6億6200万円で18.8%増となりました。

規模としては不動産事業と比較するとかなり小さいです。

ただし利益率は改善しています。

営業利益率を単純計算すると約32.2%です。

前年同期は約28.3%でした。

既存損保代理店の営業権取得を重点戦略として法人取引を中心に拡大しています。

全社利益への影響は限定的ですが、安定収益源の一つとしては良い内容です。

ホテル・旅館は売上13%増

ホテル・旅館事業の営業収益は315億7900万円で前年同期比13.0%増。

営業利益は27億円で1.8%増となりました。

インバウンド需要による宿泊単価上昇に加え、新規開業施設の売上が寄与しています。

売上成長はかなり強いです。

ただし営業利益の伸びは1.8%にとどまっています。

営業利益率を単純計算すると約8.6%です。

前年同期は約9.5%でした。

つまりホテル事業では売上拡大ほど利益は伸びていません。

新規開業費用、人件費、運営費など様々な要因が考えられますが、今回の資料では具体的な利益率低下理由までは説明されていません。

そのため原因を推測することはしません。

次の決算では、インバウンド需要による売上増加を利益成長へつなげられるかを確認します。

「その他」は赤字だが数字をそのまま見てはいけない

今回かなり重要なのが「その他」です。

営業収益は393億8900万円で前年同期比107.1%増。

しかし営業損失は24億5900万円となり、前年同期の5200万円の赤字から大幅に悪化しました。

数字だけを見ると、

「新規事業を広げた結果、大幅赤字になった」

ように見えます。

しかしこれは実態と違います。

リソー教育関連で51.29億円の特殊なのれん償却

会社は今回の特殊要因として、リソー教育グループの株価に応じた追加的なのれん償却51億2900万円を計上しています。

この特殊要因を除けば、「その他」の営業利益は26億6900万円です。

前年同期は5200万円の営業赤字でした。

これは非常に重要です。

表面上は、

前年 0.52億円赤字

今期 24.59億円赤字

ですが、特殊要因を除く実態は、

今期 26.69億円黒字

です。

事業そのものはむしろ大幅に改善しています。

特殊要因を除けば連結営業利益は約854億円

今回の連結営業利益は803億1300万円です。

そこへ特殊なのれん償却51億2900万円を単純に戻すと、

約854億4200万円

となります。

前年同期の営業利益750億5500万円と比較すると、約13.8%増です。

これはかなり印象が変わります。

もちろん会計上は実際に803億円の営業利益です。

のれん償却を「なかったこと」にすることはできません。

しかし今回の記事では一時的・特殊な利益や費用を除いて本業を評価する方針なので、私は、

営業利益7.0%増より、実態は二桁増益に近い

と評価します。

今回の決算で最も重要なポイントの一つです。

その他事業の中身も拡大

「その他」にはヒューリックビルド、リソー教育グループ、再生可能エネルギー関連事業などが含まれます。

さらに2025年度に連結子会社となった鉱研工業とクックデリも加わっています。

そのため営業収益が前年同期比107.1%増と倍以上になっています。

不動産以外の事業が全社売上の中で徐々に存在感を高めています。

ただし現時点で私は、ヒューリックを多角化企業として評価するより、

不動産事業を主軸とし、周辺事業を第二・第三の利益源へ育てている段階

と見ています。

今後この「その他」が特殊要因を除いて継続的に黒字化すれば、利益成長の安定性はさらに高まります。

営業外では支払利息が大きく増加

今回、営業利益7.0%増に対して経常利益は6.4%増にとどまりました。

支払利息を見ると、

前年同期 94億5100万円

今期 142億4900万円

となっています。

約47億9800万円の増加です。

約50.8%増です。

これは今後かなり重要です。

ヒューリックは巨額の不動産を保有し、借入金を活用して投資・開発する会社です。

金利上昇は、

賃料上昇

物件価格上昇

インフレ耐性

というプラス面がある一方、

資金調達コスト上昇

という明確なマイナス面があります。

今回すでに支払利息増加が損益に表れています。

賃貸解約関係収入24.88億円もある

一方、営業外収益には賃貸解約関係収入24億8800万円があります。

前年同期は1億7100万円でした。

約23億円増えています。

これが支払利息増加の一部を相殺しています。

ただし賃貸解約関係収入は通常の家賃収入とは性格が違います。

毎期同じ水準で発生すると考えるべきではありません。

したがって経常利益を見る際には、

利息負担は増えている一方、一部は解約関連収入に助けられた

と考えます。

次の決算では支払利息をより重視します。

特別利益で最終利益を作った決算ではない

特別利益は55億4700万円です。

内訳は投資有価証券売却益46億7400万円、匿名組合等投資利益7億3100万円などです。

一方、特別損失は44億8000万円あります。

建替関連損失18億900万円、減損損失17億9800万円などです。

差し引きすると特別損益は約10億6700万円のプラスです。

前年同期は約21億100万円のプラスでした。

つまり今回の純利益11.3%増は、

大きな特別利益によって作った増益ではありません。

むしろ特別損益のネットプラスは前年より小さくなっています。

ここは評価できます。

純利益11.3%増には税負担低下も寄与

税金等調整前中間純利益は719億2800万円で前年同期比約4.8%増です。

一方、親会社株主に帰属する中間純利益は499億7800万円で11.3%増となりました。

利益成長率に差があります。

法人税等を見ると、

前年同期 235億6800万円

今期 213億4200万円

へ減少しています。

特に法人税等調整額がマイナス77億7800万円となっています。

そのため最終利益の11.3%増には税負担の低下も寄与しています。

したがって私は、

営業利益の実態は表面数字より強い一方、純利益11.3%増は税効果によって多少押し上げられている

と評価します。

この両方を見る必要があります。

通期営業利益は2100億円予想

2026年12月期の通期会社予想は、

営業利益2100億円で前期比12.4%増

経常利益1850億円で6.9%増

親会社株主に帰属する当期純利益1210億円で5.8%増

です。

1株当たり当期純利益は159.34円を予想しています。

売上高予想は開示していません。

販売用不動産の売買タイミングによって売上高が大きく変動し、予測が難しいためです。

私はヒューリックでは売上予想がないことを特に問題視しません。

最終的に重要なのは、

営業利益2100億円

経常利益1850億円

純利益1210億円

を達成できるかです。

営業利益進捗率は約38.2%

中間期営業利益803億1300万円に対して、通期予想は2100億円です。

進捗率は約38.2%です。

経常利益は708億6100万円に対して通期1850億円ですので約38.3%。

純利益は499億7800万円に対して1210億円ですので約41.3%です。

単純に半年経過で50%という基準だけを見ると低く見えます。

しかし会社は今回、

中間期業績は概ね計画通り

と説明し、通期業績予想を据え置いています。

ヒューリックは不動産売却の計上時期によって利益が偏るため、私は50%基準だけでは判断しません。

下期に必要な営業利益は1296.87億円

通期営業利益2100億円に対し、中間期803億1300万円です。

したがって下期に必要な営業利益は約1296億8700万円です。

上期より約494億円多く稼ぐ必要があります。

数字だけ見ればかなり高いハードルです。

しかし会社が「概ね計画通り」として予想を据え置いていることを考えると、下期の不動産売却や開発案件による利益計上をある程度予定していると見るのが自然です。

ただし今回の資料では、下期にどの物件から何億円の利益を計上するかまでは開示されていません。

そのため私は具体的な売却益を推測しません。

次の第3四半期では、利益進捗がどこまで加速するかが重要になります。

純利益進捗41.3%は営業利益より高い

純利益進捗率は約41.3%です。

営業利益の38.2%よりやや高くなっています。

今回、法人税等調整額によって税負担が軽くなっていることも一因です。

そのため私は純利益進捗率だけを見て「計画達成余裕」とは判断しません。

営業利益と経常利益を重視します。

ヒューリックは営業利益を積み上げ、その後支払利息を差し引いて経常利益を残せるかが重要です。

財務は総資産3.59兆円

中間期末の総資産は3兆5925億800万円となり、前期末から864億4000万円増加しました。

純資産は9803億4600万円で411億6600万円増えています。

自己資本比率は26.0%から26.3%へわずかに改善しました。

利益を出しながら積極的に不動産投資を続けていますが、自己資本比率は低下していません。

不動産会社としては安定感があります。

もちろん一般事業会社と比較すると26%は高くありません。

しかしヒューリックは不動産を担保に長期資金を調達し、賃料収入で借入コストを上回るリターンを確保する事業です。

したがって借入金の絶対額だけではなく、

資産の質

賃料収入

調達金利

を見る必要があります。

借入金残高は1.665兆円

会社が示す借入金残高は1兆6652億3600万円です。

このうち500億6000万円はSPCのノンリコースローンです。

かなり大きな借入金です。

一方、会社は高い収益力を背景に安定的な低コスト調達を行っていると説明しています。

ただし今回、支払利息は約48億円増加しました。

したがって今後のヒューリックを分析するうえで、

借入金額そのものより平均調達金利がどこまで上昇するか

が重要です。

金利上昇局面でも賃料をそれ以上に引き上げられれば問題ありません。

逆に賃料上昇より金利負担増の方が速くなれば、経常利益率が悪化します。

社債も増えている

貸借対照表では長期借入金が1兆3981億円から1兆4859億円へ増加しています。

社債も4240億7000万円から4791億9400万円へ増えました。

一方、短期借入金は2093億円から1792億円へ減少しています。

短期資金を減らしながら長期資金を増やしている点は、資金調達期間を長期化しているように見えます。

ただし今回の資料には平均残存期間や平均金利は掲載されていません。

そのため具体的な金利リスクを数字で推測することはしません。

今後のIR資料で確認したい項目です。

現金は1562億円

現金及び預金は前期末1310億8300万円から1561億9700万円へ増加しました。

約251億円増えています。

開発・取得を積極的に行いながら現預金も増加しています。

資金繰り面で直ちに心配する状況ではありません。

営業投資有価証券は1095億5600万円まで増え、建設仮勘定も967億4400万円まで増加しています。

開発中の案件が積み上がっていることが貸借対照表からも分かります。

建設仮勘定は252億円増加

建設仮勘定は前期末714億9400万円から967億4400万円へ増加しました。

約252億5000万円の増加です。

これは開発・建替案件が進んでいることを示しています。

現在は建設コスト上昇が不動産会社にとって大きな問題です。

そのため開発案件が完成すれば何でも利益になるわけではありません。

重要なのは、

取得・建築コストに対して十分な賃料を取れるか

完成後に高い資産価値を維持できるか

です。

ヒューリックが得意とする都心・駅近物件なら、この価格転嫁をしやすいと私は見ています。

営業CFは1557億円へ大幅増加

営業活動によるキャッシュ・フローは1557億5200万円のプラスです。

前年同期は471億9500万円でした。

約1085億5600万円増加しています。

かなり大きな改善です。

ただしすべてが営業利益増加によるものではありません。

会社によると、

税金等調整前利益719億2800万円

棚卸資産減少569億1200万円

営業投資有価証券減少371億4000万円

などが営業CFを押し上げています。

つまり販売用不動産の売却や資産回転によってキャッシュが大きく戻ってきたことが重要です。

不動産会社として良いCFです。

棚卸資産減少569億円は資産回転の成果

営業CFの中で棚卸資産減少569億1200万円が大きく効いています。

ヒューリックにとって販売用不動産は棚卸資産です。

物件を取得・開発しただけではキャッシュを使います。

それを売却して初めてキャッシュが戻ります。

今回営業CFが大幅に増えていることは、

物件売却によって資金回収が進んだ

ことを示しています。

ヒューリックのビジネスモデルでは非常に重要です。

売上だけ増えて不動産在庫が積み上がる決算より、私は今回のようにキャッシュまで回収できている決算を高く評価します。

投資CFは2001億円のマイナス

投資活動によるキャッシュ・フローは2001億6500万円のマイナスです。

前年同期は2205億8000万円のマイナスでしたので、投資支出はやや減少しています。

主な支出は有形固定資産取得1371億3800万円、投資有価証券取得433億9200万円、子会社取得161億8800万円などです。

非常に大きな投資額です。

しかしヒューリックは成長のために不動産を取得・開発する会社です。

投資CF赤字自体を悪材料とは考えません。

むしろ、

営業CFで回収した資金を次の高収益物件へ再投資できているか

を見るべきです。

単純なフリーCFは約444億円のマイナス

営業CF1557億5200万円から投資CF2001億6500万円を差し引くと、単純なフリーCFは約444億1300万円のマイナスです。

ただし製造業のFCFと同じように「マイナスだから悪い」とは判断しません。

不動産取得・開発そのものが将来収益を生む投資だからです。

重要なのは、投資した物件から将来、

賃料

売却益

資産価値上昇

を得られるかです。

現在のところ不動産事業利益は増加し、営業CFも強いため、投資と回収のサイクルは回っていると評価します。

財務CFは695億円のプラス

財務活動によるキャッシュ・フローは695億900万円のプラスです。

長期借入による収入2427億6000万円、社債発行846億7800万円などがありました。

一方、長期借入金返済1578億7900万円、社債償還600億3000万円、配当金支払い256億8300万円などを行っています。

新規投資を続けるために資金調達を行っています。

これはヒューリックの通常の成長モデルです。

ただし、今後の金利上昇局面ではこの財務CFによる調達コストがより重要になります。

年間配当は62円から67円へ増配

2025年12月期の年間配当は62円でした。

2026年12月期は中間33.50円、期末33.50円、年間67円を予定しています。

5円増配です。

増配率は約8.1%です。

通期EPS予想159.34円に対して年間配当67円ですので、単純計算の配当性向は約42%となります。

私はヒューリックについて、キャピタルゲインだけでなく、この増配を受け取りながら業績成長を待てる点も大きな魅力だと考えます。

成長株のように株価上昇だけを待つ必要がありません。

配当の安定感は保有継続の理由になる

今回、利益予想の変更はありません。

配当予想も変更していません。

中間配当33.50円は予定通りです。

ヒューリックの場合、不動産売却益によって四半期業績は多少ぶれますが、賃貸収入という安定収益基盤があります。

その利益から配当を受け取りながら保有できるため、私は短期的な株価変動だけで売買する必要はないと考えています。

キャピタルゲインを狙いながらインカムも取れる銘柄です。

今回の決算で最も評価したいポイント

一つ目は、不動産事業が営業利益9.4%増となったことです。

主力事業がしっかり伸びています。

二つ目は、特殊なのれん償却です。

51億2900万円を除けば、その他事業は26億6900万円の黒字で、連結営業利益も実態として二桁増益に近いと見ることができます。

三つ目は営業CFです。

471億円から1557億円へ大幅に増えています。

四つ目は物件売却と再投資の循環です。

販売用不動産の売却を進めながら、新たな固定資産や開発案件への投資を続けています。

五つ目は都心・駅近の賃貸ポートフォリオです。

約250物件、126万平方メートルという安定収益基盤があります。

六つ目は増配です。

年間62円から67円への増配を予定しています。

一方で気になるポイント

一番気になるのは金利です。

支払利息が94億5100万円から142億4900万円へ約51%増えています。

二つ目は営業利益率です。

売上構成の影響が大きいとはいえ、25.0%から19.3%へ低下しています。

三つ目はホテル・旅館事業です。

売上13%増に対して営業利益は1.8%増で、利益率が低下しています。

四つ目は借入金です。

借入金残高は1兆6652億円です。

ヒューリックにとって正常な事業構造ではありますが、金利上昇局面では調達コストを継続的に確認する必要があります。

五つ目は下期の利益ハードルです。

営業利益2100億円を達成するには、下期で約1297億円必要です。

会社は計画通りとしていますが、第3四半期で利益進捗の加速を確認したいです。

特殊要因を除いて本業をどう評価するか

今回のヒューリックは、一時要因を除いて見るとむしろ評価が上がります。

最大のマイナス特殊要因はリソー教育グループ関連の追加のれん償却51億2900万円です。

これを除けば、「その他」は24億5900万円の赤字ではなく26億6900万円の営業黒字です。

連結営業利益も単純調整では約854億円となり、前年同期比約13.8%増です。

一方、営業外には賃貸解約関係収入24億8800万円があります。

これは通常の賃料収入とは違いますので、経常利益には多少プラスの特殊性があります。

特別利益では投資有価証券売却益46億7400万円がありますが、建替関連損失や減損損失も発生しており、ネットの特別利益は前年より縮小しています。

最終利益には法人税等調整額による税負担低下も寄与しています。

したがって私は今回、

営業利益は表面数字より強い。

純利益は税効果もあって少し強めに見えている。

と評価します。

本業の実力を見るなら営業利益側を高く評価したい決算です。

キャピタルゲインという視点ではどう見るか

ヒューリックは典型的な急成長株ではありません。

売上が毎年50%成長する企業でもありません。

しかしキャピタルゲインを狙ううえで私は、

利益成長の安定性

増配

資産価値

都心不動産のインフレ耐性

という組み合わせを評価しています。

今回も不動産事業の営業利益は9.4%増。

特殊要因を除いた連結営業利益も二桁増益に近い水準です。

さらに年間配当も増配です。

この状態なら、短期的な材料で急騰するタイプではなくても、

利益と配当を毎年積み上げながら株価水準を切り上げる

というキャピタルゲインを狙うことができます。

今後の最大のテーマは「インフレ対金利」

今後のヒューリックを考えるとき、私は最も重要なのが、

インフレによる賃料上昇

金利上昇による調達コスト増加

の勝負だと考えます。

会社も本格的なインフレと賃料上昇、不動産売買市場の活性化、建築費高騰を背景として不動産事業の高度化を進める方針です。

好立地の物件ならインフレ時に賃料を引き上げやすく、資産価格も維持しやすいです。

一方、借入金が大きいため金利上昇は確実にコストになります。

今回すでに支払利息約48億円増という形で数字に出ています。

今後、

賃貸利益の増加額 > 支払利息の増加額

を維持できるかが非常に重要です。

私ならどう売買するか

私はヒューリックの保有を継続します。

今回の決算で売却する理由はありません。

表面的には営業利益7.0%増ですが、リソー教育グループ関連の追加のれん償却51億2900万円という特殊要因があります。

これを除けば本業は二桁増益に近い水準です。

中核の不動産事業も営業利益9.4%増。

営業CFは1557億円まで増えています。

年間配当も62円から67円へ増配予定です。

私は現在の保有分をそのまま維持します。

追加買いについても前向きです。

ただし、今後は金利負担を見ながら買います。

支払利息が前年から約51%増えているため、株価が高くなったところを無理に追うより、押し目があれば追加する考えです。

第3四半期で不動産事業の増益が続き、営業利益進捗が大きく上昇し、支払利息の増加を吸収できていれば、さらに追加買いを検討します。

次の決算で見るポイント

最優先は通期営業利益2100億円への進捗です。

中間期は803億1300万円で38.2%です。

第3四半期でどこまで一気に積み上がるかを見ます。

二つ目は不動産事業です。

今回営業利益872億5300万円、9.4%増でした。

賃貸収入の安定成長と販売用不動産売却が継続するかを確認します。

三つ目は支払利息です。

今回142億4900万円まで増えました。

金利上昇による負担増がさらに加速するかを見ます。

四つ目は営業利益率です。

今回19.3%まで低下しています。

売上ミックスによるものなのか、下期に利益率が戻るのかを確認します。

五つ目は「その他」です。

リソー教育グループ関連の特殊なのれん償却を除けば黒字です。

次回は特殊要因がなくなり、実際の利益成長が連結数字へ表れるかを見ます。

六つ目はホテル・旅館です。

売上13%増に対して利益1.8%増でした。

インバウンドと宿泊単価上昇を利益へつなげられるかを確認します。

七つ目は営業CFです。

販売用不動産の売却による資金回収が継続するかを見ます。

八つ目は借入金と調達コストです。

借入残高だけでなく、金利負担増加のペースを見ることが重要です。

九つ目は配当です。

現時点では年間67円予想です。

利益上振れが見えてきた場合、さらなる株主還元余地が出るかにも注目します。

売却を考える条件

私が売却を考える一つ目の条件は、不動産事業の利益が減益へ転じ、それが一時的ではないと判断した場合です。

ヒューリックの投資ストーリーの中心は不動産事業です。

ここが崩れれば評価を変えます。

二つ目は金利負担です。

支払利息が急増し、賃貸利益や不動産売却利益の成長を上回るペースで経常利益を圧迫するようになれば警戒します。

三つ目は営業利益進捗です。

第3四半期になっても通期2100億円への進捗が大きく加速せず、会社計画達成が難しくなった場合は保有比率を見直します。

四つ目は不動産利益率です。

売上だけ大きく伸び、営業利益率が継続的に低下する場合は資産回転の質を確認します。

五つ目は営業CFです。

販売用不動産を積み上げる一方で売却が進まず、営業CFが大きく悪化する場合は注意します。

六つ目は配当です。

利益成長が止まり、増配基調まで崩れる場合はヒューリックを保有する魅力の一つが低下します。

逆に、

不動産利益増加

賃料上昇

営業CF確保

増配

を維持しながら金利負担を吸収できるのであれば、私は簡単には売却しません。

今回の私の結論

今回のヒューリックの2026年12月期第2四半期決算は、表面的な営業利益7.0%増より中身の良い決算だと評価します。

売上高は4165億9600万円で38.8%増。

営業利益は803億1300万円で7.0%増。

経常利益は708億6100万円で6.4%増。

親会社株主に帰属する中間純利益は499億7800万円で11.3%増でした。

売上の伸びに対して利益の伸びが小さく、営業利益率も約25.0%から19.3%へ低下しています。

ここだけなら少し弱く見えます。

しかし今回には、リソー教育グループの株価に応じた追加的なのれん償却51億2900万円という特殊要因があります。

これを除くと、「その他」は26億6900万円の営業黒字です。

さらに連結営業利益へ単純に戻せば約854億円となり、前年同期比で約13.8%増となります。

つまり、

本業の利益成長は営業利益7%増という見た目より強い

と私は判断します。

中核の不動産事業も売上35.8%増、営業利益9.4%増です。

東京23区の駅近を中心に約250件、約126万平方メートルの賃貸ポートフォリオを持ち、賃貸収入は安定しています。

物件売却も順調です。

営業CFも471億円から1557億円へ大幅に増加しました。

一方で明確な注意点もあります。

最も重要なのは支払利息です。

94億5100万円から142億4900万円へ約51%増えています。

借入金残高は1兆6652億円あります。

今後のヒューリックでは、

インフレによる賃料上昇と金利上昇による支払利息増加のどちらが速いか

が重要になります。

通期営業利益予想は2100億円。

中間期進捗率は38.2%です。

単純には高くありませんが、会社は概ね計画通りとして予想を据え置いています。

販売用不動産の売却タイミングによって利益が下期へ偏る会社ですので、私は現時点で進捗率を問題視しません。

また年間配当は62円から67円へ増配予定です。

したがって私の判断は、

保有継続です。

私は現在の保有分を売却しません。

追加買いも前向きですが、一括で買い増すのではなく押し目で追加します。

第3四半期で営業利益進捗が大きく加速し、不動産事業の増益が続き、支払利息増加を吸収できていることが確認できれば、追加買いの判断をさらに強めます。

今回の総合評価は**★★★★☆**です。

★★★★★にしなかった最大の理由は、

支払利息の約51%増加

営業利益率の低下

通期営業利益に対する進捗率38.2%

です。

ただし、今回の特殊なのれん償却を除いた本業を見ると、★★★★★にかなり近い内容です。

キャピタルゲインを考えるうえで次に見るべきなのは、売上高がどこまで増えるかではありません。

不動産賃貸・売却利益を伸ばしながら、増え始めた金利負担をどこまで吸収できるのか。

そして、

通期営業利益2100億円を達成しながら、さらに増配を続けられるのか。

ここが次の焦点です。

この2点をクリアできれば、ヒューリックは単なる安定高配当不動産株ではなく、

増配を受け取りながら利益成長によるキャピタルゲインも狙える銘柄

として、私は引き続き保有していきたいと考えます。

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