SBIホールディングス(8473)が2026年7月31日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。収益は5710億1300万円で前年同期比28.8%増、税引前利益は2258億1400万円で149.9%増、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1480億6500万円で75.0%増となりました。基本的1株当たり利益も139.60円から229.07円へ大幅に増えています。
数字だけを見ると非常に強い決算です。ただし今回の利益急増は、金融サービス事業の増益に加えて、PE投資事業の税引前利益が280億1600万円から1199億1600万円へ328.0%増加したことが大きく影響しています。したがって「SBIグループ全体の安定利益が150%増えた」と考えるのではなく、金融本業の改善と投資事業の大幅増益を分けて見る必要があります。
それでも金融サービス事業の税引前利益自体が59.5%増加しているため、今回を単なる投資益だけの決算と見るのも違います。本業も強く、そこへPE投資の大幅利益が上乗せされた決算です。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 収益 | ★★★★★ | 5710.13億円、前年同期比28.8%増 |
| 税引前利益 | ★★★★★ | 2258.14億円、149.9%増 |
| 親会社帰属利益 | ★★★★★ | 1480.65億円、75.0%増 |
| 利益率 | ★★★★★ | 単純税引前利益率は約39.5%。前年約20.4%から大幅上昇 |
| 金融サービス | ★★★★★ | 税引前利益59.5%増。安定収益基盤も大きく改善 |
| PE投資 | ★★★★★ | 税引前利益1199.16億円、328.0%増。ただし変動性は高い |
| 資産運用 | ★★★★★ | 収益45.5%増、税引前利益103.6%増 |
| 暗号資産 | ★★☆☆☆ | 収益25.9%増だが税引前損失14.44億円へ赤字拡大 |
| 次世代事業 | ★★★★★ | 収益98.7%増、税引前利益262.5%増 |
| 通期予想 | ★★★☆☆ | 業績予想は非開示。事業特性上、正式な進捗率は算出不可 |
| 特殊要因 | ★★★☆☆ | PE投資利益、信用損失減少、その他費用減少など利益押し上げ要因あり |
| 財務 | ★★★★☆ | 資本2.47兆円、親会社帰属持分比率4.8%。金融グループとして別基準で見る必要あり |
| CF | ★★★☆☆ | 営業CFは2695億円のプラスだが前年から大幅減、投資CFは6616億円のマイナス |
| 株主還元 | ★★★★★ | 中間配当30円へ増配、年間95円以上を目指す方針 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★★ | 金融本業+投資事業の両方が強い。ただしPE利益の再現性確認が必要 |
売買判断
保有 ★★★★★
新規買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私はSBIホールディングスの保有を継続します。
今回の決算で売却する理由はほとんどありません。税引前利益149.9%増という数字はPE投資事業の影響が大きいため、そのまま継続成長率として評価はしませんが、より安定性の高い金融サービス事業でも税引前利益が59.5%増加しています。
つまり、投資事業だけが好調だったわけではありません。
一方で追加買いについては★★★★☆です。今回の利益成長のかなり大きな部分をPE投資事業が占めており、SBI自身も株式市場などの変動影響が大きいため通期業績予想を開示していません。
私は現在の保有分を維持しつつ、株価が大きく上昇した局面を一括で追うより、金融サービス事業の利益成長が続くことを確認しながら押し目で追加する考えです。
収益28.8%増に対して税引前利益149.9%増
第1四半期の収益は前年同期4431億8900万円から5710億1300万円へ増加しました。
増加額は1278億2400万円です。
一方、税引前利益は903億5200万円から2258億1400万円へ増加しました。
増加額は1354億6200万円です。
収益の増加額より税引前利益の増加額の方が大きくなっています。
単純な税引前利益率を計算すると、前年同期は約20.4%でしたが、今回は約39.5%まで上昇しました。
ただしSBIホールディングスは銀行、証券、保険、資産運用、PE投資、暗号資産など性格の異なる事業を持つ金融コングロマリットです。
したがって一般事業会社の営業利益率と同じ感覚で39.5%という数字を見るべきではありません。
今回の利益率急上昇の大きな要因はPE投資事業です。
費用はほぼ横ばいなのに収益が1278億円増加
連結損益計算書を見ると、費用合計は前年同期3586億2100万円から3622億4200万円へ増えています。
増加率はわずか約1.0%です。
一方、収益は28.8%増加しています。
これは非常に大きな利益レバレッジです。
ただし費用の中身を見ると、販売費及び一般管理費は1209億8800万円から1320億9300万円へ増えています。
一方、信用損失引当金繰入は201億400万円から101億2300万円へほぼ半減し、「その他の費用」も285億4500万円から49億5200万円へ大幅に減少しました。
つまり費用総額がほぼ増えなかった背景には、通常の販管費抑制だけではなく、
信用損失費用の減少
その他費用の大幅減少
もあります。
今回の利益急増を分析するうえでは、ここを見落とさない方がよいです。
信用損失引当金は約100億円改善
信用損失引当金繰入は前年同期201億400万円から101億2300万円へ減少しました。
前年差は約99億8100万円です。
これは税引前利益の改善にプラスです。
信用コストが低下していること自体は金融事業にとって良い材料ですが、毎年同じ幅で減り続ける利益ではありません。
したがって私は、
税引前利益149.9%増のすべてを継続的な利益成長とは見ません。
一方で、信用損失を差し引く前の収益そのものも28.8%増えていますので、利益だけを特殊要因で作った決算でもありません。
その他費用が約236億円減少
「その他の費用」は前年同期285億4500万円から49億5200万円へ減少しました。
約235億9300万円の改善です。
今回の短信では、このその他費用がなぜここまで減ったのか詳細な内訳までは記載されていません。
したがって、私は勝手に一時要因や特定案件だとは断定しません。
ただし税引前利益1355億円増のうち、約236億円がこの費用減少によって押し上げられていることは把握しておきたいです。
次の決算でもその他費用が低水準を維持するかは確認したいポイントです。
持分法投資利益も約3倍
持分法による投資利益は前年同期54億6200万円から170億4300万円へ増加しました。
約115億8100万円の増加で、約3.1倍です。
これも税引前利益を押し上げています。
SBIグループは多数の企業への出資や提携を行う事業モデルですので、持分法利益の増加はグループ戦略が利益へつながっているという意味ではプラスです。
ただし金融サービスの利息や手数料収益と比べると、投資先業績によって変動する部分でもあります。
本業の安定収益と投資利益は分けて評価したいところです。
金融サービス事業が非常に強い
SBIホールディングスの安定収益基盤である金融サービス事業は、収益4047億7300万円で前年同期比5.2%増、税引前利益1159億9200万円で59.5%増となりました。
収益成長率5.2%に対して利益は約60%増です。
今回非常に評価したい部分です。
金融サービス事業には国内外の証券、銀行、保険などが含まれます。
PE投資事業のように市場環境や投資先評価で利益が大きく動きやすい事業だけではなく、SBIグループの中核金融事業でも利益が大きく伸びています。
今回の決算が高評価になる最大の理由の一つです。
金融サービスの利益率も大きく改善
金融サービス事業の税引前利益率を単純計算すると、
前年同期 約18.9%
今期 約28.7%
となります。
約9.8ポイント改善しています。
収益は約5%しか増えていないため、利益率改善の効果が非常に大きいです。
ただし今回の決算短信では、証券、銀行、保険それぞれが何億円増益したのかという詳細までは掲載されていません。
そのため「銀行事業が何億円押し上げた」といった数字を作ることはしません。
今回の資料から確実に言えるのは、
金融サービス全体として利益構造がかなり改善している
というところまでです。
最大の増益源はPE投資事業
今回最も数字が大きく動いたのがPE投資事業です。
収益は前年同期421億2500万円から1360億5000万円へ増加しました。
223.0%増です。
税引前利益は280億1600万円から1199億1600万円へ増加し、328.0%増となりました。
税引前利益の増加額は約919億円です。
連結税引前利益全体の増加額は約1355億円ですので、単純計算では今回の全社増益額の約68%をPE投資事業が占めています。
非常に大きいです。
PE投資だけで全社税引前利益の半分以上
PE投資事業の税引前利益1199億1600万円は、連結税引前利益2258億1400万円の約53%に相当します。
今回のSBIホールディングスは、
連結利益の半分以上をPE投資事業が生み出した
計算になります。
ここはかなり重要です。
金融サービス事業も1159億9200万円を稼いでいますので、二つの事業がほぼ同じ規模の利益を出した形です。
一方、PE投資事業はIT、フィンテック、AI・ビッグデータ、ブロックチェーン、金融、バイオ関連などのベンチャー企業への投資を行う事業です。
その性質上、投資先企業の評価や株式市場、売却タイミングなどによって利益が変動しやすいと考える必要があります。
PE利益1199億円を毎四半期続くとは考えない
今回のPE投資事業は税引前利益率を単純計算すると約88.1%です。
前年同期でも約66.5%でした。
非常に高い利益率です。
しかしこれは製造業やサービス業の通常利益率と同じ意味ではありません。
投資事業では保有資産の評価や投資回収によって大きな利益が発生することがあります。
SBI自身も、投資・証券関連事業を含む金融事業は株式市場などの変動影響が極めて大きいため、通期業績予想を開示していません。
したがって私は今回の1199億円を4倍して年間PE利益を予想するような見方はしません。
キャピタルゲイン目的でも、
PE利益をボーナスとして評価しつつ、金融サービス事業の利益成長を土台として見る
方が適切だと思います。
金融収益は19.8%増
収益の内訳を見ると、金融収益は前年同期2716億100万円から3253億9300万円へ増加しました。
約19.8%増です。
金融収益のうち、銀行業などの貸付金や債券から生じる受取利息は1518億4400万円、FVTOCIで測定する負債性金融資産からの受取利息は76億8500万円です。
FVTPLで測定する金融資産から生じる収益も1445億6600万円となっています。
SBIの収益成長は単純な商品販売だけではなく、金融資産運用、銀行・証券など複数の収益源から生まれています。
役務提供収益は24.8%増
顧客との契約から生じる収益のうち、役務提供による収益は前年同期597億2600万円から745億5400万円へ増加しました。
約24.8%増です。
金融グループにとって、利息以外の手数料・サービス収益が伸びることは収益源の分散という意味でも重要です。
金利や市場環境だけに依存せず、金融サービス提供そのものから得る収益が増えている点は評価できます。
資産運用事業も利益2倍
資産運用事業は収益124億7800万円で前年同期比45.5%増、税引前利益27億3700万円で103.6%増となりました。
規模としては金融サービスやPE投資より小さいですが、利益は2倍以上です。
投資信託の設定、募集、運用、投資助言などを行う事業ですので、運用資産拡大や資産形成需要が今後も続けば、比較的継続性のある収益源になり得ます。
SBIは証券、銀行だけではなく、資産運用まで金融サービスの縦軸を広く持っていることが強みです。
次世代事業は約2倍の売上、利益3.6倍
次世代事業は収益132億100万円で98.7%増、税引前利益36億1000万円で262.5%増となりました。
5-ALAを利用した医薬品・健康食品・化粧品、メディア、Web3、再生可能エネルギー、人材関連など非常に幅広い事業が含まれています。
利益率を単純計算すると約27.3%です。
前年同期は約15.0%でしたので大きく改善しています。
全社利益に占める金額はまだ小さいですが、今回の伸び率は非常に強いです。
SBIを金融会社だけでなく、多数の成長事業を持つ持株会社として見る場合には注目したい分野です。
暗号資産事業は唯一明確に悪い
今回の5セグメントの中で唯一明確に悪かったのが暗号資産事業です。
収益は139億2800万円で前年同期比25.9%増となりました。
しかし税引前損失は14億4400万円で、前年同期5億3100万円の赤字から損失が拡大しています。
売上に相当する収益が増えているのに赤字が拡大しています。
今回の決算で最も分かりやすい弱点です。
暗号資産事業は市場価格や取引量などによる変動が大きいため、単四半期だけで構造的悪化と断定はしません。
ただし全社の他事業が非常に好調なだけに、ここが黒字化すればさらに利益の上乗せになります。
次の決算では必ず確認したいです。
5事業中4事業が大幅増益
セグメント別税引前利益は、
金融サービス 1159億9200万円
資産運用 27億3700万円
PE投資 1199億1600万円
暗号資産 14億4400万円の赤字
次世代 36億1000万円
となりました。
セグメント合計は2408億1100万円で、全社・消去の149億9700万円のマイナスを差し引いて連結税引前利益2258億1400万円となっています。
暗号資産以外はすべて大幅増益です。
特に金融サービス、PE投資、次世代事業が非常に強いです。
今回の決算は一つの事業だけで全社利益を作ったわけではありません。
ただし利益増加額という意味ではPE投資への依存度が高いという二面性があります。
親会社帰属利益は75%増
四半期利益全体は1567億8100万円で前年同期比91.3%増でした。
そのうち親会社の所有者に帰属する四半期利益は1480億6500万円で75.0%増です。
総利益の伸び91.3%に対して親会社帰属利益は75%増とやや低くなっています。
理由の一つは非支配持分です。
前年同期は非支配持分がマイナス26億3700万円だったのに対し、今期は87億1600万円のプラスとなっています。
子会社利益の一部が少数株主へ帰属するため、連結全体の利益成長ほど親会社株主の利益は増えません。
株主として見る場合には、四半期利益1568億円ではなく、親会社帰属利益1481億円を重視します。
EPSは約64%増
基本的1株当たり四半期利益は139.60円から229.07円へ増加しました。
単純計算で約64.1%増です。
親会社帰属利益75%増よりEPSの増加率が低い理由として、期中平均株式数が前年同期6億605万株から今期6億4638万株へ増加していることがあります。
キャピタルゲインを考える際には非常に重要です。
企業利益が増えても株式数が増えれば、一株当たり利益の成長は小さくなります。
それでもEPSが64%増えているため、今回については一株当たり利益成長も十分に強いです。
通期業績予想は開示していない
SBIホールディングスは2027年3月期の通期業績予想を開示していません。
理由として、投資・証券関連事業をはじめとする金融事業は株式市場等の変動要因による影響が極めて大きいと説明しています。
したがって今回の記事では、
「通期利益予想に対する進捗率」
は計算できません。
これは決算分析上かなり重要です。
例えば第1四半期の親会社帰属利益1480億円を単純に4倍して年間5920億円程度と考えることはしません。
PE投資利益や市場環境によって利益が大きく動く会社だからです。
私はSBIの場合、進捗率よりも、
金融サービス利益
PE投資利益
暗号資産損益
EPS
を四半期ごとに追う方が適切だと考えます。
進捗率がない代わりに前年同期比を見る
業績予想がないため、通常の記事のように「第1四半期で30%進捗だから上方修正期待」という評価はできません。
その代わり今回見るべきなのは、前年同期から利益構造がどう変化したかです。
金融サービス税引前利益 59.5%増
資産運用税引前利益 103.6%増
PE投資税引前利益 328.0%増
次世代税引前利益 262.5%増
暗号資産 赤字拡大
という構造です。
少なくとも第1四半期だけを見る限り、利益モメンタムはかなり強いです。
財務は総資産39.19兆円
第1四半期末の総資産は39兆1871億円となり、前期末38兆2908億円から8963億円増加しました。
資本合計は2兆4741億円で、前期末から607億円増加しています。
親会社所有者帰属持分は1兆8653億円、親会社所有者帰属持分比率は4.8%です。
一般企業であれば自己資本比率4.8%は非常に低く見えます。
しかしSBIは銀行・証券を持つ金融グループです。
顧客預金や金融負債を大量に持つことが事業モデルそのものですので、製造業などと同じ基準で自己資本比率を比較するべきではありません。
そのため私は財務について、自己資本比率だけでなく資本額、現預金、預金、金融資産などを合わせて見ます。
資本は607億円増加
資本合計は2兆4134億円から2兆4741億円へ約607億円増えました。
利益剰余金は1兆1612億円から1兆2608億円へ約996億円増加しています。
第1四半期利益が資本を押し上げています。
一方で配当による約485億円の利益剰余金減少もあります。
利益を積み上げながら株主還元も行っており、現時点では資本自体は増加方向です。
顧客預金は17.66兆円
顧客預金は前期末17兆5044億円から17兆6649億円へ増加しています。
約1604億円の増加です。
銀行事業を持つSBIにとって、預金は重要な資金調達基盤です。
一方、社債及び借入金は7兆101億円から7兆4931億円へ増加しています。
金融グループですので、借入金額だけを一般企業と同じように「負債が多い」と評価することはしません。
資産運用や証券・銀行業務との対応関係を見る必要があります。
現金は6.40兆円から6.14兆円へ減少
現金及び現金同等物は前期末6兆4005億円から6兆1426億円へ減少しました。
約2579億円の減少です。
金額だけを見れば非常に大きな減少ですが、SBIは金融会社なので中身を見る必要があります。
第1四半期は投資有価証券の取得だけで8905億円を支出しています。
つまり積極的な金融資産運用が現金減少の大きな要因になっています。
営業CFは2695億円のプラス
営業活動によるキャッシュ・フローは2695億4300万円のプラスです。
前年同期は1兆565億2100万円のプラスでしたので、大幅に減少しています。
単純な前年比では約74.5%減です。
ただし金融グループでは、証券業関連資産・負債、顧客預金、銀行業の社債・借入金などの増減によって営業CFが大きく変動します。
今回も証券業関連資産及び負債の増減が4937億6100万円の支出となった一方、銀行業の社債及び借入金増加が3264億3400万円の収入となっています。
したがって一般メーカーのように、
「営業CFが74%減ったから業績悪化」
とは判断しません。
投資CFは6616億円のマイナス
投資活動によるキャッシュ・フローは6616億4400万円のマイナスです。
前年同期は1590億400万円のマイナスでした。
かなり大きく投資支出が増えています。
最大の理由は投資有価証券取得による8905億2900万円の支出です。
一方、投資有価証券の売却・償還による収入は2979億6600万円でした。
SBIは投資そのものが重要事業の一つですので、この投資CF赤字を一般企業の設備投資赤字と同じように見るのは適切ではありません。
むしろ、
現在投資した資金が将来どの程度の投資利益・配当・持分法利益を生むか
を見る必要があります。
単純なフリーCFは約3921億円のマイナス
営業CF2695億円と投資CFマイナス6616億円を単純に合計すると、約3921億円のマイナスです。
前年同期は逆に約8975億円のプラスでした。
しかし私はこの数字を一般企業のフリーCFとしては重視しません。
SBIにとって投資有価証券の売買は企業活動そのものだからです。
この会社でCFを見る場合は、
投資資金の調達余力、
投資有価証券の増減、
顧客預金、
金融負債、
現金残高、
を合わせて見る必要があります。
財務CFは1391億円のプラス
財務活動によるキャッシュ・フローは1390億6300万円のプラスです。
前年同期は849億4800万円のマイナスでした。
社債発行による8610億4700万円の収入に対して、社債償還による8275億6200万円の支出がありました。
短期借入金も1421億5200万円増加しています。
結果として積極的な投資活動による資金流出を、社債や借入金なども活用しながら賄っている状態です。
金融グループらしいCF構造です。
SBI貯蓄銀行が連結から除外
今回の第1四半期では、連結範囲からSBI貯蓄銀行が1社除外されています。
また貸借対照表では、売却目的保有資産が前期末1兆7384億円から3262億円へ大幅に減少し、それに直接関連する負債も1兆3327億円から2372億円へ減っています。
今回の資料だけでは、この二つの動きの具体的な関連や損益影響の詳細までは説明されていません。
そのため勝手に結び付けて利益要因を計算することはしません。
ただしグループ再編によって貸借対照表の構成がかなり変化していることは認識しておきたいです。
株主還元は中間配当30円へ増配
2027年3月期の中間配当予想は1株30円です。
前年の中間配当40円は株式分割前の金額であり、2025年12月1日の1株から2株への株式分割を調整すると20円相当です。
したがって実質的には中間配当20円から30円へ10円増配となります。
これはかなり大きな増配です。
年間配当は95円以上を目指す
会社は2027年3月期の年間配当について、前期実績である分割後換算1株95円以上を目指す方針です。
ただし期末配当と年間配当の具体的な金額は、通期業績を見たうえで決定するとして現時点では未定です。
したがって、
「今期は年間何円増配になる」
とはまだ言えません。
資料から確実に言えるのは、
年間95円以上を目標としている
というところまでです。
キャピタルゲイン目的でも、利益成長と株主還元の両方があることはプラスです。
今回の決算で最も評価したいポイント
一番評価したいのは金融サービス事業です。
PE投資が非常に大きく伸びていますが、安定収益基盤である金融サービス事業の税引前利益も59.5%増えています。
二つ目はPE投資です。
税引前利益1199億円は非常に大きく、投資先価値の拡大が利益へ結び付いています。
三つ目は資産運用事業です。
税引前利益が2倍以上となっています。
四つ目は次世代事業です。
規模は小さいものの、利益3.6倍です。
五つ目は信用損失引当金の減少です。
約100億円利益を押し上げています。
六つ目はEPSです。
株式数が増えているにもかかわらず、基本EPSは約64%増えています。
七つ目は株主還元です。
中間配当を分割調整後20円から30円へ引き上げ、年間95円以上を目指しています。
一方で気になるポイント
最大の注意点はPE投資事業への利益依存です。
今回のPE投資利益は連結税引前利益の半分以上を占めています。
二つ目は暗号資産事業です。
収益は増えましたが赤字は拡大しました。
三つ目はその他費用です。
前年285億円から今期49億円まで減少しており、利益増加を押し上げていますが詳細な内訳は今回の資料では分かりません。
四つ目は信用損失費用です。
約100億円減って利益へ寄与しましたが、この改善が毎四半期続くとは限りません。
五つ目はCFです。
投資活動による資金支出が非常に大きく、現金残高は約2580億円減っています。
六つ目は通期予想がないことです。
利益進捗率による通常の評価ができず、市場環境によって年間利益が大きく変動します。
今回の利益を特殊要因を除いてどう見るか
今回の税引前利益149.9%増をそのまま「本業150%成長」と見るのは過大評価です。
PE投資事業の利益増加だけで約919億円。
信用損失引当金の減少で約100億円。
その他費用の減少で約236億円。
持分法利益も約116億円増えています。
これらが税引前利益を強く押し上げています。
ただし、その反対に、
金融サービス事業自体も59.5%増益
です。
したがって今回の結論は、
一時的・変動性の高い利益がかなり大きい。しかし、それを除いても中核金融事業は強い
となります。
ここがSBIホールディングスの今回の決算を評価するうえで最も重要です。
キャピタルゲインという視点ではどう見るか
キャピタルゲイン目的では、今回のSBIホールディングスはかなり面白い決算です。
SBIの強みは単一の銀行や証券会社とは違い、
金融サービス
資産運用
PE投資
暗号資産
次世代事業
を持っていることです。
今回、暗号資産以外の4事業が大幅増益となりました。
特に金融サービス事業とPE投資事業が同時に1000億円を超える税引前利益を出しています。
これは非常に強いです。
一方、SBIの株価がさらに評価されるためには、PE投資で大きな利益が出た次の四半期にも金融サービス事業が高利益を維持することが重要です。
PE投資の利益は市場環境で上下します。
そのためキャピタルゲインを狙う場合でも、
金融サービス利益の成長を土台とし、PE投資利益を上振れ材料として見る
という考え方が私は合っていると思います。
株価評価が一段上がる条件
一番目は金融サービス事業です。
今回1159億9200万円の税引前利益でした。
この高利益が継続するなら、今回の決算は一時的な投資益依存ではなくなります。
二番目はPE投資事業です。
1199億円を毎四半期維持する必要はありません。
ただし大幅赤字へ反転せず、年間を通して安定した投資収益を確保できることが重要です。
三番目は暗号資産事業です。
今回14億円の赤字でした。
ここが黒字化すれば全事業黒字という形も見えてきます。
四番目はEPSです。
企業利益だけでなく一株当たり利益が今後も増えることが重要です。
五番目は配当です。
年間95円以上という方針から、最終的にどこまで増配されるかは株価材料になります。
私ならどう売買するか
私はSBIホールディングスの保有を継続します。
今回の決算で売却する理由はありません。
ただし「税引前利益150%増だから強気」という単純な見方ではありません。
今回の利益増加にはPE投資事業の1199億円という非常に大きな利益が含まれています。
そのため、私はこの利益を毎四半期続く前提では見ません。
それでも金融サービス事業が59.5%増益、資産運用が103.6%増益、次世代事業が262.5%増益です。
本業側にも明確な成長があります。
私は現在の保有分を維持し、株価が大きく押す場面があれば追加買いを検討します。
特に次の決算で金融サービス事業の税引前利益が高水準を維持し、暗号資産事業の赤字が縮小するようなら、追加買いの判断を強めます。
逆にPE投資利益が減るだけで株価が大きく売られ、金融サービス事業そのものは好調という局面があれば、私はむしろ買い場として考えます。
SBIではPE投資の四半期変動と、会社全体の基礎的な収益力を分けて見ることが重要です。
次の決算で見るポイント
最優先は金融サービス事業です。
今回税引前利益1159億9200万円、59.5%増でした。
次の四半期でもこの高収益が続くかを確認します。
二つ目はPE投資事業です。
今回1199億1600万円という非常に大きな利益でした。
次回どこまで反動が出るかを見ます。
三つ目は暗号資産事業です。
赤字14億4400万円が縮小するか、黒字へ戻れるかを確認します。
四つ目は信用損失引当金です。
今回101億円まで半減しました。
再び大きく増加しないかを見ます。
五つ目はその他費用です。
今回49億5200万円まで大幅に減りました。
低水準が続くのか、前年のような高水準へ戻るのかを確認します。
六つ目は持分法利益です。
今回170億4300万円まで増えています。
投資先企業の利益貢献が継続するかを見ます。
七つ目はEPSです。
利益だけでなく一株当たり利益の増加を確認します。
八つ目はCFと現金です。
積極投資を続けながら、資金余力を維持できているかを確認します。
九つ目は配当です。
年間95円以上という方針から、具体的な期末配当がどの水準になるかを見ます。
売却を考える条件
私が売却を考える一つ目の条件は、金融サービス事業まで大幅減益へ転じた場合です。
PE投資の利益変動はある程度許容します。
しかし安定収益基盤である金融サービスまで悪化する場合は、投資ストーリーそのものを見直します。
二つ目はPE投資事業です。
単四半期の利益減少だけでは売りませんが、大幅な投資損失が続き、金融サービス利益を相殺する状態になれば警戒します。
三つ目は暗号資産事業です。
赤字が拡大し続け、グループ全体の成長投資負担になる場合は評価を下げます。
四つ目はEPSです。
会社利益が増えていても株式数増加などによって一株当たり利益が伸びなくなる場合は、キャピタルゲイン目的では重要な変化です。
五つ目は資本・CFです。
積極投資による資金流出が続き、資本基盤まで悪化する場合は注意します。
六つ目は株主還元です。
利益成長が続いているにもかかわらず年間95円以上という還元方針が後退する場合も評価を見直します。
逆に金融サービス事業の成長が続き、PE投資が多少上下しながらも利益を生み、EPSと配当が増えるのであれば、私は簡単には売却しません。
今回の私の結論
今回のSBIホールディングスの2027年3月期第1四半期決算は、かなり強い好決算です。ただし利益149.9%増という数字は、その中身を分けて評価する必要があります。
収益は5710億1300万円で28.8%増。
税引前利益は2258億1400万円で149.9%増。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は1480億6500万円で75.0%増です。
この数字だけなら★★★★★級です。
ただし今回最大の増益要因はPE投資事業です。
PE投資事業の税引前利益は280億円から1199億円へ328.0%増となり、連結税引前利益の半分以上を占めました。
今回の全社税引前利益増加額の約68%がPE投資事業によるものです。
したがって私は、
税引前利益150%増が今後も続く
とは考えません。
一方で、この決算を「投資益だけ」と評価するのも間違いです。
金融サービス事業は収益5.2%増に対して税引前利益59.5%増。
資産運用事業は利益103.6%増。
次世代事業は262.5%増です。
暗号資産だけは赤字が拡大しています。
さらに信用損失引当金が約100億円減少し、その他費用も約236億円減少しています。
持分法利益も約116億円増えました。
つまり今回の利益急増には複数のプラス要因が重なっています。
財務面では総資産39兆1871億円、資本2兆4741億円。
現金及び現金同等物は6兆1426億円あります。
第1四半期には投資有価証券を8905億円取得するなど積極的な投資を継続しており、投資CFは6616億円のマイナスとなりました。
株主還元では、中間配当を分割調整後20円から30円へ増配します。
年間配当についても前期実績95円以上を目指す方針です。
したがって私は今回を、
「PE投資の大幅利益が目立つが、金融本業まで非常に強い決算」
と評価します。
私は保有を継続します。
現時点で売却する理由はありません。
追加買いについても前向きですが、今回のPE利益1199億円をそのまま将来利益として株価へ織り込むことはしません。
私は、
金融サービス事業の59.5%増益が次回も続くか
を最重要ポイントとして見ます。
PE投資利益が次回多少減少しても、金融サービス、資産運用、次世代事業が成長を続けるなら保有継続です。
逆に次回もPE投資が高利益を維持し、金融サービスまで強い状態なら、SBIホールディングスの利益水準そのものが一段上へ変わった可能性があります。
今回の総合評価は**★★★★★**です。
ただし★★★★★の理由は「税引前利益150%増」だけではありません。
変動性の高いPE投資が大幅増益しながら、安定収益基盤である金融サービスも約60%増益していること。
ここを最も高く評価します。
キャピタルゲインを考えるうえで次に見るべきなのは、今回の2258億円という税引前利益を単純に超えられるかではありません。
PE投資利益が正常化した後でも、金融サービスを中心に高い利益水準を維持できるのか。
ここが確認できれば、SBIホールディングスは単なる投資会社的な評価ではなく、
金融本業の成長と投資利益の両方を持つ総合金融成長株
として、さらに評価しやすくなると考えます。
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