三井住友フィナンシャルグループ(8316)が2026年7月31日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。今回の決算は経常収益2兆8504億円で前年同期比16.6%増、経常利益6931億円で43.4%増、親会社株主に帰属する四半期純利益5013億円で33.0%増となりました。かなり強い第1四半期です。
銀行の場合、一般企業のように「売上高」「営業利益」「営業利益率」だけを見る分析は適していません。三井住友FGでは、経常収益に加えて、資金利益、役務取引等利益、連結粗利益、営業経費、連結業務純益、与信関係費用、貸出金利回り、預貸金利ざや、不良債権比率などを見て、本業の収益力を判断する必要があります。
今回特に強かったのは連結粗利益です。1兆4034億円となり、前年同期から3157億円増加しました。その中でも資金利益は7918億円で1656億円増、役務取引等利益は4738億円で750億円増となっています。連結業務純益も7223億円と前年同期から1780億円増えています。
さらに三井住友銀行単体では、国内貸出金利回りが前年同期1.26%から1.61%へ上昇し、預金等利回りも0.18%から0.30%へ上昇しましたが、預貸金利回差は1.08%から1.31%へ0.23ポイント拡大しています。金利上昇による利ざや改善が、本業利益へかなり明確に表れ始めています。
一方、経常利益43.4%増には株式等損益754億円も含まれています。しかし株式等損益を除いても連結業務純益そのものが約33%増えていますので、「株式売却益だけで作った好決算」ではありません。
キャピタルゲインを意識するなら、今回の三井住友FGはかなり評価しやすい決算です。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 経常収益 | ★★★★★ | 2兆8504億円、前年同期比16.6%増 |
| 経常利益 | ★★★★★ | 6931億円、43.4%増 |
| 純利益 | ★★★★★ | 5013億円、33.0%増 |
| 本業収益力 | ★★★★★ | 連結業務純益7223億円、前年同期比約32.7%増 |
| 資金利益 | ★★★★★ | 7919億円、前年同期から1656億円増 |
| 預貸金利ざや | ★★★★★ | 三井住友銀行単体で1.08%から1.31%へ拡大 |
| 手数料収益 | ★★★★★ | 役務取引等利益4738億円、750億円増 |
| 主要事業 | ★★★★☆ | ホールセール、リテール、市場が大幅増益。グローバルは減益 |
| 与信費用 | ★★★★☆ | 747億円。前年同期とほぼ同水準 |
| 不良債権 | ★★★★★ | 連結不良債権比率0.97%から0.81%へ改善 |
| 通期予想 | ★★★★★ | 純利益1兆7000億円、7.4%増を据え置き |
| 進捗率 | ★★★★★ | 純利益進捗約29.5%。第1四半期として強い |
| 財務・健全性 | ★★★★☆ | 純資産16.24兆円。不良債権比率も改善 |
| 有価証券 | ★★★★☆ | 評価損益は全体で約3.17兆円のプラス |
| CF | ★★★☆☆ | 第1四半期CF計算書は作成されていない。銀行はCFより預貸金・資産健全性を重視 |
| 株主還元 | ★★★★★ | 年間180円予想、前期157円から増配。株式分割も予定 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★★ | 金利上昇メリット、本業増益、高進捗が揃う |
売買判断
保有 ★★★★★
新規買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
今回の決算内容だけで判断するなら、私がすでに保有している株は売却しません。
純利益33%増も強いのですが、それ以上に評価したいのが、資金利益、役務取引等利益、連結粗利益、連結業務純益がそろって大きく伸びていることです。
特に国内預貸金利ざやが1.08%から1.31%へ拡大しており、日本の金利環境変化が銀行本来の収益力改善につながっています。
新規買いも★★★★☆とします。
★★★★★にしない理由は、今回アップロードされた決算資料だけでは現在株価やPER、PBRなどのバリュエーションを評価できないためです。決算内容そのものはかなり強いですが、キャピタルゲインを狙う場合には「良い会社」と「今の株価で買いやすい会社」は分けて考える必要があります。
それでも決算だけで判断するなら、売りより明確に買い方向です。
経常収益16.6%増、純利益33.0%増
第1四半期の経常収益は前年同期2兆4444億円から2兆8504億円へ増加しました。
増加額は約4060億円です。
経常利益は4833億円から6931億円へ増加し、前年同期比43.4%増。
親会社株主に帰属する四半期純利益は3769億円から5013億円へ33.0%増加しました。
利益の伸びが収益の伸びを大きく上回っています。
一般企業であれば「利益率改善」と表現するところですが、銀行の場合には単純な営業利益率ではなく、粗利益と経費、与信費用などの関係を見る方が適切です。
そこで連結粗利益を見ると、今回かなり強い内容になっています。
連結粗利益は約29%増
連結粗利益は前年同期1兆877億円から1兆4034億円へ増加しました。
増加額は3157億円、単純計算で約29.0%増です。
その内訳を見ると、資金利益は6262億円から7919億円へ1656億円増、役務取引等利益は3988億円から4738億円へ750億円増、特定取引利益は576億円から849億円へ273億円増、その他業務利益も23億円から494億円へ大きく増えています。
銀行の収益源が一つだけではなく、複数の項目で増えています。
今回の決算の質が高いと考える理由です。
最大のポイントは資金利益1656億円増
今回最も注目したいのは資金利益です。
連結資金利益は7918億9000万円となり、前年同期6262億8400万円から1656億円増えました。
銀行の本業を非常に簡単に言えば、
低い金利で資金を集め、より高い金利で貸し出し、その差を利益にする
という部分があります。
日本では長期間の低金利によって、この利ざやが非常に薄い状態が続いていました。
しかし現在は預貸金利ざやが拡大しています。
三井住友FGにとって金利正常化が単なる期待材料ではなく、実際の利益数字へ反映され始めています。
国内預貸金利ざやは1.08%から1.31%へ
三井住友銀行単体の国内貸出金利回りは前年同期1.26%から1.61%へ上昇しました。
0.35ポイントの上昇です。
預金等利回りも0.18%から0.30%へ上昇しています。
こちらは0.12ポイント上昇です。
その結果、
預貸金利回差は1.08%から1.31%へ0.23ポイント拡大
しました。
これが非常に重要です。
預金金利も上がっていますので、金利上昇がすべて銀行利益になるわけではありません。
それでも貸出金利の上昇幅0.35ポイントが預金金利の上昇幅0.12ポイントを大きく上回っています。
つまり資金調達コスト上昇以上に運用利回りが改善している状態です。
今回の資金利益増加を支えた重要な背景と見ることができます。
貸出金そのものも増えている
金利が上がっても貸出残高が大幅に減れば、利益成長は抑えられます。
しかし今回、貸出金残高も増えています。
三井住友銀行単体の貸出金は2026年3月末110兆7487億円から6月末113兆3898億円へ増加しました。
約2兆6411億円の増加です。
国内店分は約1兆6518億円増、海外店分なども約9894億円増えています。
つまり今回の資金利益成長は、
貸出利ざや拡大+貸出残高増加
という非常に良い組み合わせです。
銀行株をキャピタルゲイン目的で見る場合、私はここをかなり評価します。
預金残高もしっかり増加
国内預金は136兆8211億円となり、3月末から9342億円増加しました。
そのうち個人預金は63兆2212億円で5152億円増えています。
銀行にとって預金は重要な資金調達基盤です。
貸出を伸ばしながら預金も増えているため、資金調達基盤自体も安定しています。
金利上昇局面では預金獲得競争によって預金金利が上昇する可能性がありますので、今後は貸出金利と預金金利のどちらが速く上がるかを継続して見る必要があります。
現時点では貸出金利上昇の方が大きく、利ざやにはプラスです。
手数料ビジネスも18%以上伸びている
役務取引等利益は4738億4400万円となり、前年同期3987億8800万円から750億円増加しました。
単純計算で約18.8%増です。
ここもかなり評価できます。
銀行の収益が金利だけに依存すると、将来金利環境が変わったときに利益が大きく変動します。
手数料収益が同時に増えていることは、利益構造の安定性という意味でプラスです。
今回の三井住友FGは、
金利収益も増加、手数料収益も増加
という形になっています。
連結業務純益は32.7%増
連結業務純益は7223億1100万円でした。
前年同期5442億8200万円から1780億円増加しており、単純計算で約32.7%増です。
私は今回、純利益5013億円以上にこの数字を重視します。
連結業務純益は銀行グループの基礎的な本業収益力を見るうえで重要だからです。
株式等損益などを含む経常利益が43%増えている一方、本業により近い業務純益も33%近く増えています。
したがって今回の好決算は、一時的な利益だけで作られたものではありません。
経費は増えたが、粗利益の伸びが上回った
営業経費は前年同期5996億円から7122億円へ増加しました。
約1125億円、18.8%程度の増加です。
人件費、システム投資、事業拡大など銀行グループの経費負担は増えています。
しかし連結粗利益は約29%増えています。
つまり経費増加より収益増加の方が速いです。
単純に営業経費を連結粗利益で割った比率を計算すると、
前年同期 約55.1%
今期 約50.7%
となります。
約4.4ポイント改善しています。
銀行の効率性を見る一つの参考として、かなり良い変化です。
単に人件費などを削減して利益を作っているのではなく、経費を増やしながらそれ以上に収益を伸ばしています。
株式等損益は754億円
株式等損益は754億7600万円となり、前年同期410億5400万円から344億円増加しています。
これは経常利益を押し上げています。
したがって経常利益43.4%増のすべてを本業成長と考えるべきではありません。
ただし繰り返しになりますが、連結業務純益自体が約33%増です。
今回の利益成長は、
本業がかなり強いところに、株式等損益も上乗せされた
と見るのが適切です。
「政策保有株売却などによる利益だけで増益した決算」と見るのは違います。
特別損益はほとんど影響していない
特別損益は16億1600万円のマイナスです。
前年同期も17億6200万円のマイナスでした。
経常利益6931億円に対して非常に小さい金額です。
今回の純利益5013億円は、大きな特別利益によって作られたものではありません。
特殊要因を見るなら、むしろ株式等損益を見る方が重要です。
その株式等損益を考慮しても、本業の業務純益が大幅増益です。
そのため今回の利益の質は高いと評価します。
ホールセール事業は約24%増益
ホールセール事業の連結粗利益は3721億円で、前年同期2775億円から946億円増加しました。
連結業務純益は2193億円から2715億円へ増加しています。
単純計算で約23.8%増です。
法人向けを中心とするホールセールはかなり堅調です。
営業経費も952億円から1269億円へ増えていますが、それ以上に粗利益が拡大しています。
大企業を中心とした資金需要や各種金融サービスによる収益拡大が、グループ全体の増益を支えています。
今回の資料には個別商品の詳細までは記載されていませんので、何が何億円増えたといった推測はしません。
リテール事業は業務純益62%増
今回かなり強いのがリテール事業です。
連結粗利益は前年同期3549億円から4288億円へ増加。
連結業務純益は745億円から1209億円へ増加しました。
単純計算で約62.3%増です。
利益増加率という意味では非常に強いです。
営業経費は2807億円から3092億円へ増えましたが、粗利益増加の方が大きく、利益が大幅に伸びています。
個人向け金融サービスでも収益力がかなり改善していることが分かります。
市場事業は約56%増益
市場事業部門も非常に強いです。
連結粗利益は1566億円から2335億円へ増加。
連結業務純益は1149億円から1789億円へ増加しました。
単純計算で約55.7%増です。
今回の全社増益を大きく支えている事業の一つです。
市場環境の変化を収益機会として取り込めています。
一方、市場収益は金融市場環境によって四半期ごとに変動しやすい部分でもあります。
今回の1789億円をそのまま毎四半期繰り返すと考えるのは避けたいです。
唯一弱かったのがグローバル事業
一方、今回の主要部門で明確に弱かったのがグローバル事業です。
連結粗利益は3590億円から3867億円へ増加しました。
売上面では伸びています。
しかし連結業務純益は1847億円から1512億円へ減少しました。
約18.1%減です。
粗利益は増えているのに利益が減っています。
中身を見ると、営業経費が2324億円から2691億円へ増加し、「その他」も581億円から336億円へ減少しています。
その結果、粗利益増加を吸収してしまいました。
今回の決算で最も明確な弱点です。
全社では非常に好調ですが、すべての事業部門が増益というわけではありません。
次の決算ではグローバル部門が再び利益成長へ戻れるかを確認したいです。
本社管理等の赤字も大幅に縮小
本社管理等の連結業務純益は前年同期マイナス491億円から、今回はほぼゼロに近いマイナス1億8900万円まで改善しています。
グループ全体の利益改善にはこの部分も寄与しています。
ただし本社管理等には内部取引消去なども含まれるため、一般事業会社の「本社コスト削減」と同じように単純評価するべきではありません。
それでも前年に大きなマイナスだった項目が大幅改善していることは、連結業務純益押し上げの一因です。
三井住友銀行単体のコア業務純益も非常に強い
三井住友銀行単体を見ると、業務粗利益は7951億円で前年同期比2167億円増。
業務純益は4715億円で1660億円増となりました。
さらに国債等債券損益を除いたコア業務純益は4866億円となり、前年同期2922億円から1944億円増えています。
単純計算で約66.5%増です。
しかも今期は国債等債券損益が197億円の赤字で、前年同期143億円の黒字から約341億円悪化しています。
それでもコア業務純益が大幅増です。
これは今回かなり評価できます。
債券売買益で利益を作ったのではなく、むしろ債券損益が逆風になる中で基礎的な銀行収益が増えています。
与信関係費用はほぼ横ばい
連結与信関係費用は747億6900万円でした。
前年同期756億4500万円から8億7500万円改善しています。
大幅な増益局面でありながら、与信費用が急増していません。
ここは重要です。
銀行は貸出を増やせば収益を増やせますが、融資先の質が悪ければ後から貸倒損失が増えます。
今回、貸出金残高は増加していますが、連結与信費用はほぼ前年並みです。
現時点では、貸出拡大によって急激に信用コストが悪化している状態ではありません。
ただし三井住友銀行単体では与信費用が増加
一方、三井住友銀行単体の与信関係費用は139億3600万円となり、前年同期54億2300万円から約85億円増加しています。
ここは少し注意が必要です。
連結ではほぼ横ばいですが、銀行単体では信用コストが増えています。
ただし業務純益4715億円に対して139億円ですので、現段階で利益全体を大きく揺るがす規模ではありません。
次の決算でも与信関係費用がさらに増えるのか、それとも今回程度で落ち着くのかを確認したいです。
不良債権比率はむしろ改善
信用コストを考える際に重要なのが不良債権です。
三井住友FG連結の銀行法及び再生法に基づく債権は、不良債権合計が2026年3月末1兆3493億円から6月末1兆1489億円へ減少しました。
不良債権比率は0.97%から0.81%へ0.16ポイント改善しています。
三井住友銀行単体でも不良債権比率は0.71%から0.54%へ改善しています。
これは非常に良い数字です。
貸出残高が増えているにもかかわらず、不良債権比率は低下しています。
少なくとも今回の資料からは、
貸出を無理に増やして資産の質が悪化している
という状況は見えません。
金利上昇局面で最も理想的な形に近い
銀行にとって金利上昇が必ず利益増になるとは限りません。
預金金利だけ上がって貸出金利が上がらなかったり、金利上昇で企業倒産が増えたり、債券評価損が膨らむこともあります。
今回の三井住友FGを見ると、
貸出金利回りが上昇。
預貸金利ざやが拡大。
貸出残高も増加。
預金残高も増加。
与信費用は連結でほぼ横ばい。
不良債権比率は改善。
という状態です。
現在のところ、金利正常化のプラス面をかなりうまく利益へ取り込めていると評価できます。
有価証券評価損益は3兆円超のプラス
2026年6月末の有価証券評価損益は、連結合計で3兆1748億円のプラスとなっています。
2026年3月末は3兆416億円でしたので、約1332億円増加しました。
内訳では株式が2兆6969億円の評価益です。
一方、債券は5876億円の評価損となっています。
金利上昇局面では債券価格が下落しやすいため、債券評価損は銀行にとって注意すべきポイントです。
ただし株式などを含めた有価証券全体では大幅な評価益を維持しています。
債券評価損は拡大している
連結ベースの債券評価損は2026年3月末4498億円から6月末5876億円へ拡大しました。
約1377億円の悪化です。
国債だけでも評価損は1204億円から1629億円へ増えています。
外国債券の評価損も3004億円から3436億円へ拡大しました。
金利上昇は貸出利ざやにプラスですが、保有債券価格にはマイナスです。
銀行株を見る場合、この両面を理解する必要があります。
今回については資金利益増加のメリットがかなり大きく出ていますが、金利が急激に上昇する場合には債券評価損の拡大も確認したいです。
株式評価益は約2.7兆円
一方、株式の評価損益は2兆6969億円のプラスです。
3月末の2兆4972億円から約1997億円増加しています。
非常に大きな含み益です。
政策保有株式の削減などを進める場合、この含み益は資本効率改善や株主還元の余力にも関係してきます。
ただし今回のアップロード資料には、今後具体的に何円・何株売却するかまでは記載されていません。
したがって具体的な売却益を予想することはしません。
現時点では非常に大きな有価証券評価益を持っていることを確認しておきます。
財務は銀行特有の見方が必要
第1四半期末の総資産は327兆4695億円。
純資産は16兆2407億円。
自己資本は16兆987億円です。
短信上の自己資本比率は4.9%となっています。
一般企業を分析する場合、自己資本比率4.9%なら非常に低いと判断します。
しかし銀行に同じ基準を当てはめてはいけません。
銀行は顧客から預かった預金を負債として計上し、それを貸出・有価証券などで運用する事業だからです。
銀行の健全性では、単純な貸借対照表上の自己資本比率だけでなく、規制上の自己資本比率やリスクアセット、不良債権などを見る必要があります。
今回の資料では2026年6月末の規制上の自己資本比率について「算出次第公表」とされており、数字は掲載されていません。
したがって資料にない自己資本比率を勝手に補うことはしません。
純資産は約3076億円増加
純資産は前期末15兆9331億円から16兆2407億円へ増加しました。
約3076億円の増加です。
利益剰余金は8兆8710億円から9兆710億円へ約2000億円増加しています。
一方、自己株式は前期末マイナス488億円からマイナス1638億円へ増えています。
会社は2026年5月13日の取締役会で自己株式取得を決議しており、期末自己株式数も1063万株から2929万株へ増加しました。
利益成長だけでなく、株主還元も進めていることが分かります。
ただし今回の資料には自己株式取得の総額など詳細条件は記載されていませんので、ここでは具体額を推測しません。
配当は157円から180円へ増配予想
2026年3月期の年間配当は157円でした。
2027年3月期は分割考慮前で中間90円、期末90円、年間180円を予定しています。
23円の増配です。
単純な増配率は約14.6%です。
利益予想は前期比7.4%増ですが、配当はそれを上回るペースで増やす計画です。
銀行株としてかなり魅力的なポイントです。
三井住友FGはキャピタルゲインだけではなく、利益成長と株主還元の両方を取りにいける銘柄になっています。
9月末に1株を2株へ株式分割
会社は2026年9月30日を基準日として、普通株式1株を2株へ分割する予定です。
そのため配当表示は少し分かりにくくなっています。
中間配当は分割前で1株90円。
分割後の期末配当は1株45円です。
分割前に1株持っている株主は分割後に2株になりますので、期末は45円×2株で90円相当です。
つまり分割前基準で考えれば年間180円相当となります。
株式分割によって1単元当たりの投資金額が下がるため、個人投資家にとって売買しやすくなる可能性があります。
キャピタルゲインという意味でも流動性向上はプラス材料です。
通期純利益予想は1兆7000億円
2027年3月期の通期会社予想は、親会社株主に帰属する当期純利益1兆7000億円です。
前期比7.4%増を見込んでいます。
今回の決算発表では予想を変更していません。
第1四半期の純利益は5013億円です。
したがって単純進捗率は約29.5%となります。
第1四半期で年間計画の3割近くまで進んでいます。
かなり良い進捗です。
純利益進捗率29.5%は強い
通期純利益予想1兆7000億円に対し、第1四半期で5013億円を計上しました。
残り3四半期で必要なのは約1兆1986億円です。
単純平均すると1四半期当たり約3995億円です。
第1四半期の5013億円より約1000億円低い水準で会社計画を達成できます。
銀行の利益は市場環境、株式売却益、与信費用などで四半期ごとに変動しますので、第1四半期を単純に4倍することはできません。
それでも進捗率約29.5%は明確に良いです。
第1四半期を単純に4倍すれば約2兆円だが
第1四半期純利益5013億円を単純に4倍すると約2兆54億円になります。
通期会社予想1兆7000億円を大きく上回ります。
ただし私はこの数字を年間予想として使いません。
今回には株式等損益754億円、市場部門の大幅増益など、四半期ごとの振れが出やすい要因も入っているからです。
しかし会社計画1兆7000億円に対して余裕のあるスタートであることは間違いありません。
第2四半期でも本業の連結業務純益が高水準を維持するなら、上振れ期待はさらに強まります。
通期予想を据え置いたことをどう見るか
第1四半期純利益は33%増で、進捗率も約29.5%です。
それでも会社は通期純利益予想1兆7000億円を据え置きました。
これを私はネガティブとは見ません。
銀行業績には金利、市場、為替、株価、信用コストなど多くの変動要因があります。
第1四半期だけで年間予想を修正しないのは不自然ではありません。
むしろ第2四半期でも資金利益や業務純益が現在の勢いを維持するなら、その時点で上方修正期待がさらに高まりやすくなります。
キャピタルゲイン目的では、次の決算まで上振れ余地を残していると見ることもできます。
CFは今回の資料では確認できない
第1四半期の連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていません。
したがって通常の企業分析のように営業CF、投資CF、財務CFを比較することはできません。
ただし銀行の場合、そもそも預金や貸出金の増減によってキャッシュ・フローが非常に大きく動くため、一般事業会社ほどFCFを重視する分析には向きません。
私は三井住友FGではCFより、
預金残高
貸出金残高
預貸金利ざや
与信費用
不良債権比率
有価証券評価損益
規制上の自己資本
を重視します。
今回については貸出・預金とも増加し、不良債権比率も改善しているため、資産健全性は良好です。
今回の決算で最も評価したいポイント
今回一番評価したいのは、純利益33%増そのものではなく、連結業務純益が約32.7%増えていることです。
二つ目は資金利益です。
前年同期から1656億円増加しました。
三つ目は国内預貸金利ざやです。
1.08%から1.31%まで0.23ポイント改善しています。
四つ目は貸出金です。
三井住友銀行単体で約2.64兆円増えています。
五つ目はリテールと市場部門です。
連結業務純益はそれぞれ約62%増、約56%増となりました。
六つ目は不良債権です。
連結不良債権比率は0.97%から0.81%へ改善しています。
七つ目は株主還元です。
年間配当157円から180円への増配に加え、自己株式取得も決議されています。
かなりバランスの良い好決算です。
一方で気になるポイント
一つ目はグローバル事業です。
連結粗利益は増えたのに、業務純益は1847億円から1512億円へ減少しました。
二つ目は経費です。
連結営業経費は前年同期から1125億円増えています。
粗利益成長の方が速いため現時点では問題ありませんが、今後も経費増加率を収益増加率以下に抑えられるかを確認します。
三つ目は三井住友銀行単体の与信費用です。
前年54億円から139億円へ増えています。
四つ目は債券評価損です。
連結の債券評価損は約5876億円まで拡大しています。
五つ目は市場部門です。
今回は非常に強いですが、市場収益は四半期変動が大きいため、現在の増益率をそのまま年間へ延長することはできません。
ただしこれらを考慮しても、全体としてマイナス材料よりプラス材料の方がかなり大きい決算です。
特殊要因を除いてもかなり強い
今回の純利益5013億円には株式等損益754億円が含まれています。
そのため純利益33%増だけを見て評価するより、株式等損益より前の本業収益を見る必要があります。
その連結業務純益が7223億円で約33%増です。
さらに三井住友銀行単体のコア業務純益は4866億円まで増えています。
一方、国債等債券損益は197億円のマイナスです。
つまり、
株式利益や市場要因だけを除いても本業は非常に強い
と評価できます。
今回の決算の質はかなり高いです。
キャピタルゲインという視点ではどう見るか
キャピタルゲイン目的で見ると、三井住友FGは現在かなり分かりやすい利益成長局面にあります。
最大の理由は、
国内金利正常化が期待ではなく実際の利益になり始めている
ことです。
貸出金利回り1.61%。
預金等利回り0.30%。
預貸金利ざや1.31%。
資金利益7919億円。
さらに貸出残高まで増えています。
長年の超低金利時代では、銀行が貸出を増やしても利ざやが薄いため大きな利益成長につながりにくい状態でした。
現在はその逆方向へ動いています。
さらに役務取引等利益、市場収益も増えています。
つまり、
金利上昇メリット+貸出増加+手数料増加+株主還元
という複数の株価材料があります。
今後さらに株価評価が上がる条件
一番目は預貸金利ざやです。
今回1.31%まで上昇しました。
これがさらに拡大するなら資金利益の増加余地があります。
二番目は貸出金残高です。
金利が上がっても貸出需要が落ちなければ、利益成長が続きやすくなります。
三番目は与信費用です。
景気悪化によって貸倒費用が急増すると、金利上昇メリットを打ち消します。
今回連結では安定していますので、この状態が続くことが重要です。
四番目はグローバル事業です。
今回唯一大きく減益した部門です。
ここが回復すれば、国内・市場部門の好調にもう一段利益が上乗せされます。
五番目は通期純利益です。
1兆7000億円予想に対し第1四半期で5013億円です。
第2四半期でも高進捗が続けば、上方修正期待が強くなります。
私ならどう売買するか
すでに三井住友FGを保有しているなら、私は今回の決算では売却しません。
むしろ基本的には保有継続です。
理由は、
純利益33%増だけではありません。
資金利益が1656億円増。
役務取引等利益が750億円増。
連結業務純益が1780億円増。
国内預貸金利ざやが1.08%から1.31%へ拡大。
貸出金残高も増加。
不良債権比率は低下。
年間配当も157円から180円へ増配予定です。
本業、資産健全性、株主還元が同時に改善しています。
新規買いについても前向きです。
ただし今回の資料だけでは現在株価の割高・割安までは判断できません。
私なら決算内容を理由に買い候補には入れますが、株価が決算後に短期間で急騰した場合は一括で追わず分割します。
そして第2四半期で預貸金利ざやの拡大と純利益高進捗が続けば追加します。
次の決算で見るポイント
最優先は資金利益です。
今回7919億円まで増えました。
金利正常化メリットがさらに続くかを確認します。
二つ目は国内預貸金利ざやです。
現在1.31%です。
貸出金利と預金金利のどちらが速く上昇しているかを見ます。
三つ目は貸出金残高です。
金利上昇によって企業・個人の借入需要が急減していないかを確認します。
四つ目は連結業務純益です。
今回7223億円でした。
純利益よりも本業の利益モメンタムを見るうえで重要です。
五つ目はグローバル事業です。
今回業務純益が18%程度減少しました。
ここが回復するかを見ます。
六つ目は与信関係費用です。
景気や金利上昇によって信用コストが増え始めていないかを確認します。
七つ目は不良債権比率です。
今回0.81%まで改善しました。
この低水準を維持できるかが重要です。
八つ目は債券評価損です。
金利上昇メリットと債券価格下落のバランスを確認します。
そして最大のポイントは通期純利益1兆7000億円です。
第2四半期でも進捗率が高水準なら、会社予想の上振れ期待をさらに強めたいです。
売却を考える条件
私が売却を考える一つ目の条件は、預貸金利ざやが縮小へ転じた場合です。
現在の利益成長ストーリーの中心だからです。
預金金利の上昇が貸出金利上昇を上回るようになれば、資金利益には逆風になります。
二つ目は貸出残高の急減です。
金利上昇によって資金需要が大きく落ちれば、利ざや改善効果が薄れます。
三つ目は与信費用の急増です。
特に不良債権比率が上昇へ転じ、貸倒コストが大幅に増える場合は警戒します。
四つ目はグローバル事業の減益長期化です。
国内部門が強くても、海外収益力が落ち続ける場合は成長率が鈍ります。
五つ目は通期利益です。
第1四半期約29.5%という高進捗にもかかわらず、その後利益が急減して1兆7000億円達成に不安が出る場合は評価を下げます。
六つ目は株主還元です。
利益成長が続いているにもかかわらず増配・自己株取得姿勢が後退する場合も、株価評価の変化を確認します。
逆に資金利益増加、高い利ざや、低い不良債権比率、高進捗、増配が続くのであれば、私は簡単には売却しません。
今回の私の結論
今回の三井住友フィナンシャルグループの2027年3月期第1四半期決算は、かなり強い好決算です。
経常収益は2兆8504億円で16.6%増。
経常利益は6931億円で43.4%増。
親会社株主に帰属する四半期純利益は5013億円で33.0%増となりました。
ただし私が最も評価するのは純利益33%増ではありません。
連結粗利益が1兆4034億円まで増加し、その中でも資金利益が1656億円増、役務取引等利益が750億円増となったことです。
連結業務純益も7223億円で約32.7%増です。
本業が非常に強いです。
そして三井住友銀行単体では、国内貸出金利回りが1.26%から1.61%へ上昇。
預金等利回りは0.18%から0.30%へ上昇。
結果として預貸金利ざやは1.08%から1.31%へ拡大しました。
さらに貸出金残高は3月末から約2.64兆円増えています。
つまり、
金利上昇による利ざや改善だけではなく、貸出数量まで増えている
という非常に良い状態です。
資産の質も悪化していません。
連結不良債権比率は0.97%から0.81%へ改善しました。
一方で注意点もあります。
グローバル事業は業務純益が約18%減少。
三井住友銀行単体の与信費用は増加。
債券評価損も拡大しています。
ただし現在は、それらを国内銀行収益、市場部門、リテール、ホールセールの増益が大きく上回っています。
通期純利益予想は1兆7000億円。
第1四半期ですでに5013億円まで稼ぎ、進捗率は約29.5%です。
年間配当も157円から180円へ増配予定です。
さらに9月末には1株を2株へ分割します。
したがって私は今回を、
「金利正常化のメリットが本格的に利益へ表れ、本業利益・資産健全性・株主還元が同時に改善した決算」
と評価します。
私なら、
保有は継続。
新規買いも前向き。
ただし現在株価のバリュエーションは今回の資料だけでは判断できないため、急騰時は一括で追わず分割買い。
第2四半期でも預貸金利ざや拡大と純利益高進捗が続けば追加買い。
という判断です。
今回の総合評価は**★★★★★**です。
特殊要因として株式等損益はありますが、それを除いて本業に近い連結業務純益も大幅に伸びています。
キャピタルゲインを考えるうえで次に見るべきなのは、単に「銀行株だから金利上昇で上がる」というテーマではありません。
預貸金利ざや1.31%がさらに拡大するのか。
貸出金残高を伸ばしながら、不良債権比率0.81%という資産健全性を維持できるのか。
そして純利益1兆7000億円をどこまで上回れるのか。
この3点が次の焦点です。
第2四半期でもこの流れが続けば、三井住友FGは単なる高配当銀行株ではなく、
金利正常化を利益成長へ変える「増益+増配」のキャピタルゲイン銘柄
として、さらに評価しやすくなると考えます。
コメント