今回は、売上・利益とも増加し、1Qとして過去最高を更新した良い決算です。ただし、営業利益の伸びは+5.9%とやや控えめで、通期では純利益▲6.9%予想のままなので、強気一辺倒にはしません。
今回の決算を5段階で評価
まず最初に、今回の信和の第1四半期決算を私なりに5段階で評価してみました。
| 評価項目 | 星評価 | 私の見方 |
|---|---|---|
| 売上成長 | ★★★★☆ | +9.2%。堅実に伸びている |
| 営業利益成長 | ★★★☆☆ | +5.9%。増益だが売上ほどではない |
| 純利益 | ★★★★★ | +26.9%。1Qとして過去最高 |
| 仮設資材 | ★★★★☆ | +9.8%。レンタル需要の拡大が追い風 |
| 物流機器 | ★★★★☆ | +7.4%。大型物流施設・省人化需要を取り込む |
| 収益性 | ★★★★☆ | 高付加価値案件、レンタル・施工拡大が寄与 |
| 通期業績予想 | ★★★☆☆ | 営業利益+1.3%、純利益▲6.9%で慎重 |
| 財務健全性 | ★★★★☆ | 自己資本比率52.9%で安定 |
| 株主還元 | ★★★★☆ | 年間34円→36円へ増配予想 |
| 総合評価 | ★★★★☆ | 1Qは良い。ただし通期利益成長はまだ弱い |
総合評価:★★★★☆(4.1 / 5)
今回を一言で表すなら、
「派手ではないが、仮設・物流・レンタルという成長材料がしっかり数字に出た決算。ただし通期ではまだ利益の伸びが弱い」
という評価です。
現時点での売買判断
保有:★★★★☆ → 基本は継続保有
新規買い:★★★☆☆ → 配当込みなら候補。ただし業績加速をもう少し確認したい
売却:★★☆☆☆ → 今回の1Qを理由に売る必要は低い
信和が2026年8月10日に2027年3月期第1四半期決算を発表しました。
今回の数字は、かなり素直に良いです。
売上収益は、
+9.2%
営業利益は、
+5.9%
税引前利益は、
+6.3%
そして親会社株主に帰属する四半期利益は、
+26.9%
となりました。
しかも会社は、
売上収益、各段階利益とも前年同期に続き2年連続で1Qとして過去最高
としています。
これは評価していいと思います。
まず1Qの数字を確認
2027年3月期第1四半期は次の通りです。
| 2027年3月期1Q | 前年同期比 | |
|---|---|---|
| 売上収益 | 49.41億円 | +9.2% |
| 営業利益 | 7.22億円 | +5.9% |
| 税引前利益 | 6.72億円 | +6.3% |
| 純利益 | 5.60億円 | +26.9% |
| EPS | 41.33円 | 前年32.07円 |
数字だけなら良いです。
ただし、私は今回も純利益+26.9%より、
営業利益+5.9%
のほうを重視します。
本業そのものの伸びを見るには営業利益のほうが分かりやすいからです。
純利益+26.9%は税負担の軽さも効いている
損益計算書を見ると、
営業利益は、
6.82億円 → 7.22億円
税引前利益は、
6.33億円 → 6.72億円
です。
一方、法人所得税費用は、
1.93億円 → 1.13億円
まで減っています。
その結果、四半期利益は、
4.40億円 → 5.60億円
まで増えました。
つまり、
純利益+26.9%のすべてが本業の増益によるものではありません。
本業を見るなら営業利益+5.9%。
私はそこを基準に評価します。
それでも営業利益は増えているので、決算自体は良いです。
仮設資材は+9.8%
主力の仮設資材部門は、
売上収益、
37.60億円
前年同期比、
+9.8%
でした。
背景には、
「所有から利用へ」
という需要変化があります。
建設資材価格が高止まりし、資材を自社で持つ負担が増える中で、
購入するより、
レンタルで使いたい
というニーズが増えています。
これは信和にとってかなり相性の良い環境です。
「売って終わり」ではなくなっている
信和の仮設資材事業で面白いのは、
単純に足場を作って売るだけではないところです。
製造、
販売、
レンタル、
施工、
まで一体で提供しています。
私はここをかなり評価しています。
製品を1回売って終わる会社より、
レンタルや施工で継続的に収益を得られる会社
のほうが業績の安定性は上がります。
特にレンタルはストック型に近い収益になります。
施工・レンタル売上が伸びている
実際に製品別を見ると、
施工及びレンタルは、
12.54億円 → 14.60億円
まで増えています。
約16%の増加です。
一方で次世代足場は、
4.33億円 → 2.52億円
へ減少しています。
ここは少し弱いです。
ただ、主力のくさび緊結式足場は、
12.90億円 → 15.48億円
へ約20%増加しています。
つまり商品別ではばらつきがありますが、
販売・レンタル・施工を合わせた仮設資材全体としては成長している
という状態です。
物流機器も+7.4%
もう一つの柱である物流機器部門は、
売上収益、
11.80億円
で、
+7.4%
となりました。
ここは私は中長期でかなり期待しています。
理由は、
物流の省人化・自動化
というテーマがあるからです。
EC市場の拡大。
大型物流施設の増加。
物流業界の人手不足。
2024年問題。
こうした背景から、
物流効率化のための設備投資需要は高い状態が続いています。
オーダーメイド物流機器が強み
信和の物流機器は、単純な大量生産パレットだけではありません。
顧客ごとの用途に合わせた、
特殊搬送用パレット
などのオーダーメイド案件を手掛けています。
今回も大型物流施設向け案件やオーダーメイド案件が好調でした。
これは価格競争になりにくいです。
標準品だけなら他社と価格比較されます。
しかし、
この工場、この倉庫、この搬送ライン専用
という製品なら、設計力や提案力が重要になります。
その分、高付加価値化しやすいです。
私は今後、仮設資材よりもむしろ物流機器の成長率に注目したいです。
会社自身も「物流」を成長分野としている
会社も今回、
「今後も成長分野である物流機器事業のさらなる拡大」
と明記しています。
これまで信和というと、
足場メーカー
というイメージが強かったと思います。
しかし会社は新中期経営計画で、
「建設・物流現場のトータルソリューション企業」
を目指しています。
私はこの方向性はかなり良いと思います。
建設だけに依存するより、
物流という別の成長市場を持ったほうが事業リスクも分散できます。
利益率改善への取り組みも続いている
会社は、
内外製区分の見直し、
仕入先最適化、
物流効率化、
生産性向上、
などの原価低減を進めています。
今回営業利益は+5.9%なので、まだ大きな利益率改善が出たわけではありません。
ただ、
高付加価値案件の増加、
レンタル・施工サービス拡大、
原価低減、
が業績に寄与したと会社は説明しています。
今後ここがさらに効いてくるなら、売上10%成長でも利益15~20%成長という形に変わる可能性があります。
私はそこを期待しています。
営業利益率は少し低下
ただし、今回の営業利益率を計算すると、
前年は、
6.82億円 ÷ 45.23億円 ≒ 15.1%
今回は、
7.22億円 ÷ 49.41億円 ≒ 14.6%
です。
少し下がっています。
つまり、
売上は9.2%伸びたものの、営業利益の伸びは5.9%
でした。
今回の決算で私が★★★★★にしなかった理由の一つです。
今後、原価低減や高付加価値案件によってこの利益率が15%以上へ戻るかを見たいです。
通期予想はかなり控えめ
2027年3月期会社予想は、
| 通期予想 | 前年比 | |
|---|---|---|
| 売上収益 | 220億円 | +9.2% |
| 営業利益 | 25.20億円 | +1.3% |
| 税引前利益 | 23.60億円 | +2.0% |
| 純利益 | 16.00億円 | ▲6.9% |
| EPS | 117.55円 | ― |
です。
ここは少し物足りません。
売上は+9.2%ですが、
営業利益は+1.3%。
純利益は逆に減益予想です。
会社は今回、業績予想を変更していません。
だから現時点では、
1Q好調=通期上方修正期待
とまでは言いにくいです。
1Q営業利益の進捗率
通期営業利益25.20億円に対して、
1Q営業利益は7.22億円。
進捗率は、
約28.7%
です。
悪くありません。
むしろ1Qとしてはやや高めです。
第2四半期累計会社予想は13.90億円なので、
1Qで約52%まで進んでいます。
かなり順調です。
税引前利益も上期予想13.18億円に対して1Q6.72億円なので約51%。
純利益も上期予想9.03億円に対して5.60億円なので約62%です。
1Q時点では、
会社計画を上回るペース
と見ていいと思います。
ただし上方修正を期待するにはまだ早い
1Q進捗が良いとはいえ、
まだ3か月です。
建設関連は案件のタイミングで四半期ごとの売上が変動します。
そのため私は、
上方修正期待だけで買う
ことはしません。
2Qでも同じ利益率を維持できるか。
物流機器がさらに伸びるか。
レンタル・施工が伸びるか。
このあたりを確認してからでも遅くないと思います。
財務は比較的安定
自己資本比率は、
52.9%
です。
前期末と同じ水準です。
財務は比較的安定しています。
負債合計は約153.5億円。
資本は約172.5億円です。
長期借入金は、
56.49億円 → 52.00億円
まで減っています。
一方、短期借入金は、
50.24億円 → 57.52億円
へ増加しました。
総借入は大きく変わっていません。
現時点では財務面に大きな不安はありません。
ただし現金は減っている
現金及び現金同等物は、
29.57億円 → 22.09億円
へ減少しています。
一方、
棚卸資産は、
31.24億円 → 34.79億円
営業債権は、
33.20億円 → 38.23億円
へ増えました。
つまり現金が、
在庫や売掛金へ変わっている
という状態です。
売上成長に伴うものなら問題ありませんが、今後も現金だけ減り続けるなら注意します。
のれん122億円は少し大きい
貸借対照表を見ると、
のれん約122.84億円
があります。
総資産326億円に対してかなり大きいです。
IFRSなので、のれんを毎年定額償却するわけではありません。
その代わり、買収した事業の収益力が落ちれば減損リスクがあります。
現時点で決算を悪く見る材料ではありませんが、
利益成長が止まったときには少し意識したい数字
です。
配当は34円から36円へ増配予定
2027年3月期の配当予想は、
中間18円。
期末18円。
年間、
36円
です。
前期は34円だったので、
2円増配
予定です。
信和の場合、成長株というより、
業績成長+配当
の両方を見るタイプの銘柄だと思います。
この点は保有しやすさにつながります。
私が信和で面白いと思うのは「レンタル」
今後一番面白いと思っているのは、仮設資材の販売そのものではありません。
レンタルです。
建設会社にとって、
足場を購入する、
保管する、
管理する、
というのは負担です。
資材価格が高くなればなおさらです。
その結果、
必要なときだけ借りたい
という需要は今後も増えやすいと思います。
信和はメーカーでありながら、
レンタル、
施工、
まで持っています。
これは強いです。
一度売って終わる会社から、
継続収益を積み上げられる会社
へ変わる可能性があります。
そして物流機器
もう一つが物流です。
私は中長期ではこちらのほうが成長余地が大きいかもしれないと思っています。
大型物流倉庫。
自動化。
省人化。
EC。
人手不足。
どれも長期テーマです。
物流機器売上は今回+7.4%なので、まだ爆発的ではありません。
ただし高付加価値オーダーメイド案件を増やせれば、
売上成長以上に利益が伸びる
可能性があります。
今後の信和を見るうえで、
「足場が何%伸びたか」
だけではなく、
物流機器の売上比率がどこまで上がるか
を見たいです。
では、株はどうするか
今回の決算を見て私が保有していたなら、
基本はそのまま保有
です。
1Qは過去最高。
売上+9.2%。
営業利益+5.9%。
純利益+26.9%。
仮設資材+9.8%。
物流機器+7.4%。
さらに増配予想です。
今回売る理由はありません。
新規買いは「あり」だが、強く追うほどではない
新規買いについても候補には入ります。
ただ、
ヨネックスのような高成長株ほど強く買いたい決算ではありません。
理由は、
通期営業利益+1.3%
だからです。
会社自身はまだ年間で大幅な利益成長を見ていません。
そのため私は、
配当をもらいながら中期成長を見る
ような買い方が合うと思います。
短期キャピタルゲインだけを狙うなら、もう少し利益成長の加速を確認したいです。
私が次の決算で見る数字
次回一番見るのは、
営業利益率
です。
14.6%から再び15%以上へ戻るか。
次に、
施工・レンタル売上
です。
ここが伸び続ければ、ストック型収益の比率が上がります。
そして、
物流機器売上
です。
+7.4%から10%、15%へ伸びてくるなら、信和の評価をかなり上げたいと思います。
私が売却を考える条件
今後私が売却を考えるのは、
仮設資材のレンタル需要が鈍化する
物流機器の成長が止まる
営業利益率が継続して低下する
通期営業利益25.2億円が下方修正される
現金減少と在庫・売掛金増加が続く
といった状態になった場合です。
特に、
売上は伸びても利益がほとんど伸びない
状態が長く続くなら評価を下げます。
今回の私の結論
信和の2027年3月期第1四半期決算は、
良い決算
だったと思います。
売上収益、
+9.2%
営業利益、
+5.9%
税引前利益、
+6.3%
純利益、
+26.9%。
さらに、
1Qとして2年連続で過去最高
です。
仮設資材は+9.8%。
物流機器は+7.4%。
レンタル・施工サービスや高付加価値案件も伸びています。
一方で、
営業利益率が少し低下していること
通期営業利益予想は+1.3%にとどまること
通期純利益は▲6.9%予想であること
は注意点です。
そのため総合評価は、
★★★★☆(4.1 / 5)
としました。
現時点での私の方針は、
保有分 → 継続保有
新規買い → 配当込みなら候補。利益加速を確認できればさらに買いやすい
大きく上昇 → 一部利益確定はあり
全売却 → 今回の決算では考えない
です。
信和は今、
「足場を売る会社」から「建設・物流現場の課題をまとめて解決する会社」
へ変わろうとしています。
特に、
レンタル、
施工、
物流機器、
の3つが伸びてくると、これまでとは違う利益構造になる可能性があります。
私は次の決算では、
売上が伸びたかではなく、その成長を営業利益率の改善につなげられるのか。
そこを一番見たいと思います。
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