ヨネックス(7906)2027年3月期1Q決算を分析|世界で売上拡大、業績予想修正後の今後と売買判断

今回はかなり良い決算です。売上+14.1%、営業利益+9.4%、経常利益+19.2%、純利益+31.9%。さらに通期業績予想まで修正しており、国内・アジア・欧州がそろって伸びています。一方で、北米の営業利益▲96.6%と、原材料高による粗利率低下は注意して見たいところです。

目次

今回の決算を5段階で評価

まず最初に、今回のヨネックスの第1四半期決算を私なりに5段階で評価してみました。

評価項目星評価私の見方
売上成長★★★★☆+14.1%。すでに規模が大きい中で十分強い
営業利益成長★★★★☆+9.4%。増益だが売上成長には少し届かない
経常・純利益★★★★★経常+19.2%、純利益+31.9%
日本事業★★★★★売上+12.5%、営業利益+19.9%
アジア事業★★★★★売上+16.1%、営業利益+17.0%
ヨーロッパ★★★★★売上+23.3%、営業利益+161.4%
北米事業★★☆☆☆売上+1.4%に対して営業利益▲96.6%
利益率★★★☆☆原材料高と広告・人件費増で粗利率は低下
通期業績への期待★★★★★1Q発表時に業績予想を修正、通期2桁増益予想
財務健全性★★★★★自己資本比率64.0%、現預金336億円
株主還元★★★★☆年間配当25円→28円予想
総合評価★★★★☆かなり良い決算。ただし北米と利益率は確認が必要

総合評価:★★★★☆(4.5 / 5)

今回を一言で表すなら、

「ヨネックスのブランド力が世界で売上に変わり続けていることを確認できた決算。ただ、売上成長ほど営業利益が伸びていない点は少し気になる」

という評価です。

現時点での売買判断

保有:★★★★★ → 基本は継続保有

新規買い:★★★★☆ → 買い候補。ただし決算後の急騰は追わない

売却:★☆☆☆☆ → 今回の決算を理由に売る必要性はかなり低い


ヨネックス(7906)が2026年8月10日に、2027年3月期第1四半期決算を発表しました。

今回の数字はかなり良かったと思います。

売上高は14.1%増。

営業利益は9.4%増。

経常利益は19.2%増。

純利益は31.9%増。

さらに会社は今回、最近の業績動向を踏まえて2027年3月期の業績予想を修正しています。

ヨネックスはここ数年かなり成長しています。

そのため「前年が低かったから伸びた」という会社ではありません。

前年1Qも売上+28.3%、営業利益+89.1%と非常に高い成長率でした。

そこからさらに今期、

売上+14.1%

を出している。

私はここをかなり評価しています。

まず1Qの数字を確認

2027年3月期第1四半期は次のようになりました。

2027年3月期1Q前年同期比
売上高454.68億円+14.1%
営業利益68.67億円+9.4%
経常利益70.96億円+19.2%
純利益55.90億円+31.9%
EPS65.34円前年49.60円

数字だけなら、

かなり良い決算

です。

特に純利益は30%以上伸びています。

ただ、私は今回、

純利益+31.9%より営業利益+9.4%

を重視します。

理由があります。

純利益+31.9%には特殊要因も入っている

損益計算書を見ると、

経常利益は70.96億円。

さらに特別利益として、

国庫補助金9.92億円

が計上されています。

その結果、税引前利益は80.88億円となり、純利益55.90億円まで増えました。

さらに営業外では、

為替差益2.46億円

もあります。

前年同期は逆に為替差損3.13億円でした。

この反動も経常利益を押し上げています。

だから、

純利益31.9%増=本業が32%成長した

と考えるのは少し違います。

本業を見るなら営業利益の、

+9.4%

です。

それでも十分良いと思います。

売上+14.1%に対して営業利益+9.4%なのは少し気になる

今回、私が唯一少し引っかかったのがここです。

売上高は、

398.56億円 → 454.68億円

まで増えました。

売上総利益も、

188.23億円 → 208.88億円

へ増えています。

ところが販管費は、

125.46億円 → 140.21億円

まで増加。

結果として営業利益は、

62.77億円 → 68.67億円

となりました。

増益ではあります。

しかし売上+14.1%に対して営業利益+9.4%なので、

利益率は少し低下しています。

会社も、

原材料価格上昇による売上総利益率低下、

グローバルでのマーケティング投資強化、

広告宣伝費増加、

人件費増加、

を説明しています。

私は今回★★★★★ではなく★★★★☆にした理由の一つがここです。

ただ、広告費増加は必ずしも悪くない

とはいえ、広告宣伝費が増えたこと自体を私はあまり悪く見ていません。

ヨネックスは今、

世界ブランドとして成長している途中

だからです。

スポーツ用品は性能だけで売れるわけではありません。

有名選手が使っている。

大会で目にする。

SNSで見かける。

そういうブランド認知が購買につながります。

特に今回、契約選手の国際大会での活躍によって、

バドミントンだけでなく、

テニス、

ウェア、

シューズ、

まで注目が広がっていると会社は説明しています。

ここはかなり重要だと思います。

「ラケット会社」から変わっている

以前のヨネックスなら、

バドミントンラケットの会社

というイメージが強かったと思います。

今はかなり違います。

会社が今回使っている表現で面白いのが、

「Head-to-Toe(頭からつま先まで)」

です。

テニスでは、ラケットだけでなく、

ウェア、

シューズ、

その他用品、

へ顧客を広げようとしています。

これは売上成長を考えるうえでかなり重要です。

ラケットは毎月買う商品ではありません。

しかし、

ウェア、

シューズ、

バッグ、

アクセサリー、

へ広げれば、同じヨネックスファンから取れる売上を増やせます。

つまり、

顧客数の増加+1人当たり購入額の増加

の両方を狙えるわけです。

日本は売上+12.5%、利益+19.9%

日本事業はかなり良いです。

売上高は、

174.81億円
+12.5%

営業利益は、

22.48億円
+19.9%

となりました。

ここは非常に良い伸び方です。

売上以上に利益が伸びています。

バドミントン用品は前年同期に大きく伸びた高い水準をさらに上回りました。

テニス用品も新製品効果によって前年の高い水準を維持。

さらに海外代理店向け販売も大幅増収です。

日本市場だけに依存しているわけではありません。

国内法人から海外代理店へ販売する部分も伸びています。

アジアはまだ成長している

ヨネックス最大の市場はアジアです。

1Q売上高は、

237.14億円
+16.1%

営業利益は、

40.98億円
+17.0%

です。

これもかなり強いです。

特に中国は、前期までの大幅な成長から成長ペースは落ち着いたものの、

まだ販売は増加

しています。

ここは私は少し安心しました。

ヨネックスは中国・アジア依存が高いので、

「中国の成長が止まったらどうなるのか」

という懸念はあります。

今回を見る限り、

爆発的成長から安定成長へ移っただけ

で、まだ失速とは言えません。

アジアの利益率も高い

売上237億円に対して営業利益40.98億円。

単純計算すると営業利益率は、

約17.3%

です。

かなり高いです。

日本事業も約12.9%なので、

アジアはヨネックスにとって非常に重要な収益源です。

バドミントン人気の高さとブランド力がそのまま高収益につながっています。

だから私は今後も、

中国・台湾を含むアジアの売上成長率

を最重要指標の一つとして見ます。

ヨーロッパがかなり面白くなってきた

今回、私が一番目を引かれたのはヨーロッパです。

売上高は、

18.51億円
+23.3%

営業利益は、

2.24億円
+161.4%

です。

利益が約2.6倍になっています。

規模自体はまだアジアに比べれば小さいです。

ただ、だからこそ成長余地があります。

バドミントンだけではなく、

テニス用品の販売も伸びている

というのが重要です。

ヨネックスが本当に世界的スポーツブランドになるなら、

アジアだけでなく欧州・北米を取る必要があります。

今回の欧州+23%はかなり良い兆候だと思います。

最大の問題は北米

一方、今回明確に悪かったのが北米です。

売上高は、

22.15億円
+1.4%

営業利益は、

900万円
▲96.6%

です。

利益がほぼ消えています。

ここは無視できません。

北米ではテニス用品は高い水準を維持し、バドミントンラケットも増加しています。

それでも全体の売上は現地通貨ベースでは微減。

さらに重点地域としてマーケティング投資を強化しているため、

広告宣伝費、

人件費、

が増えました。

その結果、営業利益はほぼゼロです。

北米の赤字化だけは避けてほしい

私は北米への投資自体には賛成です。

ヨネックスが今後世界ブランドになるなら、北米は避けて通れません。

しかし、

投資だから利益がなくても何年でもOK

とは思いません。

マーケティング投資によって、

ブランド認知が上がる、

売上が増える、

シェアが上がる、

そして利益が戻る、

という流れが必要です。

次の2Q以降も北米営業利益がほぼゼロなら少し気になります。

逆に北米売上が再加速し、利益が回復するなら、

今回の減益は良い先行投資だったと判断できます。

スポーツ用品事業全体では十分強い

地域を全部合計したスポーツ用品事業では、

売上高、

452.62億円
+14.2%

営業利益、

65.81億円
+14.4%

です。

実はここを見ると非常にきれいです。

売上+14.2%、利益+14.4%。

北米の大幅減益がありながら、全体では売上と利益がほぼ同じペースで伸びています。

日本、アジア、ヨーロッパがしっかり補っています。

会社全体として地域分散が効いているとも言えます。

スポーツ施設事業はそれほど重要ではない

ヨネックスカントリークラブなどのスポーツ施設事業は、

売上高、

2.05億円
▲1.3%

営業利益、

0.41億円
▲21.4%

でした。

悪化していますが、会社全体から見れば非常に小さいです。

営業利益68億円に対して0.41億円。

ここが多少上下しても投資判断はほとんど変わりません。

私はヨネックスについては、

スポーツ用品事業だけを見れば十分

だと思っています。

通期業績予想を修正

今回、会社は2027年3月期の業績予想を修正しました。

新しい通期予想は、

2027年3月期予想前期比
売上高1,810億円+10.6%
営業利益189億円+14.2%
経常利益191億円+17.1%
純利益142億円+17.4%
EPS165.98円

です。

これはかなり強いです。

売上+10.6%に対して、

営業利益+14.2%

を予想しています。

つまり1Qでは少し低下した利益率を、年間では改善させる計画です。

私はここを評価しています。

上期予想もかなり強い

第2四半期累計予想は、

売上高905億円、

+13.8%

営業利益105億円、

+18.7%

経常利益108億円、

+31.7%

純利益81億円、

+27.1%

です。

1Q営業利益68.67億円ですから、

2Q単独で約36億円を稼げば上期計画に届きます。

少なくとも1Qスタートとしては悪くありません。

1Qの通期進捗率はかなり高い

通期営業利益189億円に対して、

1Qは68.67億円。

進捗率は、

約36.3%

です。

経常利益191億円に対して70.96億円なので、

約37.2%。

純利益142億円に対して55.9億円なので、

約39.4%。

かなり高いです。

もちろんヨネックスには季節性がありますので、単純に「1Q×4」で考えることはできません。

ただ、

通期計画達成に向けてかなり良いスタート

なのは間違いありません。

財務はかなり強い

財務面も問題ありません。

自己資本比率は、

62.6% → 64.0%

へ上昇しています。

現金及び預金は、

336.46億円

あります。

一方、長期借入金は約151.7億円です。

財務的にかなり余裕があります。

海外マーケティング、

設備投資、

新商品の開発、

などに資金を使える状態です。

私は財務健全性を★★★★★にしました。

在庫が増えている点は少し見ておきたい

貸借対照表で少し気になるのは在庫です。

商品及び製品が、

173.36億円 → 200.78億円

まで増えています。

原材料も、

38.70億円 → 43.80億円

へ増加しました。

事業が伸びているため在庫を増やすのは当然です。

ただ、スポーツ用品には新旧モデルがあります。

売れ残れば値引きや評価損につながる可能性があります。

今後、

売上成長より在庫増加のほうが速い状態

が続かないかは確認しておきたいです。

現時点では警戒するほどではありません。

配当も25円から28円へ

2027年3月期は、

中間14円、

期末14円、

年間、

28円

を予定しています。

前期は25円でした。

3円増配です。

配当利回り目的で買う会社ではありませんが、

成長しながら増配

という形は良いと思います。

今後利益がさらに伸びれば、配当余力も大きくなります。

ヨネックスの強みは「競技そのものの成長」

私はヨネックスの中長期を見るとき、

単純なスポーツ用品メーカーとは少し違うと思っています。

特にバドミントンです。

アジアでは非常に人気があります。

ヨネックス自身のブランド力も高いです。

そして契約選手が国際大会で活躍すると、

ヨネックスの商品露出が増える、

選手と同じラケットを買いたくなる、

ウェアもシューズもヨネックスにする、

という循環ができます。

これはかなり強いです。

広告だけでブランドを作る会社とは違い、

トップ選手の活躍そのものが広告

になります。

テニスが第二の成長エンジンになる可能性

さらに私が注目しているのはテニスです。

バドミントンではすでに強い。

次の伸びしろはテニスだと思います。

今回も日本、北米、ヨーロッパでテニス用品への言及があります。

特にヨーロッパではテニス販売が伸びています。

そして会社は、

Head-to-Toe

戦略を進めています。

ラケットだけではなく、

シューズ、

ウェア、

までブランドを広げられれば、一気に市場が広がります。

ヨネックスを今後見るなら、

「バドミントンが伸びるか」だけでなく、「テニスブランドとしてどこまで大きくなれるか」

を見るべきだと思います。

では、株はどうするか

今回の決算を見て私が保有していたなら、

そのまま保有

です。

かなり安心して持てる決算だと思います。

売上+14%。

営業利益+9%。

スポーツ用品事業は売上・利益とも約14%増。

通期も二桁増収増益予想。

自己資本比率64%。

そして増配。

今回売却する理由はあまりありません。

新規買いも検討したい

新規買いについても、

かなり前向きに考えられる決算

です。

私はこれまで見てきた決算の中でも、かなり質が高い部類だと思います。

ただし決算発表後に株価が大きく上昇した場合は別です。

良い決算だからといって、どんな価格でも買ってよいわけではありません。

特にヨネックスのような成長株は、

将来の成長期待まで株価に乗りやすい

です。

そのため急騰したら追わず、押し目を待ちます。

私なら「北米減益」で下がるならむしろ見る

今回市場が気にするとすれば、

北米営業利益▲96.6%

だと思います。

これは確かに悪い数字です。

ただし全社では増収増益。

日本、アジア、ヨーロッパも強い。

さらに会社は通期予想を修正しています。

そのため、

北米の1Q減益だけを理由に株価が大きく売られる

のであれば、私はむしろ買い場にならないかを考えます。

ただし2Qでも北米の利益が戻らなければ評価は変えます。

今後一番見るのは営業利益率

次の決算で私が一番見るのは売上ではありません。

営業利益率です。

1Qは売上+14.1%に対して営業利益+9.4%。

原材料高とマーケティング投資によって利益率が少し落ちています。

一方、通期計画では、

売上+10.6%に対して営業利益+14.2%。

つまり会社は今後利益率が改善すると見ています。

その通りになるか。

ここが一番重要です。

そして北米

2つ目は、

北米営業利益

です。

900万円という利益は、ほぼゼロに近いです。

マーケティング投資による一時的なものなら問題ありません。

しかし、

広告費を使っても売上が増えず、利益も出ない

状態が続けば、北米戦略を見直す必要が出てきます。

次回は最低でも売上成長の再加速か、利益回復のどちらかを確認したいです。

私が売却を考える条件

私が売却を考えるのは、

アジアの成長率が大きく失速する

北米の利益悪化が長期化する

原材料高を価格転嫁できず営業利益率が下がり続ける

通期営業利益189億円が下方修正される

テニスの成長が止まる

といった状態になった場合です。

特に重要なのは、

アジア+テニス

だと思っています。

バドミントンで築いた強いブランドを使いながら、テニスやウェア・シューズへ広げていく。

ここがヨネックスの次の成長シナリオです。

今回の私の結論

ヨネックスの2027年3月期第1四半期決算は、

かなり良い決算

だったと思います。

売上高、

+14.1%

営業利益、

+9.4%

経常利益、

+19.2%

純利益、

+31.9%。

さらに地域別では、

日本売上+12.5%、利益+19.9%。

アジア売上+16.1%、利益+17.0%。

ヨーロッパ売上+23.3%、利益+161.4%。

スポーツ用品事業全体では、

売上+14.2%、営業利益+14.4%

です。

かなり良いです。

一方で、

北米営業利益▲96.6%

原材料高による粗利率低下

広告・人件費増加

という注意点もあります。

そして純利益には国庫補助金約9.9億円なども入っているので、31.9%増をそのまま本業の成長率とは考えません。

そのため総合評価は、

★★★★☆(4.5 / 5)

としました。

現時点での私の方針は、

保有分 → 継続保有

新規買い → 買い候補。ただし急騰なら押し目を待つ

北米減益を嫌気して大きく下落 → 本業が崩れていなければ買いを検討

全売却 → 今回の決算では考えない

です。

ヨネックスは今、

「バドミントンで強い日本企業」から「世界的なスポーツブランド」へ移れるか

という段階に来ているように思います。

アジアではすでに圧倒的な存在感があります。

ヨーロッパも伸びています。

テニスも伸び始めています。

次の課題は北米です。

私は次の決算では、

アジアの成長が続くのか、そして北米への先行投資が売上と利益に変わり始めるのか。

そこを一番確認したいと思います。

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