今回の決算は、今期実績は非常に強い一方、来期は減益予想という少し評価の分かれる内容です。なので、前回のセックのように素直な★★★★★ではなく、「今期は良い、来期は慎重に見る」が適切だと思います。
今回の決算を5段階で評価
まず、今回の決算を私なりに5段階で評価してみました。
| 評価項目 | 星評価 | 私の見方 |
|---|---|---|
| 売上成長 | ★★★★★ | +39.6%。かなり強い |
| 今期利益成長 | ★★★★★ | 営業利益+109%、純利益は約10倍 |
| エンジニアリング | ★★★★★ | 売上+32.8%、利益+254% |
| エネルギーサプライ | ★★★★☆ | 売上+45.4%、利益+39.8% |
| 蓄電池・再エネテーマ | ★★★★★ | 系統用蓄電池やPPAなど中長期テーマは強い |
| 来期業績予想 | ★★☆☆☆ | 売上+25%に対して営業利益▲11.8% |
| キャッシュフロー | ★★★☆☆ | 営業CFは黒字だが現金残高は減少 |
| 財務健全性 | ★★★☆☆ | 自己資本比率31.6%。借入負担は軽くない |
| 株主還元 | ★★★★☆ | 9.54円→9.60円へ増配予想 |
| 総合評価 | ★★★★☆ | 今期は非常に良い。ただし来期減益をどう見るかが重要 |
総合評価:★★★★☆(4.1 / 5)
今回を一言で表すなら、
「今期決算はかなり良い。ただ、株価が見るのは来期なので手放しでは喜べない」
という評価です。
現時点での売買判断
保有:★★★★☆ → 基本は継続保有
新規買い:★★★☆☆ → 来期減益を織り込んだ株価なら検討
売却:★★☆☆☆ → 今すぐ全部売る内容ではないが、上昇時の一部利確はあり
テスホールディングス(5074)が2026年8月14日に2026年6月期本決算を発表しました。
今回の数字だけを見れば、かなり派手です。
売上高は約40%増。
営業利益は2倍以上。
前年赤字だった経常利益は黒字化。
純利益は約10倍です。
これだけを見ると、
「文句なしの好決算」
と言いたくなります。
ただし、株式投資では終わった期の数字より、これからの数字のほうが重要です。
そこで2027年6月期予想を見ると、
売上+25%なのに営業利益は▲11.8%。
ここが今回の決算を少し難しくしています。
まず2026年6月期はかなり強い
2026年6月期の実績は次の通りです。
| 2026年6月期 | 前年比 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 512.17億円 | +39.6% |
| 営業利益 | 53.26億円 | +109.0% |
| 経常利益 | 38.34億円 | 前年▲6.41億円から黒字転換 |
| 純利益 | 21.23億円 | +936.6% |
これは相当強いです。
特に私は、
売上+39.6%に対して営業利益+109%
という点を評価しています。
売上が増えただけでなく、利益率まで大きく改善しています。
営業利益率も、
7.0% → 10.4%
まで上がりました。
かなり良い伸び方です。
営業利益が2倍になった理由
損益計算書を見ると、
売上高は、
366.84億円 → 512.17億円
売上総利益は、
74.53億円 → 104.17億円
へ増加しています。
一方、販管費は、
49.05億円 → 50.91億円
です。
つまり売上総利益が約30億円増えたのに、販管費は2億円弱しか増えていません。
その結果、
営業利益25.48億円 → 53.26億円
となりました。
これはかなり効率の良い増益です。
規模拡大による利益レバレッジがしっかり出ています。
エンジニアリング事業が一気に改善
今回特に強かったのがエンジニアリング事業です。
売上高は、
221.97億円
前年同期比+32.8%
セグメント利益は、
12.74億円
+254.0%
となりました。
利益が3倍以上です。
背景には、再生可能エネルギー設備、とりわけ蓄電システム案件の増加があります。
さらに開発型では、
静岡菊川蓄電所
や、
東京センチュリーが組成する合同会社の系統用蓄電所EPC
などが順調に進みました。
私はテスHDを見るうえで、今後は太陽光だけではなく、
蓄電池関連企業としての側面
をかなり意識したほうがよいと思います。
エネルギーサプライも好調
エネルギーサプライ事業も強いです。
売上高は、
290.19億円
+45.4%
セグメント利益は、
34.20億円
+39.8%
でした。
この事業には、
再エネ発電所の所有・売電、
オンサイトPPA、
O&M、
電力小売、
バイオマス燃料供給、
などが含まれています。
2026年6月末時点の保有・出資発電所は合計140件、発電容量412.7MWまで増えています。
特にオンサイトPPAは、
51件・57.8MW → 60件・70.0MW
まで増加しました。
ここはストック型収益として重要です。
EPCは案件ごとの売上変動がありますが、発電所を持って売電したり、PPA契約で電力を供給したりする事業は継続収益になります。
この2つを持っているのがテスHDの面白いところです。
経常利益の大幅改善には特殊要因もある
ただし、経常利益の改善については少し注意が必要です。
前年は、
デリバティブ評価損18.28億円
がありました。
今回はこれが、
1.66億円
まで減っています。
さらに持分法投資損失も、
4.44億円 → 0.38億円
まで縮小しました。
したがって、
経常利益▲6.41億円 → +38.34億円
という大改善のすべてが本業の成長によるものではありません。
前年にかなり大きな営業外損失があった反動もあります。
だから私は、
純利益+936%より営業利益+109%
を重視しています。
それでも営業利益が2倍になっているので、決算そのものが良いという評価は変わりません。
そして最大の問題が来期予想
ここからが今回一番大事です。
2027年6月期の会社予想は、
| 2027年6月期予想 | 前年比 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 640億円 | +25.0% |
| 営業利益 | 47億円 | ▲11.8% |
| 経常利益 | 29億円 | ▲24.4% |
| 純利益 | 18億円 | ▲15.2% |
です。
ここだけ見ると、
増収減益
です。
しかも売上は25%増えるのに、営業利益は約12%減ります。
これが今回の決算で最大のマイナス材料です。
なぜ売上が伸びるのに利益が減るのか
会社は2027年6月期に、
事業拡大に伴う人員増加、
採用関連費、
EFBなどを原料としたバイオマス燃料向けペレットの研究開発費、
などの増加を見込んでいます。
つまり、
将来成長のために先に費用を使う
という部分があります。
これは必ずしも悪い減益ではありません。
売上まで落ちる減益予想ならかなり心配ですが、
売上は+25%
を計画しています。
私は今回の減益予想について、
「成長停止による減益」より「次の成長投資による減益」
に近いと見ています。
ただし投資した以上は、2028年6月期以降に利益として返ってくる必要があります。
来期予想は保守的な部分もある
もう一つ気になるのが、会社の予想前提です。
エネルギーサプライ事業について、2027年6月期中に新しく運転開始する予定の再エネ発電所や、
新規契約獲得による売電収入を業績予想に織り込んでいません。
既に運転中の発電所やPPA案件を中心に予想を作っています。
さらに京都府内の再エネ関連用地開発案件も、許認可に時間がかかる見込みとして、
2027年6月期予想には含めていません。
このあたりを見ると、会社予想には多少保守的な部分があります。
新規案件が順調に取れれば、上振れ余地は残っていると思います。
蓄電池テーマはかなり面白い
私はテスHDについて、
今後一番注目するのは蓄電池
です。
再エネが増えるほど、
「太陽光で発電しました」
だけでは電力系統を安定させられません。
発電量が多い時間に電気をためて、必要な時間に放電する蓄電システムの重要性が高まります。
今回も蓄電システムEPC案件が増えています。
さらに2027年6月期についても、会社は受注済み・受注見込みの系統用蓄電所EPCを売上に見込んでいます。
テスHDは、
再エネ発電
+蓄電池
+省エネ設備
+PPA
+電力小売
まで扱っています。
この組み合わせは中長期ではかなり面白いと思っています。
配当も少し増える
2026年6月期の年間配当は、
9.54円
でした。
2027年6月期は、
9.60円
を予定しています。
大幅増配ではありませんが、来期減益予想でも増配を維持しています。
2026年6月期の配当性向は31.7%。
来期予想では37.7%です。
無理に高配当化している感じでもありません。
成長投資と配当のバランスを取っているように見えます。
財務は少し注意したい
ここはセックなどとかなり違います。
自己資本比率は、
28.1% → 31.6%
へ改善しています。
ただし31.6%なので、ものすごく財務が強い会社ではありません。
総負債は約1,125億円あります。
中でも、
短期借入金 約177億円、
1年内返済予定長期借入金 約69億円、
長期借入金 約621億円、
があります。
再エネ発電所を自社保有するビジネスなので、ある程度借入金が大きくなるのは当然です。
とはいえ、
金利上昇はテスHDにとって無視できないリスク
です。
実際、今期の支払利息は、
12.33億円 → 16.61億円
へ増えています。
今後もここは見ておきたいです。
営業キャッシュフローは黒字だが現金は減少
営業キャッシュフローは、
+50.99億円
です。
本業からしっかり現金を生んでいます。
一方で投資CFは、
▲73.11億円
です。
設備投資を積極的に行っているためです。
結果として期末現金は、
164.31億円 → 128.25億円
へ減少しました。
これは直ちに悪いとは思いません。
成長企業なので投資に現金を使うのは当然です。
ただ、
営業CF < 投資CF
の状態が長期間続き、借入金まで増えていくようなら注意が必要です。
借金は少しずつ返している
一方で財務CFを見ると、
長期借入金の返済は、
105.04億円
です。
新規長期借入は59.86億円なので、長期借入金については返済のほうが大きくなっています。
短期借入金は増えていますが、
長期債務を減らそうとしている
点は評価できます。
財務については、
「危険」
とまでは思いませんが、
★★★★★を付けられる状態でもない
というのが私の判断です。
では、株はどうするか
今回の決算を見て私が保有していたなら、
基本は継続保有
です。
2026年6月期だけならかなり強いです。
特に、
営業利益+109%
は簡単に無視できません。
さらに蓄電池・再エネ・PPAという今後期待できるテーマを持っています。
そのため、来期減益予想だけで全部売る必要はないと思います。
ただしセックほど強気では持たない
前回のセックとは少し違います。
セックは1Q業績も強く、通期も増益予想でした。
テスHDは、
今期がピーク利益になる可能性
を会社予想上は示しています。
そのため私は、
★★★★★の強気保有ではなく★★★★☆の保有
です。
今後、
2027年6月期の営業利益47億円が上方修正されるのか、
それとも本当に減益になるのか、
を確認したいと思います。
新規買いは株価次第
新規買いについては、
決算だけを見て飛びつくほどではない
です。
理由は単純で、来期減益予想だからです。
株価が2026年6月期の大幅増益だけを見て急騰しているなら、私は追いません。
逆に、
来期減益を嫌気して株価が大きく下がる
のであれば興味が出てきます。
なぜなら会社は売上については+25%成長を計画しており、事業そのものが縮小するわけではないからです。
私は、
「減益だから売られた」より、「減益の理由が何なのか」
を見て買い場を判断します。
今回の場合は成長投資の側面が大きいので、過度に売られるなら買いを考えます。
一部利益確定も悪くない
すでに大きく含み益がある場合は、
決算後に大きく上昇したところで一部利益確定
も悪くないと思います。
理由は、会社自身が来期減益を予想しているからです。
全部売る必要はありません。
例えば一部だけ利益を確定して、残りは蓄電池や再エネの中長期成長を見る。
そして来期1Q、2Qで業績が会社予想を上回ってくるなら買い戻す。
このくらいの柔軟な持ち方が合う銘柄だと思います。
私が次に見る数字
次の決算で私が見るのは、
営業利益
だけではありません。
特に見たいのは、
蓄電池EPC案件の増加
新規PPA案件の獲得
営業キャッシュフロー
借入金と支払利息
です。
ここが非常に重要です。
売上が増えても借入金と利払いが急増してしまえば、株主に残る利益は増えません。
反対に、
売上成長
+蓄電池案件増加
+借入金抑制
が同時に進むなら、かなり評価を上げたいと思います。
私が売却を考える条件
私が今後売却を考えるのは、
蓄電池案件の拡大が止まる
エネルギーサプライ事業の利益が大きく落ちる
来期営業利益47億円からさらに下方修正される
借入金と支払利息が増え続ける
という状態になった場合です。
特に、
売上は増えるのに利益が毎年落ちる
ようになれば話は変わります。
2027年6月期の減益が、
次の成長のための一時的な減益なのか
それとも、
利益成長のピークアウトなのか。
ここを今後判断したいと思っています。
今回の私の結論
テスホールディングスの2026年6月期決算は、
今期だけならかなり良い決算
でした。
売上+39.6%。
営業利益+109%。
経常黒字転換。
純利益+936.6%。
エンジニアリング事業もエネルギーサプライ事業も増収増益です。
だから今回の決算自体を悪いとは全く思いません。
ただし2027年6月期は、
売上+25.0%
営業利益▲11.8%
経常利益▲24.4%
純利益▲15.2%
を予想しています。
ここを無視して★★★★★を付けることもできません。
そのため総合評価は、
★★★★☆(4.1 / 5)
です。
現時点での私の方針は、
保有分 → 継続保有
新規買い → 来期減益を織り込んで下がるなら検討
大きく上昇した場合 → 一部利益確定も検討
全売却 → 現時点では考えない
です。
今回のテスHDで重要なのは、
2026年6月期に利益が倍になったことではありません。
これから見るべきなのは、
2027年6月期の減益が「成長投資による一時的な踊り場」で終わるのか。
私はそこだと思っています。
蓄電池、PPA、再エネ、電力需給調整。
成長テーマ自体はかなりあります。
だからこそ次の1年は、
売上成長を本当に次の利益成長へつなげられるか
を確認する期間になりそうです。
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