FFRIセキュリティ(3692)2027年3月期1Q決算を分析|減益決算をどう見るか、今後の業績と売買判断

目次

今回の決算を5段階で評価

まず最初に、FFRIセキュリティの2027年3月期第1四半期決算を、私なりに5段階で評価してみました。

評価項目星評価私の見方
売上成長★★★☆☆売上高は+1.2%。ほぼ横ばいで物足りない
利益成長★★☆☆☆営業利益▲30.0%、純利益▲37.9%。1Qとしては明確に弱い
ナショナルセキュリティ★★★★★売上高+31.2%。今回もっとも評価したい部分
セキュリティ製品★★★☆☆+0.6%とほぼ横ばい。今後の再加速を確認したい
通期業績への期待★★★★☆売上+18.1%、営業利益+6.5%予想を据え置き
財務健全性★★★★★自己資本比率70.6%。財務面の不安はかなり小さい
成長テーマ★★★★★サイバー防衛・経済安全保障という中長期テーマは依然強い
総合評価★★★☆☆1Qは弱い。ただし成長シナリオが崩れたとまでは判断しない

総合評価:★★★☆☆(3 / 5)

今回の決算を一言で表すなら、

「数字だけなら悪い決算。ただし、中身を見ると今すぐ成長期待を捨てるほどではない」

というのが私の印象です。

営業利益30%減、純利益37.9%減ですから、決算そのものを「良かった」と評価するのは難しいです。

一方で、私がFFRIセキュリティに期待する理由であるナショナルセキュリティ・サービスは31.2%増収となっています。

さらに会社は通期業績予想を変更していません。

そのため私は、今回の1Qだけを見てFFRIセキュリティの成長シナリオが崩れたとは判断していません。

現時点での売買判断

保有:★★★★☆ → 基本は継続保有

新規買い:★★★☆☆ → 株価と今後の進捗を見ながら判断

売却:★★☆☆☆ → 1Q減益だけを理由に全部売る段階ではない


FFRIセキュリティ(3692)が2026年8月13日に2027年3月期第1四半期決算を発表しました。

今回の決算を最初に見たとき、数字だけならかなり印象は悪いです。

売上高はほぼ横ばい。

営業利益は30%減。

経常利益は33.5%減。

純利益は37.9%減。

成長株として考えれば、素直に喜べる数字ではありません。

ただ、FFRIセキュリティの場合、私は単純に「何%増収だったか」だけではなく、

どの事業が伸びて、どの事業が落ちたのか

を見る必要があると思っています。

決算短信を詳しく読んでみると、今回の減益決算の中にも今後につながる部分は残っていました。

まずは1Qの数字を確認

2027年3月期第1四半期の業績は次のようになりました。

2027年3月期1Q前年同期比
売上高9.07億円+1.2%
営業利益1.85億円▲30.0%
経常利益1.73億円▲33.5%
純利益1.21億円▲37.9%

売上高は前年同期の8.96億円から9.07億円へ増えています。

しかし営業利益は2.64億円から1.85億円へ減少。

経常利益も2.60億円から1.73億円、純利益も1.96億円から1.21億円へ減りました。

これは数字だけを評価するなら、

明確に悪い決算

です。

売上が1.2%しか増えていないのに利益が30%以上減っています。

成長企業として考えると、ここを無理にポジティブに評価する必要はないと思います。

なぜ売上が増えたのに利益が30%も減ったのか

今回気になるのはここです。

売上高は、

8.96億円 → 9.07億円

と少し増えています。

ところが売上総利益は、

6.22億円 → 6.09億円

へ減少しました。

さらに販売費及び一般管理費は、

3.58億円 → 4.24億円

まで増加しています。

その結果、営業利益が、

2.64億円 → 1.85億円

へ落ちました。

つまり今回の減益は、

売上が大きく落ちたからではありません。

売上はほぼ維持したものの、

粗利益が減ったうえに販管費が増えた

ことが利益を押し下げています。

ここは次の決算でも確認したいところです。

売上が伸び始めたときに利益率が戻ってくるのであれば、それほど心配する必要はないと思います。

逆に売上が増えても販管費増加が続き、営業利益率が下がり続けるようなら評価を下げる必要があります。

私が一番注目したのはナショナルセキュリティ

今回の決算で私が一番評価しているのは、ナショナルセキュリティ・サービスです。

売上高は、

3億148万円

となり、

前年同期比+31.2%

まで伸びました。

会社によると、官公庁や防衛産業向けに、安全保障関連のセキュリティ調査・研究・分析・教育などを提供しています。

今期も経済安全保障重要技術育成プログラム、いわゆる「Kプログラム」関連案件に加えて、安全保障関連案件を実施しています。

私はFFRIセキュリティを見るうえで、この事業はかなり重要だと思っています。

一般企業向けのセキュリティ会社というだけなら、競合企業はたくさんあります。

しかし、

官公庁
防衛産業
経済安全保障
サイバー防衛

という分野まで入ってくると話が変わります。

今回、会社全体の売上が+1.2%しか伸びなかった中で、ここが+31.2%伸びているのはかなり目立ちます。

FFRIセキュリティの中長期成長を考えるなら、私はこの数字を一番追いかけたいと思っています。

セキュリティ製品はほぼ横ばい

一方でセキュリティ製品は少し物足りません。

FFRI yaraiシリーズなどを展開するセキュリティ製品の売上高は、

4億3,681万円

で、

前年同期比+0.6%

でした。

会社は戦略的販売パートナーとの連携強化や、新たな販売パートナー獲得による販路拡大を進めています。

ここは悪化しているわけではありません。

ただ、成長株として見るなら+0.6%では少し寂しいです。

ナショナルセキュリティだけに依存するのではなく、製品販売についても再び成長率を上げてほしいところです。

私なら次の決算では、

セキュリティ製品が再び伸び始めるか

もチェックします。

その他セキュリティ・サービスの減収は少し事情が違う

その他セキュリティ・サービスは、

8,429万円

で、

前年同期比▲37.1%

となりました。

かなり大きな減収です。

ただし会社によれば、前年同期にスポット案件があった反動が主な理由で、

「期初の計画通りに進捗」

していると説明しています。

ここは単純に37%減だから悪い、と判断する必要はなさそうです。

スポット案件が多い事業はどうしても四半期ごとの数字が振れます。

そのため、この部分については2Q以降も含めて判断したいと思います。

ソフトウェア開発・テスト事業も減収

もう一つ減っているのが、ソフトウェア開発・テスト事業です。

売上高は8,483万円で、

前年同期比▲14.1%

となりました。

ただし、これについては少し面白い理由があります。

会社は一部のエンジニアを、需要が逼迫しているサイバー・セキュリティ事業のテスト業務へ振り向けています。

その結果として、ソフトウェア開発・テスト事業が減収になったと説明しています。

つまり、

仕事がなくて売上が減ったというより、成長分野へ人員を移している

という面があります。

これは私はそれほど悪く見ていません。

むしろ限られたエンジニアを需要の強いサイバーセキュリティ分野へ配置するのは合理的だと思います。

ただ、その結果が今後サイバー・セキュリティ事業の売上・利益として出てくることが条件です。

人材投資が利益を圧迫している部分もある

FFRIセキュリティは人材確保にも力を入れています。

2026年1月に設立したFFRIセキュリティワークスでは、セキュリティ・サービス提供開始に向けて人材採用や体制整備を進めています。

また、NTTドコモビジネスとの合弁会社であるエヌ・エフ・ラボラトリーズでも、旺盛な需要を背景に人材の確保・育成を積極化しています。

その結果、人件費が増加し、持分法による投資損失は前年同期の966万円から1,362万円へ拡大しました。

これについても評価が難しいところです。

短期的には利益を押し下げます。

しかしサイバーセキュリティ企業の場合、人材そのものが成長力です。

需要があるのに技術者が足りなくて仕事を受けられない状態になるほうが、中長期では問題だと思います。

したがって私は、

人件費増加=悪材料

とは考えていません。

ただし当然ながら、人材投資した分だけ将来的に売上と利益が増えることが条件です。

ここは今後の数字で確認していく必要があります。

通期予想は据え置き

そして今回、かなり重要なのがここです。

会社は1Qで大幅減益になりましたが、

通期業績予想を変更していません。

2027年3月期の会社予想は、

通期予想前期比
売上高51.35億円+18.1%
営業利益14.52億円+6.5%
経常利益15.09億円+3.5%
純利益11.33億円+3.0%
EPS143.25円

です。

会社は5月15日に公表した業績予想から変更していないことも明記しています。

つまり会社としては、

1Qの減益は想定の範囲内

と考えている可能性があります。

少なくとも現段階で年間計画を引き下げる必要はないと判断しているわけです。

ここは今回の決算で一つの安心材料です。

ただし、通期達成には2Q以降の加速が必要

ここは少し冷静に考えます。

1Q売上高は9.07億円。

通期予想は51.35億円です。

単純な進捗率では、

約17.7%

です。

営業利益についても、

1Qが1.85億円。

通期予想が14.52億円なので、

進捗率は約12.8%

にとどまります。

純利益も1.21億円に対して通期11.33億円なので、

約10.8%

です。

1Qだから単純に25%進捗していなければダメという会社ではない可能性がありますが、それでも今後かなり利益を積み上げる必要があります。

したがって、

「通期予想据え置きだから安心」

とまでは私は考えません。

むしろ次の2Qが重要になりました。

財務はかなり強い

一方で、私が安心して見ていられるのが財務です。

1Q末の総資産は53.18億円。

純資産は37.57億円。

自己資本比率は、

70.6%

です。

前期末の64.3%からさらに上昇しています。

さらに貸借対照表を見ると、

現金及び預金が約33.35億円

あります。

FFRIセキュリティのような成長企業の場合、私はここをかなり評価します。

成長投資を続けながら財務が傷んでいるわけではありません。

人材採用や新しいサービスへの投資を行う余力があります。

今回の5段階評価で財務健全性を★★★★★にした理由です。

サイバーセキュリティというテーマ自体は変わっていない

今回の決算短信では、会社が置かれている事業環境についてもかなり具体的に書かれています。

不正アクセスやランサムウェアによる情報漏洩が続き、サプライチェーン攻撃も問題になっています。

さらに政府は「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」について、2027年の運用開始に向けて制度設計や体制整備を進めています。

FFRIセキュリティにとって、この事業環境は悪くありません。

むしろ需要そのものは拡大しています。

その中でもナショナルセキュリティ・サービスが31.2%伸びていることを考えると、

国策・経済安全保障・サイバー防衛

というFFRIセキュリティの成長ストーリー自体は、今回の1Qで崩れたとは私は考えていません。

では、株はどうするか

ここからが売買判断です。

今回の決算だけを見るなら、

「良い決算だったから買う」

という内容ではありません。

営業利益30%減、純利益37.9%減です。

少なくとも数字だけなら買い材料にはしにくいです。

ただ私は、

今回の減益だけを理由に、保有株を全部売る必要もない

と思っています。

理由は3つです。

1つ目は、私が重要視しているナショナルセキュリティ・サービスが31.2%伸びていること。

2つ目は、通期業績予想を据え置いていること。

3つ目は、財務が非常に強いことです。

この3つが残っている以上、

「FFRIセキュリティの成長シナリオが崩れた」

とはまだ判断しません。

保有しているなら私は継続保有

私が現在保有している立場なら、

基本は継続保有

にします。

ただし、トライアルの決算よりは警戒度を一段上げます。

トライアルの場合は営業利益そのものが43.9%増えていました。

FFRIセキュリティは逆に30%減です。

そのため、

「安心して保有」ではなく「次の決算を確認するために保有」

という感覚です。

特に2Qで見たいのは、

売上成長率が上がるか
営業利益率が回復するか
ナショナルセキュリティが引き続き高成長するか
通期計画に対する進捗率が改善するか

です。

この4点が改善するなら、今回の1Q減益はそれほど問題ではなかったと判断できます。

新規買いは少し慎重に考えたい

新規買いについては、保有より慎重です。

今回の決算だけを材料にして積極的に買うことは、私はしません。

通期営業利益14.52億円に対して1Qは1.85億円。

進捗率は約12.8%です。

ここから本当に会社計画通り利益が伸びるのかを確認したいからです。

ただし、決算を受けて株価が大きく下落するのであれば話は変わります。

FFRIセキュリティの中長期テーマそのものは変わっていないため、

業績シナリオが崩れていないのに、1Q減益だけで株価が過度に売られる

のであれば、逆に買い場になる可能性があります。

ここは株価水準と合わせて判断したいところです。

私が売却を考える条件

逆に、私が売却を考えるのは単純に株価が下がったときではありません。

次の決算以降で、

ナショナルセキュリティの成長率が大きく鈍化する

売上が伸びない状態が続く

人件費だけ増えて利益率が戻らない

通期業績予想が下方修正される

といったことが重なった場合です。

特に私は、

ナショナルセキュリティの成長鈍化

を一番警戒します。

ここが伸びている限り、FFRIセキュリティを保有する大きな理由は残っています。

反対にここまで失速するなら、単なる一時的な1Q減益とは意味が変わります。

今回の私の結論

FFRIセキュリティの2027年3月期第1四半期決算は、

決算単体で評価すれば悪い

と思います。

売上高+1.2%。

営業利益▲30.0%。

経常利益▲33.5%。

純利益▲37.9%。

成長株として期待されている会社の数字としては物足りません。

だから総合評価も★★★★★ではなく、

★★★☆☆

にしました。

ただし、決算の中身を見ると評価できる部分もあります。

特にナショナルセキュリティ・サービスは31.2%増収。

官公庁・防衛産業・経済安全保障関連というFFRIセキュリティの強みが出ている事業は、しっかり成長しています。

さらに通期では、

売上高+18.1%
営業利益+6.5%
純利益+3.0%

という会社予想を据え置いています。

財務も自己資本比率70.6%と非常に強い状態です。

そのため現時点での私の判断は、

保有分 → 継続保有

新規買い → 1Qだけでは飛びつかず、株価と2Q進捗を見て判断

売却 → 今回の減益だけを理由に全部売る必要はない

です。

今回の決算で私が一番重要だと思った数字は、会社全体の営業利益▲30%ではありません。

ナショナルセキュリティ・サービス+31.2%

です。

FFRIセキュリティに期待しているのは、普通のセキュリティソフト会社としてではなく、

日本のサイバー防衛・経済安全保障需要を取り込める会社として成長できるか

というところです。

今回の1Qでは、その期待が完全に崩れたとは思いません。

ただ、会社全体の利益が減っていることも事実です。

だから私は今回は売らずに、

「2Qでもナショナルセキュリティは伸びるのか。そして、その成長が会社全体の利益増加につながってくるのか」

を確認したいと思います。

今回の1Qよりも、次の2Qのほうがずっと重要な決算になりそうです。


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