サンメッセ(7883)2027年3月期1Q決算を分析|減収減益でも印刷事業は増益、今後の業績と売買判断

今回は、全体では減収減益で悪い決算です。ただし、中身を見ると主力の印刷事業そのものは増収増益で、イベント事業の反動減が全体を押し下げています。したがって「本業全面悪化」ではありませんが、通期予想も大幅減益のままなので、前回の信和よりかなり慎重に見ます。

目次

今回の決算を5段階で評価

まず最初に、今回のサンメッセの第1四半期決算を私なりに5段階で評価してみました。

評価項目星評価私の見方
売上成長★★☆☆☆▲3.0%。全体では減収
営業利益★★☆☆☆▲21.7%。かなり弱い
純利益★★☆☆☆▲27.0%。最終利益も大幅減
印刷事業★★★★☆売上+1.9%、営業利益+2.1%
IPS関連★★★★★+23.6%。今回の成長分野
包装・パッケージ★★★★★+30.6%。かなり強い
イベント事業★☆☆☆☆売上▲83.7%、赤字転落
通期業績予想★★☆☆☆営業利益▲39.1%、純利益▲47.5%
財務健全性★★★★★自己資本比率64.6%
株主還元★★★☆☆年間9円を維持
総合評価★★★☆☆全体は悪い。ただし主力印刷事業は崩れていない

総合評価:★★★☆☆(3.0 / 5)

今回を一言で表すなら、

「数字だけなら悪決算。ただしイベント事業の大型案件反動が大きく、主力印刷事業まで悪化しているわけではない」

という評価です。

現時点での売買判断

保有:★★★☆☆ → すぐ売らず、次の決算を確認

新規買い:★★☆☆☆ → 今は積極的に買う決算ではない

売却:★★★☆☆ → 含み益が大きいなら一部整理もあり


サンメッセが2026年8月3日に2027年3月期第1四半期決算を発表しました。

今回の数字は、まず表面だけを見るとかなり弱いです。

売上高は、

▲3.0%

営業利益は、

▲21.7%

経常利益は、

▲17.3%

純利益は、

▲27.0%

となりました。

この数字だけなら、

悪い決算

と判断していいと思います。

ただし、サンメッセの場合は今回かなり大きな特殊要因があります。

それが、

イベント事業の前年大型案件反動

です。

まず1Qの数字を確認

2027年3月期第1四半期は次の通りです。

2027年3月期1Q前年同期比
売上高43.56億円▲3.0%
営業利益2.10億円▲21.7%
経常利益2.97億円▲17.3%
純利益1.73億円▲27.0%
EPS11.17円前年15.34円

売上高は前年の44.90億円から43.56億円へ減少。

営業利益は2.68億円から2.10億円。

かなり弱いです。

ただし主力の印刷事業は増収増益

ここが今回一番重要です。

印刷事業は、

売上高、

43.15億円
+1.9%

営業利益、

2.26億円
+2.1%

でした。

つまり、

本業の印刷事業だけなら増収増益

です。

全社では営業利益▲21.7%ですが、その原因は主力事業が崩れたからではありません。

イベント事業が大きく落ちたためです。

この違いはかなり重要だと思います。

イベント事業がほぼ消えた

前年1Qのイベント事業売上は、

2.55億円

ありました。

今回は、

0.41億円

です。

前年比、

▲83.7%

となりました。

営業利益も、

前年、

+4,499万円

から、

今回は、

▲1,745万円

の赤字へ転落しています。

会社によると、

前年にあった大型受注が今期にはなかった

ことが主因です。

つまり、

イベント市場そのものが急激に悪化したというより、

大型案件の有無で四半期数字が大きく振れた

ということです。

私はここは少し割り引いて見ます。

印刷事業の中身はかなり変わってきている

サンメッセというと、

昔ながらの印刷会社

というイメージがあります。

ただ、今回の商品別売上を見ると、少し違います。

商業印刷関連は、

27.33億円 → 25.46億円

で、

▲6.8%

です。

これはやはり弱いです。

デジタル化で紙の商業印刷需要が減るという、構造的な逆風があります。

一方で、

IPS関連は+23.6%

包装・パッケージ印刷関連は+30.6%

まで伸びています。

ここが今後かなり重要になります。

IPS関連+23.6%は評価したい

IPS関連売上は、

7.10億円 → 8.78億円

まで増えました。

約24%増です。

紙の一般印刷市場が縮小しても、

データを使って顧客ごとに内容を変えるような、

高付加価値な情報処理・印刷

は需要が残ります。

私はサンメッセが今後生き残るには、

単純な大量印刷ではなく、

データ処理+印刷+発送

のような分野へ移る必要があると思っています。

IPSの伸びは、その方向性としては良いです。

包装・パッケージ+30.6%もかなり強い

さらに包装・パッケージ印刷関連は、

3.61億円 → 4.71億円

まで増加。

前年比、

+30.6%

です。

ここも私は評価します。

商業印刷はデジタル化で減ります。

しかし商品そのものが存在する限り、

パッケージ

はなくなりません。

食品、

化粧品、

日用品、

医薬品、

さまざまな商品に包装が必要です。

そのためサンメッセの成長余地を考えるなら、

商業印刷からIPS・パッケージへ売上構成を変えられるか

が大きなポイントになります。

商業印刷はやはり厳しい

一方で、会社自身も印刷業界の環境についてかなり厳しく書いています。

デジタル化による商業印刷・出版印刷需要の減少。

用紙・インキ価格の上昇。

エネルギー費上昇。

物流費上昇。

人件費上昇。

さらに価格転嫁も難しい。

かなり厳しい環境です。

これは一時的な問題ではありません。

特に、

紙の印刷需要減少

は構造的です。

だから私は、

「印刷需要がそのうち戻る」

という投資シナリオでは見ません。

むしろ、

印刷以外へどれだけ変われるか

を見る会社だと思います。

会社も「印刷を、超える」を掲げている

会社は新経営ビジョンとして、

「Change -SX2035- 印刷を、超える。」

を掲げています。

これはかなり分かりやすいです。

会社自身も、

「従来型印刷だけでは成長が難しい」

ことを認識しています。

目指しているのは、

総合コミュニケーション企業

です。

問題は、

その変革がどれだけ利益成長につながるかです。

今のところIPSやパッケージの伸びは確認できます。

でも全社利益を大きく伸ばすほどには、まだなっていません。

売上総利益率も少し悪化

損益計算書を見ると、

売上高は、

44.90億円 → 43.56億円

売上総利益は、

11.45億円 → 10.93億円

へ減少しました。

一方で販管費は、

8.76億円 → 8.83億円

と少し増えています。

その結果、営業利益が、

2.69億円 → 2.10億円

へ減りました。

売上が減っただけではなく、

利益率も少し悪化しています。

原材料、人件費、物流費などのコスト上昇が効いていると考えられます。

ここは少し心配です。

通期予想はかなり悪い

そして今回最大の問題はここです。

2027年3月期通期予想は、

通期予想前期比
売上高172.36億円+0.6%
営業利益1.97億円▲39.1%
経常利益3.78億円▲30.3%
純利益2.41億円▲47.5%
EPS15.55円

です。

これはかなり厳しいです。

売上はほぼ横ばい。

営業利益は約4割減。

純利益はほぼ半減。

つまり会社自身が、

2027年3月期は利益面でかなり厳しい

と見ています。

ここが新規買いを★★☆☆☆にした最大の理由です。

1Q営業利益は通期計画をすでに超えている?

ここで少し変わった数字があります。

1Q営業利益は、

2.10億円

です。

通期営業利益予想は、

1.97億円

です。

つまり、

1Q時点ですでに通期計画を上回っています。

一見すると、

「上方修正確実では?」

と思います。

ただしそう単純ではありません。

第2四半期累計会社予想の営業利益は、

1,500万円

です。

つまり会社は、

2Q単独でかなり大きな営業赤字

を見込んでいることになります。

季節性や案件構成の影響が非常に大きい会社ということです。

上期予想がかなり弱い

上期予想は、

売上82.56億円。

営業利益、

1,500万円。

純利益、

6,900万円

です。

1Qで営業利益2.10億円を出しているので、

2Q単独では約▲1.95億円の営業赤字を見込んでいる計算です。

かなり大きいです。

だから今回、

1Qが計画を大きく上回っている

とは単純には言えません。

会社はもともと2Qに大きな費用や低採算案件を想定している可能性があります。

ここは2Q決算が非常に重要です。

財務はかなり強い

一方、財務についてはかなり良いです。

自己資本比率は、

62.4% → 64.6%

まで上昇しました。

現金及び預金は、

35.87億円 → 43.19億円

まで増えています。

短期借入金は14.3億円で変わっていません。

財務面だけならかなり安心できます。

私は財務健全性を★★★★★にしました。

ただし純資産増加の理由には注意

純資産は、

141.88億円 → 183.90億円

まで大きく増えています。

かなり良く見えます。

ただし大部分は、

その他有価証券評価差額金

の増加です。

前期末37.42億円から、

78.62億円

まで増えました。

つまり本業で40億円稼いだわけではありません。

保有株式などの評価額が上がったことが主因です。

ここは勘違いしないほうがいいです。

投資有価証券が約128億円

さらに貸借対照表を見ると、

投資有価証券は、

68.91億円 → 128.52億円

まで増えています。

かなり大きいです。

総資産283億円に対して、

投資有価証券だけで約128億円。

45%近くを占めます。

これはサンメッセを見るうえでかなり特徴的です。

本業より保有株式の価値が目立つ会社でもある

今回の包括利益を見ると、

四半期純利益は、

1.74億円

しかありません。

ところがその他有価証券評価差額金が、

+41.20億円

あります。

その結果、四半期包括利益は、

42.76億円

です。

つまり今回、

本業利益より、

保有有価証券の値上がり

のほうが圧倒的に大きいです。

これは投資対象としてかなり面白い部分でもあり、難しい部分でもあります。

サンメッセを単純な印刷会社としてPERだけで評価すると、実態を少し見誤る可能性があります。

PBRや資産価値を見る意味がある

この会社の場合、

利益成長は弱いです。

その一方で、

土地、

投資有価証券、

現金、

をかなり持っています。

つまり、

成長株というより資産株的な側面

があります。

私はサンメッセについては、

PERだけではなく、

PBRや保有資産価値

まで見て判断する銘柄だと思います。

今回の決算短信だけでは現在株価がないので具体的な割安水準までは出しませんが、新規買いを考えるならかなり重要です。

配当は年間9円を維持

2027年3月期も、

中間4円。

期末5円。

年間、

9円

を予定しています。

前期と同じです。

通期純利益が47.5%減る予想なのに、配当は維持しています。

財務余力があるからできることだと思います。

ただし成長株のような増配期待を持つ銘柄ではありません。

配当をもらいながら資産価値を見る

タイプに近いです。

では、株はどうするか

今回の決算を見て私が保有していたなら、

すぐには売りません。

理由は、

主力印刷事業が増収増益だからです。

特に、

IPS+23.6%。

包装・パッケージ+30.6%。

という成長分野があります。

イベント事業の大型案件反動だけで全部売る必要はないと思います。

ただし、

強気で買い増す決算でもありません。

保有は「様子見継続」

今回の保有判断は、

★★★★☆の安心保有

ではなく、

★★★☆☆の様子見保有

です。

理由は通期予想です。

営業利益▲39%。

純利益▲47.5%。

会社自身がかなり厳しい利益予想を出しています。

だから私は、

2Qで本当に大きな赤字になるのか

を確認します。

もし2Qでも利益を維持できれば、上方修正期待が一気に高まります。

逆に会社予想通り大きく利益が落ちるなら、今期は低収益な1年になります。

新規買いは今は急がない

新規買いについては、

今すぐ積極的に買う必要はない

と思います。

1Qだけ見ればイベント事業の反動を除くと悪くありません。

しかし通期予想が弱すぎます。

私は、

2Q決算を待っても遅くない

と思います。

ただし株価がかなり低く、

保有有価証券や土地などを考えると資産価値に対して大幅な割安状態なら、話は変わります。

この銘柄は業績だけでなく、

資産バリュー

で買う余地があるからです。

今後一番見るのは「印刷以外の成長」

次の決算で一番見るのは、

商業印刷ではありません。

IPS

と、

包装・パッケージ

です。

この2つが二桁成長を続けられるか。

それがサンメッセの将来をかなり左右します。

商業印刷の縮小を、

新しい分野で補えるなら企業価値は維持できます。

補えなければ、長期的には売上・利益が縮小します。

そして2Qの営業赤字

もう一つ最大のチェックポイントは、

2Q単独の利益

です。

会社予想通りならかなり大きな赤字になります。

本当にそうなるのか。

もし赤字幅が小さい、あるいは黒字を維持できるなら、

通期営業利益1.97億円はかなり上振れする可能性

があります。

今回の1Qより、次の2Qのほうが重要です。

私が売却を考える条件

今後私が売却を考えるのは、

印刷事業まで減益へ転じる

IPS成長が止まる

パッケージ成長が止まる

通期営業利益1.97億円をさらに下方修正する

商業印刷の減少を新規分野で補えなくなる

といった状態になった場合です。

特に、

新しい成長事業が旧来型印刷の縮小を補えているか

を見ます。

今回の私の結論

サンメッセの2027年3月期第1四半期決算は、

全体としては悪い決算

だったと思います。

売上、

▲3.0%

営業利益、

▲21.7%

純利益、

▲27.0%。

ただし中身を見ると、

主力印刷事業は、

売上+1.9%
営業利益+2.1%

です。

さらに、

IPS+23.6%

包装・パッケージ+30.6%

と、伸ばしたい分野はしっかり成長しています。

全社減益の大きな理由は、

イベント事業が、

2.55億円 → 0.41億円

まで落ちたことです。

そのため、

「本業が全面的に崩れた悪決算」

とは見ていません。

一方、通期では、

営業利益▲39.1%

純利益▲47.5%

を会社が予想しています。

ここはかなり弱いです。

そのため総合評価は、

★★★☆☆(3.0 / 5)

としました。

現時点での私の方針は、

保有分 → すぐ売らず、2Q確認

新規買い → 今は急がない

含み益が大きい → 一部整理はあり

資産価値に対してかなり割安なら → 別途買いを検討

です。

サンメッセは今、

「印刷会社として成長できるか」ではなく、「縮小する印刷需要を新しい事業でどこまで置き換えられるか」

を問われている会社だと思います。

そしてもう一つ、

投資有価証券約128億円という大きな資産をどう企業価値につなげるのか。

ここもこの会社を見るうえで無視できません。

私は次の決算では、

IPS・パッケージの二桁成長が続くのか、そして会社予想どおり2Qで利益が大きく落ちるのか。

そこを一番確認したいと思います。

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