空運業界は今後どうなる?
空運業には、
・国内線旅客
・国際線旅客
・航空貨物
・LCC
・空港関連サービス
などがあります。
航空業界はコロナ禍で非常に大きな打撃を受けましたが、現在は旅客需要が回復し、日本ではインバウンドが強力な成長材料になっています。
2026年7月の訪日外国人数は約344万人となり、7月として過去最高を更新しました。
2026年上期だけでも2,100万人を超えています。
つまり日本の航空需要を、
日本人の人口だけで考える必要がなくなってきた
ということです。
さらにアジアでは所得水準が上昇し、海外旅行を楽しめる人口そのものが増えています。
私は、今後5〜10年を見ると、空運業界は比較的有望な業界だと考えています。
ただし、航空会社は燃油価格、為替、地政学リスクなどに利益を大きく左右されます。
そのため、
国際旅客+貨物+LCC+非航空事業
まで収益源を広げられる企業の方が有利になると考えています。
世界の航空需要はまだ成長する
世界全体で見ると航空需要には成長余地があります。
特に、
・中国
・インド
・東南アジア
・中東
などでは所得水準の上昇によって航空利用者が増えています。
IATAでは2026年のアジア太平洋地域の旅客需要について、前年比7%台の成長を見込んでいます。
日本の人口が減少しても、
アジア全体の旅行人口が増えれば日本への航空需要も増える
ということです。
日本には、
・東京
・大阪
・京都
・北海道
・沖縄
・九州
など海外旅行者に人気の観光地が多くあります。
長期的なインバウンド拡大は、日本の航空会社にとって重要な追い風になると考えています。
インバウンドは国内航空にも波及する
外国人旅行者が東京に到着したからといって、東京だけに滞在するとは限りません。
例えば、
海外
↓
東京
↓
札幌
海外
↓
大阪
↓
沖縄
海外
↓
東京
↓
福岡
という国内移動も発生します。
そのためインバウンド需要は国際線だけではなく、国内線にも波及します。
特に北海道、九州、沖縄など人気観光地への航空路線を持つ企業は恩恵を受けやすいでしょう。
国内線は人口減少との戦いになる
一方、日本人による国内航空需要には人口減少という問題があります。
特に地方路線では、
人口減少
↓
利用者減少
↓
搭乗率低下
↓
採算悪化
という問題が発生します。
航空会社としても、不採算路線を大量に維持すれば利益率が低下します。
今後は、
・ANAとJALなど航空会社間の協調
・地方路線の共同運航
・使用機材の小型化
・運賃の適正化
などが進むと考えています。
国内線では「利用者数を増やす」より、
限られた需要から適正な利益を確保すること
が重要になります。
国際線が最大の成長市場になる
日本の大手航空会社にとって、今後最も成長を期待できるのが国際線です。
国際線では、
・インバウンド
・日本人海外旅行
・ビジネス需要
・乗り継ぎ需要
を取り込むことができます。
特に北米、東南アジア、インドなどは長期的な成長市場です。
ANAもJALも今後の航空機投資では国際線を重視しています。
つまり今後の航空株を見る場合、
「国内線シェア」より「国際線をどこまで拡大できるか」
の方が重要になっていくと考えています。
JALは2030年度へ国際線供給を拡大
JALが2026年に発表した「JALグループ経営ビジョン2035」では、2030年度の連結EBITを3,000億円まで増やす計画です。
2026年度の計画は1,800億円ですから、4年間で約1.7倍を目指します。
成長の中心になる一つが国際線です。
特に、
・北米
・南アジア
などで航空機の大型化を進め、2030年度までに国際線の利益を約300億円増やす計画です。
一方、国内線についても事業構造改革を進め、2030年度までに約600億円の利益増加を計画しています。
単純な旅客数増加だけではなく、
国内線の利益率改善+国際線拡大
という2つの方向から利益を伸ばそうとしています。
航空貨物も重要な成長事業
航空会社が運んでいるのは人だけではありません。
航空貨物では、
・半導体
・電子部品
・医薬品
・自動車部品
・生鮮食品
・高級品
などが運ばれます。
海運より輸送コストは高くなりますが、
高価格で軽く、すぐに届ける必要がある商品
との相性が非常に良い物流です。
AI半導体や先端電子部品の需要が増えれば、航空貨物にも成長余地があります。
ANAはNCA統合で貨物を強化
航空貨物で特に注目したいのがANAホールディングスです。
ANAグループには2025年に日本貨物航空、NCAが加わりました。
これによってANAは、
・旅客機の貨物スペース
・ANA Cargo
・NCAの大型貨物専用機
を組み合わせられるようになっています。
さらに2027年4月には、
・ANA Cargo
・NCA
・NCA Japan
の3社を統合する予定です。
ANAは旅客航空会社としてだけではなく、
日本を代表する航空貨物会社
へ成長する可能性があります。
半導体と航空貨物は相性が良い
半導体は航空貨物との相性が良い商品です。
理由は、
・商品価格が高い
・サイズが比較的小さい
・納期が重要
だからです。
数億円、数十億円規模の半導体や製造装置部品を数週間かけて船で運ぶより、航空機で迅速に届けた方が経済合理性がある場合があります。
AI、半導体、電子部品市場が拡大すれば、
「AI需要→半導体需要→航空貨物需要」
という間接的な恩恵を受ける可能性があります。
LCCも世界的には成長分野
航空業界で今後も成長する可能性が高いのがLCCです。
LCCは、
・機内サービスを簡素化
・使用機材を統一
・運航効率を高める
ことで低価格な航空券を提供します。
航空運賃が下がれば、それまで飛行機を利用しなかった人も旅行できるようになります。
特にアジアでは中間所得層が増えているため、LCCとの相性が良い市場です。
JALはZIPAIRを拡大する
JALグループには中長距離LCCのZIPAIRがあります。
一般的なLCCが近距離路線を中心とするのに対して、ZIPAIRでは北米やアジアなどの中長距離路線を運航できます。
JALでは2030年度までにZIPAIRの機材数を増やし、LCC事業の利益を約200億円伸ばす計画です。
これは非常に重要だと思います。
高価格帯のJAL
+
低価格帯のZIPAIR
という2つのブランドによって、幅広い需要を取り込めるからです。
ANAにもPeachという成長資産がある
ANAグループではPeach AviationがLCCを担っています。
Peachは関西空港や成田空港などを中心に国内外へ路線を展開しています。
今後アジアから日本へ来る旅行者が増えれば、LCCにも大きな需要があります。
ANA本体のフルサービスだけでなく、
ANA+Peach
という組み合わせで異なる価格帯の顧客を取り込めることが強みです。
航空会社はマイルを金融サービスへ変えられる
航空会社が持つ非常に価値の高い資産が顧客データです。
例えばJALやANAには数千万人規模のマイレージ会員がいます。
その顧客へ、
・クレジットカード
・保険
・ショッピング
・旅行
・金融サービス
などを提供できます。
特にJALは「マイル・ライフ事業」を重要な成長分野として位置付けています。
2030年度までマイル発行量を年率約10%で拡大する計画です。
つまり航空会社は、
飛行機に乗る
↓
マイルを貯める
↓
カードを使う
↓
買い物する
↓
サービスを利用する
という経済圏を作れます。
JALは「航空会社以外」の利益を半分へ
JALの2035年戦略で特に興味深いのが、利益構成そのものを変えようとしていることです。
現在は航空事業が中心ですが、将来的には、
フルサービス航空
50%
それ以外
50%
という利益構成を目指しています。
「それ以外」には、
・LCC
・マイル
・金融
・コマース
・その他サービス
などが含まれます。
航空会社最大の弱点は燃油価格や感染症などによって航空需要が急変することです。
航空以外の収益を増やせれば、企業としての安定性を高めることができます。
SAFは航空業界最大の脱炭素テーマ
航空機は自動車のように簡単にEV化できません。
大型旅客機をバッテリーだけで数千km飛ばすには、現在の電池では重量が大きすぎます。
そのため航空業界の脱炭素で重要になるのがSAFです。
SAFとは廃食油、バイオエタノールなどから作る持続可能な航空燃料です。
今後SAFの使用量が増えれば航空会社のCO2排出を減らせます。
一方で現在のSAFは従来のジェット燃料より高価です。
そのため航空会社にとっては、
脱炭素対応と燃料コストをどう両立するか
が大きな課題になります。
新型航空機で燃料費を抑える
航空会社にとって最大級のコストが燃料です。
そのため新しい航空機へ更新すること自体が利益改善につながります。
新型機では、
・機体軽量化
・新型エンジン
・空力性能改善
によって燃費が改善されています。
燃料使用量を減らせれば、
燃料費削減
+
CO2削減
の両方を実現できます。
今後は新型機へ投資できる財務力を持つ航空会社が有利になります。
スカイマークは新型機で再成長を狙う
国内航空会社の中で変化率に注目したいのがスカイマークです。
同社では2026年から、
・ボーイング737-8
・ボーイング737-10
の導入を進めています。
特に737-10は現在の機材より座席数が約19%多く、羽田―札幌、羽田―福岡など需要の強い幹線へ投入する計画です。
つまり、
同じ発着枠
↓
より多くの乗客を運ぶ
↓
1便当たり収入増加
という効果が期待できます。
羽田空港の発着枠は非常に貴重なため、機材を大型化して座席数を増やすことは合理的な戦略だと思います。
スカイマークは「中価格帯」に強みがある
スカイマークはANAやJALのようなフルサービスキャリアでもなく、PeachなどのLCCでもありません。
比較的シンプルなサービスを提供しながら、羽田空港を多く利用できるという独特な位置にあります。
そのため、
ANA・JALより安い
+
LCCより便利
という市場を狙うことができます。
新型機導入によって燃料効率と座席供給量が改善すれば、今後の利益回復につながる可能性があります。
スターフライヤーは国際線再開が成長材料
スターフライヤーは北九州を拠点とする小型航空会社です。
黒を基調とした機内デザインなど独特なブランドを持っています。
2026〜2028年度の中期経営戦略では、
東アジアへの国際線ネットワーク拡大
を最大の成長テーマにしています。
将来的には九州とアジアを結ぶ航空会社を目指しています。
国内人口が減少する中、
北九州・福岡
↓
台湾・韓国など東アジア
へ市場を広げる方向は合理的だと考えています。
人手不足が航空業界の成長を制限する
航空需要があっても、飛行機だけあれば運航できるわけではありません。
必要なのは、
・パイロット
・客室乗務員
・整備士
・グランドスタッフ
・保安検査員
などです。
航空需要が急速に回復したことで、世界的に航空人材不足が問題になっています。
日本でも今後人口減少によって、人材確保はさらに難しくなるでしょう。
つまり空運業界では、
需要不足ではなく供給能力不足
が成長の制約になる可能性があります。
AI・自動化が空港業務を変える
人手不足への対応として重要なのがDXです。
例えば、
・自動チェックイン
・自動手荷物預け
・顔認証搭乗
・AIチャット
・需要予測
・航空機整備予測
・自動運転車両
などです。
JALは2030年度へ向け、AI活用や業務プロセス改革などによって人員効率を約10%改善する計画を示しています。
人件費の上昇が続く中、航空会社の利益成長には、
売上増加だけでなく1人当たり生産性向上
が重要になります。
燃油価格が最大の業績変動要因
航空会社の利益を考えるうえで絶対に無視できないのが原油価格です。
燃油価格が上昇すると数百億円単位で費用が増えることがあります。
実際、2026年度第1四半期ではJAL、ANAとも旅客需要や売上は好調でしたが、中東情勢などによる燃油費上昇が利益を圧迫しました。
つまり航空業界は、
飛行機が満席だから必ず大幅増益になる
わけではありません。
円安も航空会社には複雑
円安になると日本旅行が外国人にとって安くなるため、インバウンドには追い風です。
一方、航空会社では、
・航空機購入
・航空機リース
・整備費
・燃油
などドル建ての支出があります。
そのため円安はコスト増加要因にもなります。
つまり、
円安
=インバウンド増加
=プラス
だけではありません。
航空会社では為替と燃料価格をセットで見る必要があります。
今後成長が期待できる分野
空運業界で今後特に成長を期待したいのは、
・国際線旅客
・インバウンド
・北米路線
・インド・東南アジア路線
・航空貨物
・半導体・医薬品輸送
・LCC
・マイル・金融事業
・航空DX
・新型省燃費航空機
などです。
特に私は、
国際線+航空貨物+非航空事業
の3つに注目しています。
国内人口減少の影響を抑えながら、アジアを中心とした世界の航空需要成長を取り込めるからです。
今後低迷が予想される分野
人口減少地域の国内ローカル線
地方人口が減少することで、利用者の少ない路線はさらに採算が悪化する可能性があります。
社会インフラとして必要でも、航空会社単独で高い利益を確保することは難しいでしょう。
古い燃費の悪い航空機
燃油価格と環境規制を考えると、新型省燃費機材との差は広がります。
機材更新へ十分な投資ができない航空会社は不利になりそうです。
国内旅客だけに依存する航空会社
日本人口が減少する以上、国内線だけで長期的に事業規模を大幅に拡大することは難しくなります。
国際線や海外需要を取り込める会社との差が大きくなるでしょう。
航空券販売だけに依存する企業
航空運賃は燃油価格や競争環境によって利益が大きく変わります。
マイル、金融、貨物、旅行など航空以外の利益源を持つ企業の方が安定した成長を期待できます。
今後有望な銘柄
① 日本航空(9201)
空運業界で本命として最も注目したいのが日本航空です。
最大の理由は、
航空事業の成長と、航空以外の事業拡大を同時に進めていること
です。
2026年に発表した「JALグループ経営ビジョン2035」では、
2026年度
連結EBIT 1,800億円
から、
2030年度
連結EBIT 3,000億円
2035年度
連結EBIT3,500億円以上
を目指しています。
2030年度までの成長要因として、
・国際線 約300億円増
・国内線 約600億円増
・LCC 約200億円増
・マイル・金融・コマース 約100億円増
などを見込んでいます。
航空運送だけに依存しない利益構造へ変わろうとしている点を高く評価しています。
2026年9月4日の終値は3,003円。
予想PER11.73倍、PBR1.20倍、予想配当利回り3.20%です。
年初来高値3,272円に対して、現在は約8%下の水準です。
成長性:★★★★★
テーマ性:★★★★★
収益力:★★★★★
割安度:★★★★★
株主還元:★★★★★
総合投資判断:★★★★★
2030年度EBIT3,000億円という利益成長計画がありながら、PERは11倍台です。
さらに年間96円の配当予想で配当利回りも3%台あります。
今後5〜10年で国際線、ZIPAIR、マイル・金融事業が計画通り拡大すれば、現在の航空会社という評価以上の企業価値を期待できると考えています。
② ANAホールディングス(9202)
ANAホールディングスも非常に魅力があります。
特にJALより強く評価したいのが航空貨物です。
日本貨物航空がグループに加わったことで、
旅客+LCC+航空貨物
という非常に強力な航空ネットワークができます。
2027年4月にはANA Cargo、NCA、NCA Japanの3社を統合する予定で、今後シナジーが本格化します。
2027年3月期については、
売上高2兆7,700億円
を予想しています。
2026年3月期の2兆5,392億円から増収する計画です。
一方、燃油費などの増加によって営業利益は1,500億円を予想しており、前期より減益となる見通しです。
2026年9月4日の終値は2,999.5円。
予想PER13.80倍、PBR1.09倍、予想配当利回り2.00%です。
年初来高値3,419円からは約12%調整しています。
成長性:★★★★★
テーマ性:★★★★★
収益力:★★★★☆
割安度:★★★★☆
株主還元:★★★★☆
総合投資判断:★★★★★
現在の利益だけならJALを上に見ますが、NCA統合による航空貨物の成長余地は非常に魅力があります。
AI・半導体需要まで考えると、
国際旅客+国際貨物
という2つの成長市場を持つANAは中長期で注目したい企業です。
③ スカイマーク(9204)
3番目はスカイマークです。
大手2社と比べると企業規模はかなり小さいですが、その分事業が成長した場合の株価変化率は大きくなる可能性があります。
最大の成長材料は新型航空機です。
2026年から、
・737-8
・737-10
の導入を開始します。
特に737-10では現行機材より座席数が約19%増加します。
羽田―札幌、羽田―福岡など高需要路線へ投入できれば、限られた羽田発着枠から得られる売上を増やせます。
また新型機による燃費改善も期待できます。
ただし足元の利益はまだ弱く、2027年3月期第1四半期は売上高が過去最高となった一方、営業損失を計上しました。
2026年9月4日の終値は416円。
予想PER31.28倍、PBR0.89倍です。
2027年3月期の配当予想は未定となっています。
年初来高値448円に対して現在は約7%下です。
成長性:★★★★☆
テーマ性:★★★★☆
収益力:★★☆☆☆
割安度:★★★☆☆
株主還元:★☆☆☆☆
総合投資判断:★★★★☆
現在の利益水準から見るとPERは高いため、単純な割安株ではありません。
しかし時価総額が約250億円と小さく、新型機導入によって利益率が改善した場合の株価へのインパクトは大手2社より大きくなる可能性があります。
キャピタルゲイン狙いの小型空運株として注目したい銘柄です。
④ スターフライヤー(9206)
4番目はスターフライヤーです。
今回の4社では最も規模が小さい会社ですが、2026〜2028年度に成長戦略へ転換しています。
最大のテーマは、
九州と東アジアを結ぶ国際線
です。
現在の国内線中心の事業から、
・台湾
・韓国
・東アジア
などへ国際線ネットワークを広げることで成長を目指します。
インバウンド需要を考えると戦略そのものには魅力があります。
2026年9月4日の終値は1,970円。
予想PER12.42倍、PBR2.06倍で、会社予想配当はありません。
年初来高値2,270円からは約13%下落しています。
成長性:★★★★☆
テーマ性:★★★★☆
収益力:★★☆☆☆
割安度:★★☆☆☆
株主還元:★☆☆☆☆
総合投資判断:★★★☆☆
最大の問題は財務です。
2027年3月期第1四半期は増収となったものの営業赤字となり、自己資本比率も低い水準です。
国際線展開が成功すれば企業規模が大きく変わる可能性がありますが、新規路線への投資負担もあります。
そのため現時点では、上位3社より慎重に見ています。
まとめ
空運業界は、世界人口とアジアの所得水準上昇を考えると、長期的には航空旅客需要の拡大を期待できる産業です。
日本でもインバウンドは強く、2026年7月の訪日外国人数は約344万人と7月として過去最高を更新しました。
さらに、
・国際線
・航空貨物
・LCC
・マイル・金融
・航空DX
など、新しい成長市場もあります。
一方で、
・燃油価格
・円安
・地政学リスク
・人手不足
・巨額の航空機投資
などによって利益が大きく変動します。
半導体のように売上が増えればそのまま利益が急拡大する業界ではありません。
そのため、空運業界の将来性を5段階で評価するなら「4」です。
今後5〜10年では、国内線だけを運航する会社より、
国際線・貨物・LCC・金融など複数の利益源を持つ航空グループ
の方が有利になると考えています。
今回取り上げた4銘柄を、今後の成長性と現在の株価からの上昇余地を重視して順位付けするなら、1位 日本航空(9201)、2位 ANAホールディングス(9202)、3位 スカイマーク(9204)、4位 スターフライヤー(9206)と考えています。
本命は日本航空です。
最大の理由は、2030年度にEBIT3,000億円という明確な利益成長目標を持ちながら、2026年9月時点の予想PERが11倍台にとどまっていることです。
国際線を拡大するだけでなく、ZIPAIR、マイル、金融・コマースなどを育て、将来的に航空事業とそれ以外の利益を50対50に近づけようとしています。
これが実現すれば、景気や燃油価格への依存度も下がり、株式市場からの評価そのものが変わる可能性があります。
対抗はANAホールディングスです。
JALにはない大きな材料がNCAです。
ANA CargoとNCAの統合によって、日本最大級の航空貨物ネットワークを構築できれば、半導体、電子部品、医薬品など成長する高付加価値物流市場を取り込むことができます。
現在は燃油費上昇による減益局面のため、利益回復が見えてくれば株価評価が変わる可能性があります。
スカイマークは大手2社よりリスクがありますが、時価総額が小さいため、新型737-8・737-10の導入によって利益が回復した場合の株価上昇率では大手を上回る可能性があります。
スターフライヤーは九州―東アジア国際線という成長テーマがあります。ただし財務基盤と収益力はまだ弱いため、実際に国際線が収益化するかを確認したい段階です。
空運業界は今後、「日本人を国内で運ぶ航空会社」から、「世界の旅行者・貨物・マイル・金融サービスを取り込み、アジア全体の成長を収益化する航空サービス産業」へ変わっていくと考えています。
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