建設業界の今後を予想|再開発・データセンター・国土強靱化で伸びる有望株は?

目次

建設業界の今後はどうなる?

建設業界について、私は今後3~5年を「やや強気」と見ています。

日本では人口が減少しているため、

「これから建物を建てる需要も減るのではないか」

と思われやすい業界です。

確かに新築住宅については長期的に大きく伸びる市場ではありません。

しかし現在の建設需要を見ると、住宅以外にはかなり大きな投資があります。

データセンター
半導体工場
物流施設
都市再開発
ホテル
研究施設
防衛関連施設
老朽インフラ更新
国土強靱化

などです。

国土交通省が2026年8月に公表した建設投資見通しでは、2026年度の国内建設投資額は81兆4,700億円と前年度比2.9%増を見込んでいます。

特に注目したいのが民間非住宅建設投資で、22兆2,600億円、前年度比6.6%増の見通しです。

つまり住宅市場が成熟していても、

企業が工場・データセンター・オフィス・物流施設へ投資する需要

はかなり強い状態です。

建設業は「受注不足」より「人が足りない」

現在の建設業界で最大の問題は、仕事がないことではありません。

むしろ、

仕事はあるが施工できる人が足りない

という状況です。

国土交通省の2026年7月調査では、全国8職種の建設技能労働者は1.2%の不足。

さらに9月の労働者確保について「困難」「やや困難」と回答した企業は合計26.3%でした。

人手不足は建設会社にとってコスト増要因です。

しかし大手企業にとっては別の面もあります。

仕事を何でも受注する必要がなくなり、

利益率の低い案件を断り、採算の良い工事を選べる

からです。

私はここが現在の建設株を考えるうえで非常に重要だと思います。

建設会社は「売上高競争」から「利益率競争」へ

以前のゼネコンは、

受注高
売上高
施工量

を増やすことが重視されていました。

しかし原材料価格や人件費が上昇した現在、安値で受注すると数年間にわたって赤字工事を抱える可能性があります。

そのため現在は、

価格転嫁
工事選別
設計変更対応
工期適正化

を重視するようになっています。

実際、大手ゼネコンでは数年前に採算の悪い大型案件が利益を圧迫しましたが、現在はその低採算案件が減少し、国内建築工事の利益率が改善しています。

大林組の2027年3月期第1四半期でも、国内建築で採算性の良い案件の寄与が高まったことが大幅増益につながりました。

私は今後の建設株では、

売上高が何%増えたか以上に、完成工事総利益率が上がっているか

を重視したいと考えています。

AI時代は建設会社にも追い風

AIと建設は一見あまり関係がないように見えます。

しかしAIには大量のデータセンターが必要です。

データセンターを作るには、

建物
電力設備
空調設備
冷却設備
非常用電源
通信設備

が必要です。

つまりAI投資が増えれば、

ゼネコン
電気設備工事会社
空調設備会社

にも仕事が発生します。

特にデータセンターでは普通のオフィスより電気設備や空調設備への投資額が大きくなります。

そのため私は建設業を見る際、ゼネコンだけでなくきんでんのような設備工事会社も重要だと考えています。

半導体工場も建設需要を押し上げる

もう一つ大きいのが半導体です。

半導体工場は普通の工場とは違います。

クリーンルーム
特殊空調
高性能電源
配管
耐震設備

など大量の設備投資が必要です。

日本政府も半導体の国内生産拠点強化を進めています。

九州、北海道などで大型半導体投資が続けば、建設会社だけでなく電気・空調設備会社まで長期的な恩恵を受けます。

私は建設株を単なる景気敏感株ではなく、

AI・半導体設備投資の間接的な「つるはし株」

としても見ています。

国土強靱化は長期テーマ

民間投資だけではありません。

日本では、

道路
橋梁
トンネル
上下水道
河川
港湾

など高度成長期に作られたインフラの老朽化が進んでいます。

これらは人口が減っても維持する必要があります。

国土交通省の2026年度見通しでは政府建設投資は26兆6,000億円、公共事業だけでも15兆5,100億円を見込みます。

災害対策やインフラ更新を考えると、土木需要が突然なくなる可能性は低いでしょう。

この点では鹿島、大林組、大成建設、清水建設など大型土木工事に強いスーパーゼネコンが有利です。

一方で受注は毎月強いわけではない

建設業界を全面的に強気にしない理由もあります。

2026年7月の大手50社建設工事受注は前年同月比13.4%減

民間工事も6.1%減となり、受注額には月ごとの大きな変動があります。

さらに、

人件費上昇
資材価格上昇
工期長期化
金利上昇
技能労働者不足

という問題もあります。

仕事が多すぎること自体がリスクになる業界です。

したがって「受注高が増えた会社」ではなく、

受注を利益へ変えられる会社

を選びたいと思います。

建設株を見るための投資判断軸

今回は、

「成長性」
「再開発・データセンター・設備投資恩恵」
「施工力・受注競争力」
「株価水準」
「収益力・株主還元」

の5項目で評価します。

特にキャピタルゲインを重視するため、現在のPER・PBRに対して今後どれだけ利益を伸ばせるかを重視します。

有望銘柄① 清水建設(1803)

今回の建設株で第一候補にするのは清水建設です。

スーパーゼネコンの一角です。

少し前までの清水建設は、建設工事の採算悪化によってかなり厳しい状態でした。

2024年3月期は連結営業損失246億円。

しかしその後は大きく改善しています。

2025年3月期営業利益710億円。

2026年3月期は1,186億円。

そして2027年3月期会社予想は1,530億円です。

つまり、

赤字

710億円

1,186億円

1,530億円予想

という利益回復が続いています。

私はこの変化をかなり評価しています。

2027年3月期第1四半期も、

売上高 4,828億円 9.3%増
営業利益 192億円 11.8%増

となりました。

通期では、

売上高2兆3,100億円 12.3%増
営業利益1,530億円 28.9%増

を見込んでいます。

経常利益や純利益は清和綜合建物の持分法適用に伴う負ののれん相当額によって大きく押し上げられているため、私はそこより営業利益1,530億円を重視します。

投資判断軸

成長性:★★★★★
再開発・データセンター・設備投資恩恵:★★★★★
施工力・受注競争力:★★★★★
株価水準:★★★★★
収益力・株主還元:★★★★★

総合投資判断:強気

2026年9月4日の終値は2,370.5円

予想PER9.73倍、PBR1.59倍、予想配当利回り3.25%です。

年間配当も72円から77円へ増配予定です。

さらに年初来高値は3,618円。

現在株価は高値から約34%下にあります。

営業利益約29%増予想でPER10倍を下回り、高値から3割以上調整しています。

現在の株価からキャピタルゲインを狙うという基準では、かなり魅力的だと考え1位にします。

有望銘柄② 大林組(1802)

2位は大林組です。

直近決算だけなら今回最も強い企業です。

2027年3月期第1四半期は、

売上高 6,234億円 19.0%増
営業利益 327億円 107.0%増
純利益 390億円 116.3%増

となりました。

営業利益が前年の2倍以上です。

国内建築事業で採算性の良い案件が増えたことに加え、不動産事業の物件売却や海外事業も寄与しました。

これは現在のゼネコン業界で起こっている、

「低採算受注から利益重視への転換」

を非常によく表していると思います。

さらに大林組は海外事業を拡大しています。

2026年6月には豪州、英国、カナダなどで建設事業を展開するMultiplex社の子会社化を発表しており、国内建設市場だけに依存しない方向へ進んでいます。

投資判断軸

成長性:★★★★★
再開発・データセンター・設備投資恩恵:★★★★★
施工力・受注競争力:★★★★★
株価水準:★★★★★
収益力・株主還元:★★★★☆

総合投資判断:強気

2026年9月4日の終値は3,011円

予想PER13.18倍、PBR1.66倍です。

年初来高値は4,439円。

現在は高値から約32%下です。

第1四半期営業利益が107%増という数字を考えれば、PER13倍台はそれほど高くないと思います。

ただし一点注意があります。

会社の2027年3月期通期予想は、

売上高2兆9,450億円 13.9%増

に対し、

営業利益1,800億円 7.5%減

を見込んでいます。

したがって第1四半期の高成長がそのまま年間で続くわけではありません。

今後、会社予想の上方修正が出るかが株価上昇の重要な材料になります。

そのため清水建設を1位、大林組を2位としました。

有望銘柄③ きんでん(1944)

3位はきんでんです。

今回、スーパーゼネコン以外で必ず入れたい会社です。

きんでんは、

電気設備
情報通信設備
空調設備
給排水設備
電力設備
再生可能エネルギー設備

などを手掛ける総合設備工事会社です。

今後の建設需要では、

建物の箱を作ること

だけでなく、

その中へ大量の電気・通信・空調設備を入れること

の重要性が高まります。

特に、

データセンター
半導体工場
大型工場
再開発ビル

では設備工事の比重が大きくなります。

AI・データセンター時代には、こうした設備工事会社も非常に重要になります。

そして業績がかなり強いです。

2027年3月期第1四半期は、

完成工事高 1,623億円 14.8%増
営業利益 136億円 89.0%増
経常利益 154億円 76.6%増
純利益 98億円 127.6%増

となりました。

前期2026年3月期も営業利益は902億円で48%増でした。

2027年3月期は営業利益970億円を見込んでいます。

一時的な利益改善ではなく、収益水準そのものが一段上がっています。

投資判断軸

成長性:★★★★★
再開発・データセンター・設備投資恩恵:★★★★★
施工力・受注競争力:★★★★★
株価水準:★★★☆☆
収益力・株主還元:★★★★★

総合投資判断:強気

2026年9月4日の終値は7,047円

予想PER19.09倍、PBR2.68倍です。

大林組や清水建設より株価評価はかなり高くなっています。

それでも第1四半期営業利益89%増という成長力を考えれば、候補から外すほど割高とは考えていません。

会社規模もスーパーゼネコンより小さいため、データセンター・工場設備需要がさらに伸びれば利益へのインパクトも大きくなります。

私はきんでんを、

「普通の建設株」というより「電力・データセンター設備成長株」

として3位にします。

有望銘柄④ 大成建設(1801)

4位は大成建設です。

大成建設もスーパーゼネコンの一角です。

大型建築、土木、都市再開発などで高い施工力を持っています。

業績の回復もかなり鮮明です。

2024年3月期の営業利益は264億円でした。

それが、

2025年3月期 1,201億円
2026年3月期 1,879億円

まで急回復しました。

2027年3月期第1四半期も、

売上高 5,212億円 18.4%増
営業利益 453億円 15.3%増
経常利益 458億円 11.5%増

となっています。

利益率改善は続いています。

投資判断軸

成長性:★★★★☆
再開発・データセンター・設備投資恩恵:★★★★★
施工力・受注競争力:★★★★★
株価水準:★★★★☆
収益力・株主還元:★★★★★

総合投資判断:やや強気~強気

2026年9月4日の終値は12,690円

予想PER13.70倍、PBR2.22倍、予想配当利回り2.99%です。

年初来高値は20,680円なので、現在は高値から約39%下落しています。

かなり大きな調整です。

さらに2027年3月期年間配当は310円から380円への増配を予定しています。

一方、通期会社予想は、

売上高2兆4,200億円 15.8%増
営業利益1,880億円 ほぼ横ばい
純利益1,510億円 11.2%減

です。

つまり売上高はかなり伸びますが、利益成長は一服する計画です。

株価が高値から4割近く調整しているため妙味は出ていますが、営業利益の再加速を確認したいという意味で4位とします。

参考銘柄 鹿島建設(1812)

鹿島建設も当然、有力な建設株です。

2027年3月期第1四半期は、

売上高6,400億円 1.5%減
営業利益405億円 7.8%増
経常利益444億円 14.4%増
純利益309億円 16.6%増

でした。

売上高が減っているのに利益が増えている点は評価できます。

採算性の改善が続いているということです。

2026年9月4日の終値は4,938円

予想PER13.50倍、PBR1.66倍、予想配当利回り2.96%

年初来高値8,040円からは約39%下です。

ただし2027年3月期会社予想では営業利益2,000億円と、前期2,407億円から減益を見込んでいます。

企業としての競争力は高いのですが、現在の利益モメンタムでは清水建設、大林組、きんでん、大成建設を優先しました。

株価がさらに調整するか、通期予想が上方修正されれば上位候補になります。

建設業界の有望銘柄ランキング

1位 清水建設(1803)
利益率回復+通期営業利益28.9%増予想。PER9倍台、配当利回り3%台、高値から約34%調整。

2位 大林組(1802)
1Q営業利益107%増+海外展開。PER13倍台、高値から約32%下。今後は通期上方修正に期待。

3位 きんでん(1944)
電気設備+通信+空調。1Q営業利益89%増。AI・データセンター・工場設備需要の恩恵が大きい。

4位 大成建設(1801)
1Q営業利益15%増+380円配当。高値から約39%調整し、利益再加速なら再評価余地。

参考 鹿島建設(1812)
大手ゼネコンとして高い競争力。PER13倍台だが、通期減益予想のため今回は参考。

今回の建設株で私が一番注目するのは清水建設です。

大林組の1Q営業利益107%増や、きんでんの89%増の方が数字は派手です。

しかし株式投資では、

現在の利益成長

今後の利益予想

現在の株価

を合わせて考える必要があります。

清水建設は、

営業赤字だった2024年3月期

営業利益710億円

1,186億円

1,530億円予想

と、企業の収益構造そのものが変わっています。

その一方でPERは10倍を下回っています。

私はここに現在の建設株で最も大きな再評価余地を感じます。

一方、成長テーマではきんでんが面白いと思います。

AIサーバーを作る半導体企業だけではAIデータセンターは完成しません。

建物を作り、

大量の電力を供給し、

通信設備を入れ、

冷却する必要があります。

その意味では設備工事会社は、AI設備投資拡大の裏側で長期的に仕事が増える可能性があります。

まとめ

建設業界の将来性を5段階で評価するなら「4」です。

AIや半導体のような成長率を期待する業界ではありません。

一方、日本の2026年度建設投資は81兆円を超える見通しで、特に民間非住宅建設投資は前年度比6.6%増と比較的強い成長が見込まれています。

今後の需要源は、

都市再開発
データセンター
半導体工場
物流施設
ホテル
国土強靱化
老朽インフラ更新

です。

一方、人手不足と資材価格上昇は続きます。

だからこそ私は、今後の建設業界では、

「たくさん仕事を取った会社」

ではなく、

「利益率の高い仕事だけを選べる会社」

が勝つと考えています。

以前のゼネコン株では受注高が重要でした。

これからは、

完成工事総利益率
営業利益率
手持工事採算
価格転嫁力

を見ることがさらに重要になります。

現時点でキャピタルゲインを狙う本命は清水建設(1803)

1Qの利益成長と海外展開を評価するなら大林組(1802)

AI・データセンター設備需要を狙うならきんでん(1944)

高値から大きく調整した大型ゼネコンの回復を狙うならx大成建設(1801)です。

私は建設業を、単なる内需の成熟産業ではなく、「AI・半導体・電力・都市再開発・国土強靱化を実際の建物と設備に変える業界」として見ています。

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