東海カーボン(5301)が2026年8月5日に発表した2026年12月期中間決算を分析します。
売上高は1737億2800万円で前年同期比9.9%増、営業利益151億200万円で10.5%増、経常利益148億4500万円で9.3%増となりました。一方、親会社株主に帰属する中間純利益は72億3500万円で14.0%減です。
営業利益までしっかり増えており、会社は通期予想も上方修正しています。ただし主力カーボンブラックは減益で、スメルティング&ライニングの大幅増益にはライセンス料収入も含まれます。
私は今回を、全体として回復は進んでいるものの、主力事業の完全復調までは確認できない決算と評価します。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★★★☆ | 1737.28億円、9.9%増 |
| 営業利益 | ★★★★☆ | 151.02億円、10.5%増 |
| 利益率 | ★★★☆☆ | 営業利益率約8.7%、前年からほぼ横ばい |
| カーボンブラック | ★★★☆☆ | 10.5%増収だが11.1%減益 |
| ファインカーボン | ★★★★☆ | 19.1%増収、6.9%増益 |
| スメルティング&ライニング | ★★★★★ | 営業利益563.9%増。ただしライセンス収入あり |
| 黒鉛電極 | ★★★★☆ | 8.5%減収でも営業利益60.3%増 |
| 工業炉 | ★★★★★ | 28.7%増収、37.0%増益 |
| 通期予想 | ★★★★★ | 営業利益350億円へ上方修正 |
| 進捗率 | ★★★★☆ | 営業利益43.1% |
| 財務 | ★★★★☆ | 自己資本比率47.0% |
| CF | ★★★☆☆ | 中間CF計算書は今回未作成 |
| 株主還元 | ★★★★★ | 年30円→40円、自己株式1121万株取得 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★☆ | AI・半導体関連と構造改革効果に期待 |
売買判断
保有 ★★★★☆
追加買い ★★★☆☆
売却 ★☆☆☆☆
私は東海カーボンの保有を継続します。
営業利益10.5%増に加えて通期予想も上方修正されており、黒鉛電極の構造改革効果や、AI・データセンター関連需要がファインカーボンや工業炉へ波及している点は評価できます。
ただし主力カーボンブラックが11.1%減益のため、今すぐ強気で買い増すより、第3四半期で主力事業の利益回復を確認したいです。
本業は増益だが利益率はほぼ横ばい
売上高は1580億7600万円から1737億2800万円へ増え、営業利益は136億7000万円から151億200万円へ増加しました。
営業利益率は前年約8.6%、今期約8.7%です。
つまり今回の増益は大幅な利益率改善というより、売上規模の拡大と事業構成改善による増益と見るのが適切です。
純利益が14%減っているのは、本業悪化が主因ではありません。税引前利益は前年145億6000万円から156億8600万円へ増えていますが、法人税等が45億5800万円から62億2500万円へ増加し、非支配株主利益も増えたことで親会社帰属利益が減少しています。
そのため私は純利益減より営業利益・経常利益の増加を重視します。
カーボンブラック減益が最大の注意点
最大事業のカーボンブラックは売上834億8000万円で10.5%増でしたが、営業利益は72億3900万円で11.1%減りました。
タイ拠点の新工場稼働による減価償却費増加に加え、中東情勢による原料油高でマージンが悪化しています。
ここが今回の一番の弱点です。全社業績をさらに伸ばすには、カーボンブラックの利益率回復が必要です。
半導体・AI関連は好材料
ファインカーボンは売上19.1%増、営業利益6.9%増でした。
SiCパワー半導体市場はまだ低調ですが、メモリ半導体向けソリッドSiCフォーカスリングの販売数量が大幅に増えています。
工業炉も売上28.7%増、営業利益37.0%増です。AIデータセンター向けを中心とするMLCC需要や、送配電網整備に伴う抵抗器需要が伸びました。
私はキャピタルゲインという点では、AI・データセンター・メモリ半導体需要が今後どこまで利益を押し上げるかに注目しています。
黒鉛電極は構造改革効果が出ている
黒鉛電極は売上8.5%減ですが、営業利益は60.3%増となりました。
ドイツ子会社を連結から外したことで売上規模は縮小しましたが、前年に進めた構造改革によって採算が改善しています。
売上を追うのではなく、不採算事業を整理して利益を残す体質へ変えている点は評価できます。
一方、スメルティング&ライニングは営業利益563.9%増ですが、次世代カソードRuCのライセンス料収入も寄与しています。この増益率がそのまま継続するとは考えません。
通期予想を上方修正
最新の通期予想は、
売上高 3860億円
営業利益 350億円
経常利益 343億円
純利益 220億円
です。
中間期時点の進捗率は、
売上高 約45.0%
営業利益 約43.1%
経常利益 約43.3%
純利益 約32.9%
となります。
進捗だけを見ると非常に高いわけではありませんが、会社自身が今回通期予想を上方修正しています。
下期にカーボンブラックのマージン改善やファインカーボンの販売拡大が進めば、350億円達成への確度は高まると考えます。
財務と株主還元
総資産は6833億円、純資産3562億円、自己資本比率は47.0%です。現預金は864億円あります。
一方で自己株式を1121万株取得しており、自己株式は約70億円から220億円へ増加しました。
配当も前期年間30円から今期40円へ増配予定です。
さらに会社はDOE導入や累進配当、政策保有株式縮減など株主還元強化を進めています。
利益成長に加えて、一株当たり価値を高める経営へ変化していることは株価にはプラスです。
私ならどう売買するか
私は東海カーボンを保有継続します。
全社営業利益は増え、業績予想も上方修正されています。黒鉛電極の構造改革、メモリ半導体やAIデータセンター関連需要、増配と自己株式取得もプラス材料です。
ただしカーボンブラックの減益を考えると、私はまだ★★★★★評価にはしません。
追加買いは、第3四半期でカーボンブラックの利益が前年同期比で改善してくるかを確認してから考えます。
次の決算で見るポイント
最重要はカーボンブラックの営業利益です。原料油高とタイ新工場の減価償却負担を吸収できるかを見ます。
次にファインカーボンのメモリ半導体向け需要、工業炉のAIデータセンター関連需要、黒鉛電極の構造改革効果を確認します。
通期営業利益350億円への進捗が第3四半期で大きく高まるかも重要です。
売却を考える条件
私が売却を考えるのは、カーボンブラックの減益が長期化し、ファインカーボンなど他事業でも補えなくなった場合です。
また、上方修正した営業利益350億円が再び下方修正される場合や、現在の増配・自己株式取得など株主還元姿勢が後退する場合も評価を見直します。
今回の私の結論
今回の東海カーボンの中間決算は、回復方向を確認できる良い決算です。
営業利益10.5%増、経常利益9.3%増。通期予想も上方修正されました。
主力カーボンブラックは減益ですが、ファインカーボン、黒鉛電極、工業炉が増益となり、事業ポートフォリオ全体では改善しています。
さらに年間配当は30円から40円へ増配し、自己株式1121万株も取得しました。
そのため今回の総合評価は★★★★☆です。
私は保有を継続します。追加買いはカーボンブラックの利益回復を確認してからです。
キャピタルゲインという視点では、次に見るべきなのは単純な売上成長ではなく、AI・半導体関連の成長と構造改革効果によって、主力事業の弱さを上回る利益成長を実現できるかです。
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