JX金属(5016)が2026年8月6日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。
売上高は2606億400万円で前年同期比36.2%増、営業利益814億4600万円で175.5%増、税引前利益796億4400万円で179.9%増、親会社の所有者に帰属する四半期利益は530億7000万円で181.3%増となりました。
非常に強い決算です。AIサーバ需要を背景に半導体材料、情報通信材料が大幅増益となり、さらに円安・銅価格上昇も追い風となりました。
ただし営業利益には、SCM Minera Lumina Copper Chile株式の一部譲渡益なども含まれています。それでも売上総利益から販管費を差し引いた段階でも前年約161億円から約298億円へ大きく増えており、特殊利益だけで作った好決算ではありません。
今回の決算を5段階で評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 売上高 | ★★★★★ | 2606億円、36.2%増 |
| 営業利益 | ★★★★★ | 814億円、175.5%増 |
| 利益率 | ★★★★★ | 営業利益率15.5%→31.3% |
| 半導体材料 | ★★★★★ | 売上34.2%増、営業利益約69%増 |
| 情報通信材料 | ★★★★★ | 売上19.1%増、営業利益約71%増 |
| 基礎材料 | ★★★★☆ | 営業利益568億円。ただし株式譲渡益あり |
| AI関連需要 | ★★★★★ | 半導体・AIサーバ向け需要が成長を牽引 |
| 通期予想 | ★★★★★ | 営業利益1900億円→2320億円へ上方修正 |
| 進捗率 | ★★★★★ | 通期営業利益の約35.1%を1Qで達成 |
| 特殊要因 | ★★★☆☆ | 銅価・円安・株式譲渡益の押し上げあり |
| 財務 | ★★★★☆ | 自己資本比率低下もネットD/Eは0.34倍へ改善 |
| CF | ★★★☆☆ | 第1四半期CF計算書は未作成 |
| 株主還元 | ★★★★☆ | 年20円配当+約1949億円の自己株取得 |
| キャピタルゲイン期待 | ★★★★★ | AI・半導体成長+上方修正を高評価 |
売買判断
保有 ★★★★★
新規買い ★★★★☆
売却 ★☆☆☆☆
私はJX金属の保有を継続します。
今回の営業利益175%増には特殊要因もありますが、半導体材料と情報通信材料の利益成長が非常に強く、会社も早くも通期予想を大幅に上方修正しています。
追加買いも前向きです。ただし第1四半期には銅価格上昇、円安、株式譲渡益という追い風も重なっているため、決算後の急騰を追うより押し目で増やしたいです。
半導体材料と情報通信材料が本当に強い
半導体材料は売上高521億円で34.2%増、営業利益144億円となり、前年85億円から約69%増加しました。
AI関連投資の拡大によって先端ロジック半導体やメモリ需要が高水準で推移し、半導体用スパッタリングターゲットなどの販売が伸びています。
情報通信材料も売上高931億円で19.1%増、営業利益131億円。前年77億円から約71%増です。
圧延銅箔に加え、AIサーバ需要の急拡大によって高機能銅合金「チタン銅」が伸びています。
私は今回、AI需要が単なるテーマではなく、実際の売上と営業利益にかなり大きく表れてきたことを最も評価します。
営業利益175%増には特殊要因もある
基礎材料は売上高1237億円、営業利益568億円となりました。
銅価格上昇に加えて、SCM Minera Lumina Copper Chile株式の一部譲渡に伴う利益が含まれています。
損益計算書を見ると、持分法投資利益は前年136億円から329億円、その他収益も14億円から207億円へ増加しています。
したがって営業利益814億円すべてを通常の事業利益と見るべきではありません。
ただし、売上総利益から販管費を差し引いた金額は、
前年 約161億円
今期 約298億円
まで増えています。
この部分だけでも約85%増えているため、特殊要因を除いても本業の収益力はかなり改善していると判断します。
営業利益率31%はそのまま継続すると考えない
営業利益率は前年約15.5%から31.3%まで急上昇しました。
ただし株式譲渡益、銅価格、円安の影響が大きいため、今後も30%台が続くとは考えません。
重要なのは、半導体材料と情報通信材料の利益率改善が続くかです。
AIサーバ関連需要が継続し、この2事業がさらに伸びれば、特殊利益がなくなった後も以前より高い利益水準を維持できる可能性があります。
通期営業利益を2320億円へ大幅上方修正
会社は通期予想を、
売上高 9300億円 → 1兆250億円
営業利益 1900億円 → 2320億円
税引前利益 1780億円 → 2210億円
親会社帰属利益 1140億円 → 1410億円
へ引き上げました。
営業利益は420億円、22.1%の上方修正です。
第1四半期の進捗率は、
売上高 約25.4%
営業利益 約35.1%
税引前利益 約36.0%
純利益 約37.6%
となります。
上方修正後でも35%を超える利益進捗です。
私はここをキャピタルゲインという意味でかなり評価します。
財務は自己資本比率だけを見ると悪化して見える
総資産は1兆5053億円から1兆6701億円へ増加しましたが、自己資本比率は48.3%から38.5%へ低下しました。
ただし主な理由の一つは、6月末時点で約1949億円の自己株式公開買付けがまだ決済されておらず、その購入義務を負債として計上しているためです。
7月9日には5730万株、約1949億円の自己株取得が完了しています。
有利子負債は3243億円から4366億円へ増えましたが、現金も663億円から2190億円へ増加し、ネット有利子負債は2579億円から2176億円へ減少しました。
ネットD/Eレシオも0.34倍へ改善しています。
そのため私は、自己資本比率38.5%だけを見て財務悪化とは判断しません。
CFは次の決算で確認
第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていません。
そのため営業CFやフリーCFは今回評価できません。
特に今後は半導体材料への設備投資やAI需要対応の増産投資も考えられるため、中間決算では利益成長が営業CFにもつながっているかを確認したいです。
私ならどう売買するか
私はJX金属を保有継続します。
営業利益175%増だけなら特殊利益の影響を警戒しますが、半導体材料約69%増益、情報通信材料約71%増益という中身はかなり強いです。
さらに通期営業利益を1900億円から2320億円へ上方修正しています。
現在の保有分は維持し、株価が大きく調整する場面では追加買いを検討します。
次の決算で見るポイント
最重要は半導体材料と情報通信材料です。
AIサーバ向けスパッタリングターゲット、チタン銅、圧延銅箔などの販売が引き続き伸びるかを確認します。
次に株式譲渡益がなくなった状態で営業利益がどこまで残るか、通期営業利益2320億円への進捗、銅価格と為替も見ます。
売却を考える条件
私が売却を考えるのは、AI・半導体関連需要が失速し、半導体材料と情報通信材料が同時に減益へ転じた場合です。
また、特殊利益を除くと利益成長が止まる、通期2320億円が下方修正される、設備投資拡大に対してCFが大きく悪化する場合も評価を見直します。
今回の私の結論
今回のJX金属の第1四半期決算は、かなり強い好決算です。
売上高36.2%増、営業利益175.5%増、純利益181.3%増。さらに通期営業利益予想を1900億円から2320億円へ上方修正しました。
基礎材料には株式譲渡益という特殊要因がありますが、それを差し引いて考えても半導体材料と情報通信材料の利益成長は非常に強いです。
特にAIサーバ需要が実際の業績へ大きく反映され始めている点を評価します。
そのため今回の総合評価は★★★★★です。
私は保有を継続し、押し目では追加買いを検討します。
キャピタルゲインという視点で次に重要なのは、銅価格や一時的な株式譲渡益ではありません。
AIサーバ・先端半導体向け材料の増販によって、特殊要因がなくても高い利益成長を続けられるか。
ここが確認できれば、JX金属の利益水準そのものが一段上がったと判断したいです。
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