住友ベークライト(4203)2027年3月期第1四半期決算を分析|事業利益51.2%増、AI半導体需要が牽引、今後の業績と売買判断

住友ベークライト(4203)が2026年8月3日に発表した2027年3月期第1四半期決算を分析します。今回の決算は、売上収益952億1100万円で前年同期比22.6%増、事業利益136億2500万円で51.2%増、営業利益142億1800万円で65.4%増、税引前四半期利益154億1400万円で60.0%増、親会社の所有者に帰属する四半期利益109億3300万円で46.8%増となりました。

かなり強い第1四半期です。

特に評価したいのは、売上高が22.6%伸びたこと以上に、会社が本業の収益力を見る指標としている事業利益が51.2%増えたことです。事業利益率も前年同期の約11.6%から約14.3%まで上昇しています。

さらに半導体関連材料は売上40.0%増、事業利益66.3%増、高機能プラスチックは売上22.7%増、事業利益83.8%増となっています。AIデータセンター、パワーデバイス、メモリ、車載半導体、HEVなど、複数の成長分野が同時に寄与しています。

一方、営業利益65.4%増は事業利益51.2%増よりさらに大きく伸びています。今期は「その他の収益」が前年同期1300万円から10億6200万円へ増えているため、営業利益の伸び率については本業以上に強く見えている部分があります。資料ではその他収益の詳細な内訳までは示されていないため、この10億円強をすべて一時利益と決めつけることはできません。

したがって今回の決算は、

「営業利益65%増」よりも「事業利益51%増、事業利益率14%台、半導体関連材料66%増益」

という部分を中心に評価した方が、住友ベークライトの本当の強さを捉えやすいと考えます。

キャピタルゲインという視点でも、かなり評価できる決算です。

目次

今回の決算を5段階で評価

評価項目評価コメント
売上収益★★★★★952.11億円、前年同期比22.6%増
事業利益★★★★★136.25億円、51.2%増
営業利益★★★★★142.18億円、65.4%増
利益率★★★★★事業利益率約14.3%、前年約11.6%から大幅改善
半導体関連材料★★★★★売上40.0%増、事業利益66.3%増
高機能プラスチック★★★★★売上22.7%増、事業利益83.8%増
クオリティオブライフ★★★☆☆売上6.7%増、事業利益2.9%増
通期予想★★★★☆事業利益10.2%増、営業利益5.7%増予想を据え置き
進捗率★★★★★事業利益約35.9%、営業利益約37.9%
特殊要因★★★★☆本業増益は非常に強いが、その他収益増が営業利益を上乗せ
財務★★★★★自己資本比率71.4%、現金1302.9億円
CF★★★★☆営業CF53億円。前年同期比では減少
株主還元★★★★★年間110円から120円へ増配予想
成長性★★★★★AI・パワー半導体・メモリ・車載が複数同時に伸長
キャピタルゲイン期待★★★★★高利益率化と高進捗が強い。上方修正余地を意識できる内容

売買判断

保有 ★★★★★

新規買い ★★★★☆

売却 ★☆☆☆☆

今回の決算なら、私が保有している場合は売却しません。

むしろ今回の住友ベークライトは、これまでの安定的な化学・素材企業という見方より、半導体関連材料を軸とした利益成長企業として見るべき内容になっています。

事業利益は51.2%増、半導体関連材料は66.3%増益、高機能プラスチックも83.8%増益です。さらに通期事業利益380億円に対して第1四半期だけで136億2500万円まで進んでいます。

新規買いも★★★★☆です。

ただし第1四半期が非常に強かっただけに、決算後に株価が大きく上昇した場合は一括で追いかけず、私は押し目で分割します。

特に次の決算で半導体関連材料の高成長が続き、事業利益率14%台を維持できるなら追加買いを検討します。

売上収益22.6%増、事業利益51.2%増

第1四半期の売上収益は前年同期776億6800万円から952億1100万円へ増加しました。

増加額は約175億4300万円です。

一方、会社が重視する事業利益は90億900万円から136億2500万円へ増えました。

増加額は約46億1600万円です。

売上収益22.6%増に対し、事業利益は51.2%増です。

売上以上のペースで利益が伸びています。

住友ベークライトはIFRSを採用しており、「事業利益」を売上収益から売上原価と販管費を控除した利益として開示しています。

したがって私は、今回の本業を見る場合には営業利益よりまず事業利益を重視します。

事業利益率は11.6%から14.3%へ急改善

事業利益率を単純計算すると、

前年同期 約11.6%

今期 約14.3%

です。

約2.7ポイント上昇しています。

かなり大きな改善です。

会社は中東情勢に伴う原料価格高騰があった一方、販売数量増加、販売価格の適正化などによって収益性が改善したと説明しています。

つまり今回の利益増加は、単純に円安で売上金額が膨らんだだけではありません。

原料価格上昇という逆風を受けながら、価格転嫁と数量増加によって利益率そのものを引き上げています。

これは今回の決算で最も高く評価したいポイントの一つです。

売上総利益率も改善

売上総利益は前年同期245億1800万円から316億9300万円へ増加しました。

売上原価は531億5000万円から635億1800万円へ増えています。

売上総利益率を単純計算すると、

前年同期 約31.6%

今期 約33.3%

となります。

約1.7ポイント改善しています。

原料価格が上昇している環境で粗利益率を上げているため、価格改定や製品ミックス改善が機能している可能性が高いです。

販管費も前年155億900万円から180億6800万円へ増えていますが、売上総利益の伸びの方が大きいため、最終的に事業利益率が大きく改善しました。

営業利益65.4%増はさらに強い

営業利益は前年同期85億9600万円から142億1800万円へ増加しました。

65.4%増です。

営業利益率を単純計算すると、

前年同期 約11.1%

今期 約14.9%

です。

約3.9ポイント改善しています。

数字だけなら非常に強いです。

ただし、ここは事業利益との違いを理解しておく必要があります。

その他の収益10.62億円をどう見るか

事業利益は136億2500万円ですが、営業利益は142億1800万円です。

今期はその他の収益10億6200万円、その他の費用4億6900万円が計上されています。

前年同期はその他収益1300万円、その他費用4億2600万円でした。

つまりその他損益を差し引くと、

前年同期 約4億1300万円のマイナス

今期 約5億9300万円のプラス

となります。

前年差では約10億円改善しています。

これが営業利益65.4%増を事業利益51.2%増よりさらに押し上げた一因です。

ただし今回の短信では、その他の収益10億6200万円の具体的な内訳は記載されていません。

したがって、

「10億円が完全な一時利益」

と断定することはできません。

私は保守的に、

営業利益より事業利益136億円を本業評価の中心にする

という見方をします。

それでも51.2%増益ですので、十分すぎる好決算です。

税引前利益60%増も良好

税引前四半期利益は96億3400万円から154億1400万円へ60.0%増えました。

金融収益は12億200万円から13億4400万円へ増加し、金融費用は1億6400万円から1億4800万円へ減少しています。

金融収支はプラスです。

営業利益以下でも利益を削られておらず、むしろ金融収益が利益を押し上げています。

親会社帰属利益も74億4800万円から109億3300万円へ46.8%増加しました。

今回については、最終利益だけが特殊要因で大きく増えた決算ではありません。

本業の事業利益からすでに51%増益です。

ここが非常に強いです。

最大の成長エンジンは半導体関連材料

今回最も強かったのが半導体関連材料です。

売上収益は342億1000万円で前年同期比40.0%増。

事業利益は80億1400万円で66.3%増となりました。

事業利益率を単純計算すると約23.4%です。

前年同期は約19.7%でした。

つまり売上が40%増えただけでなく、利益率も約3.7ポイント改善しています。

非常に強いです。

住友ベークライトをキャピタルゲイン目的で見るなら、現在最も重要なのはこのセグメントだと考えます。

AIデータセンター需要が牽引

会社は半導体関連材料について、AIデータセンター関連需要が牽引し、特にパワーデバイス用途が伸びたと説明しています。

半導体封止用エポキシ樹脂成形材料では、パワーデバイスに加えてハイエンドスマートフォン、通信関連、車載半導体も好調です。

中国では半導体内製化政策を背景に需要が拡大しています。

さらに半導体用感光性材料ではメモリ需要が拡大し、半導体用ボンディングペーストでは電源管理ICを中心とするパワーデバイス用途が増加しています。

車載向け高信頼性ペーストも好調です。

つまり今回の半導体関連材料は、一つの製品だけが突出した決算ではありません。

AIデータセンター、パワーデバイス、メモリ、スマートフォン、通信、車載、中国半導体内製化

と複数の需要が同時に動いています。

ここは非常に強いです。

AI関連銘柄として見る価値が高まっている

住友ベークライトという会社名から、従来型の樹脂・化学素材メーカーという印象を持ちやすいですが、今回の決算を見ると半導体材料企業としての存在感がかなり大きくなっています。

半導体関連材料の売上342億円は、全社売上952億円の約36%です。

そして事業利益80億円は、セグメント利益合計149億9200万円の半分以上を占めています。

さらに利益率は23%台です。

つまり現在の住友ベークライトの利益成長を最も強く左右しているのは半導体です。

AIデータセンター需要が続く限り、住友ベークライトも間接的なAI関連恩恵銘柄として見ることができます。

ただし会社自身が「AI」というテーマだけで売上を構成しているわけではありません。

パワーデバイス、車載、メモリなど広い半導体需要に分散している点が強みです。

HEV向け需要も伸びている

半導体関連材料では、モビリティ分野のHEV向け磁石固定用途も増加しています。

現在の自動車市場ではBEV成長率の鈍化が話題になりやすい一方、HEV需要は比較的堅調です。

住友ベークライトは半導体だけでなく、自動車電動化の材料需要も取り込んでいます。

AI・半導体とモビリティという複数テーマを持っていることは、キャピタルゲイン目的ではプラス材料だと考えます。

高機能プラスチックは利益83.8%増

半導体以上に高い増益率となったのが高機能プラスチックです。

売上収益319億3100万円で前年同期比22.7%増。

事業利益31億9400万円で83.8%増となりました。

事業利益率は約10.0%です。

前年同期は約6.7%でした。

約3.3ポイント改善しています。

利益率改善幅という意味では非常に大きいです。

会社は販売数量増加に加え、原料価格上昇分を適切に価格転嫁したことで販売価格が好転したと説明しています。

さらに米ドル・ユーロに対する円安も売上を押し上げました。

値上げが利益につながっている

素材メーカーでは、原材料価格が上がったときに値上げが遅れると利益率が急低下します。

今回の住友ベークライトでは逆に、原料価格上昇分を価格へ転嫁し、利益率を改善しています。

これは価格決定力が一定程度あることを示しています。

高機能プラスチックでは工業用樹脂の半導体・建材・砥石用途が増え、タイヤ向けもASEAN地域で伸長しました。

成形材料ではアジア・中国向け電機部品の出荷が増え、北米自動車向け需要も回復基調です。

積層板では車載向け放熱絶縁シートが伸び、航空機部品でも欧米顧客需要と補修部品市場への拡販が寄与しています。

かなり幅広い需要が利益を支えています。

航空機需要も新しい成長材料

高機能プラスチックの中では、航空機部品も増収となりました。

欧米顧客からの需要増に加え、補修部品市場への拡販が寄与し始めています。

航空機市場は一度採用されれば長期供給につながりやすく、補修部品もストック的な需要になり得ます。

現時点では航空機部品単独の売上や利益は資料に開示されていませんので、どの程度全社利益へ寄与しているかは分かりません。

ただし半導体、自動車だけでなく航空機にも成長分野を持っていることは、事業ポートフォリオ上の強みです。

クオリティオブライフは増収増益だが利益率低下

クオリティオブライフ関連製品は売上収益288億7000万円で前年同期比6.7%増、事業利益37億9400万円で2.9%増となりました。

売上は伸びていますが、利益の伸びは小さいです。

事業利益率を単純計算すると約13.1%。

前年同期は約13.6%でした。

約0.5ポイント低下しています。

今回の3つの主要セグメントの中では最も弱いです。

ただし事業利益そのものは約38億円ありますので、非常に重要な安定収益源です。

不採算の透析用血液回路事業を終了

クオリティオブライフ関連では、医療機器・医薬品でアジア向け血液バッグ、血管内治療用ステアリングマイクロカテーテル、消化管ステントなどが伸びました。

一方、不採算だった国内透析用血液回路事業を終了した影響で減収となった製品もあります。

私は不採算事業の終了自体はネガティブとは見ません。

短期的には売上が減っても、低採算・赤字製品から撤退して高利益率分野へ経営資源を振り向ける方が、長期的な企業価値にはプラスです。

今後クオリティオブライフ事業の利益率が再び上昇するなら、この事業整理の効果を評価できます。

フィルム・シートは数量増加

フィルム・シートでは、医薬品包装、P-プラス・食品包装、産業用フィルムで顧客の増産や在庫積み増しに伴う需要を取り込み、販売数量が大きく増加しました。

ジェネリック医薬品向けシェア拡大、新しい包装市場の開拓も寄与しています。

産業機能性材料では建材・店装材の販売が大きく伸び、中空ポリカの事業譲受効果も寄与しています。

光学製品と絶縁製品は車載向けで拡大し、防水シートも屋上防水や住宅リフォーム向け需要が堅調です。

こちらは半導体ほど高成長ではありませんが、景気や用途の異なる複数製品を持つことで利益の安定性を高めています。

3事業すべて増収増益

今回のセグメント別事業利益は、

半導体関連材料 80億1400万円

高機能プラスチック 31億9400万円

クオリティオブライフ関連製品 37億9400万円

その他 1000万円の赤字

となっています。

主要3セグメントがすべて増収増益です。

特に半導体関連材料と高機能プラスチックは非常に強いです。

全社共通の基礎研究費用などを含む調整額は13億6600万円のマイナスで、前年同期12億2100万円のマイナスからやや増えています。

それでも事業利益全体が51.2%増えています。

一つの事業だけに頼った増益ではない点を高く評価します。

通期予想は据え置き

2027年3月期の通期予想は変更されていません。

売上収益3370億円で前期比5.4%増。

事業利益380億円で10.2%増。

営業利益375億円で5.7%増。

親会社の所有者に帰属する当期利益285億円で1.7%増を見込んでいます。

第1四半期は売上22.6%増、事業利益51.2%増、営業利益65.4%増です。

これに対して通期ではかなり低い増益率を想定しています。

会社は今回、5月11日に公表した業績予想を据え置いています。

この差を考えると、現時点の通期予想はかなり慎重に見えます。

ただし第1四半期には円安影響、販売価格適正化、その他収益増加などもありますので、単純に第1四半期を4倍して年間利益を予想するのは危険です。

事業利益の進捗率は約35.9%

通期予想に対する第1四半期進捗率を単純計算すると、

売上収益 約28.3%

事業利益 約35.9%

営業利益 約37.9%

親会社帰属利益 約38.4%

となります。

かなり高いです。

特に私は事業利益約35.9%を重視します。

営業利益約37.9%にはその他収益増加の影響も入っていますが、事業利益だけでも年間計画の3分の1を大きく超えています。

第1四半期として非常に良いスタートです。

残り3四半期に必要な営業利益は約233億円

通期営業利益予想は375億円です。

第1四半期ですでに142億1800万円を計上しました。

残り3四半期で必要な営業利益は約232億8200万円です。

単純平均すると1四半期当たり約77億6100万円です。

第1四半期142億1800万円の半分強の水準で年間計画を達成できます。

かなり余裕があります。

もちろん半導体需要、為替、原料価格、顧客在庫などによって利益は変動しますが、現在の進捗だけを見れば上方修正期待を持ちたくなる数字です。

上方修正の可能性を意識できる決算

会社は現時点で通期予想を据え置いています。

しかし第1四半期の事業利益進捗率35.9%を考えると、第2四半期でも高利益が続けば上方修正への期待はかなり高まります。

特に重要なのは半導体関連材料です。

第1四半期の80億1400万円という事業利益が一時的ではなく、第2四半期でも高水準を維持できれば、通期事業利益380億円の達成ハードルはかなり低くなります。

キャピタルゲイン目的では、

次の決算で会社計画を上回る勢いが続くか

が最大のポイントです。

財務は非常に強い

第1四半期末の総資産は5034億7900万円、資本合計3627億9600万円、親会社所有者帰属持分3594億6800万円です。

親会社所有者帰属持分比率は71.4%です。

前期末は71.7%でしたのでわずかに低下しましたが、依然として非常に高い水準です。

資本合計も3506億4600万円から3627億9600万円へ増加しています。

四半期利益の積み上げが配当による資本流出を上回っています。

財務安全性は★★★★★でよいと考えます。

現金1302億円に対して借入金302億円

現金及び現金同等物は前期末1247億5200万円から1302億9000万円へ増加しました。

一方、流動負債の借入金は230億8900万円、非流動負債の借入金は71億1900万円です。

合計すると約302億800万円です。

単純に現金から借入金を差し引けば、約1000億円のネットキャッシュです。

非常に強いです。

大型設備投資、研究開発、M&A、株主還元などを行う余力があります。

キャピタルゲイン目的でも、この強い財務は株価の下値を支える材料になります。

営業CFは利益増ほど伸びていない

営業活動によるキャッシュ・フローは53億円のプラスです。

前年同期は60億200万円でしたので、約7億円減少しています。

ここは今回少し注意したい点です。

税引前利益は96億3400万円から154億1400万円へ大幅に増えています。

しかし営業CFは減っています。

主な理由として、営業債権が81億500万円増加し、棚卸資産も29億4000万円増加したこと、法人所得税の支払いが53億6300万円あったことなどがあります。

つまり利益成長ほど現金回収が進んでいません。

売掛金と在庫の増加は今後確認したい

営業債権及びその他債権は前期末642億2500万円から730億2200万円へ増えています。

棚卸資産も685億5200万円から723億5600万円へ増加しました。

売上高が22.6%伸びていますので、事業拡大に伴う運転資金増加という面があります。

現時点で異常な数字とまでは考えません。

ただし次の決算でも売上債権や在庫が利益以上のペースで増え続ける場合は、キャッシュ転換効率を確認する必要があります。

特に半導体関連では顧客の在庫調整によって需要が急変することがあります。

売上高だけでなく在庫も見ておきたいところです。

投資CFは13.56億円のプラス

投資活動によるキャッシュ・フローは13億5600万円のプラスです。

前年同期は35億4500万円のマイナスでした。

一見すると非常に良く見えます。

しかし内容を見ると、投資有価証券売却による43億3000万円の収入、有形固定資産売却による18億1600万円の収入があります。

一方、有形固定資産取得には35億5400万円を支出しています。

したがって、

投資CFがプラスだから設備投資をしていない

という意味ではありません。

金融資産や固定資産の売却収入によってプラスになっています。

単純なフリーCFは66.56億円のプラス

営業CF53億円と投資CF13億5600万円を単純合計すると、フリーCFは約66億5600万円のプラスです。

ただし先ほど述べた投資有価証券売却や固定資産売却を含んでいます。

そのため私は、この66億円をそのまま継続的なフリーCF能力としては評価しません。

本業を見るなら営業CF53億円の方を重視します。

利益が大幅増益なのに営業CFが前年を下回った点は、次の決算で改善してほしいポイントです。

財務CFは30.25億円のマイナス

財務活動によるキャッシュ・フローは30億2500万円のマイナスです。

コマーシャルペーパー発行による30億円の収入がある一方、配当金52億6400万円の支払いなどがありました。

それでも最終的な現金及び現金同等物は前期末より55億3800万円増加しています。

換算差額19億700万円のプラスも寄与しています。

財務に関してはかなり余裕があります。

年間配当は110円から120円へ増配

2026年3月期の年間配当は110円でした。

2027年3月期は中間60円、期末60円の年間120円を予想しています。

10円増配です。

増配率は約9.1%です。

今期の通期純利益予想は前期比1.7%増ですが、配当は約9%増やす計画です。

強い財務と利益蓄積を背景に株主還元も拡大しています。

住友ベークライトは半導体成長株としての面だけでなく、増配を受け取りながら保有できる点も魅力です。

キャピタルゲイン狙いでも、増配は株価の下支え材料になります。

今回の決算で最も評価したいポイント

一つ目は事業利益51.2%増です。

営業利益よりも本業に近い事業利益がここまで伸びていることが重要です。

二つ目は事業利益率です。

約11.6%から14.3%まで大幅に上昇しました。

三つ目は半導体関連材料です。

売上40.0%増、事業利益66.3%増、事業利益率約23.4%です。

四つ目は高機能プラスチックです。

事業利益83.8%増、利益率も約6.7%から10.0%まで上昇しました。

五つ目は進捗率です。

第1四半期だけで事業利益35.9%、営業利益37.9%まで進んでいます。

六つ目は財務です。

自己資本比率71.4%、現金1302億円に対して借入金約302億円です。

七つ目は増配です。

年間110円から120円を予定しています。

一方で気になるポイント

一つ目は営業CFです。

利益は大幅増益ですが、営業CFは前年60億円から53億円へ減っています。

二つ目は売上債権と在庫です。

売上拡大に伴うものではありますが、ともに増加しています。

三つ目はその他収益です。

前年1300万円から10億6200万円まで増えており、営業利益65.4%増を押し上げています。

資料には内訳がないため、次の開示で確認したいです。

四つ目はクオリティオブライフ事業です。

増収増益ではありますが、事業利益率は若干低下しています。

五つ目は為替です。

会社は今回、円安が売上を押し上げたと説明しています。

円高へ反転すれば売上・利益面で逆風になる可能性があります。

ただし今回の利益成長は数量増と価格適正化も大きいため、「円安だけで作った決算」ではありません。

今回はかなり質の良い増益

特殊要因を除いて本業を評価すると、私は今回かなり高く評価します。

その他収益増加を除いて営業利益を見なくても、事業利益は136億2500万円で前年同期比51.2%増です。

事業利益率は14.3%です。

半導体関連材料の利益率は23%台、高機能プラスチックも10%まで改善しています。

つまり、

特殊要因を除いても利益成長は非常に強い

ということです。

これはこれまで分析した「最終利益だけ大きく伸びている決算」とは明確に違います。

住友ベークライトの場合、今回は本業そのものが非常に強いです。

キャピタルゲインという視点ではどう見るか

キャピタルゲイン目的では、今回の住友ベークライトはかなり面白いです。

従来の安定素材株という見方から、

AI・半導体需要を取り込む高利益率素材企業

という評価へ変わる可能性があります。

特に重要なのが半導体関連材料です。

売上40%増、事業利益66%増、利益率23%台という数字はかなり強いです。

さらに高機能プラスチックでも利益率が大幅に改善しています。

つまり会社全体の利益率上昇が、一つの製品だけによるものではありません。

今後株価評価がさらに上がるためには、

半導体成長の継続

事業利益率14%台の維持

通期予想の上方修正

の3つが重要だと考えます。

上方修正が出ればキャピタルゲイン材料は強い

第1四半期の事業利益進捗率は約35.9%です。

会社の通期事業利益予想は380億円で10.2%増です。

第1四半期だけで51.2%増益していることを考えると、現在の会社計画との差はかなり大きいです。

もちろん半導体需要の季節性や顧客在庫、原材料価格、為替などがあるため、上方修正を断定することはできません。

しかし第2四半期でも事業利益率14%前後を維持し、半導体関連材料が高成長を続ければ、

「上方修正するかどうか」ではなく「どの程度上げるか」

が市場の関心になる可能性があります。

キャピタルゲインを狙ううえでは、ここが非常に重要です。

私ならどう売買するか

私がすでに住友ベークライトを保有しているなら、今回の決算では売却しません。

むしろ基本は保有継続です。

理由は単純です。

売上22.6%増。

事業利益51.2%増。

事業利益率14.3%。

半導体関連材料66.3%増益。

高機能プラスチック83.8%増益。

事業利益進捗率35.9%。

この数字であれば、少なくとも次の決算を見る価値があります。

新規買いについても前向きです。

ただし、決算後に株価が大幅高しているなら私は追いかけません。

最初に一部を買い、押し目で追加します。

そして第2四半期でも半導体関連材料の高成長、事業利益率14%台、通期高進捗が続いていればさらに追加します。

上方修正が出る前に買いたい銘柄ではありますが、第1四半期だけで★★★★★の全力買いとするより、分割して入りたいです。

次の決算で見るポイント

最優先は半導体関連材料です。

今回売上40.0%増、事業利益66.3%増でした。

AIデータセンター、パワーデバイス、メモリ、車載半導体の需要が継続しているかを確認します。

二つ目は事業利益率です。

今回14.3%です。

この水準を維持できれば収益構造そのものが一段上がったと判断できます。

三つ目は半導体関連材料の事業利益率です。

今回約23.4%です。

20%台を維持できるかは非常に重要です。

四つ目は高機能プラスチックです。

今回利益83.8%増でした。

価格転嫁効果と数量増加が続くかを見ます。

五つ目はクオリティオブライフです。

今回利益率が少し低下したため、不採算事業整理後に再び利益率が上昇するかを確認します。

六つ目はその他収益です。

今期10億6200万円ありますので、次回その性格や継続性が見えてくるかを確認します。

七つ目は営業CFです。

利益増加に対してCFが弱かったため、売掛金・在庫の正常化によって営業CFが改善するかを見ます。

八つ目は通期予想です。

現在は事業利益380億円、営業利益375億円を据え置いています。

第2四半期でも現在の利益水準が続けば、上方修正の有無が最大の注目点になります。

売却を考える条件

私が売却を考える一つ目の条件は、半導体関連材料が急減速した場合です。

今回の利益成長の最大の牽引役ですので、売上・事業利益が前年割れするようなら投資ストーリーを見直します。

二つ目は事業利益率です。

今回14.3%まで改善しています。

これが再び11~12%台へ大きく低下し、価格転嫁や製品ミックス改善が失速する場合は注意します。

三つ目は営業CFです。

利益が増えているのに売掛金や在庫だけ増え、営業CFが継続的に悪化する場合は利益の質を見直します。

四つ目は高機能プラスチックです。

今回83.8%増益という非常に強い数字ですので、次回大幅反動減となる可能性は意識しておきます。

五つ目は会社予想です。

現在の高進捗にもかかわらず第2四半期以降に利益が急減し、通期380億円の事業利益達成に不安が出る場合は評価を下げます。

逆に半導体高成長、利益率14%台、高進捗が続くなら、私は簡単には売却しません。

今回の私の結論

今回の住友ベークライトの2027年3月期第1四半期決算は、かなり強い好決算です。

売上収益952億1100万円で22.6%増。

事業利益136億2500万円で51.2%増。

営業利益142億1800万円で65.4%増。

親会社帰属利益109億3300万円で46.8%増でした。

特に評価したいのは事業利益です。

営業利益65%増にはその他収益10億6200万円の増加という要因もあります。

しかしそれを除いて本業を見る事業利益だけでも51.2%増えています。

事業利益率も約11.6%から14.3%へ大幅に上昇しました。

つまり、

今回の利益成長は特殊要因だけで作ったものではありません。

本業そのものがかなり強いです。

セグメント別では半導体関連材料が売上40.0%増、事業利益66.3%増。

高機能プラスチックは売上22.7%増、事業利益83.8%増。

クオリティオブライフも売上6.7%増、事業利益2.9%増です。

主要3事業すべてが増収増益です。

さらに通期事業利益380億円に対する進捗率は約35.9%。

営業利益375億円に対しては約37.9%です。

会社は通期予想を据え置いていますが、第1四半期としてかなり高い進捗です。

財務も非常に強く、自己資本比率71.4%、現金及び現金同等物1302億9000万円に対して借入金は約302億円です。

年間配当も110円から120円への増配を予定しています。

唯一少し気になるのは営業CFです。

税引前利益が60%増えた一方で営業CFは前年60億円から53億円へ減っています。

売上債権や棚卸資産が増えたことが主因ですので、次の決算ではキャッシュ転換を確認したいです。

それでも今回の決算全体を見れば、

「売上成長、利益率改善、半導体成長、高進捗、増配、強い財務」がそろった決算

と評価できます。

私なら、

保有は継続。

新規買いも前向き。

ただし決算後の急騰を一括で追わず、押し目を分割買い。

第2四半期でも半導体関連材料の高成長と事業利益率14%台が続けば追加買い。

という判断です。

今回の総合評価は**★★★★★**です。

今回まで分析してきた決算の中でも、本業の利益成長という意味ではかなり上位に入る内容だと思います。

キャピタルゲインを考えるうえで次に見るべき数字は、売上高3370億円を達成できるかだけではありません。

事業利益380億円という会社計画をどの程度上回れるのか。

そして、

AIデータセンター・パワーデバイス需要を背景に、半導体関連材料の利益率23%台を維持できるのか。

ここが次の焦点です。

この2点が第2四半期でも確認できれば、住友ベークライトは従来の「安定素材株」という評価以上に、

高収益の半導体材料成長株

として市場評価が一段上がる可能性があると考えます。

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