クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)2027年2月期第1四半期決算を分析|営業利益10.8%増、M&A加速で今後の業績と売買判断

クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)が2026年7月14日に発表した2027年2月期第1四半期決算を分析します。今回の売上収益は432億7700万円で前年同期比3.5%増、営業利益は33億7800万円で10.8%増、税引前利益は32億2100万円で7.7%増、親会社の所有者に帰属する四半期利益は22億1700万円で6.2%増となりました。

売上高の伸びは3.5%とそれほど大きくありませんが、営業利益は10.8%増えており、営業利益率も前年同期の約7.3%から約7.8%へ改善しています。既存店売上高も前年同期比102.8%とプラスを維持しており、業績そのものは堅調です。

ただし今回の決算は、営業利益10.8%増という数字だけで「非常に強い増益」と判断するのは少し早いと考えます。

会社が本業の比較指標として重視する調整後EBITDAは75億5100万円で前年同期比1.8%増にとどまり、調整後EBITDAマージンも17.8%から17.5%へ0.3ポイント低下しています。

つまり、会計上の営業利益は二桁増益ですが、基礎的な収益力の伸びはそれほど大きくありません。

一方で、通期営業利益予想90億円に対して第1四半期だけで33億7800万円を稼いでおり、単純進捗率は約37.5%です。さらに7月にはSFPホールディングスとの合併、米国での新規M&Aが完了し、9月には「らぁめん小池」などを展開するイノセンスもグループ入り予定です。

したがってキャピタルゲインを意識するなら、今回の決算は、

「既存店は堅調、利益進捗は非常に高い。さらにM&Aによる下期成長余地もあるが、調整後EBITDAを見ると本業の伸びは営業利益ほど強くない」

という評価になります。

目次

今回の決算を5段階で評価

評価項目評価コメント
売上収益★★★★☆432.77億円、前年同期比3.5%増
営業利益★★★★★33.78億円、10.8%増
営業利益率★★★★☆約7.8%へ改善、前年約7.3%
調整後EBITDA★★★☆☆75.51億円、1.8%増にとどまる
調整後EBITDAマージン★★★☆☆17.8%から17.5%へ0.3ポイント低下
既存店★★★★☆既存店売上高前年比102.8%
CRカテゴリー★★★★★大幅増益と会社が説明、今回の利益牽引役
専門ブランド★★★★☆ベーカリー・ヌードルが好調
居酒屋★★☆☆☆磯丸水産を中心に既存店前年割れで減益
海外★★★★☆堅調推移。さらに米国M&Aを追加
通期予想★★★★☆営業利益90億円、13.3%増を据え置き
進捗率★★★★★営業利益37.5%、税引前利益40.3%
M&A★★★★★RON、Hazelwood、イノセンスと積極展開
財務★★★★☆自己資本比率31.4%、調整後自己資本比率45.6%
CF★★★★★営業CF69.81億円、前年同期比41.5%増
株主還元★★★★☆株式分割考慮後で年間4.5円から5.0円へ増配予定
キャピタルゲイン期待★★★★☆高進捗+M&A寄与が魅力。ただし基礎利益の伸びを確認したい

売買判断

保有 ★★★★★

新規買い ★★★★☆

売却 ★☆☆☆☆

今回の決算なら、すでに保有している場合は私は売却しません。

売上収益は3.5%増と地味ですが、営業利益は10.8%増、営業利益率も改善し、営業CFは41.5%増えています。

さらに通期営業利益90億円に対する進捗率は約37.5%です。

第1四半期だけで年間計画の3分の1を大きく超えており、かなり良いスタートです。

新規買いも★★★★☆とします。

ただし★★★★★にはしません。

営業利益10.8%増に対して調整後EBITDAは1.8%増しかなく、調整後EBITDAマージンも低下しているからです。

また、既存店売上高102.8%は十分良い数字ですが、急成長という水準でもありません。

したがって私なら、営業利益進捗率の高さと今後のM&A効果を評価して買い方向で見ますが、決算後の急騰を一括で追うより押し目で分割して買います。

売上収益3.5%増に対して営業利益10.8%増

第1四半期の売上収益は前年同期418億1400万円から432億7700万円へ増加しました。

増加額は14億6300万円です。

営業利益は30億4800万円から33億7800万円へ増え、増加額は3億2900万円となりました。

税引前利益は29億9200万円から32億2100万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は20億8800万円から22億1700万円へ増加しています。

売上高の伸び以上に営業利益が伸びていますので、表面的にはかなり質の良い増収増益です。

営業利益率を単純計算すると、

前年同期 約7.3%

今期 約7.8%

となり、約0.5ポイント改善しています。

外食企業は原材料費、人件費、光熱費などの上昇を受けやすい中、増収だけでなく営業利益率まで改善したことは評価できます。

ただし売上総利益率はほぼ横ばい

もう少し中身を見ます。

売上総利益は前年同期295億5300万円から305億6200万円へ増えました。

一方、売上原価は122億6000万円から127億1500万円へ増えています。

売上総利益率を単純計算すると、

前年同期 約70.7%

今期 約70.6%

です。

ほぼ横ばいです。

つまり今回の営業利益率改善は、「食材原価率が大きく改善した」ことが主因ではありません。

外食業界では原材料価格が高止まりしていますので、粗利益率を維持できていること自体は悪くありませんが、大幅改善ではありません。

販管費は売上以上に増えている

販売費及び一般管理費は前年同期261億9500万円から273億1900万円へ増加しました。

増加額は11億2400万円です。

売上収益の増加額14億6300万円に対し、販管費もかなり増えています。

販管費率を単純計算すると、

前年同期 約62.6%

今期 約63.1%

となり、むしろ約0.5ポイント上昇しています。

人件費など外食産業全体のコスト上昇が続く中、ここは注意が必要です。

したがって今回の営業利益率改善を「店舗運営コストが劇的に効率化した結果」と見るべきではありません。

営業利益10.8%増の中身には注意が必要

今回の決算で私が特に注目したのが「その他の営業収益」と「その他の営業費用」です。

その他の営業収益は前年同期1億8200万円から5億200万円へ増加しました。

一方、その他の営業費用は4億9000万円から3億6700万円へ減少しています。

両者を差し引くと、

前年同期 約3億800万円のマイナス

今期 約1億3500万円のプラス

です。

前年差では約4億4300万円改善しています。

一方、営業利益の前年差は約3億2900万円です。

つまり今回の営業利益増加には、その他営業収支の改善がかなり寄与しています。

もちろん資料だけでは、その他営業収益のすべてを一時的な利益と断定することはできません。

しかし少なくとも、

営業利益10.8%増=基礎的な店舗収益力も10.8%伸びた

と単純に評価するのは適切ではないと考えます。

調整後EBITDAが1.8%増にとどまる意味

この見方を裏付けるのが調整後EBITDAです。

調整後EBITDAは前年同期74億2000万円から75億5100万円へ増えましたが、増加率は1.8%です。

調整後EBITDAマージンは17.8%から17.5%へ低下しました。

会社は調整後EBITDAについて、営業利益にその他営業費用、減価償却費、非経常的費用などを加減して算出しています。

つまり、一時的・会計的な変動をある程度除いて本業の実態を比較するための指標です。

その指標が1.8%増にとどまっていることを考えると、今回の基礎収益力は、

悪くはないが、営業利益10.8%増ほど強くもない

と評価するのが妥当です。

私は今回ここをかなり重視します。

既存店売上高は102.8%

既存店売上高は前年同期比102.8%でした。

会社は既存店が概ね堅調だったと説明しています。

外食企業の場合、M&Aや新規出店で売上を増やすことはできます。

しかし既存店売上が落ちている状態で出店だけ増やしても、事業の質は高くありません。

その意味で既存店が2.8%プラスを維持していることは良いです。

一方、前年同期の売上収益自体も9.2%増でしたので、現在は会社全体の売上成長率が3.5%まで落ち着いています。

今後キャピタルゲインを狙うなら、私は既存店売上が再び105%前後まで加速するのかにも注目したいです。

消費環境は決して楽ではない

会社は外食市場について、価格改定によって客単価が上昇する一方、消費者の「メリハリ消費」が定着し、客数の伸び悩みが続いていると説明しています。

特にアルコール主体の業態は客数回復が遅れており、原材料費や人件費も構造的に高い状態です。

つまり今回の増益は、外食市場全体が非常に良いから自然に増えたわけではありません。

その中で業態転換、価格適正化、店舗改装、ブランド構成の変更などを行い、利益を確保しています。

クリエイト・レストランツの強みは、単一ブランドに依存せず、消費動向に合わせて業態を入れ替えられることにあります。

今回最も強かったのはCRカテゴリー

会社は営業利益について、居酒屋カテゴリーが減益となった一方で、CRカテゴリーが大幅増益となり、専門ブランドカテゴリーと海外カテゴリーも堅調だったと説明しています。

CRカテゴリーの売上収益は152億2100万円で、総店舗数は516店舗です。

商業施設を中心としたレストラン、フードコート、ゴルフ場レストランなどで構成されています。

今回の全社営業利益を押し上げた最大のカテゴリーです。

ただし資料ではカテゴリー別の営業利益金額は開示されていません。

そのため「CRカテゴリーが何億円増益した」といった数字を勝手に作ることはできません。

次回も会社説明で「大幅増益」が続くかを確認したいです。

専門ブランドカテゴリーは132億円規模

専門ブランドカテゴリーの売上収益は132億8400万円、総店舗数は347店舗です。

サンジェルマン、レフボン、ヌードルズなどが含まれ、今回M&Aによって「グリルRON」など10店舗も加わっています。

会社は特に「日常」「定番」業態であるベーカリーとヌードルが好調を維持したとしています。

ここは今後のクリレスを見るうえでかなり重要だと思います。

外食需要が節約志向へ向かう場合、高価格帯や飲酒需要より、

日常的に使われるベーカリー・麺・洋食

の方が景気変動への耐性を持ちやすい可能性があります。

今回のM&A戦略も明確にこの方向へ向かっています。

居酒屋カテゴリーは今回の弱点

居酒屋カテゴリーの売上収益は79億6200万円、総店舗数は209店舗です。

今回、会社は「磯丸水産」を中心に既存店が前年割れとなり、居酒屋カテゴリーは減益だったと説明しています。

今回の決算で最も気になる事業部分です。

会社自身も外食市場について、アルコール主体業態の客数回復が遅れていると指摘しています。

磯丸水産はクリレスグループの主要ブランドの一つです。

ここがさらに悪化するとCRカテゴリーなどの増益を相殺する可能性があります。

逆に磯丸水産の既存店が再びプラスへ戻れば、現在の他カテゴリーの好調と合わせて利益成長をもう一段強められます。

次の決算では非常に重要です。

SFPホールディングスとの合併も重要

クリエイト・レストランツは2026年7月1日にSFPホールディングスを吸収合併しました。

目的は、経営資源の最適配分による成長加速、重複機能やインフラ集約による効率化、意思決定の迅速化などです。

この合併によってSFPホールディングスは消滅し、クリレスに直接統合されました。

会計上も重要な変化があります。

会社は、非支配持分が減少し、親会社の所有者に帰属する持分比率が上昇するほか、今後は連結損益計算書でSFP部分の利益を非支配株主へ配分する必要がなくなる見込みとしています。ただし具体的な影響額は現時点で確定していません。

つまりSFP事業の利益が同水準で続けば、将来的には「親会社株主に帰属する利益」という面でプラス方向に働く可能性があります。

キャピタルゲインという点でも注目しておきたいです。

海外カテゴリーは68.68億円

海外カテゴリーの第1四半期売上収益は68億6800万円、総店舗数は55店舗です。

シンガポール、香港、米国のイルフォルナイオ、ワイルドフラワーなどが含まれます。

会社は海外カテゴリーについて堅調と説明しています。

そして今後、ここへ新しいM&A案件が加わります。

中期経営計画でも海外事業拡大を成長の3本柱の一つに置いているため、今後のクリレスは国内外食だけで評価する会社ではなくなってきています。

米国でHazelwoodを6店舗取得

2026年7月1日には、米国ミネソタ州ミネアポリス近郊で「Hazelwood Food + Drink」を中心に展開するレストラン事業6店舗の取得を完了しました。

会社は、これを「日常」「定番」「地域密着」というM&A方針に合致する案件と位置付けています。

取得価額は概算2340万米ドルです。

アドバイザリー費用は概算40万米ドルで、取得時点の資産・負債やのれんの金額はまだ確定していません。

第1四半期にはまだこの6店舗の業績は入っていません。

つまり第2四半期以降、海外売上には新しい連結効果が加わります。

今後は売上だけでなく、Hazelwoodがどの程度の利益率で連結されるのかを確認したいです。

9月には「らぁめん小池」のイノセンスも加入予定

さらに2026年7月14日、会社は「らぁめん小池」など東京都内でラーメン専門店10店舗を展開するイノセンスの全株式取得を決定しました。

9月にグループ入りする予定です。

ラーメンは会社が強化している「日常」「定番」のヌードルカテゴリーと相性があります。

すでにヌードル業態が好調な中で、新たな強力ブランドを加える形になります。

ただし今回の決算短信では、取得価額やイノセンスの売上・利益規模は示されていません。

したがって、具体的に何億円の業績上乗せになるかを推測することはしません。

ただ、2027年2月期後半の業績にプラス材料となる可能性はあります。

M&Aは今後の業績を押し上げるが、同時に確認も必要

現在のクリレスは非常に積極的にM&Aを進めています。

RONが第1四半期から加わり、7月にはHazelwood、9月にはイノセンスが加わる予定です。

M&Aによって売上高を伸ばすこと自体は難しくありません。

重要なのは、

買収後に既存グループの調達、店舗開発、人材、システムなどを活用し、買収前より利益率を高められるか

です。

今回、調整後EBITDAの伸びが1.8%にとどまっているため、私は次回以降「M&Aによる売上拡大」以上に「M&A後の利益率」を重視します。

調整後EBITDAマージン17.5%は少し低下

調整後EBITDAマージンは前年同期17.8%から17.5%へ低下しました。

0.3ポイントですので大幅悪化ではありません。

しかし、売上が増えている局面では本来、固定費吸収によって利益率が改善してほしいところです。

原材料費、人件費、出店費用などの上昇を考えれば一定程度仕方ありませんが、キャピタルゲイン目的ではここが再び18%台へ向かうかを確認したいです。

営業利益率だけを見ると改善していますが、調整後EBITDAマージンは逆に低下しています。

私は両方を見るべきだと考えます。

税引前利益の伸びが営業利益より小さい理由

営業利益は10.8%増ですが、税引前利益は7.7%増です。

金融収益は前年同期2億3700万円から6700万円へ減少しました。

一方、金融費用も2億9300万円から2億2400万円へ減っています。

金融収支を差し引くと、

前年同期 約5600万円のマイナス

今期 約1億5700万円のマイナス

となります。

約1億円悪化しています。

これによって営業利益10.8%増に対し、税引前利益の伸びが7.7%に抑えられています。

ただし金融費用自体は前年より減っていますので、財務コストが急激に悪化した決算ではありません。

通期予想は据え置き

2027年2月期の通期会社予想は変更されていません。

売上収益1710億円で前期比3.4%増。

営業利益90億円で13.3%増。

税引前利益80億円で1.8%増。

当期利益60億円で15.0%増。

親会社の所有者に帰属する当期利益57億円で21.9%増を予想しています。

調整後EBITDAは271億円で3.2%増予想です。

会社は第1四半期が概ね堅調で、今後新規M&Aの連結貢献も見込んでいます。

それでも国際情勢、物価高、消費行動などの不透明感を考慮して、現時点では予想を据え置いています。

営業利益進捗率37.5%はかなり高い

通期予想に対する第1四半期の単純進捗率を計算すると、

売上収益 約25.3%

営業利益 約37.5%

税引前利益 約40.3%

親会社所有者帰属利益 約38.9%

調整後EBITDA 約27.9%

となります。

特に営業利益37.5%、税引前利益40.3%はかなり高いです。

第1四半期終了時点で年間営業利益計画の3分の1を大きく超えています。

これは今回、キャピタルゲインを考えるうえで最も強い数字の一つです。

ただし、調整後EBITDA進捗率は約27.9%です。

営業利益ほど極端に高くありません。

ここからも、

会計上の営業利益進捗は非常に強いが、基礎収益力はそこまで大幅に計画を上回っているわけではない

ことが分かります。

残り3四半期で必要な営業利益は56.22億円

通期営業利益予想は90億円です。

第1四半期ですでに33億7800万円を計上しました。

したがって残り3四半期で必要なのは56億2200万円です。

単純平均すると1四半期当たり約18億7400万円です。

第1四半期の33億7800万円と比較するとかなり低い水準です。

もちろん外食企業には季節性がありますし、今後M&A関連費用や人件費、出店費用なども発生しますので、単純に「大幅上方修正確実」と判断するべきではありません。

それでも会社計画達成に対してかなり余裕のあるスタートなのは間違いありません。

通期営業利益13.3%増は達成余地がある

通期営業利益90億円は前期比13.3%増予想です。

第1四半期は10.8%増でしたので、前年同期比だけを見ると通期目標より少し低い伸びです。

しかし進捗率は37.5%です。

さらにHazelwoodやイノセンスなどのM&A効果がこれから加わります。

したがって私は現時点では、

会社計画達成の可能性はかなり高い方向

と評価します。

ただし、上方修正まで期待するなら第2四半期で調整後EBITDAももう少し伸びてほしいです。

営業利益だけ高進捗でも、調整後EBITDAが伸びなければ評価を上げにくいからです。

財務は自己資本比率31.4%

第1四半期末の総資産は1446億2900万円。

資本合計は495億8200万円。

親会社所有者帰属持分は454億5100万円です。

親会社所有者帰属持分比率は31.4%で、前期末31.3%からほぼ横ばいです。

一見すると自己資本比率31%はそれほど高くありません。

しかしクリレスはIFRS第16号により店舗賃貸借などのリース負債を大量に貸借対照表へ計上しています。

その影響を除いた会社独自の「調整後自己資本比率」は45.6%です。

前年同期43.1%から2.5ポイント改善しています。

したがって私は財務を極端に弱いとは見ません。

借入金は約225億円

流動負債の借入金は61億5600万円。

非流動負債の借入金は163億9300万円です。

合計すると約225億4900万円です。

前期末は約210億4500万円でしたので、約15億円増えています。

会社も借入金が15億400万円増加したと説明しています。

一方、現金及び現金同等物は190億100万円あります。

したがって借入金だけを見れば、現金との差はそれほど大きくありません。

ただしリース負債もありますので、実際の財務負担を見る場合には借入金だけでなく店舗賃借契約に伴うリース負債も確認する必要があります。

リース負債は約439億円

流動リース負債は108億800万円。

非流動リース負債は330億8000万円です。

合計すると約438億8800万円です。

飲食店を多数展開する企業ですので、IFRSでは店舗の賃貸借契約が大きなリース負債として計上されます。

そのため、一般企業のように「有利子負債が多いから危険」と単純には判断しません。

重要なのは、店舗から安定した営業CFを生めているかです。

その意味では今回のCFはかなり良いです。

現預金は175億円から190億円へ増加

現金及び現金同等物は前期末174億9700万円から190億100万円へ増加しました。

約15億円増です。

M&Aや設備投資を継続しているにもかかわらず、手元資金が増えていることは評価できます。

第1四半期の営業CFがかなり強かったことが背景にあります。

営業CFは41.5%増

営業活動によるキャッシュ・フローは69億8100万円のプラスです。

前年同期49億3400万円から41.5%増加しました。

今回の決算で私はこの数字をかなり高く評価します。

営業利益33億7800万円に対して営業CFは約70億円です。

減価償却費41億7900万円が大きいため単純比較はできませんが、事業から十分なキャッシュを確保しています。

M&A型企業では会計上の利益だけでなく、

買収や出店に使う資金を本業からどれだけ作れるか

が重要です。

現在のクリレスはそこが強いです。

フリーCFは約52.6億円のプラス

投資活動によるキャッシュ・フローは17億2100万円のマイナスです。

主な支出は有形固定資産取得13億3400万円で、子会社取得による支出は1億6000万円でした。

営業CF69億8100万円から投資CF17億2100万円を単純に差し引くと、フリーCFは約52億6000万円のプラスです。

非常に良いです。

もちろん第1四半期後にHazelwoodなどのM&A資金支出がありますので、この52億円がそのまま年間で続くとは限りません。

それでも本業からM&A・出店資金を生み出せる体力があることはプラスです。

財務CFは37.89億円のマイナス

財務活動によるCFは37億8900万円のマイナスでした。

長期借入による収入32億円があった一方、長期借入金返済18億500万円、リース負債返済41億1600万円、配当金支払い9億3700万円などがありました。

営業CFが強いため、借入返済や配当を行っても現金残高は増えています。

このCF構造は良いです。

キャピタルゲインを考える場合でも、M&Aを借金と増資だけに頼っている会社より、本業CFを使って成長できる会社の方が評価しやすいです。

のれんは262億円

のれんは前期末257億5500万円から262億1100万円へ増加しました。

M&Aを積極的に行ってきた会社ですので、金額はかなり大きいです。

今後Hazelwoodやイノセンスを取得すれば、さらにのれんが増える可能性があります。

ただし今回の資料ではHazelwoodの取得資産・負債の公正価値やのれん額はまだ確定しておらず、イノセンスの取得価額も示されていません。

したがって将来ののれん額を推測することはしません。

M&A型企業として今後確認すべきなのは、

のれんが増えるスピード以上に営業利益・CFが増えているか

です。

年間配当は実質4.5円から5円へ増配

2027年2月期は中間2.50円、期末2.50円、年間5.00円の配当を予定しています。

前期は株式分割前の中間配当4.50円、分割後の期末配当2.25円でした。

1株を2株へ分割した影響を調整すると、前期年間配当は1株当たり4.50円相当です。

したがって今期は実質的に4.50円から5.00円への増配です。

キャピタルゲインを狙う銘柄として見ても、利益成長とともに増配を続けていることはプラス材料です。

今回の資料だけから具体的な配当利回りは計算しません。

今回の決算で最も評価したいポイント

今回最も評価したいのは、営業利益進捗率約37.5%です。

売上進捗は約25%ですが、利益は年間計画の約38%まで進んでいます。

二つ目は営業CFです。

前年同期比41.5%増の69億8100万円を確保しています。

三つ目はCRカテゴリーです。

居酒屋が弱い中でも大幅増益となり、全社利益を押し上げています。

四つ目はM&Aです。

RONに加え、7月のHazelwood、9月予定のイノセンスと、「日常」「定番」領域を中心に成長投資を続けています。

五つ目はSFPとの合併です。

今後は重複機能の効率化だけでなく、非支配株主への利益帰属がなくなることで親会社株主に帰属する利益へのプラス効果が期待できます。ただし金額はまだ未確定です。

一方で気になるポイント

一つ目は調整後EBITDAです。

営業利益10.8%増に対して、調整後EBITDAは1.8%増しかありません。

二つ目は調整後EBITDAマージンです。

17.8%から17.5%へ低下しました。

三つ目は居酒屋カテゴリーです。

磯丸水産を中心に既存店が前年割れしています。

四つ目は販管費です。

売上収益3.5%増に対し、販管費は約4.3%増えており、販管費率も上昇しています。

五つ目はM&Aによるのれんです。

すでに262億円あり、今後さらに増える可能性があります。

六つ目は既存店成長率です。

102.8%は十分プラスですが、キャピタルゲインを大きく狙うなら再加速も欲しいところです。

キャピタルゲインという視点ではどう見るか

キャピタルゲイン目的では、今回のクリエイト・レストランツはかなり評価しやすい決算です。

ただし理由は単純な「営業利益10.8%増」だけではありません。

私が注目するのは、

営業利益進捗37.5%

強い営業CF

今後のM&A寄与

SFP合併による効率化余地

です。

特に第1四半期時点ではHazelwoodとイノセンスの業績寄与がまだ入っていません。

つまり現在の高い営業利益進捗に、下期から新しいM&A効果が上乗せされる可能性があります。

一方で調整後EBITDAの伸びは1.8%です。

したがって、次の株価上昇局面をより確かなものにするには、

M&Aで売上を増やすだけではなく、調整後EBITDAまで明確に成長させること

が必要だと考えます。

株価評価が一段上がる条件

私は一番目に調整後EBITDAの成長率を見ます。

今回1.8%増でした。

これが次の決算で5%、10%方向へ上昇すれば、本業の利益成長がはっきりしてきます。

二番目は居酒屋です。

磯丸水産の既存店が回復すれば、現在好調なCRカテゴリーや専門ブランドカテゴリーと合わせて全カテゴリーが利益成長方向へ向かいます。

三番目はM&Aです。

Hazelwood、RON、イノセンスが売上だけでなく利益へ貢献できれば、営業利益90億円の上振れ期待が強まります。

四番目はSFP合併効果です。

重複コストの削減や意思決定の迅速化が実際の利益率へ現れるかを見ます。

この4点が揃えば、私はクリレスを単なる優待・外食銘柄というより、M&Aを使って利益を伸ばす成長企業としてさらに高く評価します。

私ならどう売買するか

すでにクリエイト・レストランツを保有しているなら、私は今回の決算では売却しません。

営業利益10.8%増。

営業利益率約7.8%。

営業利益進捗率37.5%。

営業CF41.5%増。

この数字なら基本は保有継続です。

しかも第1四半期終了後にSFPとの合併とHazelwood買収が完了し、9月にはイノセンスのグループ入りも予定されています。

少なくとも第2四半期の数字までは確認したいです。

新規買いも前向きです。

ただし私は決算直後に一括で買うより分割します。

まず一部を買い、第2四半期で調整後EBITDAの伸び率が改善し、営業利益進捗率が50%を大きく上回っているなら追加します。

さらに居酒屋カテゴリーまで回復すれば、買い評価を★★★★★へ引き上げてもよいと考えます。

逆に営業利益だけ伸びて、調整後EBITDAがほとんど増えない状態が続くなら買い増しは慎重にします。

次の決算で見るポイント

最優先は調整後EBITDAです。

今回75億5100万円、1.8%増でした。

営業利益よりこちらの成長率が上がるかを見ます。

二つ目は調整後EBITDAマージンです。

17.5%から18%台へ戻れるかを確認します。

三つ目は既存店売上です。

今回102.8%でした。

100%を維持するだけでなく、再び成長率が加速するかを見ます。

四つ目は磯丸水産を中心とする居酒屋カテゴリーです。

今回の明確な弱点ですので、既存店の前年割れから回復するかを確認します。

五つ目はHazelwoodです。

7月から連結されるため、海外カテゴリーの売上・利益にどの程度寄与するかを見ます。

六つ目はRONです。

M&Aで加わった専門ブランドカテゴリー10店舗が利益にどの程度貢献するかを確認します。

七つ目はイノセンスです。

9月予定のグループ入り後、好調なヌードル領域とのシナジーが出るかを見ます。

八つ目はSFP合併です。

重複コスト削減と親会社株主帰属利益への効果を確認します。

九つ目は営業利益進捗率です。

第1四半期で37.5%ですので、第2四半期でも高進捗を維持できれば上方修正期待がかなり強くなります。

売却を考える条件

私が売却を考える一つ目の条件は、既存店売上が100%を明確に割り込み、それが複数四半期続く場合です。

二つ目は調整後EBITDAです。

売上がM&Aで伸びても調整後EBITDAが減益へ転じるなら、利益の質を再評価します。

三つ目は調整後EBITDAマージンです。

17%台前半、さらに16%台へ低下していくようなら注意します。

四つ目は居酒屋カテゴリーです。

磯丸水産の不振がさらに拡大し、他カテゴリーの増益で補えなくなる場合は警戒します。

五つ目はM&Aです。

買収会社の売上だけ加わり、のれんや借入金が増える一方で営業利益とCFが伸びない場合は保有比率を下げます。

六つ目は営業CFです。

現在約70億円という非常に強い水準ですが、利益が増えているにもかかわらず営業CFが大きく悪化する場合は注意します。

逆に既存店がプラスを維持し、M&A企業が利益へ貢献し、調整後EBITDAも伸び始めるなら、私は簡単には売却しません。

今回の私の結論

今回のクリエイト・レストランツ・ホールディングスの2027年2月期第1四半期決算は、基本的には良い決算です。

売上収益は3.5%増の432億7700万円。

営業利益は10.8%増の33億7800万円。

親会社の所有者に帰属する四半期利益は6.2%増の22億1700万円です。

営業利益率も前年同期約7.3%から約7.8%へ改善しました。

さらに通期営業利益90億円に対する進捗率は約37.5%です。

第1四半期としてかなり高い数字です。

営業CFも69億8100万円で41.5%増となり、キャッシュ創出力も強いです。

一方で、私は営業利益10.8%増をそのまま★★★★★級とは見ません。

調整後EBITDAはわずか1.8%増です。

調整後EBITDAマージンも17.8%から17.5%へ低下しています。

また、その他営業収益とその他営業費用の前年差が営業利益を大きく押し上げています。

つまり基礎的な本業収益力は、

「悪くない。しかし営業利益10.8%増ほど強烈ではない」

というのが今回の実態だと考えます。

事業別ではCRカテゴリーが大幅増益、専門ブランドと海外も堅調です。

一方で磯丸水産を中心とした居酒屋カテゴリーが減益となりました。

今後はこの弱点を改善できるかがポイントです。

さらに成長材料もあります。

7月1日にSFPホールディングスとの合併を完了。

同じ日に米国のHazelwood Food + Drinkを中心とする6店舗を取得。

9月には「らぁめん小池」など10店舗を持つイノセンスがグループ入り予定です。

これらは第1四半期の数字にはほとんど、あるいは全く入っていません。

したがって今後の利益には上乗せ余地があります。

財務についても借入金やのれんはありますが、営業CFが強く、現預金も190億円へ増加しています。

またIFRS第16号の影響を除いた調整後自己資本比率は45.6%です。

私は今回を、

「営業利益の数字以上に高進捗とCFを評価したい決算。ただし次は調整後EBITDAの成長を確認したい」

と評価します。

私なら、

保有は継続。

新規買いも前向き。

ただし決算後の急騰は追わず押し目で分割。

第2四半期で調整後EBITDA成長とM&A効果が確認できれば追加買い。

という判断です。

今回の総合評価は**★★★★☆**です。

営業利益進捗率、CF、M&Aによる将来成長は★★★★★に近い内容です。

しかし調整後EBITDAが1.8%増にとどまり、マージンも低下しているため一段下げました。

キャピタルゲインを考えるうえで次に見るべきなのは、単純な売上高ではありません。

既存店売上102.8%を維持しながら、新しいM&A企業を利益に変え、調整後EBITDAまで再加速できるのか。

ここが確認できれば、クリエイト・レストランツは今の安定成長から、もう一段強い利益成長局面へ入る可能性があると考えます。

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